OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを導入事例を交えて紹介。KPIやMBOとの違いも解説

Googleやメルカリの導入したOKRという目標管理手法に興味はあるけど、KPIやMBOとの違いがイマイチ掴みづらいかと思います。

OKRツールを運営するResilyが実際の導入事例も踏まえ、わかりやすくOKRとは何かを解説いたします。

OKRとは目標の設定・管理方法のひとつで、Objectives and Key Results(目標と主要な結果)の略称です。OKRの主な特徴は従来の計画方法に比べて高い頻度で設定、追跡、再評価すること。チームの成長やチャレンジを促す仕組みを整え、すべての従業員が同じ方向を向き、明確な優先順位を持ちながら一定のペースで計画を進行できるようするためのマネジメント手法です。

OKRとは

OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、日本語では「目標と成果指標」という意味であり、会社が定める目標とその会社で働く従業員の個人目標を紐づける目標管理手法の一つです。

近年では、世界的な有名企業に導入されて注目を集め、日本でもメルカリをはじめとした企業が導入を開始したことによって認知度も高まってきました。

上述したように、OKRの一番のポイントは会社と従業員の目標を連動させて、組織全体としての方向性を一致させることにあります。

みなさんの中でも、「今自分がやっている仕事ってどれぐらい会社に貢献してるんだろう」とふと思ったこともあるかと思います。そんな疑問を解消してくれるかもしれないのがこのOKRです。

導入することによって自社に多くのメリットをもたらす可能性を秘めているOKRですが、最近耳にすることが多くなって何となく名前は聞いたことはあるけれど、具体的な内容に関してはあまりわかっていないという方も多いのではないのでしょうか。本記事では、そんなOKRの歴史から導入メリットや運用方法、そして実際にOKRを導入している企業の例まで詳しく解説をしていきます。かなり長い内容にはなってしまいますが、この記事を読み終わった時には、きっとOKRについての知識もかなり深まっているのではないかと思います。まだ名前しか聞いたことがないという方でもぜひご一読ください。

OKRのObjective

OKRのOの略であるObjectiveは定性的な目標のことです。OKRを行う際には、初めに野心的で挑戦的な定性目標を設定することが大切です。

会社のビジョンや戦略を決定していくうえで重要なポイントであると同時に、KRを設定する上でも深く関わってくるため慎重に決定しましょう。

Objectiveを設定するための手順とポイントをご紹介します。

1. 会社のビションを確認し、それに沿った目標を立てる
2. 定性的な目標にする
3. 人を鼓舞する内容である
4. 時間的制約がある
5. 各部署が独立して実行できるものである

OKRのKey Result

OKRのKRはKey Results。Objectiveの達成を目指す成果を意味しています。KRは定めたOを達成したときの状態を具体的な指標や数値で示したものです。KR設定時は、「SMARTの原則」を意識する必要があります。

SMARTの原則は、目標設定の軸となるフレームワークであり、SMARTを用いることで明確で誰にでも理解してもらえる目標を設定することが可能です。

Specific=具体的で分かりやすい
Measurable=計測可能
Agreed upon=達成が可能
Realistic=現実的
Timely=期限が明確

SMARTの原則を用いてKRを設定することで、明確な目標を意識しながら仕事に励むことが可能で、客観的に判断しやすい目標を立てることができます。

OKRの歴史

OKRの歴史は、そのまま目標管理手法の歴史といっても過言ではありません。もともとはかの有名なピーター・ドラッガーが提唱した「MBO」という目標管理手法が始まりとなります。MBOに関しては、後の章でOKRとの違いを交えて詳しく解説をしますので、とりあえずここでは一旦置いておきましょう。

もちろん他の管理手法はまだまだ用いられていますが、その最新版としてOKRがあるのです。企業にとって目標を設定しそれに向けて施策を回すことは、それがそのまま会社の成長につながるということはもはや常識です。

1980年代に入り、時代に合わせてMBOレベルアップのための議論が活発になりました。そして、インターネットなどの技術が急激に発達し、企業の主体が組織から個人へとビジネスのかたちは大きく変わりました。読者の方の中にも、近年のコロナの影響もあり会社の同僚と顔を合わせずリモートワークで仕事を行っているという方も少なくないと思います。

このようなビジネス環境の変化の中でも、会社・チーム・個人の目標を結びつけて同じ方向を見て前に進んでいくための手法がOKRなのです。

Intel・Googleの成長を支えたOKR

OKRは元々1970年代に米Intel社が採用し、その後Googleを筆頭とする世界的大企業が導入したことで有名になりました。特にGoogleに関しては、創業期の際に取り入れられ会社を支えたと言われています。その後、さらに多くのシリコンバレー企業に導入をされて発展をしていきましたが、なぜここまでシリコンバレーで受け入れられたのでしょうか。

その最大の理由は、自律性や目的といった、モチベーションに関わる要素をコントロールできることだと考えられます。OKRが持つこのポイントは、Googleでも非常に注目されました。OKRは目標と結果に分かれていますが、目標を定める際には以下の条件を満足しておく必要があります。

Googleを代表するシリコンバレー企業は、非常に野心的で革新的なものを生み出そうとする傾向にあります。みなさんもGoogleやFacebookなど、シリコンバレーと聞くと革新的なIT企業を想像するのではないかと思います。そういった企業にとって、上の条件は必要不可欠なことです。Googleの創業者も、ビジネスの幅を広げるためには野心的であることが必要と言っています。

OKRを導入することで、会社と同じように野心的な従業員も会社と同じ目標をもって仕事をすることができます。これによって、会社の成長スピードや事業の幅を大きく成長させることができます。

