OKRにおける効果的な目標設定方法とは?運用のコツもセットで紹介BLOG

 2023.8.31

OKRとは、目標管理フレームワークの1つで、Objective(目標)& Key Results(主要な成果)の略称です単なる目標設定の形式ではなく、目標管理を通じて成果を最大化する取り組み全般をOKRと呼びます。OKRでは、企業内のあらゆる組織・チームが同じ重要な課題に全力で取り組むための組織マネジメントを可能にします。

近年、メルカリを始め多くの国内企業がOKRを導入しています。チームの結束力を高めると同時に、個人のパフォーマンスを最大化するOKRの効果から、自社でも取り入れたいと考えている企業も多いでしょう。この記事ではOKRの目標設定について、事例と共に紹介します。

OKRの作り方を徹底解説したセミナーの無料公開も行っていますので、こちらも併せてご視聴ください。

OKRの設定方法については、インターネットなどで調べるとポイントなどたくさん出てきますので、なんとなくどのように設定すればいいのかはわかるかもしれませんが、実際に設定するとなるとなかなかわからないことが多いのが実際問題でしょう。

そのため、本記事では実際にOKRを導入している企業の例も見ながら、より深くOKRについて学んでいきたいと思います。

「OKRを自社にも導入したい!けど目標の設定方法が分からない…」と思っている担当者様はぜひご一読ください。

目次
1.OKRを設定する前に会社のビジョンを確認しよう
2.OKRで設定すべき目標と指標とは?
3.O(Objectives、目標)を設定するときに意識したいポイント
4.Objectiveの設定例
5.KR(Key Results、主要な結果)を設定するときに考慮したい要素
6.Key Resultsの設定例
7.OKRで重要なストレッチゴールとは?
8.OKRの目標設定例
9.OKRを設定するプロセスを具体例とともにチェック
10.OKRを成功に導く運用のコツ
11.OKRの導入時は目標管理ツールもセットで導入しよう!
12.適切な目標設定で、社内の力を引き出すOKRをつくる!
13.OKRの目標設定についてのFAQ

OKRについて基本的な知識を身につけたいと思っている方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを導入事例を交えて紹介。KPIやMBOとの違いも解説

OKRを設定する前に会社のビジョンを確認しよう

ミッションは会社がレールから外れるのを防いでくれる。OKRはフォーカスを定め、マイルストーンとなる。ミッションなしでOKRを使うのは、ジェット機もないのにジェット燃料を使うようなものだ。

クリスティーナ・ウォドキー. OKR(オーケーアール) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.1343-1345). Kindle 版.

OKRにおいてミッションは重要な役割を担っています。通常、Objective(目標)はミッションに繋がっているものでなければなりません。ミッションは、仕事で躓いたり疑問をいだいたりした時に、答えを導き出してくれます。そのために、以下のポイントを押さえたミッションである必要があります。

  • 短くて、覚えやすいもの
  • 志が高い
  • 年にわたって会社を支えるもの

上記のポイントを意識して実際に企業のミッションを見てみましょう。

「世界中の情報を整理し、世界中の人にアクセスできるようにすること」-Google

「私たちのミッションは、世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めることです。」-LINE株式会社

「あたらしい飲料文化をお客様と共に創り、人と社会に、もっと元気と潤いをひろげていく。」-キリン株式会社

どれも覚えやすく、シンプルかつ志の高いミッションであることが分かります。ミッションは、ふとした瞬間に簡単に思い出すことができ、自身のモチベーションをキープするためのものでなければなりません。また、ミッションはコロコロと変えるようなものではないので、ある程度の年月にわたり会社を支えてくれるある意味普遍的なものであると良いでしょう。

OKRを設定する際には、まずは全社ミーティングを開いて会社のミッションを再認識することから始めましょう。それがOKR導入のファースト・ステップとなります。

OKRで設定すべき目標と指標とは?

