【Googleも運用】OKRの運用のコツを解説しますBLOG

 2023.8.31

「OKRをどう運用していいのかわからない」

「OKRを上手く運用するコツが知りたい」

と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。OKRの概念は理解できて、運用しようとしてもうまくいかないこともあります。

実際にOKRを取り入れて運用している企業の例を見ながら運用のコツを確認すると、わかりやすいためおすすめです。

OKRを導入している企業と聞いてGoogleを思い浮かべない人はいないでしょう。今回はGoogleを例に挙げながら、運用のコツを詳しく解説します。

そもそもOKRとは何か詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを導入事例を交えて紹介。KPIやMBOとの違いも解説

目次
1. Googleも導入しているOKRとは?
2. GoogleがOKRを導入した歴史
3. 【Google流】個人と組織を強めるOKRを運用するポイント3つ
4. Googleの事例から学ぶ、OKRの運用の流れ
5. Googleのやり方をそのままコピーしなくてもいい
6. OKRの運用に失敗はつきもの!失敗の活かし方を確認
7. 具体的な運用のヒントになるOKRのスケジュール例を紹介
8. OKRを成功させるのに必要なもの
9. OKR運用の5つのコツ
10. Googleの成功事例を参考にOKRの運用を!

ResilyではOKRを実際に運用している日本企業との事例紹介セミナーを行っています。無料で公開していますので、ぜひご視聴ください。

Googleも導入しているOKRとは?

Googleも導入しているOKRとは、Objective and Key Result(目標と主要な結果)の略称で、人材管理・目標管理システムを言います。

OKRではまずO(野心的な目標)を設定し、Oを達成するためにKR(目標を達成するための成果指標)を策定するのが流れです。会社やチームといった階層ごとのOKRを全社で有機的に連携して、目標を管理します。

OKRクラウドツール「Resily」でOKRを作成した例

「会社」「チーム」「個人」それぞれの階層でOKRを設定する

OKRを運用する際には、以下の階層それぞれでOKRを設定しましょう。

  • 会社
  • チーム
  • 個人

最初に会社の意義やビジョン、戦略を元にOを設定します。Oを設定したら、達成するための具体的なKRを決定しましょう。

チームのOKRは、会社のOKRとリンクさせて設定するのがポイントです。会社のOが達成できるように、階層ごとのOを設定し、達成を目指すためのKRを決定します。個人のOKRは、チームのOKRとリンクさせましょう。

階層ごとのOKRをリンクさせて全社で有機的に連携するのが、OKRの特徴です。OKRが上手く運用できれば従業員全員が同じ目標に向かって活動できるため、エンゲージメントが高まり業務に対してより情熱的に取り組めます。

OKRを導入すれば組織の目標と自分の仕事のつながりが明確化されるので、組織として一体感が醸成されて、効率的に働けるようになるのもメリットです。OKRは全員で共有されるため、自然と社内のコミュニケーションも増え、統一感のある企業へと成長していきます。

KPIはOKRのプロセス管理にも利用できる

OKRと比較される手法にKPI(Key Performance Indicator)がありますが、KPIはOKRのプロセス管理にも利用できます。

KPIとは「主要業績評価指標」という意味で、数値化された目標や目標を数値化して管理するマネジメント手法です。本来であればKPIとOKRには以下のような違いがあります。

手法KPIOKR
目的目標達成のプロセスの確認生産性の向上
目標の共有範囲チーム内社内全体
目指す目標の達成率100%60%~70%
KPIとOKRの違い

KPIは目標を達成するまでのプロセス自体を管理する手法で、OKRは生産性の向上を目的として目標を達成するまでのプロセスを共有する手法です。

OKRにおいてKRを決定する際には、具体的な指標や数値を入れます。KPIでは目標を数値化して明確化できるため、すでにKPIを導入している企業ではOKRのプロセス管理にKPIを利用する方法もおすすめです。

GoogleがOKRを導入した歴史

GoogleがOKRを導入したのは、投資家であるジョン・ドーア氏が「目標設定の方法」として、GoogleにOKRを紹介したのがきっかけです。ジョン・ドーア氏はインテルで働いていたときにOKRに出会いました。

当時インテルでは「社員が優先度の高い業務に集中するにはどうすればよいか」という課題に直面している状態でした。結果としてOKRの導入によって、社員の足並みを揃えて課題を解決できたのです。