このOKRの特性が、IntelやGoogleといった企業を今をときめく大企業に成長させたといっても決して過言ではありません。

OKRが世界的スタンダードな理由

OKRが世界的にスタンダードになりつつある理由は様々ですが、その背景にある最も大きな理由として考えられるのが、現在の世界の状況そのものでしょう。

今はちょっと先の未来も見通せないぐらいビジネスの情勢の変化は激しく、先行きの不透明な時代だといわれています。今のコロナウイルスの拡大も誰も予想していなかった出来事でしょう。様々な種類の仕事が増えてきた現代だからこそ、このような社会の情勢が企業に与えるダメージは昔よりも大きくなっているのではないでしょうか。

今求められているのは、時代に合わせて変化できる「柔軟性」であり「スピード」です。このような資質が求められる現代においてOKRが求められているのは、正に必然と言っていいのかもしれません。

さらに、グローバル社会といわれて久しいですが、グローバル企業と呼ばれている企業には、文化や価値観も様々な従業員が属しています。このようなビジネス環境においても、全従業員に平等で公正な評価を下さなけれならず、従来の業績評価や人事評価制度の改革が求められています。評価が文化や国籍で異なってしまっては大問題です。

OKRでは、定量的なKey Resultsによって客観的に従業員に評価を下すことができるので、特にグローバル企業にはとても有効だといえます。

日本企業でOKRが一般的ではない背景

一方で、日本企業においてはまだOKRはそこまで一般的ではありません。これはなぜでしょうか。その理由としては、主に以下の3つが挙げられるでしょう。

情報量不足

まず一つ目の理由として考えられるのが、純粋にOKRの情報が少なく認知度が低いという点が挙げられます。OKRが日本に知られるようになってから日もまだ浅く、それもあってか日本語で得られるOKRに関する情報はそこまで多くないのが現状です。そのため、OKRについて話を聞き、いざ導入してみようとなったとしても、日本語の資料を見つけることができず結局スタートできないというケースも少なくないでしょう。

実際に、OKRを早い段階から導入した企業であるメルカリも、導入当初は日本語での資料をほとんど集めることができなかったため、英語の文献をリサーチして情報を集めていたようです。

せっかく導入しようという想いがあっても、情報量の少なさで断念してしまうのは非常に勿体無いので、日頃からOKRの情報を集めるためのリサーチをしておくことが重要です。今となってはOKRに関する日本語の本や人事サイトもかなり増えてきているので、まずはそのあたりから情報収集するのがおすすめです。

日本企業の評価制度

二つ目の理由は、日本企業の評価制度です。日本で目標というとどうしても評価をするための目標が存在するという考え方が一般的です。

目標が達成できたかできなかったによって評価を下されてしまうので、とにかくみんな自分の目標達成に躍起になります。

これは決して悪いことではありませんが、目標を達成する目的が人事評価のためになってしまっているというのは、OKRの観点から見ると少し問題かもしれません。

なぜなら、OKRの考え方は、あくまで目標は組織を管理するためのものであるべきだからです。言ってしまえば、チームや従業員をまとめるために目標はあるべきなのです。

従来の人事評価に固執する日本の企業文化ではOKRはなかなか方向性が合わないというのがわかっていただけるかと思います。

また、OKRの場合は短期的なサイクルでPDCAを回します。しかし、人事評価のために目標を設定すると、たくさんの目標が設定されてしまうことになり、目標達成までの道のりも長期化してしまい、あれもこれもやって結局何も達成できなかったということがよく起こります。さらに、結局従業員それぞれの目標が会社のためになっているのかもよくわからないという始末です。

基本的に、OKRではシンプルで大きな目標を一つ掲げるので、従業員全体の業務の方向性を統一することができ、全員の意識がそこに集中することによって、短期間でも大きな成果を残すことができるのです。

日本企業特有の文化

三つ目の理由は、日本企業特有の社内文化にあります。特に「年功序列主義」という考えは、OKRにおいては一つ足枷になってしまう可能性があります。

これは、実力主義の傾向にある海外の逆で、部下が上司には意見を言いにくい環境を作りやすくなってしまっています。

このような環境では、何かおかしいと思ったり不満があったとしても部下は本音を言うことができず、結果としてモチベーションが下がってしまったり、会社へのエンゲージメントが低下してしまう要因となるのです。

今は、ベンチャー企業などを中心に、あまり年齢は気にしないという企業も増えてきましたが、それでもまだまだこの年功序列文化が濃いというのは日本企業の特徴の一つでしょう。

OKRでは、社内間のコミュニケーションが非常に重要です。年齢や役職にかかわらず積極的に意見を吸い上げるためのコミュニケーションを推奨しているので、そもそもコミュニケーションがあまりない企業ではOKRはうまくいかない可能性が高いです。

OKR導入を考えている場合、まずは自分の企業に本当にOKRが合っているのか事前に熟考することが大切です。周りの従業員の話を聞いたり、アンケートを取るなどして事前準備をするようにしましょう。

OKRの基本

それでは、ここから本格的にOKRの内容や導入・運用方法について詳しく解説していきたいと思います。

まずはOKRの基礎となる「Objectives」と「Key Results」という二つの要素について見ていきましょう。

Objectivesとは?