OKRは「目標」と「結果」を可視化するために用いるフレームワークで、以下の2要素から成り立っています。

  • O(Objectives):企業のミッションに直結する高い目標
  • KR(Key Results):目標達成の進捗度を測定するための指標

一丸となって目指す主目的(O)とマイルストーンとなる指標(KR)でできているものと覚えておきましょう。ここでは、目標と指標それぞれをどのように定めればよいのかをわかりやすく解説します。

O(Objectives):企業のミッションに直結する高い目標

O(Objectives)とは、全社が一丸となって達成すべき目標を示します。全社的に意識する目標になるため、企業のミッションに直結する高い目標を掲げるのが基本です。

OKRにおいて、100%達成できると見込まれる目標は低すぎるといえます。詳しくは後述しますが、達成確率が60%~70%程度になる高い目標を設定しましょう。高い目標を掲げることで従業員のモチベーションをアップする効果を期待できます。

KR(Key Results):目標達成の進捗度を測定するための指標

KR(Key Results)は主目的(O)の達成状況を測定するための指標で、中間目標として役立つものを設定します。全力で取り組めば達成できそうな中間目標を設定しましょう。達成確率は50%程度に設定するのがおすすめです。

目標の達成状況を測定するものという都合上、明確に数値化できるものを指標として設定しなければなりません。ここで定性的な目標を設定してしまうと、指標としての役割を果たさなくなるので注意してください。

O(Objectives、目標)を設定するときに意識したいポイント

OKRのO(Objectives、目標)は、会社のビジョンや戦略と関連するため慎重に決めたいものです。Objectivesを定めるときは、以下の6つのポイントを意識しましょう。

  • 定性的なものにする
  • 人を鼓舞する内容にする
  • 時間的制約を考慮する
  • 各部署が独立して実行できるものにする
  • 達成率60~70%程度のものにする
  • 全社的に共有できるものにする

これらのポイントを意識しつつ、企業のビジョンやミッションと関連付けてObjectivesを定めます。

ポイント1: 定性的なものにする

Objectivesは数字で表せないものであるべきです。定性的な目標は人をわくわくさせます。Objectivesを細分化させて定量的な目標にしたものをKey Resultで設定するので、ここでは定性的なものが良いでしょう。たとえば「売上10億円達成」などの具体的な数値を含んだ目標は、たしかに志の高い目標ではありますが、営業チームならまだしも組織のObjectiveに設定するのはあまり望ましくはありません。Objectiveの目的の一つは、羅針盤となってメンバーの方向性を示し、常に鼓舞し続けることです。定性的かつ従業員の心をわくわくさせるような言葉を選んで設定するようにしましょう。

ポイント2:人を鼓舞する内容にする

上記の目標を定性的に設定するということの目的にもなりますが、Objectiveの内容は「人を鼓舞する」ような内容が望ましいです。目標は、チームの結束力を高め、パフォーマンスを最大化させる役割があります。経営陣も社員もワクワクするような、大きな目標を設定しましょう。多くの人は数字よりも、仕事の意義や成長を実感した時にわくわくします。数値などで示した定量的な目標のほうが確かに進捗はわかりやすいですが、Objectiveに関しては、そうした現実的な部分を見せるのではなく、あくまで大きな目標を設定することで、チームや個人の心に響くような鼓舞するobjectiveを設定しましょう。

ポイント3:時間的制約を考慮する

OKRは短期的な目標を設定することを推奨しています。通常は1ヶ月から3ヶ月で達成できるものを設定します。実現に1年以上かかるものはMBOのようなマネジメント手法が向いているでしょう。ただ、数週間などあまりに短い単位では、野心的な目標を立て辛くなってしまいます。逆に長期的すぎると情勢などの変化による軌道修正が行い辛くなってしまうので、適切なスパンで目標を設定し、振り返りを行うようにしましょう。

ポイント4::各部署が独立して実行できるものにする

Objectivesは会社、チーム、個人で独立して達成できるものにしましょう。「開発チームのせいで自分のObjectivesが達成できませんでした」とならないような目標が望ましいです。設定したチームや個人が他部署、他社と関わりなく独立して遂行できる目標であるべきです。