インテルでの成功体験を元に、ジョン・ドーア氏はGoogleにOKRを紹介しました。OKRを教えてもらったGoogleは、2000年代初めにOKRを導入します。試験的に数四半期の間OKRを運用する中で、トライ&エラーを繰り返してOKRをものにしました。

現在は1年単位と四半期単位でOKRを設定しています。

【参照】Google re:Work - ガイド: OKRを設定する

Googleがやり方を学んだインテルで重視されていた内容

Googleがやり方を学んだインテルでは、以下の2点が重視されていました。

  • 自分は何を目指したいのか
  • 目標までの到達度をどのように測ればよいか

上記の内容はジョン・ドーア氏がOKRを学んだ、インテルの元CEOアンディ・グローブ氏が重視した2つの問いです。OKR のような目標管理システムを効果的に構築するには、 2つの問いに答える必要があると著書の中で述べています。

「自分は何を目指したいのか」を考えると目標が立てられます。さらに「目標までの到達度をどのように測ればよいか」を考えると指標が見つかるため、OKRの考え方に繋がるのです。

【Google流】個人と組織を強めるOKRを運用するポイント3つ

Googleのやり方を元にOKRの運用のポイントを紹介しますが、事例を確認する前に以下の点を知っておきましょう。

  • 個人と組織を強めるOKRを運用するポイントは3つある
  • すべての企業に当てはまる方法ではない点を念頭に置いておく必要がある

Google流のOKRの運用のポイントは3つあります。

成功した企業の例とはいえ、企業によって状況が異なるためGoogleのやり方が全ての企業に当てはまるとは限りません。自社に合いそうか確認しながらGoogle流の運用のポイントをチェックしてください。

ポイント1:ウィンセッションで全社員を巻き込む

個人と組織を強めるOKRの運用を目指すなら、ウィンセッションで全社員を巻き込みましょう。

OKRにおけるウィンセッションは「勝者のセッション」と訳されます。内容は進捗報告会で、どんなに小さな成果でも互いに褒め合い、社員のモチベーションを保つのが目的です。

Googleでプロダクトマネージャーとグループマネージャーを経験した及川卓也は、以下のように述べています。

私が社員として働いていて感じたグーグルのOKR活用の肝は、OKRを軸に全部署・全社員が同じ方向に進むためのフレームワークとして活用していることだ。

クリスティーナ・ウォドキー. OKR(オーケーアール) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2057-2059). Kindle 版.

一般的に言えば、Googleほどの大企業で大量に従業員を抱えている会社では、全員を同じ目標に向かわせることは難しいでしょう。Googleは毎週木曜日にウィンセッションを行う方法で、統一感を持った取り組みを可能にしました。

GoogleはこのセッションをTGIF(Thanks God It's Friday)ミーティングと名付け、世界各地の社員が参加できるように毎週木曜日に行いました。もともとの名称のように、週の終わり(金曜日の夕方)に行われるケースが多く見られます。

ウィンセッションでは社長や幹部がプレゼンを行い、参加者はリアルタイムでの質問が可能です。フランクに意見を交換できるボトムアップの場が社内の風通しを良くし、全社員が同じ方向を見て働ける要因になっています。

ウィンセッションについてより詳しく学びたい方は、下記の記事をご参照ください。

OKRにおけるウィンセッションとは?メリットや導入事例を紹介します

ポイント2:ストレッチゴールの設定

OKRを運用するポイントの2つ目は、ストレッチゴールの設定です。GoogleのOKR運用を成功に導いた手法の1つで、自分自身が可能と考える設定値より高い目標を設定することです。

OKRは常にストレッチ・ゴールにしなければならない。そのためには、OKRに10分の5の自信度を設定するとよい。自信度10分の5とは、「目標を達成できる自信が半分しかない」ということ

クリスティーナ・ウォドキー. OKR(オーケーアール) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1397-1399). Kindle 版.