「Objectives(目標)(以下:O)」には、達成が難しい大きな目標を設定します。設定される目標は基本的には四半期に一つです。さらに高い目標を掲げることによって、従業員のチャレンジ精神を煽ることができ、結果として組織全体の業務効率や生産性の向上が期待できるのです。

また、従業員は企業全体の目標をしっかりと理解した上で、それに合わせて個人の目標も設定します。これにより、目指すべき目標が明確になるだけでなく、会社の目標と個人の目標が結びつくのがOKRの大きな特徴なのです。

Objective設定5つのポイント

それでは、具体的なOの設定方法について見ていきましょう。後でより詳しく解説をしますが、Oには基本的には大きく分けて3つの種類があります。

「企業Objective」「部署Objective」「個人Objective」の3つです。

それぞれの内容はもちろん異なってはきますが、設定の際に気をつけなければならないポイントは全て共通しています。ここでは、Oを設定する際に気をつけなければいけないポイントを5つご紹介します。

適切な難易度の設定

OKRを用いた目標設定では達成が容易ではない大きな目標を設定することが重要です。

一般的によくあるような、従業員が期待通りのパフォーマンスを発揮することができれば達成できるようなレベルの目標ではなく、高いパフォーマンスを発揮しても達成できるかどうかわからないようなレベル、具体的には達成の可能性が60~70%のものが良いとされています。

このような目標は通称「ムーンショット」とも呼ばれますが、ムーンショットについては後ほど詳しく解説をします。

高い目標を設定しない限りはその目標に到達することはできません。失敗するかもしれませんが、もしかしたら劇的な成果を上げることができるかもしれません。

一方で、低い目標設定の場合、たしかに目標は達成できるかもしれませんが、低い目標を目指している限り、結果としてそれ以上の大きな結果が出るということはほとんどないのです。困難な目標に向かうからこそ、みんなを驚かせるような結果を出す可能性が生まれるのです。

目標は定性的に

Oは数字では表せないものであるべきです。数字では表せない目標のことを「定性目標」と呼びます。なぜなら定性的な目標は人をワクワクさせるからです。Oを細分化させて定量的な目標に落とし込んだものがKey Resultsとなるので、Oの段階では定性的なものが良いとされています。

たとえば「売上10億円達成」などの具体的な数値を含んだ目標は、たしかに志も高くわかりやすい目標ではありますが、営業チームなら現実的な数字を追いかけるのもまだわかりますが、これを組織のOに設定するには少し現実的過ぎます。

Oの目的の一つは、羅針盤のような存在になってメンバーの進むべき方向性を示し、常に鼓舞し続けることなのです。そのためにも、定性的かつ従業員の心をワクワクさせるような言葉を選んで設定するようにしましょう。

Objectiveはワクワクする言葉で

OKRはあくまで内部に向けたものであり、その目標は従業員のやる気をアップさせ、どこに向かうのかを指し示すものでなければなりません。そのためには、O設定の際にどのような言葉を使うのかという表現方法も非常に重要になってきます。

管理指標をそのまま目標設定にするのではなく、メンバーを鼓舞し続けるようなワクワクする表現を用いましょう。数値などで示した定量的目標のほうがたしかに進捗自体はわかりやすいですが、Oに関しては、そのような現実的な部分を見せるのではなく、あくまで大きな目標を設定することで、チームや個人の心に響くような鼓舞するOを設定するのです。

たとえばかの有名なイーロン・マスクは「2024年から2026年までの間に有人火星面着陸を実現する」と宣言していますが、このような目標はたしかに実現するかはどうかは定かではないですし、それまでのプロセスも一般人にはよくわかりません。ですが、「そんな近い未来にもう火星に行けるのか」となんだかワクワクした気持ちになりますよね。これは特に壮大な目標ですが、このような大きな目標は人々をわくわくさせ従業員のモチベーションを上げる効果があるのです。

従業員がそれを見てワクワクできるのかというのを一つの基準にして考えてみるようにしましょう。

目標の数は絞り込む

OKRによって最大限の成果を出すためにも、目標はできるだけ少ない数に絞り込むようにしましょう。目標が多くなればなるだけ、その分業務量も増えることになります。

それにより従業員のパフォーマンスが分散されてしまい、本来最も力を注ぐべき業務に注力できないという危険性が高まってしまいます。目標を増やすことによって、何を自分たちが優先して行うべきかを見失ってしまうのです。もちろん一つの目的に向けて全員の力を集結させた方が達成スピードも達成できる目標も大きく向上するでしょう。

とりわけ、起業したばかりのスタートアップ企業などの組織では、人員的にも組織的にもかなりの制限があるため、このようなリソースの分散には非常に大きなリスクが伴います。

OKRを用いて目標を設定する際には、全員が同じ目標に向かって業務に取り組めるよう、目標の数は必ず絞るようにしましょう。

目標サイクルの期間はバランスよく

OKRにおける目標サイクルは、一般的には四半期などの短い周期が良いとされています。つまり、3ヶ月に一度は目標を見直すということです。

あまりにも短い期間だと野心的な施策を行うには時間が足りなくなってしまいますし、逆に一年単位など長期的すぎると、社外の情勢などによって急な修正を余儀なくされた場合に対応が難しくなってしまったり、ある意味中弛みのような感じになってしまい目標を見失ってしまう危険性もあります。

また、日々の業務改善や継続的な従業員の学習に活用していくためにも、できるだけ短い期間で定期的に計測をして振り返ることが重要です。頻繁な振り返りを行ってこそOKRの真価は発揮されるので、四半期後毎など短期的なサイクルで運用を行うようにしましょう。

Key Resultsとは?