ポイント5:達成率60~70%程度のものにする

Objectivesを設定する際には、達成率が60~70%ぐらいの目標を設定するようにしましょう。あまりに難易度が低すぎる目標では、OKRを設定をする意味がありません。チャレンジングな目標を設定することによって、従業員たちのモチベーションやチームワーク力を上げることができるのです。ただ、明らかに達成不可能な目標では、逆に従業員たちのモチベーションを下げてしまうことになります。よって、達成率60~70%位の目標が望ましいとされています。

ポイント6:全社的に共有できるものにする

OKRは組織全体で目標を共有して達成を目指すフレームワークです。そのため、部署の枠組みを超えて全社的に共有できる目標を設定しましょう。

特定の部署にしか適用できない目標を設定してしまうと、「うちの部署には関係ない目標」と思われてしまいます。「市場シェアを拡大する」「前期より売上を伸ばす」など、全ての部署が何らかの形で貢献できる目標を掲げましょう。

Objectiveの設定例

ここまでで紹介した6つのポイントを考慮して、どのようなObjectivesを設定できるか考えてみましょう。良い例と悪い例を挙げると以下の通りです。

良い例悪い例
・東北地方に1号店を出店する
・自社開発のSFAの収益性を高める
・新規商品を開発する
・売上を前年比200%に拡大する
・自社開発のSFAの販売数を1.5倍に増やす
・3ヶ月以内に10店舗の新規出店を達成する

全体の方向性を定める定性的な目標がObjectivesに適しています。具体的な数値目標は後述するKey Resultとして設定するものなので、混同しないように注意しましょう。

KR(Key Results、主要な結果)を設定するときに考慮したい要素

Key Resultsを設定するときにも意識しておくべき要素があります。成果指標を設定するときにはSMARTの法則を用いることが多いので意識しておくとよいでしょう。SMARTの法則は以下の5要素から成り立っています。

  • Specific:「具体的である」
  • Measurable:「計測可能、数値化されている」
  • Achievable:「達成可能な」
  • Related:「関連性がある」
  • Time-bound:「期限がある」

ここではそれぞれの要素を詳しく解説します。効果的なKey Resultsを設定するためにも一通りチェックしておきましょう。

Specific(具体性)

Key Result(成果指標)は具体性を持ったものでなければ、Object(目標)を達成したときのイメージが湧きません。成果指標が抽象的であれば、達成するための行動も抽象的になってしまいます。これでは、目標達成から遠のいてしまうでしょう。逆に、誰が見ても明確なものであれば、具体的な行動も自然と起こしやすくなります。また、目標が明確であれば、従業員全体の目的意識の強化や意思統一も容易になります。

Measurable(計測可能)

Key Resultは定量的、つまり数値で進捗を把握できるものにするべきです。Key Resultを定量的かつ計測可能にすることで、成果指標に対する認識のズレがなくなり進捗がわかりやすくなります。数値を見て毎週のチェックインミーティングで達成するためのアクションプランが見える状態にすることが望ましいでしょう。事業自体のビジョンやコンセプトであれば、ある程度抽象的なものでも構いませんが、目標は日々の業務のゴールとなるものです。目標が定量的なものであれば、達成度合いも明確になり、振り返りや改善なども容易になります。

Achievable(達成可能)

一般的な目標達成の手法と違い、OKRにおける目標の達成度は60~70%を成功とみなしています。自分の実力+αの目標を設定し、そこから導き出されるKey Resultsを洗い出すのです。自ずとKey Resultsのハードルは高くなりますが、より野心をもって目標に取り組むことが出来るようになります。

Related(関連性)

Key Resultを設定する上で、忘れてはいけないのが関連性です。成功指標は常にObjective(目標)に繋がっている必要があります。「何をすれば目標を達成できるのか」というイメージを持って成功指標の設定を行いましょう。ここで気をつけなければならないことは「これをやったら目標達成できるかな?」という想像で設定してしまうことです。仮説検証の無いKey Resultは、達成しても目標に近づくことはありません。そうならないために、時間を十分にとって検証のエビデンスを取ってからKey Resultを設定しましょう。特に、多岐の分野にわたって事業を展開している企業の場合、日々取り組むべき課題も様々になるので、やるべきことの優先順位をつけることも重要です。関連性を意識することは「その目標が事業の本質からずれていないか?」などを確認する上でも重要なことなのです。