「OKR」の著者であるウォドキー氏は、自信度が10分の10では必ず達成できる低い目標となるため、達成するかどうか分からない50%の自信度がOKRの設定にはちょうどよいと本書で述べています。

自信度10の目標は「確実に達成できる目標」という意味で、低すぎる目標です。Googleでは「サンドバッグ」と呼ばれ、OKRにおいては好まれません。

高い目標は優秀な従業員をひきつけ、チームのモチベーションを高める役割があります。仮に達成できなかったとしても、個々の成果を最大限までアップさせる可能性があるのです。

GoogleはKey Resultの設定において、ストレッチゴールを巧みに使いました。大きいが不可能ではないと思える目標を掲げ、個人のパフォーマンスを最大化し、達成すれば組織に有益かつ社員自身やチームの大きな成長につながるように仕組みを整えたのです。

OKRにおける自信度とは目標に対する自信を測る自己申告指標

OKRにおける自信度とは目標に対する自信を測る自己申告指標で、自分が完全に達成できる目標を10とします。実現が不可能な目標は、自信度が0と表されます。

自信度が10の目標は簡単に達成でき、従業員の成長には繋がりません。自信度が0の目標は実現が不可能なので、モチベーションは上がらないでしょう。

OKRでは「実現は難しいが達成できそうな目標」を設定するのがポイントです。条件に合う目標を設定するために、ウォドキー氏は自信度5の目標を設定するよう述べています。

ポイント3:Key Resultをスコアリングする

3つ目のポイントは、Key Resultのスコアリングです。

まずゴールを、「パフォーマンスを評価するしくみ」から、「人を鼓舞し、能力を高めるしくみ」に切り替えよう。

クリスティーナ・ウォドキー. OKR(オーケーアール) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1882-1883). Kindle 版.

OKRは実績を評価する仕組みではありません。個人が四半期にどのような目標に注力していたかを可視化し、会社への貢献や影響を明らかにするためのマネジメント法です。目標への達成度を可視化するために、Googleはスコアリングという手法を取り入れました。

GoogleではKey Result(成果指標)の達成度を0〜1.0で表します。通常1つのObjective(目標)に対して3つのKey Resultを設定するので、その達成度の平均値がOKRの達成度となる仕組みです。

「新規顧客を30件獲得する」というKRに対する達成度を例に、スコアとの関係を確認しましょう。

  • 30件達成できた場合:スコアは1.0
  • 半分の15件しか達成できなかった場合:スコアは0.5
  • 1件も達成できなかった場合:スコアは0.0

3つのKRのスコアが「0.5」「0.4」「0.3」の従業員がいる場合、平均して「0.4」がスコアとなります。

注意したいのは、OKRが100%の達成度を目的としていない点です。OKRにおいて最適な達成率は60〜70%なので、Googleの場合0.6〜0.7のスコアがつけば十分な成果を上げていると言えます。

スコアを元にすれば、0.6~0.7よりも低い場合はより努力が必要とみなされ、高すぎる場合は目標が低すぎるという判断が可能です。KRをスコアリングすれば、目標が組織、個人に適切であるか確認でき、俯瞰した目線でレビューしやすくなります。

Googleの事例から学ぶ、OKRの運用の流れ

GoogleのOKR導入が成功するに至った3つのポイントを学びましたが、小手先の手法だけを取り入れてもOKRは失敗してしまいます。OKRを導入する以前に、組織の基盤を固め準備をしなければいけません。

導入の流れについて説明するので、会社の規模と状況に合わせながら取り入れてみてください。

【参照】Google re:Work - ガイド: OKRを設定する

組織のミッションを確認する

OKRを導入する前に、組織のミッションを確認しましょう。

ミッションは会社がレールから外れるのを防いでくれる。OKRはフォーカスを定め、マイルストーンとなる。ミッションなしでOKRを使うのは、ジェット機もないのにジェット燃料を使うようなものだ。

クリスティーナ・ウォドキー. OKR(オーケーアール) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1343-1345). Kindle 版.

良いミッションのポイントは、以下の通りです。

  • 短くて全社員が覚えられる
  • 人を鼓舞する
  • 方向性を明確にする

ミッションが定まっているとObjectiveの設定が簡単になります。

Googleは「世界中の情報を整理し、世界中の人にアクセスできるようにすること」というミッションをかかげ、実現に向けてOKRを進めています。

このミッションを達成するためのObjectiveとKey Resultを設定すれば、会社の方向性を見失うことはありません。社員も目の前の業務により意義を持って取り組めます。

OKRを導入するなら全社ミーティングを開き、自社のミッションを再確認しましょう。

OKRを導入する背景を明確にする

OKRを導入するなら、導入する背景を明確にしましょう。理由がなければ人は動きません。以下のような問いについて、すべての社員が答えられる状態がベストです。

  • なぜOKRを導入するのか
  • OKRによって解決したい課題はなにか
  • OKRはどのように機能するのか

まずはキックオフミーティングを開き、以下の項目について話し合ってみましょう。

項目内容
OKRとは・OKRの機能・OKRがもたらす効果
OKRを導入する背景・今抱えている課題は何か・解決するとどのような良いことがあるか
OKRの運用の仕方・スケジュール感・個々の役割・個々がすべきこと
OKRキックオフミーティングの議題