Oは、非常に高い目標であると同時に、数値化するのが難しい定性的な特徴を持っていました。次のKRでは、一つのOに対して、具体的な数値を盛り込んだKRを複数設定することになります。

OKRでは、企業にとっても個人にとっても大きな目標を設定するので、その目標に対して100%の成果を出すのはかなり難しいですが、OKRでは100%の結果を出すことは求められていません。達成率の目安は60~70%ほどが目安となります。

KRは完全な達成を目的としていないため、その達成度がそのまま人事評価などには影響しないという点も大きな特徴の一つです。もし達成率がそのまま個々の評価に直結してしまうのであれば、OKRが目指している「大きな目標」を設定するのが難しくなってしまいます。なぜなら、評価に直結するということになれば、どうしても達成しやすい目標を設定しがちになってしまうからです。

最終的に企業の目標を達成するために、それぞれの役割を明確にし、組織全体のコミュニケーションを活性化することで、目標に対して組織全体で一致団結して取り組むことをKRは目的としています。

組織と従業員個人の目標をリンクさせるためには、目標を組織・部署・チームの各目標に細分化した上で個人の目標を設定することが必要です。

Key Results設定5つのポイント

ここでは、KR設定の5つのポイントを紹介したいと思います。成果指標(Key Results)を設定する上で皆さんに知っておいていただきたいのが「SMARTの法則」です。

この法則は目標設定のフレームワークの一つで、かなり有名なものなので耳にしたことがある方もいるのではないかと思います。SMARTの法則は、目標設定において非常に有効かつ効果的なフレームワークなので、OKRにどのように応用できるのかを考えていきたいと思います。

SMARTの法則5つの成功因子

SMARTの法則は5つの要素から構成をされています。
それが「Specific(具体性)」「Measurable(計量性)」「Achievable(達成可能性)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(期限)」の5つです。

SMARTとはこれら5つの単語の頭文字を取ったものであり、これらの要素を取り入れることで、目標達成の可能性が高まる効果を発揮すると考えられています。

Specific(具体性)

一つ目は「Specific」で、この英単語には「明確な」「具体的な」「特定の」などの意味があります。

KRが具体的なものでなければ、Oを達成したときのイメージが湧きません。成果指標が抽象的なものであれば、自ずとそれを達成するための行動も抽象的なものになってしまいます。これでは目標達成から遠のいてしまうことになるでしょう。

たとえば、「大ヒット商品を生み出す」「常にポジティブに仕事に取り組み」などの抽象的な目標があったとします。この場合、まず何をすれば良いのかみなさんには想像できるでしょうか。おそらく「まず何をすれば良いか教えてください」と結局上司に再度確認することになるでしょう。目標が抽象的では具体的な行動を起こすことはできないのです。もちろん目標を立てることが大事ですが、ただ闇雲に目標を立てれば良いというわけではありません。

逆に、誰が見ても明確な目標であれば、具体的な行動も起こしやすくなりますし、従業員全体の目的意識の強化や意思統一も容易になります。

ここで一つわかりやすいポイントとしては、「Who(誰が)」「What(何を)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」といった5Wを意識しながら目標を設定することをおすすめします。

Measurable(計量性)

「Measurable」の意味は「測定可能」です。

KRは定量的、つまり数値で進捗を測ることができるのものにする必要があり、「数値がなければKRではない」とまで言われています。KRを定量的かつ計測可能にすることで、成果指標に対する認識のズレがなくなり進捗がわかりやすくなるのです。

たとえばチェックインミーティングなどを毎週行い、数値を見てそれを達成するためのアクションプランが見える状態にすることが望ましいでしょう。チェックインミーティングについては後ほど詳しく解説します。

事業自体のビジョンやコンセプトであれば、ある程度抽象的なものでも構いませんが、KRは日々の業務のゴールとなるものです。それが定量的なものであれば、達成度度合いも明確になり、振り返りや改善を行うこともより容易になります。さらに、このような振り返りや改善の場が新たなコミュニケーションの場となり、コミュニケーションの活性化や従業員のモチベーションを維持することにもつながるのです。

Achievable(達成可能性)

SMARTの法則では、目標は「Achievable(達成可能)」なものであるべきとされています。なぜなら、ビジネスにおいて目標を設定することは必要不可欠なことですが、それがあまりに高いものになってしまい達成が明らかに不可能であるものの場合、逆に従業員のモチベーションを下げてしまったり、かえってマイナスに働いてしまう恐れがあるからです。よって、SMARTの法則の場合、高い目標でありながらも、あくまで実現可能なレベルの目標を設定することが重要となります。

一方で、OKRの場合は必ずしも達成可能性の高い目標を設定する必要はありません。むしろ、OKRでは達成することが非常に困難な目標を設定し、達成度は60~70%ほどを理想としています。これは、100%の達成を実現するための目標の場合、「達成できるように」ということを意識しすぎて低めの目標を設定してしまったり、仮に達成することができなかった場合に、「目標が高すぎたから」という言い訳をしてしまうなどの状況を避けるためです。

OKRでは、ベストを尽くさなければ達成が不可能に思える目標に向かってこそ、従業員も最高のパフォーマンスを発揮することができると考えます。

その点で、OKRは目標の達成度を個人の評価と切り離して考えることができます。なぜなら、「目標達成しなければ評価されない」というプレッシャーを感じずに業務に集中することができるからです。あくまで会社の目標達成のために自分の業務に集中することができるのです。

このAchievableに関しては、SMARTの法則とOKRでは難易度の設定の点において考え方が若干異なりますが、OKRの場合も決して目標達成が100%不可能なものを設定するわけではありません。あくまで達成できることが理想であることに変わりはありませんので、しっかりと求められている難易度のバランスを見定めて目標を設定するようにしましょう。

Relevant(関連性)

Relevantの意味は「関連性」です。KRを設定する上で、忘れてはならないのがこの「関連性」という観点です。

KRは常にOに紐づいている必要があります。KRを設定する際には「何をすればOを達成できるのか」ということを常にイメージするように心がけましょう。ここで気をつけなければならないポイントは「これをやれば目標達成できるだろう」という想像だけで設定をしてしまうことです。仮説検証がないまま成功指標を設定してしまった場合、KRを達成したとしてもO達成につながる可能性は極めて低いからです。