Time-bound(決められた期限)

人は期限があるからこそパフォーマンスを最大限に発揮することが出来ます。期限がなければ、どうしても先延ばしにしてしまうのが人間です。OKRは1ヶ月~3ヶ月の短期間で運用されるため、成果指標もスピーディにPDCAを回せるものがベストです。

先の例を取ると、「顧客からの信頼を獲得する」ために以下のTime-boundされたKey Resultを作ることが出来ます。

Key Resultsの設定例

Key Resultsの具体的な設定例についてもチェックしましょう。以下に良い例と悪い例を掲載するので、どのようなものを設定するとよいのかイメージしつつ自社の状況にマッチしたKey Resultsを設定してください。

良い例悪い例
・翌月末までに新規契約を10件獲得する
・第2四半期の終わりまでに東京都内の店舗数を10増やす
・来月の売上を今月より50%増やす
・来月の月間売上を今月より増やす
・東京都内の新規出店スピードを加速する

良い例は「期間」と「数値目標」を明確に定めています。一方で悪い例では期間と数値目標の片方、もしくは両方が定まっていません。Key Resultsは中間目標かつ達成状況を測定する指標となるものなので、数値で効果測定できるようにすることが大切です。

OKRで重要なストレッチゴールとは?

OKRの運用を成功させるには、Key Resultsを設定するときにストレッチゴールを意識することが大切です。しかし、ストレッチゴールと聞いてもイメージできない人もいるかもしれません。

そこで、ここではストレッチゴールの定義と設定時に意識したいポイントを紹介します。成長を促すKey Resultsを設定するためにも、ストレッチゴールについて正しく理解しておきましょう。

ストレッチゴールの定義

ストレッチゴールは「頑張れば手が届くかもしれない目標」を指す言葉で、簡単に達成できず、不可能でもない絶妙なレベルの目標を示しています。

ストレッチゴールを設定することで、従業員一人ひとりはどのように努力すれば目標を達成できるか考え、主体的に取り組むようになります。その過程は成長を促し、「より高い目標を達成する」というOKRの主目的を達成するのに効果的です。

OKRを作るときに押さえておきたいチェックポイントを以下にまとめています。

ストレッチゴールを設定するときに意識するポイント

ストレッチゴールとして、簡単すぎず難しすぎない目標を設定するためにも、以下の2つのポイントを意識しましょう。

  • 達成の可能性が50%くらいの成果指標にする
  • 達成不可能な目標は設定しない

それぞれどのようなポイントに注意を向ければよいのか解説します。

達成の可能性が50%くらいの成果指標にする

ストレッチゴールにおける適正な目標とは、「達成できる可能性が50%程度の目標」です。100%達成できる目標では従業員の努力や成長を促せず、OKRの目的を果たせません。

実務においては、あらかじめ設定した目標に対して60〜70%達成できれば「目標達成」と判断します。このプロセスを繰り返すことで、企業全体が継続的に成長してより高い成果を出せるようになるでしょう。

達成不可能な目標は設定しない

ある程度の難易度が必要とはいえ、達成不可能な目標を設定するのは逆効果です。どう頑張っても達成できない目標を掲げても、従業員の成長は促せません。

一例として「翌月の売上を今月と比較して100倍にする」という目標を掲げた場合を考えてみましょう。従業員は確実に達成できないことがわかるため、目標を達成するために努力しようという気にはなりません。

これが「翌月の売上を今月と比較して1.5倍にする」などの目標であれば、どうしたら売上を伸ばせるかを考えるようになります。達成不可能な目的を設定しても全く効果がないと覚えておきましょう。

OKRクラウドツール「Resily」でOKRを作成した例

OKRの目標設定例

次に、具体的な企業の事例からOKRについて考えます。OKRは目標管理におけるフレームワークの主流になっており、多くの企業が導入しています。今回は以下の2社の事例を見ていきましょう。