ミーティングでは質疑応答を行って、社員の意見も取り入れましょう。OKRはトップダウンではありません。OKRを導入するなら、コミュニケーションは十分にとってください。

GoogleではTGIFミーティングを20年も行っており、6万人もの社員の声を毎週聞いています。新しい試みに不安を感じる社員の意見に耳を傾け、柔軟に取り入れましょう。

組織のOKRを設定する

OKRの導入の際には、組織のOKRを設定しましょう。

Googleは組織全体のOKRとして、3〜5個のObjectives(目標)とそれぞれの目標に対して3〜5個ほどのKey Result(成果指標)を決めています。目標を設定する際には以下4つのポイントを押さえなくてはなりません。

  1. 具体的である
  2. 客観的である
  3. 達成すれば価値のある
  4. 達成度が60~70%に落ち着きそうなストレッチしたゴールである

KRの設定のポイントは以下の通りです。

  • 定量的な指標である
  • 普通に達成できるものではない

Googleでは組織のOKRはあらゆるレベルの従業員が提案して決めます。リーダーなど重要なポジションにいる人間のみが決めるわけではありません。設定したOKRは、従業員に向けて公開されます。

OKRを効率的に運用するにはP1とP2の適切な管理が必要

OKRを効率的に運用するには、1」と「P2」の適切な管理も必要です。P1とP2は進捗確認の際にタスクの優先度を示すために用いるラベルのことで、以下のように決められます。

  • P1:やらなければならないこと
  • P2:やるべきこと

やらなければならないことをP1として優先順位をつけると、何から取りかかるべきかわかります。P1が完了したらP2に取りかかるといったように、両者を優先しながら業務を行うとスムーズです。P1とP2は週ごとに決め、3~5つ設定しましょう。

チームと個人のOKRを設定する

組織のOKRを設定し終えたら、チームと個人のOKRを設定します。

組織のOKRを元に各チームがチームのOKRを、そしてチームのOKRを元に各従業員がOKRを決めましょう。チーム以下のOKRは、その1段階上のOKR最低1つに基づいていなくてはなりません。

組織のOKRと同じように、チームと各従業員のOKRも公開されます。

OKRクラウドツール「Resily」でOKRを作成した例

OKRを定期的に評価する

Googleでは1.5ヶ月に1回OKRが検証され、四半期に1度の全社ミーティングで組織のOKRの公開と評価がされます。

OKRは0.0〜1.0の十段階で評価されます。OKRの理想的な達成率は60〜70%なので、全てのOKRの平均が0.6〜0.7ほどになるのが良いとされています。

OKRの振り返りで見るべき3つの内容

OKRの振り返りで見るべき内容は、以下の3つです。

  • 取り組みの内容は効果的だったか
  • 取り組みの前と後ではどのように変わったか
  • 振り返りの内容が現場で活かせるか

目標を達成するために従業員がそれぞれ取り組みを行いますが、取り組みが目標に沿っていなければ成果が得られません。取り組みの内容は目的に沿っていたか、目的達成のためにどの程度の影響力を持っていたかを確認しましょう。

取り組みの前と後ではどのように変わったかをチェックするのも重要です。取り組み前よりも良くなった部分があれば、目標達成のために貢献できていると判断できます。

目標達成に効果を発揮する取り組みは、今後も継続しましょう。変化が見られなかった取り組みは継続しないという決定にも役立ちます。

振り返りを行うだけではなく、振り返った内容が現場で活かせるかも意識しましょう。次に生かせるようにするには、OKRを習慣化するのが効果的です。

Resilyではチャットツールと連携させ
定期的な振り返りをリマインドすることができます

OKRを定期的に更新する

OKRを定期的に更新するのも、OKRを運用するうえで重要な流れの一つです。OKRを更新すべき理由は以下の2つです。

  • 達成できそうにない目標を取り下げられる
  • リソースを追加して集中して取り組むべき業務がわかる

自信度が高すぎる目標を設定していた場合、60~70%まで達成できないケースもあるでしょう。達成できない目標は取り下げて、達成を目指せそうな目標を新たに設定する方が、従業員のモチベーションアップに役立ちます。