このような事態にならないためにも、事前に時間を十分に取り、検証した上でKRを設定するようにしましょう。特に、多岐の分野にわたって事業を展開している企業の場合、日々取り組むべき業務も様々なので、やるべきことの優先順位をつけることも非常に重要になってきます。関連性を意識することは「その成果指標が事業の本質からズレていないか」などを確認する上でも重要なことなのです。

また、関連性は「設定した目標を達成することでどのようなメリットが自分に返ってくるのか」を意識するということも含みます。こうした点を意識することで、モチベーションが向上しやすくなるというメリットもあります。

ただ目標だけを意識して業務を行うのでは、その目標がプレッシャーになってしまい、かえってモチベーションの低下やストレスを招いてしまう恐れがあります。ここで大事なのがRelevantの考え方です。その目標を達成することによって、自分にどのようなメリットがあるのかを考えるようにしましょう。それは、「目標達成によってもらえるインセンティブ」かもしれませんし、「ボーナスが増えて自分の欲しいものが買える」かもしれません。もちろん金銭的なことだけでなく、「海外赴任の可能性が生まれる」なども大きなモチベーションになることでしょう。

従業員のモチベーション低下の大きな原因の一つに「自分の業務がどのように会社に貢献しているのかがわからない」というものがあります。しかし、OKRやSMARTの法則を用いて会社の目標を個人の目標を紐づけることによって、社内全体での共有が可能となり、より一体感を持って目標に向かうことができるのです。

Time-bound(期限)

最後の成功因子はTime-bound、つまり「期限」です。これも目標達成には欠かすことのできない要素です。

人は期限があるからこそ最大限のパフォーマンスを発揮することができます。期限がなければどうしても先延ばしにしてしまうのが人間であり、モチベーションの維持が難しくなってしまいます。

OKRは1~3ヶ月の短期間のサイクルで運用されるため、成果指標もスピーディーにPDCAを回せるものがベストです。

Key Resultの設定は理解度によって個人差が出やすいものです。
特に定量的な設定にできておらず、タスク管理的な目標の立て方には要注意。早めにフィードバックして有効なKey Resultの設定を促しましょう。

より具体的な例を掲載しているこちらの記事をご活用ください。

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OKR自信度とは?

OKRでは、目標の難易度設定が重要だというお話をしました。そこで大事になってくるのが「自信度」です。

OKR自信度は、「設定したKRを達成する自信がどれくらいあるか」を測る自己申告指標となります。目標達成に向けての自信を数字で表すので、100%達成の自信がある場合はOKR自信度10であり、達成が不可能である場合にはOKR自信度は0となります。

自信度10では達成が容易な目標で成長が見込めませんし、自信度0ではそもそも達成が不可能な目標なのでモチベーションが上がりません。目安としては「達成実現は難しいが、かといって決して不可能ではないレベル」です。

OKRでは達成可能性が60~70%がベストだというお話をしましたが、ここでいうと自信度6~7をキープできるとちょうど良いと言えるでしょう。この自信度をメンバー間で共有することによって、お互いに励まし合いながら、活発的に協力し合って目標達成に近づくことができるのです。

このちょうど良い度合いというのはなかなか難しいかもしれませんが、OKRのような高い目標を設定する際に、100%の達成を強制するとそれがプレッシャーになってしまい、メンバーのモチベーションを低下させることにつながります。実現不可能ということが明白なものをやらされれば、ほとんどの人はやる気を失くしてしまうでしょう。

一方で、「これはできなくて当たり前だからね」ということを前提に進めてしまえば、それはそれで問題です。なぜなら、従業員の中に「できなくても大丈夫」という意識が生まれてしまい、積極的に行動を起こすことを止めてしまうからです。

OKR自信度の調整は、OKRを運用する上で非常に大切な要素なのです。

OKR自信度の調整

目標に向かってモチベーションを維持しながら向かっていくためにも、OKR自信度は定期的にメンバー全員で話し合いの場を持ち、KRの自信度をお互いに確認して適宜調整することが必要です。

自信度が高くなりすぎているようであればKR設定レベルを引き上げ、逆に自信度が低くなりすぎているようであれば、その原因の分析を行って働き方やKRの調整を行うことが必要となるでしょう。このような取り組みを行うことで、経営層と部下の間のモチベーションのギャップを埋めやすくなります。

またOKR自信度は6~7が最適というルールがあることで、経営層も未達成の責任を理不尽に現場に押し付けることもできず、逆に部下が経営層に対して「目標が高すぎる」などの言い訳をすることができなくなります。

そのため、OKR自信度の調整を実施することは、経営層と従業員のバランスを取ることにもつながるのです。

健康・健全化指標の活用

業務の進捗であったり行動というものは、メンバーの置かれた状況に大きく左右されます。たとえば、身体的、精神的、仕事の状況や家庭の理由などでコンディションが悪くなったりすれば、どうしても仕事でのパフォーマンスに影響してしまうのは人として避けられないでしょう。

このような事態を避けるために、チームリーダーが使用するのが健康・健全化指標です。この指標では、リーダーがメンバーの状態を定期的に確認し、何か問題がある場合にはチームとして解決のための支援を行います。

このような取り組みを積極的に行うことで、従業員一人一人のコンディションやモチベーションを管理するのです。

この健康・健全化指標を活用するためには、定期的な情報共有の場が欠かせません。できれば毎週が良いでしょう。他のメンバーの状態や業務への影響などを把握しておくことで、チームとしてフォローしやすい環境を整え、体調の申告を行える場を設けることで身体や心の体調面について把握することができるのです。