  • メルカリ
  • Google

それぞれの企業が何を重視してOKRを設定しているかを紹介するので、自社に応用できるポイントがないか探してみてください。

メルカリ

フリマアプリ「メルカリ」を展開する株式会社メルカリは、社員数100名以下のタイミングからOKRを導入して急成長を遂げた企業の1つです。

メルカリが特に重視しているのがミッションとバリューで、OKR設定にも用いられます。メルカリが設定しているミッション(会社としての使命)は以下の通りです。

新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る

信用を創造してなめらかな世界を創る

次のメルカリ級の事業を作る

またバリュー(価値)は以下3つです。

  • Go Bold(大胆な挑戦をする)
  • All for One(1つの課題に全員が全力で取り組む)
  • Be Professional(プロとして責任をもって仕事する)

ミッションは会社のOKRを設定する時に常に意識し、バリューはOKRを実行するプロセスと照らし合わせて評価を行っています。

また、メルカリがOKRの設定において意識しているコンセプトは2つあります。

  1. 達成確率が50%程度のOKRを設定
  2. ワクワクするOKRにする

メルカリでは、個人がOKRを設定する際にマネージャーの存在は大きいです。会社や部署のOKRは高く設定できても個人のOKRまで落とし込んでいくと、つい通常業務にフォーカスしがちになってしまい、現実的なOKRになってしまうという課題があります。これをマネージャーは個人と1on1を定期的に行い適切なアドバイスを与え、解決に導いています。また、メルカリでは「KRを考える上で全て50%ぐらいの確率のものを設定する必要はない」という考えもあります。これは難しい目標だけを立てて従業員のモチベーションが下がることを危惧し、あえて90%達成できる目標、50%、20%と適度なバランスでKey Resultsを設定しています。

こうした、セオリーを意識しつつ会社独自の手法を織り交ぜることもOKRを成功に導く鍵となります。

OKR導入事例|メルカリの成長を支える目標管理手法

Google

Googleは2000年代初めよりOKRを導入している企業の1つです。

具体的には、まず組織全体で3〜5個のO(目標)を設定します。そして目標ごとに3〜5個のKR(主要な結果)を決めるのがGoogleのOKR設定における一連の流れです。

組織におけるOKRの設定は、あらゆる役職の従業員が提案できます。経営者やリーダーだけでなく、全社をあげて会社の目標を考えるのがGoogleのOKRに関する特徴です。

また目標設定においてGoogleは、以下4点をおさえていることが必要としています。

  1. 具体的であること
  2. 客観的であること
  3. 達成に価値のあること
  4. 達成度が60〜70%に落ち着きそうな、ストレッチゴールであること

これらを守った組織のOKRを設定したあと、個人のOKRに落とし込みます。そして設定したOKRは全社に向けて公開されるのです。

GoogleにおいてOKRを検証するタイミングは1.5ヶ月に1回行われ、OKRそのもの定期的に評価して、再び考え直すこともあります。

OKRを設定するプロセスを具体例とともにチェック

ここまでで紹介したポイントを踏まえ、OKRの目標設定例を考えてみましょう。今回は、マーケティングチームを例にしてどのようにOKRを設定できるかを考えます。全社的なOKRから個人としてのOKRを定める流れを意識してチェックしてください。

全社的なOKR

ObjectivesKey Results
売上を伸ばして収益性を高める・翌月の売上を今月の売上+30%にする
・来月中に新規契約を10件獲得する
・来月のリピート率を今月比+10%にする

マーケティングチームのOKR

ObjectivesKey Results
新規顧客の数を増やす・来月の自社サイトへのアクセス数を今月比で2倍にする
・来月末時点でのCVRを1.8%にする

個人のOKR

ObjectivesKey Results
自社サイトをターゲットである若年層に見てもらえるようにリニューアルする・来月中旬までに若年層向けのコラムを10本追加する
・来月上旬までにSNS広告を3本出稿する

チームのOKRは全社的なOKRと関連するようにし、個人のOKRはチームのOKRと関連するように設定します。これによって全ての従業員が一丸となって目標に向き合うことが可能です。

OKRを成功に導く運用のコツ

OKRは適切に設定するだけでは不十分で、正しく運用してこそ成功につながります。OKRを正しく運用するためにも、これから紹介する以下の7つのポイントを意識しましょう。