現在の取り組みでは達成できそうにない目標でも、リソースを追加すれば達成できるケースもあるでしょう。目標達成のために、リソースを追加してでも集中して取り組む業務がわかるのもメリットです。

GoogleではチームのOKRを更新する頻度は統一されてはいません。四半期の中頃に再検討するチームもあれば、四半期ごとに確認するチームもあります。チームの状況に応じて、適切な頻度でOKRを更新しましょう。

OKRの設計方法

Resilyでは海外のOKR専門家を招待し、OKR勉強会セミナーを定期的に開催しています。

OKRの設計方法についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひセミナー動画もご覧ください。

このセミナー動画では、具体的な例を用いたOKRの設計方法を丁寧に解説したメラニー氏の登壇内容と、参加者より寄せられたQ&A編を一挙公開しています!

Googleのやり方をそのままコピーしなくてもいい

上記でGoogleのOKR運用方法を紹介しましたが、OKRはGoogleのやり方が唯一の正解なわけではありません。Googleでプロダクトマネージャーとグループマネージャーを経験した及川卓也も、以下のように述べています。

OKRに「こうでなければならない」という型は、じつはありません。

【参照】第16回 グーグル流スマートワーク――及川卓也さんに聞く「OKRを働き方改革に活かすには?」 | スマートワーク総研

成功例であるGoogleのやり方を真似するのももちろん有効でしょう。しかしより大切なのは、自社なりに試行錯誤してOKRを運用することなのです。

OKRの運用に失敗はつきもの!失敗の活かし方を確認

OKRの運用には失敗がつきものです。OKRには「こうでなければならないという型がない」ため、自社に合う運用方法が見つかるまでは失敗するのが当然だとも言えます。

OKRの運用では、失敗した後にどのように生かすかが重要です。失敗の活かし方について見ていきましょう。

以下の記事では日本企業の課題に合わせたOKRの運用方法を紹介しているので、合わせて参考にしてみてください。

MBOからOKRに変えたことで、自律的にアクションする組織づくりに成功した事例

従来のMBOでは会社が目指しているところがわからないということに課題を感じ、OKRと専用ツールResilyの導入を決めた大日コンサルタント様の事例です。

詳しくはこちら

アクティブ・コネクターの失敗事例を紹介

外国人専門の人材紹介業を営むアクティブ・コネクターが公開しているOKRの失敗事例によると、OKRが失敗した原因として以下の内容が挙げられています。

  • OKRの目標がマーケットから外れていた
  • 目標設定の際に仮説検証が不十分だった
  • 目標が達成すべきものと意識付けられていなかった

短期間でも情勢や世論により激しく変化するという特徴を持つマーケットの変化に対応しきれなかった結果、目標がマーケットから外れていました。目標設定の際の仮説検証も不十分で、目標の達成に役立たなかったとも言います。

OKRの目標は高く設定して60~70%の達成度を目指しますが、目標が高いために達成すべきものではなく「達成すれば素晴らしい」と意識付けられたのも失敗の原因の一つです。

一般的に多く見られる失敗事例をまとめてチェック

一般的に多く見られるOKRの失敗事例をまとめてチェックしましょう。

  • 目標がわくわくする表現や内容になっていない
  • 従業員が自分のことと捉えていない
  • KRが多すぎる
  • 振り返りがきちんとできていない
  • ウィンセッションで否定的な話し合いをしてしまう
  • OKRが習慣化されていない

OKRの目標は、達成したいと思えるようにワクワクする表現やシンプルな内容になっている必要があります。目標自体に魅力が感じられないと、自主的に取り組みたいと思えません。目標の設定段階から失敗している可能性もあります。

目標の設定が上手く行っても、OKRの目的が従業員に伝わっていなければ「自分のこと」と捉えられません。従業員が自分のこととして捉えられるよう、導入の際の説明をきちんと行いましょう。

KRが多すぎると、何に重点的に取り組むべきかわかりません。KRは3~5つ程度設定するようにしましょう。

振り返りがきちんとできていない場合は、取り組みが評価できないのが問題です。本来褒め合うべきウィンセッションで否定的な話し合いをしてしまうと、従業員のモチベーションが下がります。