こうした点に注意をしておかないと、メンバーが目標を達成しようと無理をしてしまい、体調を崩してしまったり、燃え尽き症候群で転職をしてしまうなどの中長期的なリスクが生まれる可能性があります。

健康・健全化指標を設定する際には、共有や確認のルールをOKRに盛り込むようにしましょう。

OKR自信度は、OKRを用いて目標に近づくために非常に重要な要素となります。上記で取り上げた健康・健全化指標や今後やるべきことの優先順位などをしっかりと考慮した上で設定するようにしましょう。

OKRの導入メリット

OKRのOとKRそれぞれの要素について理解したところで、次にOKRを導入するメリットについて見ていきたいと思います。もちろんこれだけ多くの有名企業に取り入れられている手法なので、そこには様々なメリットがあります。ここでは、OKRを導入することで得られる主な5つのメリットをご紹介します。これらのメリットを参考に、ぜひ自社に導入するとどうなるかというのを想像しながら読み進めてみてください。

1. 方向性の統一

OKRの一つ目のメリットは、会社と従業員の方向性を一致させることができる点です。OKRをうまく活用することができれば、会社・チーム・個人が連携を取りながら、それぞれの力を集中させて大きな目標に向かうことができます。

従業員が比較的少ない規模の小さい会社であれば、ある程度意識の統一はしやすいかもしれませんが、会社の規模が大きくなればなるほど、そうした意識の統一は困難になり、個人個人の方向性にばらつきが生まれやすくなってしまいます。また、規模が大きくなると従業員が感じやすくなるのが、「自分の業務はどのようにこの会社に貢献しているのだろうか」ということです。会社における自分の業務の意味を確信できないことは、大きなモチベーション低下につながる恐れがあります。

このように、特別な目標管理をしないまま放置しておくと、それぞれがバラバラに目の前の仕事に取り組むことになり、自分の業務の意味をあまり把握しないままに、ただ上から命令された仕事をルーティンワークとしてこなすだけになってしまいます。これでは、仕事にやりがいを感じることもできず、エンゲージメント低下にもつながってしまいます。

OKRで目標管理を行うことで、個人としても会社の方向性を認識することができ、組織全体の中で自分がどのような立ち位置にいるのかを把握しやすくなるため、従業員も前向きに業務に取り組みやすくなります。

2. コミュニケーションの活性化

OKRの内容は組織、個人のものにかかわらずチーム全員に共有されます。それは、OKRが会社・チーム・個人の方向性を一致させるためのものだからです。

各OKRを全社に共有することにより、同じチームのメンバーがどのようなタスクを持っているのか共有されるだけでなく、チームの垣根さえも越えたコミュニケーションも期待できます。

そのため個人やチームの目標(O)をクリアするのにどうすれば良いかコミュニケーションが密になり、協力し合ったり意見を出しやすくなります。OKRの場合は、元々達成可能性60~70%という難易度の高い目標に向かうので、必然的に他の人の意見やアイディアが必要になってくる場面も出てくるでしょう。結果的に全員が積極的にコミュニケーションを行うようになります。

OKRは決して上司が部下を一方通行で管理する手法ではありません。目標の明確化と情報共有により従業員からの積極的な意見やアイディアを促します。これにより、従業員としても会社とのつながりをより明確に感じることができ、自分が積極的に会社のプロジェクトに参画していると感じることができるのです。

3. トラッキングによるエンゲージメント向上

OKRでは、定期的にチームや個人の目標の進捗を確認する場を設けるのが一般的です。定期的にこのような場を設けて進捗をトラッキングすることで、正しい方向へ向かうための軌道修正を行う機会が生まれ、各メンバーの貢献度や方針が明らかになることでメンバーのエンゲージメント向上が期待できます。

ここでいうトラッキングとは、進捗状況の確認のことを指します。

OKRでトラッキングを行う場合は、OKRを推進する担当者をしっかりと決め、その担当者が中心となって、定期的に各メンバーのOKRの進捗チェックを行うようにしましょう。基本的な目安は週次です。

また、OKRの場合は基本は短期的なサイクルでPDCAを回しますが、例えば四半期などのOKRの期間が終了したら、全体を通しての総括を行い、今後に向けてのOKRの見直しを行うようにしましょう。(継続・修正・新規・停止など)いずれの選択肢を取るにしても、なぜそのような選択をしたのかをメンバー全員としっかり共有することが必要です。

また、トラッキングを行うメリットとして、各従業員が会社にとって必要な業務ができているか、自分がどれだけ会社に貢献しているかということが明確になるので、従業員の会社への信頼度も増し、メンバーに対して適正な貢献評価を行うことができます。

さらに、トレッキングを行うことで、必然的にOKRに見直しの機会を設けることができるので、社内社外問わず状況変化に応じて臨機応変に対応することができます。一度決めたら意地でもそれをやり通すのではなく、適宜内容を変更できるところもOKRの魅力の一つと言えるでしょう。

4. 従業員のモチベーション向上

各従業員個人のモチベーションを向上させることができるのもOKRの大きなメリットの一つです。

毎日同じような業務を行っているだけでは、従業員のモチベーションは下がりやすくなってしまいますし、結果として会社全体の生産性が低下してしまうことにもなりかねません。

しかし、OKRを導入することによって会社とチーム、個人の目標を紐づけることができるので、個人の業務がどのようにして会社に貢献しているのかを実感することができます。

従業員のモチベーション低下の主な原因の一つは、やりがいや目標を失うことです。OKR導入によりそれらを持つことができれば、必然的に個人のモチベーションの向上につながり、会社としての生産性も上げることができるのです。