  • 目標の数はできるだけ少なくする
  • 目標を途中で変更しない
  • 定期的な振り返りやコミュニケーションを忘れない
  • 設定したOKRは全社員がいつでも見られる状態にする
  • 従業員の個人目標は会社のOKRから落とし込んで設定する
  • OKRの評価と人事評価を結び付けない
  • トップダウンとボトムアップのバランスを大切にする

目標の数はできるだけ少なくする

目標を立てようとすると「あれもこれも達成したい…」と思う気持ちはわかりますが、目標の数はできるだけ絞ることをおすすめします。仮に目標が5個以上となると、それだけ業務が分散されてしまい、最大の目標に注力できない恐れがあります。

OKRの目標は達成できるかどうかわからないレベルのものです。難易度の高い目標がいくつもあったところで、社内リソースが分散してしまってどの目標も達成度が低いままになってしまいます。

目標を途中で変更しない

一度設定したObjectivesは期間の途中で変更しないのが鉄則です。Objectivesはゴールを示すものなので、変更してしまうと一人ひとりの努力が無駄になってしまいます。

一例として、「新規顧客を獲得する」としていたObjectivesが「解約率を下げてリピートを促す」に変わると、マイルストーンにしていたKey Resulsの意味もなくなります。

従業員のモチベーションが低下する原因にもなるため、変更する必要がある場合は期間が終了して次のOKRを定めるときに変更しましょう。

定期的な振り返りやコミュニケーションを忘れない

OKRでは定期的な振り返りが欠かせません。社内のコミュニケーションを活発にすることで、協力や意見交換をしやすい環境になります。先述した「目標のサイクルは短期的に」というのはまさにここにつながります。OKRの特徴を最大限活かすためにも、定期的な振り返りはかかせません。

社員一人ひとりが会社の目標に向かって前進している意識をもつためにも、定例のミーティングを行います。

Resilyではチャットツールと連携させ
定期的な振り返りをリマインドすることができます

設定したOKRは全社員がいつでも見られる状態にする

OKRを立てたあとは、全社員が常に確認できる状態にしておくことが重要です。なぜならOKRは全社で達成すべきものであり、そのためには経営層だけがOKRを把握していても意味がないからです。

OKRのメリットの一つは、組織、チーム、個人の方向性が一致した目標を立てることができることです。その効果を実感するためにも、組織のOKR、チームのOKR、そして個人のOKRまで公開して、全社で目標に向かう姿勢をつくることが欠かせません。

従業員の個人目標は会社のOKRから落とし込んで設定する

個人の目標は必ず企業の目標から細分化して決めましょう。

OKRで最終的に達成すべきなのは、企業の目標です。ゆえに、企業の目標から個人目標に落とし込んで、全社で軸をぶらさず目標に向かう必要があります。

OKRの評価と人事評価を結び付けない

OKRのポイントは、高い目標を掲げそれに向かってチーム一丸となって向かっていくことです。もしOKRの評価と人事の評価を結び付けてしまうと、どうしても目標が保守的になりがちになってしまいます。OKRの効果を最大限発揮するためにも、OKRの評価と人事評価はあくまで切り離して考えるようにしましょう。

トップダウンとボトムアップのバランスを大切にする

OKRを運用する際は、どうしてもトップダウンが優勢になりがちですが、あまりにその色が強すぎると組織に共有されるべき情報が共有されない恐れがあります。ボトムアップがしやすい環境も整え、組織が一丸となるよう両者のバランスを取りながら運用を進めましょう。

OKRの導入時は目標管理ツールもセットで導入しよう!

