働き方改革関連法案とは?ポイントと企業がすべき対応を紹介します。

更新日: 2021年8月1日

「働き方改革関連法案ってなんだろう。企業はどんな対応をしたらいいのかな」と思っている方。

働き方改革関連法案は、「働き方改革を推進するために、いくつかの法律を整備するための法律の案」です。労働の条件などが変わるため、企業が対応しなくてはならない場合があります。

とはいえ、働き方改革関連法案そのものを読んだとしても、具体的にどんな対応をとればいいのか、わかりにくいはずです。

そこで、この記事では、

  • 働き方改革関連法案の概要
  • 働き方改革関連法案のポイント

を、お伝えします。

具体的な規則をまとめて把握するのは難しいですが、概要をつかむだけなら簡単です。まずはこの記事で、働き方改革関連法案をおおまかに理解しましょう。

働き方改革関連法案とは、「働き方改革を推進するために、いくつかの法律を整備するための法律の案」

働き方改革関連法案は、「働き方改革を推進するために、いくつかの法律を整備するための法律の案」です。正式な名前は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」です。

働き方改革関連法案は2018年に可決され、働き方改革関連法になりました。

次では、働き方改革関連法のポイントをご紹介します。

働き方改革関連法の9つのポイント

働き方改革関連法のポイントは、以下の9つです。

  1. 時間外労働の上限規制の導入
  2. 年5日の年次有給休暇の確実な取得
  3. 高度プロフェッショナル制度の創設
  4. フレックスタイム制の拡充
  5. 勤務間インターバル制度の導入
  6. 労働時間の客観的な把握の義務づけ
  7. 産業医・産業保健機能の強化
  8. 月60時間超の残業の割増賃金率を50%以上に
  9. 正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止

以下、それぞれ解説します。

1. 時間外労働の上限規制の導入

第1のポイントは、時間外労働の上限規制の導入です。これまで法律上は、時間外労働には上限がありませんでした。

しかし改正後は、時間外労働について原則として、

  • 月45時間
  • 年360時間

と上限が設けられます。

また大規模なクレームへの対応など、「臨時的な特別な事情」がある場合でも、

  • 年720時間
  • 単月100時間未満(休日労働含む)
  • 複数月平均80時間(休日労働含む)

の上限が設けられます。

企業がすべき対応:労働者の労働時間を把握する

時間外労働の上限規制について、企業がすべき対応としては、

  • 労働者の労働時間を把握する
  • 現状の36協定が改正後の内容に違反していないか、確認する

などが挙げられます。

2. 年5日の年次有給休暇の確実な取得

2つ目のポイントは「年5日の年次有給休暇の確実な取得」です。これまでは有給休暇について、労働者が自分から申し出る必要がありました。

しかし改正後は使用者側から年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者の希望を聴き、希望に沿った有給休暇を5日、与えなくてはいけません。

企業がすべき対応:労働者の希望を聴き、その通りの有給休暇を与える

企業がすべき対応は、対象となる労働者の希望の調査です。対象となる労働者をリストにまとめ、聞き漏らしがないようにするのがおすすめです。

3. 高度プロフェッショナル制度の創設

第3のポイントが、「高度プロフェッショナル制度の創設」です。
高度プロフェッショナル制度を導入した企業は、以下の2つの基準を満たした労働者を、労働時間の規制から外すことができます。

  1. 年収が平均給与額の3倍(1,075万円を想定)以上である
  2. 研究開発業務など、高度の専門知識を持っている

企業がすべき対応:導入の検討

企業がすべき対応は、高度プロフェッショナル制度の導入の検討です。

また高度プロフェッショナル制度を導入する場合は、厚生労働省の「『高度プロフェッショナル制度』の導入フロー」の手順を踏んで導入しなくてはなりません。

高度プロフェッショナル制度について詳しくは「高度プロフェッショナル制度とは?メリット、デメリットをわかりやすく解説」をご一読ください。

4. フレックスタイム制の拡充

第4のポイントは、フレックスタイム制の拡充です。具体的には、清算期間が最長1か月から最長3が月に延長できるようになります。

企業側としては、割増賃金の抑制が期待できるのがフレックタイム制のメリットです。

企業がすべき対応:導入の検討

企業がすべき対応は、導入の検討です。1か月を超える清算期間を設定する場合は、月を跨いだ労働時間管理にどのくらい負担がかかるかを導入前に想定しておくのがおすすめです。