5. 高い目標設定

OKR導入の5つ目のメリットは、より高い目標を設定できるということです。過去の実績や現在の状況に即した無難な目標ではなく、より高い目標を設定することができます。

今までの説明からもわかるように、そもそもOKRの目的は達成できるような目標を設定することにありません。

組織全体が目標に向かって柔軟かつ迅速に動けるように、OKRではあえて少し高めの目標を設定します。簡単に達成できるような目標を設定し、本当は会社として達成したい一番の目標を見失ってしまうことを防ぎます。

だからこそ、OKRで設定した目標を仮に達成できなかったとしても、そこまで大きな問題ではありません。OKRでは100%の目標達成を目指すのではなく、60~70%を妥当な達成度合いに設定します。よって、目標を達成できなかったからといって、そこまで落ち込む必要はありません。

通常の目標のように100%達成が絶対ではない柔軟性のある高い目標を設定するからこそ、過度なストレスを感じることなく、目標に向けて集中して業務を行うことができるのです。

ムーンショットとルーフショット

OKRを導入している企業の特徴を見てみると、新しいサービスや製品を開発したりなど、何か革新的なアイディアを産み出そうとしている野心的な企業が多いと言えます。そういった企業は、常に高い目標を持っています。だからこそ、OKRはそういった企業にフィットすると考えられます。

この「高い目標」について考えるときに、ぜひみなさんに覚えておいていただきたい言葉が「ムーンショット」です。この言葉は今回のメインテーマであるOKRに非常に深く関わってきます。また、ムーンショットと似た言葉で「ルーフショット」という言葉もあります。こちらは、どちらかというとOKR向きではないのですが、一緒に理解することで、よりOKRへの知識も深まるはずです。

ムーンショットとは?

「ムーンショット」とは、達成されると非常にインパクトが大きいスケールの大きな目標を掲げ、そこから逆算して組織全体でその目標に向かって活動を行っていくことを指します。

この言葉の由来は、みなさん何となく想像がつくかもしれませんが、アメリカのジョン・F・ケネディ大統領が1961年に提唱したアポロ計画です。アメリカは、この途方もなく壮大な目標を掲げ、莫大な資金や物資を投資を行いながら計画を進めました。結果として、誰も想像などできなかった月面着陸という目標を1969年に達成するのです。この壮大なストーリーは、今なおムーンショットを表す一番の例と言えるでしょう。

ムーンショットで最も重要なことは目標設定です。革新的で誰もが驚嘆してしまうような成果を上げるための目標設定がムーンショットです。ここでは、ムーンショット目標を設定する上で大事なポイントを3つご紹介します。

Inspire(人々を魅了し奮い立たせる)

ムーンショットの目標は、一見すると実現不可能だろうと感じると同時に、「仮に達成することができたら本当にすごいことだ」と感じることのできる目標であるべきです。ケネディ大統領の言葉をそのまま借用するのであれば “Fly man to the Moon in this decade.”(10年以内に人類は月に到達する)といった言葉は、人々をワクワクさせ心を動かすことができる魅力的なメッセージだったと言えるでしょう。

Credible(信憑性)

困難な目標を掲げるにしても、それがあまりにも非現実的で突拍子もないものだと、それは目標ではなくただの空想になってしまいます。それでは、聞いた人の心を動かすことは難しいでしょう。なぜなら「そんなの夢物語でしょ。」という反応になってしまい、そもそも実現の可能性を信じてもらうことができないからです。たとえば「タイムマシーンを開発する」という目標があったとしても、遠い未来はわかりませんが、今の段階ではあまり実現の可能性が見えてこないと思います。そうではなく「大変そうだけど実現したらすごいな。」と思ってもらえるバランスの目標を掲げるようにしましょう。

そのためには、目標達成までにどのような課題があり、それをどのようにクリアしていくのかという、ある程度の道筋を示すことで信憑性が増すので非常に重要になってきます。いくら壮大な目標といっても最低限の根拠は必要です。

Imaginative(創造性)

その目標を達成することで、どのような世界を創造することができるのか、どのような新たな価値観を生み出すことができるのか、そして、それが未来の社会にとってどれほど有益なものなのかということも、人々の心を揺さぶる上で大切な要素です。

戦略は実行を伴わなければ意味がありません。いくら人を魅了できる目標を設定できたとしても、目標に向けて全員がアクションを起こさない限りは目標達成は夢のまま終わってしまいます。

ムーンショットは壮大な目標であるため達成は非常にハードルが高い課題となります。そして、基本的には誰も成し遂げたことがないようなことを目標に掲げるので、達成までの正しいプロセスの答えを持っている人もいません。

このような目標に挑戦する場合、たくさんの失敗を繰り返したり、自分自身でも「そもそもこんな目標達成できるのか」と疑いたくなることもあると思います。そんな目に見える成果が出ていない厳しい状況の中でも、仮説検証を繰り返し、一つ一つの問題と向き合いながら根気よくやり続けていく力と、メンバーを鼓舞したりフォローするマネジメント力が必要になってくるのです。

OKRを導入することによって、企業へのエンゲージメントやチームワークの向上など、様々な効果を見込めますが、一番の目的はObjective=ムーンショットを達成し、企業として革新的な成長を遂げることにあります。

ここでご紹介したムーンショット目標の設定において大切なポイントは、そのままObjective設定の際のポイントにもなりますのでぜひ参考にしてみてください。

ルーフショットとは?