OKRに一通り取り組んだ後、OKRの更新をせず習慣化されないまま終わると、効果が期待できないでしょう。

失敗をふまえて自社に合うOKRの運用方法を見つけよう

OKRが失敗するのには何らかの原因があるため、失敗をふまえて自社に合うOKRの運用方法を見つけましょう。

失敗したまま終わると、OKRの導入は進みません。失敗はつきものだと考えて、なぜ失敗したのか原因を探る必要があります。

以下の記事ではOKRを導入した企業の成功例と失敗例から、失敗しないためのポイントまで紹介しています。運用の際の参考にしてみてください。

OKRの目標例を4つの企業から学ぶ【失敗しないための3つのポイントも紹介】

具体的な運用のヒントになるOKRのスケジュール例を紹介

具体的な運営のヒントになるように、OKRのスケジュール例を確認しましょう。四半期単位と1週間単位での実施例を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

四半期単位でのスケジュール例

四半期単位でのスケジュール例を、Googleのガイドを元に確認しましょう。

【参照】Google re:Work - ガイド: OKR を定期的に更新する

一般的な日本企業とは違って、Googleの第1四半期は1~3月です。スケジュール例を見ると、第1四半期に向けてのプレインストーミング(集団で意見を出し合う会議)が、11月の後半には始められています。1月から取り組みが始められるように、早めに準備を行っているのです。

12月の後半には会社目標の共有が行われ、1月には各従業員が取り組みを始めています。

1週間単位でのチェックインミーティングとウィンセッションの実施例

OKRの運用を行うには、1週間単位でのチェックインミーティングとウィンセッションの実施も重要です。一般的には月曜日の朝にチェックインミーティングを行い、金曜日の夕方にウィンセッションを行います。

Googleは木曜日にウィンセッションを行っていますが、企業の実情に合わせて曜日を変更しても構いません。

実施の際のポイントも合わせて確認しましょう。

チェックインミーティング・P1とP2を確認する・OKRの進捗状況と自信度をチェックする・従業員同士で協力できそうな点がないか話し合う・長くても1時間程度で終わらせる
ウィンセッション・従業員同士が取り組みを褒め合う・発表できる取り組みを発表して見せ合う
2つの会議体

チェックインミーティングでOKRの見直しや具体的な取り組みの内容を決め、ウィンセッションで取り組みを褒め合う流れです。流れが定着すれば、OKRの習慣化に役立ちます。

OKRを成功させるのに必要なもの

Googleの例を元に、OKRを成功させるのに必要な3つのものを紹介します。

  • 目標設定に対する強い信念
  • OKRを自社の文化に取り込むこと
  • 高い透明性

それぞれについて詳細を確認しましょう。

目標設定に対する強い信念

前述のジョン・ドーア氏は、GoogleがOKR導入に成功した理由の中でもっとも重要なものとして、「目標設定」に対する強い信念を挙げています。

なぜなら達成度が60〜70%になる、つまり達成できない目標に対して努力を続けるためには、あらゆるレベルの従業員が目標達成に対して高いモチベーションを持っていなくてはならないためです。

【参照】John Doerr on OKRs: Keys to Success From the Man Himself

OKRを自社の文化に取り込むこと

前述のジョン・ドーア氏は、他のポイントとして「OKRを自社の文化に取り込むこと」を挙げています。これはOKRが効力を発揮するように努力することです。

努力の具体的な例としては「MBOに基づいた評価制度に達成度以外の基準を持たせる」などがあります。

【参照】John Doerr on OKRs: Keys to Success From the Man Himself

高い透明性

OKRに透明性を持たせる、つまり個々の従業員の仕事と会社全体の目標につながりを持たせると、従業員がやりがいを感じやすくなります。透明性によって、従業員それぞれの個人OKRに対して責任を持たせることも可能です。

透明性に関して、Google Venturesのパートナーであるリック・クラウは、チームのリーダーから受け取ったメールを紹介しています。

メールには個人OKRの設定を催促する旨と、期日までにOKRを設定していない人のリストが書かれていました。つまりOKRを設定していない従業員は恥をかいたわけです。

【参照】Startup Lab workshop: How Google sets goals: OKRs - YouTube(※メールの件は59分30秒からです。)

OKR運用の5つのコツ

OKRを運用する際のコツは、以下の5つです。

  • OKR支援ツールを積極的に活用する
  • 企業目標を細分化した目標をチームや個人の目標とする
  • 1on1によるコーチングを取り入れる
  • OKRの進捗状況を組織全体で共有する
  • 迅速に評価の測定を行う