5. 勤務間インターバル制度の導入

第5のポイントは、「勤務間インターバル制度の導入」です。勤務終了から翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息を確保することが推進されています。

しかし勤務間インターバル制度の導入は努力目標であり、具体的な規定はありません。

企業がすべき対応:インターバルの長さの検討

企業がすべき対応は、導入事例や労働状況を元に、どのぐらいのインターバルを持つべきか、検討することです。

6. 労働時間の客観的な把握の義務づけ

これまでは管理監督者など、除外される対象がありました。しかし改正後は、高度プロフェッショナル制度の対象を除く、全て従業員の労働時間の状況を把握しなければなりません。

企業がすべき対応:記録方法の検討、整備

「労働時間の客観的な把握の義務づけ」に関して、企業がすべき対応は以下の2点です。

  1. タイムカードやパソコンによって労働時間を記録する
  2. 記録を3年間保存する

労働時間の記録について上記の手段が使えない場合は、「『産業医・産業保健機能』と『長時間労働者に対する面接指導等』が強化されます」にある対策を講じた上で、自己申告による記録が認められます。

7. 産業医・産業保健機能の強化

第7のポイントは、「産業医・産業保健機能の強化」です。例えば事業者が産業医に与えるべき権限が、以下の3つ全てに具体化されます。

  • 産業医が事業者または総括安全衛生管理者に対して意見をのべる
  • 産業医が、労働者の健康管理等を実施するために、必要な情報を労働者から収集する
  • 産業医が、労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合において、労働者に対して必要な措置をとるべきことを指示する

企業がすべき対応:産業医に権限を与える

「産業医・産業保健機能の強化」に関して事業者がすべき対応としては、産業医に上記の権限を与えることなどが挙げられます。

8. 月60時間超の残業の割増賃金率を50%以上に

第8のポイントは、月60時間超の残業の割増賃金率が50%以上に引き上げられることです。割増賃金率の改善は、大企業においてはすでに実施されています。しかし中小企業の施行時期は、2023年4月です。

企業がすべき対応:残業の削減

割増賃金率の改善に関して、賃金を上げたくない場合は業務の効率化などによって残業を減らす必要があります。

9. 正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止

第9のポイントは、「正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止」です。「不合理な待遇差」とは、例えば「同じ業務をしているにもかかわらず、与えられる給与が異なる」といったものですね。

何が不合理な待遇にあたるかについては、「同一労働同一賃金ガイドライン」に例が提示されています。

企業がすべき対応

企業がすべき対応としては、以下の2つが挙げられます。

  1. 正社員と非正社員それぞれの職務内容と待遇を把握する
  2. 不合理な待遇差がある場合には、就業や賃金に関する決まりを直す

働き方改革の施行に備えて準備を!

この記事では、まず働き方改革関連法案は、「働き方改革を推進させるために関係する法律を整備する法律の案」だと紹介しました。

働き方改革関連法案が可決された働き方改革関連法のポイントは以下の9点です。

  • 時間外労働の上限規制の導入
  • 年5日の年次有給休暇の確実な取得
  • 高度プロフェッショナル制度の創設
  • フレックスタイム制の拡充
  • 勤務間インターバル制度の導入
  • 労働時間の客観的な把握の義務づけ
  • 産業医・産業保健機能の強化
  • 月60時間超の残業の割増賃金率を50%以上に
  • 正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の禁止

まずはそれぞれのポイントを見て、どんな対応をすべきかリストアップしましょう。

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