OKRを効果的に運用するには、Objectivesの達成状況や業務の進捗状況を適切に管理する必要があります。そこで役立つのが目標管理ツールです。

目標管理にかかる手間を削減し、コア業務に集中するためにも目標管理ツールの導入を検討してみてください。ここでは目標管理ツールの役割やメリットを紹介します。

目標管理ツールの役割

目標管理ツールは、あらかじめ定めた目標の達成状況をリアルタイムで可視化・管理するためのICTツールです。全社的な達成状況だけではなく、チームごとや従業員ごとの達成状況や取組内容を可視化する効果もあります。

マネジメントを効率化するのに役立つツールですが、目標管理ツールを導入したからといって勝手に目標が達成できるようになるわけではありません。業務効率化に役立ち、OKRの運用をサポートしてくれるものと覚えておきましょう。

目標管理ツールを使用するメリット

目標管理ツールを使用する主なメリットは以下の2つです。

  • 運用負荷を軽減できる
  • 目標のつながりが明確になる

「目標の進捗状況を管理するのが大変」「個人単位の進捗状況がわからなくなっている」というトラブルを解決するのに役立ちます。

運用負荷を軽減できる

OKRは運用負荷が高い目標管理フレームワークです。業務がObjectivesの達成につながっているか、設定したKey Resultsの達成状況がどの程度なのか把握するのに手間がかかります。

目標管理ツールを導入すればシステム上で達成状況を可視化でき、従業員一人ひとりが容易に確認できるようになります。互いに進捗状況を確認することでモチベーションをアップに繋げられます。

目標のつながりが明確になる

OKRは全社・チーム・個人のOKRが相互に関連しており、個人目標の達成が全社的な目標の達成に繋がるのが特徴です。一人ひとりがこのことを意識するには、上位の目標から下位の目標までを可視化しなければなりません。

目標管理ツールを使用して集中管理することで、自分がコミットする目標の上位・下位にはどのような目標が存在するのかが明確になります。自分が取り組む業務やコミットしている目標の意義が分かるようになり、モチベーションアップに繋がるでしょう。

OKRを使った目標管理でプロジェクトを成功に!「Resily」

Resily」は国内ツールで唯一OKRに特化したものです。ドラッグ&ドロップでOKRツリーの作成ができ、進捗状況の更新リマインドやチャットツールへの通知などOKRを効率的に運用するための機能が充実。

スプレッドシートやExcelなどでOKRを管理しているけど不便さを感じている、もっと効率的に運用したい、というお悩みをズバリ解決してくれるツールになっています。

他のツールとの違いはOKR特化でOKR関連の機能が充実している点です。タレントマネジメントや人事評価の機能がメインのツールはOKR管理はオプション機能のため、OKRでマネジメントを革新したい!という方には物足りないと感じてしまうかもしれません。

チームや組織のマネジメントの中心にOKRを置きたい、浸透させたいという方にはResilyがおすすめです。

ResilyはSansan株式会社やみんなの銀行など全社的にOKR導入に取り組んでいる企業を中心に170社以上の導入実績があります。

Resilyを使って作成したOKRツリー

Resilyは20日間無料でツールのすべての機能を試すことができます。クレジットカード登録や商談なしで試すことができるのでまずは使ってみましょう。サンプルOKRが最初から入っているため、これからOKRを始めたいという方でも利用イメージがつかめるようになっています。

また無料アカウント開設された方には無料で30分間の面談も行っています。今行っているOKRの診断やResilyの活用方法などお気軽にご相談いただけます。

適切な目標設定で、社内の力を引き出すOKRをつくる!

OKRは主目的となるObjectivesと、マイルストーンになるKey Resultsで構成される目標管理フレームワークです。ObjectivesとKey Resultsの双方を適切に設定することで、従業員一人ひとりのパワーを最大限引き出せます。

目標設定のコツを押さえ、自社の成長につながる目標を設定しましょう。

OKRの目標設定についてのFAQ

OKRで設定すべき目標と指標にはどんなものを設定すればいいですか?
O(Objectives)は企業のミッションに直結する高い目標を設定し、達成率が60%~70%程度になる高い目標を設定するとよいでしょう。一方で、KR(Key Results)は目標達成の進捗度を測定するための定量的な指標を設定しましょう。

OKRの目標を設定するときのポイントはありますか?
「定性的なものにする」「人を鼓舞する内容にする」「時間的制約を考慮する」などが挙げられます。詳しくは記事内で解説していますのでぜひご覧ください。

OKRを1つのツールに
まとめて運用しましょう

製品資料のダウンロードはこちら

お問い合わせ・導入のご相談はこちら

お電話でのお問い合わせはこちら

10:00-12:00、13:00-18:00 土日祝日を除く平日