2023.9.27
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「OJTってよく聞くけど、どんな意味があるのだろう。指導法の1つみたいだけど、どんな風に行われるのかな」と思っている方。
OJTとは、実際の現場で部下を教育する指導法です。OJTをうまく教育に組み込むことで、新入社員に効率的にスキルを身に付けてもらうとともに、社内コミュニケーションを活性化させることもできます。
ただ一方でOJTには教える側の能力によって質が低下するデメリットもあり、注意が必要です。そこでこの記事では
をご紹介します。
まずはこの記事で、OJTを大まかに理解しましょう。
OJT(On the Job Training)とは、実際の職場において、上司が業務を通して部下の指導を行うことを指します。指導法の一種ではありますが、「OJT = 部下への指導」と同一視されていることも少なくありません。
デスクワーク主体の企業の他、介護や看護の現場で行われることもあります。
OJTと対照的な人材育成の方法として、Off-JT(Off the Job Training)が挙げられます。「Off the Job」とある通り、Off-JTが行われるのは実際の現場ではありません。
Off-JTは、座学などを通して部下に体系的な知識を身につけさせる指導法です。
次では、OJTのメリットをご紹介します。
OJTを行うメリットとして、以下の3つが挙げられます。
以下、それぞれを解説します。
1つ目のメリットは、即戦力を生み出しやすいことです。
なぜならOJTが行われるのは、実際の現場だから。部下が実際の職場で仕事をするため、業務への対応力を効率よく身に付けることが可能です。
加えて社員の力がつくため、会社全体としても戦力を増すことができます。
2つ目のメリットは、研修のためのコストがかかりにくい点です。OJTは通常の研修のように、教育のために施設を借りたり、講師を呼んだりする必要がありません。したがって施設や講師に支払う費用を節約することが可能です。
一方で指導者やOJTを実施する現場には、教える分だけの負担がかかることもあります。OJTにおいて現場の負担をどのように軽減させるかは、OJTをスタートする際に考えるべきポイントの1つです。
例えば株式会社ニコンでは、人事部や人材開発部が現場の相談役となることで、負担を軽減しています。
参照:【事例 No.106】ニコン | 新入社員教育 | 企業事例集 | 産労総合研究所
3つ目のメリットは、社内コミュニケーションが活性化することです。なぜならOJTにおいては、社内の人間同士が「教える・教えられる」の関係にあるから。
外部の講師を招くような座学の研修では、上下の交流は生まれにくいです。OJTでは「通常の研修では社内コミュニケーションが起こりにくい」という課題を解決できます。
ここではOJTのデメリットを3つ紹介します。
1つ目のデメリットは、教える側の能力によってOJTの質に差が出てしまう点です。
教える側となる上司には、人に教えるスキルが高いとは限りません。なぜなら仕事をこなすスキルと人に教えるスキルは、同じものではないからです。
例えば仕事は素早くできる人でも、自分が自然にしている仕事のノウハウを言語化して、部下の目線に立って教えることができるとは限りません。
仕事のコツを言語化できていないまま部下を指導しても、あまり能力が伸びないことも。それどころか「怒鳴る」などによって、部下が自信を無くしてしまう可能性も少なくありません。
こういった事態を防ぐためには、OJTを実施する前に統一されたマニュアルを用意しておくのが有効です。
2つ目のデメリットは、体系的に学びにくいことです。というのもOJTはそのときの業務に直接必要な知識だけを得る、といったものになりがちです。
OJTで教えることができるのは、現場での業務です。逆に言えば、そのときの現場に関係しないものが教えられることはありません。
したがって、OJTで体系的な知識を身に付けるのは難しいです。
対策としては、OJTとは別に体系的に学ぶ場を作ることがあります。例えばOff-JTによる座学でビジネスマナーなどを教えるのが有効です。
最後のデメリットは、業務が忙しいと新人が放置される可能性がある点です。というのも忙しい現場では、「新人に教える」という短期的にはメリットの見えにくい行為は軽視されがちだから。
ひどい時には、最低限の知識だけ教えて「あとは自分で何とかしてください」と教育を放棄してしまう場合もあります。
対策は指導者の負担が急激に増えないように、人事や教育担当が協力して現場を支える体制をつくることです。
次ではOJTの実際のやり方を、4つのステップに分けて紹介します。
OJTのやり方は、以下の4つのステップに分けられます。
以下、それぞれのステップを説明します。
最初のステップ「Show」は、上司がその業務を行なっている様子を、実際に見せるステップです。
業務の中では言葉だけの説明ではわかりにくいものもありますよね。説明が難しい業務を実際に見せることで、部下の理解を深めるのが「Show」のステップです。
「Show」によって完成形を部下に見せることができ、認識のズレが起こるのを防ぎます。
次のステップ「Tell」は上司が部下に対して、具体的に仕事の内容などを説明するステップです。実際の動作の他に、作業の目的などを論理的に説明することもあります。
またこの時点で部下に疑問がないか、一度確認をとります。
3番目のステップ「Do」は、教えた業務を部下に実際にやらってもらうことです。例えば消防士の消火活動など、体験が難しい場合や演習やシュミレーションで代用されることもあります。
最後のステップ「Check」では、部下が「Do」でできていたこととできていなかったことをチェックします。
「Check」では、はじめにできていたことは具体的にほめるのがおすすめです。一般的な言葉を並べたところで、部下の心には響きません。具体的によかったポイントや「それがなぜよかったか」を説明することで、できたことの価値の大きさを理解してもらえるようにするのがおすすめです。
褒めたあとに、できていなかった部分を指摘しましょう。
このとき重要なのは、論理的に短くしかること。感情的に長いあいだ怒るのは、部下が自信を無くすばかりです。ゆえに成長にはつながりません。
おすすめはピンポイントで直して欲しい点を指摘することです。
今回の記事では、まずOJTとは「実際の業務を通して、上司が部下を教育すること」であると説明しました。
OJTには、以下の3つのメリットがあります。
次にOJTのデメリットとして、以下の3つをあげました。
最後にOJTには、
の4つのステップがある、とご紹介しました。
OJTにはメリットもありますが、うまく現場の業務に取り込めないと、思ったような効果を得られない場合も。
まずは現場にOJTをする余裕があるか、現場で働いている人と確認してみましょう。