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OKR導入を成功させるために人事評価において担保すべきこととは?


本エントリは、これまでのOKR導入・運用改善サポートの経験を踏まえ、OKRを導入する場合に人事評価において担保すべきことを整理したものだ。

各社の人事評価制度は様々だが、いずれのケースでも共通しておさえておくべきポイントに絞って整理している。

 

(OKR に関する基礎的な議論は、「OKR を使いこなして目標達成に近づく具体的な方法」をご覧ください)

 

 

人事評価において担保すべきたった1つのこと

多くの企業では、人事評価は半期、または1年スパンで行なうことが多いだろう。

一方で、OKR では3ヶ月毎に設定を見直すことが推奨されている。

そのため、OKR をこれまでの目標設定におきかえる場合には、半期ないし1年の間に目標変更を行っても、きちんと評価ができるような仕組みが必要になる。

 

つまり、OKR を導入する場合「期中で目標を変更した場合の評価の仕組み」を整えることが必要なのだ。

また同時に、OKR のメリットを最大限享受するためにも「期中で柔軟に目標を変更できるプロセスを明確にし、浸透させる」必要がある。
これは必ずしも OKR に限ったことではなく、MBO(Management by Objective and self-control)などの制度においても同様の論点は存在するため、人事担当者にとって新しいことではないかもしれないが、以下、具体的に見ていこう。

 

期中での目標変更を許容し、評価できるようにすべき理由

OKR で期中の目標変更を許容すべき理由は、「無駄なく効率的に野心的な目標達成に力を集中させる」という目的を叶えるためだ。

どういうことだろうか。

 

OKR では、会社目標に対する達成プランとして現場までの OKR を設定する。しかし、取り組みの中で当初設定した OKR よりも良いプランが見つかることも少なくない。

そんな時、OKR を柔軟に変更できないと、何が起こるだろうか。

主に以下3点の無駄が生じる。

 

①プランを変更できず会社のゴールに効率的に近づくことができない

②(承認を得ず取り組む事柄を変更した場合)新たなプランに舵を切って成果を出しても、上長や会社に成果を認めてもらえず、徒労感を感じる

③他チームが従来の OKR に貢献する動きをし続ける

 

こうした状態をそのままにしておくと、会社全体に無駄が生じ、目標達成に効率的に近づくことができなくなる。

それ故、3ヶ月ごとに OKR の設定を見直し、会社全体のフォーカスポイントを整えていくべきだ。

(もちろん、3ヶ月に縛られる必要はなく、設定してふた月で明らかな不整合が発覚すればその時点で OKR を変更すば良いし、逆に長期的な動きで成果を出す事業であれば、半年ごとの見直しでも良いだろう。いずれにせよ、期中で柔軟に目標変更できるプロセスを浸透させることは必要だ)

 

人事評価制度の調整の例

上述のように、OKR を3ヶ月毎に見直した場合にも、メンバーを適切に評価できるような仕組みが必要になる。

評価の仕組みを調整するポイントは2点だ。

 

・Excelシートやタレント・マネジメントシステムの変更

・運用設計(目標変更見直しのプロセスの浸透)

 

前者の目標管理システムの変更では、以下3点が代表的な変更ポイントになる。

①3ヶ月毎に OKR と結果を入力する欄の追加

②3ヶ月の中で目標を変更した場合に利用する欄の追加(例えば、異動時の目標変更の場合に備えて用意しているものを転用するのもよいだろう)

③3ヶ月毎のマネジメントからののコメント・フィードバック欄の追加(評価の経過コメントを残す必要があれば)

 

この3点を設計しておけば、突発的に目標変更を余儀なくされたときにも、きちんと経過を追って評価をすることができるだろう。

各マネジメントは、3ヶ月毎に各人の達成度と、その他の評価項目に対する暫定的なコメント欄を利用することで、評価の参考情報を積み上げられる。

これをベースに、各社の評価制度から必要な項目をイメージし、柔軟に設計して欲しい。

 

運用設計① – 1on1 との組み合わせ

後者の運用設計の1つの案として、1on1を活用できる。

定期的に目標の進捗と目標自体の精度を振り返る機会を設けることで、目標変更のタイミングをキャッチできる可能性が高まる。

1on1 は必ずしも OKR の振り返りだけに利用されるわけではないが、キャリア開発や、仕事を離れた相談と並行して OKR を取り上げても良いだろう。

1on1を通して、チームOKRのプランニングに必要な参考情報を得ることもできるだろう。

 

運用設計② – チーム毎の振り返りを吸い上げる仕組み

運用設計の2つ目の案としては、チーム毎に、OKR の進捗と、目標設定そのものの質を振り返る機会を「月に1度」設けることだ。

目標を振り返る機会は、どうしても考課前になることが多い。

だが、月次で振り返る機会を持てば、無駄な時間の使い方をしていることに気づいたり、

本当にやるべきことが別にあるということに気づけるかもしれない。

その中で、目標設定そのもの、他にやるべきことは無いか、捨てるべきものはないかを議論するのが良いだろう。

 

これらの振り返りから、目標の変更が必要だと思えば上長に情報を共有し、変更の承認を得る。

その変更は、影響範囲に含まれるメンバーに対してアナウンスする。

事業上の重要な変更であれば、全体会議でアナウンスし、会社の方向性の認識を一致させるのが良い。

 

OKR を変更する際のコツ

ところで、OKR では、全体の OKR を整合させて会社目標に対して力を無駄なく注ぐように設計することが推奨される。

ある OKR を期中で変更すると、他の部門の OKR に影響が出ないだろうかという疑問が湧く。

当然、変更の影響は波及する。

 

メンバー1人だけの OKR を変更するのみなら問題はないが、

チームOKRを変更する場合は、影響範囲が広がるケースも少なくなく、他部署や更に上の上長との交渉も必要になる。

以下に、コミュニケーションにもたづかずに変更を実施するコツを整理したので、参考にして欲しい。

 

透明性でつながり(影響範囲)を把握する

OKR を、会社の野心的な目標に向かうための「プラン改善」の仕組みとしてワークさせるためには、時に変化を許容し、大胆に目標達成に向かう必要があることは前述の通りだ。

この特徴の前提となるのは、「透明性」である。

 

会社から現場までの OKR のつながりを可視化しておけば、

誰がどの OKR に責任を持っているかがクリアになる。

また、自分の上位にある OKR から作成された全ての下位OKRを網羅的に把握でき、誰とどのようなコミュニケーションを取るべきかがクリアになる。

必要があれば、更に上の OKR に遡って、「会社が目指すゴールに、この変更は本当に叶うものだろうか」と自問することもできる。

以下の画像のように、進捗数値まで含めて把握することで、

コミュニケーションの前提となる情報を一致させることができ、無駄を省けるだろう。

 

会社で、以下のような状態で OKR を可視化して運用する仕組みがあれば、目標設定や変更にかかる手間を削減できるというわけだ。

 

まとめ

以上、OKR を導入する場合に、「期中で目標を変更した場合の評価の仕組み」を整える必要があること、またその調整のポイントを見てきた。

本来 OKR と人事評価とは、「目標設定が保守的なものに陥らない」よう切り離すべきだと言われるが、そのためには評価制度の大きな変革を伴うことが多く、現実的ではない。(将来的にはそこを目指してもよいが)

 

参考までに、理想的な設計例を「OKR を導入する際の理想的な評価のあり方について」で、まとめた。