それぞれについて詳細を確認しましょう。

OKRを運用する際には、企業目標を細分化した目標をチームや個人の目標としましょう。

OKRでは企業のOKRとチームや個人のOKRをリンクさせて、統一性を持った取り組みを行うのが目標達成のポイントです。企業目標と合わない目標を設定すると方向性が合わなくなるため、企業目標を細分化したうえで目標を設定しましょう。

企業目標を細分化すれば、誰がどの部分に取り組むべきかを決められるメリットもあります。

OKR支援ツールを積極的に活用する

OKRの実施には時間や手間がかかるため、ツールを積極的に活用して負担を軽減しましょう。

OKRでは目標の設定と共有、進捗状況の確認など、やるべきことが多くあります。通常の業務を行いながらOKRに取り組むと、従業員の負担になって効果が出ないケースもあるため注意が必要です。

OKR支援ツールはOKRに必要な管理をスムーズにできるよう工夫されています。ぜひ導入を検討して、少ない負担で効果を得ましょう。

1on1によるコーチングを取り入れる

OKRの運用をスムーズに行うには、1on1によるコーチングを取り入れるのも効果的です。OKRにおける1on1には、以下のような意味があります。

  • 上司が部下のOKRの進捗を把握できる
  • 目標の達成に向かって上司が部下を勇気づけられる
  • OKRを習慣化できる

上司が部下のOKRの進捗状況を把握できれば、感謝の言葉をかけたり必要なアドバイスをしたりといった対応が可能です。必要に応じて部下を勇気づけられれば、部下のモチベーションもアップするでしょう。

定期的な1on1ミーティングは、OKRの習慣化にも役立ちます。

OKRの進捗状況を組織全体で共有する

OKRの成功には社内のコミュニケーションの活発化も欠かせないため、OKRの進捗状況は組織全体で共有しましょう。

従業員同士が進捗状況を確認し合えば、目標の達成に向けた協力も可能です。団結力が高まり、統一性が生まれれば、目標達成に向かって効果的な取り組みが行えるでしょう。

迅速に評価の測定を行う

OKRを効果的に運用するには、迅速な評価の測定も必要です。評価を測定した結果、目標が高すぎる場合は、目標を取り下げて別の目標を立てる方法も考えられます。目標が低すぎて達成度が高い場合は、より高い目標を設定しなければいけません。

評価の測定までに時間がかかると、従業員のモチベーションが下がる可能性もあります。迅速に結果を評価すれば、取り組みを認めたり必要に応じて目標を見直したりなどの対応が可能です。

Googleの成功事例を参考にOKRの運用を!

今回紹介したGoogleにおけるOKR導入の歴史や運用方法は、OKR運用の参考にできます。

しかしOKRは、Googleのやり方でないと効果は生まれないわけではありません。企業によって規模や事業内容など状況に違いがあるため、自社に合わせた運用方法を考える必要があります。

Googleを参考にしつつ、試行錯誤を繰り返して自社の文化とOKRを一体化させるのが理想です。Googleの運用方法を自社で採用した場合を想定して、生まれそうな効果やトラブルを想定しましょう。

OKRを効率的に運用するにはツールの活用がおすすめ

OKRを効果的に運用するには、ツールの活用がおすすめです。OKRでは目標の立て方が最も重要ですが、目標を立てるのに成功しても上手く運用できなければ効果を発揮できません。

OKRでは立てた目標に対する振り返りを行って、達成度を評価する必要があります。

OKRの進捗状況を管理するにはテンプレートを活用する方法もありますが、人数が多い企業では管理が難しいのが実情です。特に20名以上のチームでOKRを運用する場合には、スプレッドシートやエクセルなどの表計算ソフトでは運用が困難になりがちです。

OKRを効率的に運用するなら、専用ツールの導入を検討しましょう。ツールを選ぶ際には、直感的に使えるものがおすすめです。少ない負担で運用できれば、OKRが社内に浸透しやすくなります。

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OKRは社内に浸透して初めて効果を発揮するので、ツールを有効活用して企業の生産性を高めるのに役立てましょう。

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スプレッドシートやExcelなどでOKRを管理しているけど不便さを感じている、もっと効率的に運用したい、というお悩みをズバリ解決してくれるツールになっています。

他のツールとの違いはOKR特化でOKR関連の機能が充実している点です。タレントマネジメントや人事評価の機能がメインのツールはOKR管理はオプション機能のため、OKRでマネジメントを革新したい!という方には物足りないと感じてしまうかもしれません。

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