次に「ルーフショット」について見ていきましょう。先述したように、OKRとの深い関わりを持つのは、どちらかといえばムーンショットの方ですが、このルーフショットについても知ることで、よりOKRやムーンショットへの理解も深まることでしょう。

ルーフショットとは、日本語で「屋根に届くほどのショット」を意味し、少しの努力・改善を行えば達成可能な難易度の目標のことを指します。ルーフショットでは、達成目標水準は100%が前提で、達成率が人事評価にも利用されることが多いため、従来の一般的な目標管理制度などで採用されることが多いです。

ルーフショット目標を設定する際には、昨年対比10%アップなど、ある地点からの成長率を元に目標値が設定されるのが一般的です。

先ほどご紹介したムーンショットは、達成水準が60~70%です。過去の地点からの延長で目標が設定されるルーフショットに対し、ムーンショットは未来から逆算して目標が決められます。

ルーフショット
難易度少し難しい
達成水準100%
適した目標管理手法MBO、KPI
メリット・業務の習熟度を上げやすい
・事故効力感を高めやすい
デメリット・成長が角度が緩やかになる
・イノベーションが起きづらい
・チャレンジ精神を育みづらい
目標の立て方・成長率をベースにする
・過去からの延長線上で設定
ムーンショット
難易度非常に難しい
達成水準60~70%
適した目標管理手法OKR
メリット・高い成果を出しやすい
・一体感・高揚感を生み出しやすい
デメリット・目標が破綻しやすい
・自己効力感が下がりやすい
目標の立て方・ビジョン(未来)から逆算して設定

OKRとほかの目標管理との違い

目標設定の手法はなにもOKRだけではありません。特に、OKRと混同されやすい目標設定手法に「MBO」と「KPI」の二つがあります。

ここでは、そんな2つの目標設定手法とOKRの違いについて詳しく見ていきたいと思います。もちろん会社の方向性や規模によっては、OKRよりもMBOやKPIの方が合っているという可能性も十分に考えられますので、ぜひここで合わせて理解してしまいましょう。

MBOとOKRの違い

「MBO(Managenment by Objective)」は「目標による管理」という意味で、四半期から半期ごとに目標の達成度を測定して評価・管理するマネジメント手法です。1954年に経営学の父であるピーター・ドラッガーが著書である『The Practive of Management(現代の経営)』で提唱しました。

目標に対する達成度で従業員を管理するマネジメント手法は今では当たり前のものとして導入されていますが、OKRとMBOでは下記のようにいくつか違う点があります。

OKR
目的会社と従業員の意思統一、目的の明確化とコミュニケーションの活性化による生産性や創造性の向上、モチベーションアップ
個人目標が共有される範囲社内全体
評価の頻度1か月~4半期に1回・頻繁なフィードバック
計測方法定量
理想的な目標の達成度60~70%
MBO
目的業務管理や生産性向上のほかに人事評価など
個人目標が共有される範囲従業員と直属の上司
評価の頻度1年に1回・頻繁なフィードバックを推奨
計測方法定量、定性やこれらの併用
理想的な目標の達成度100%

まず第一に、目指す目標達成率が異なるというのは大きな点でしょう。OKRでは60~70%の達成率で成功とみなしますが、MBOでは100%の達成を成功とみなします。また、先ほどのルーフショットの話の際に触れましたが、MBOの場合は達成率が人事評価に直結することも多いのが特徴です。

さらに、MBOはあくまで個人と上司の関係の中での成果にとどまるので、自分の仕事と会社の目標と関係や、チームとして目標を達成するという考えが希薄です。

フィードバックや情報共有も、基本的に部下と直属の上司との関係で行われるため、上司が部下を管理する手法と言えるでしょう。

MBOからOKRに切り替えるとなると、その違いを説明することが求められます。

会社の目標を達成するために社員個人の目標と取り組むべき仕事を設定し、その達成度を明確に数値化して定期的にフィードバックする目標管理手法がOKRです。
MBOも同様の目的を持っていますが、OKRと違うのは、「達成度を明確に数値化しない事がある点と人事評価に使われる点」です。

この違いは小さなことのようで、現場の社員からすると大きな差だと感じるはずです。
より具体的な内容はこちらの記事に掲載していますので、ぜひご覧ください。

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KPIとOKRの違い

「KPI(Key Performance Indicator)」とは「主要業績評価指標」という意味で、数値化された目標や目標を数値化して管理するマネジメント手法のことを指します。OKRが最終的な目標達成までのプロセスを共有し見える化する方法であるとすれば、KPIは最終目標達成までのプロセス自体を管理する手法だと言えるでしょう。

OKRにおいてKPIを活用する場合、KPIは目標を数値化して明確化することを意味します。

「顧客満足度を上げる」「自社製品のファンを増やす」「売上を上げる」などの定性的な目標では、達成度を明確に管理することができません。

KPIで管理するのであれば、顧客満足度という単語ではなく「1ヶ月のクレーム数10件以下」や「10段階評価の顧客アンケートで平均8以上を目指す」など具体的な数値を盛り込む必要があります。

OKR
目的会社と従業員の意思統一、目的の明確化とコミュニケーションの活性化による生産性や創造性の向上、モチベーションアップ
個人目標が共有される範囲社内全体
評価の頻度1か月~4半期に1回・頻繁なフィードバック
計測方法定量
理想的な目標の達成度60~70%
KPI
目的目標の達成度チェック
個人目標が共有される範囲プロジェクトチーム内
評価の頻度プロジェクトごとに変動
計測方法定量
理想的な目標の達成度100%

KPIもMBOと同様に100%の達成率を目指すということがOKRと大きく違う点です。
そして、完全な達成を目指すためにも、目標は達成可能な現実的なものを設定します。

OKR導入までのステップ

次に、具体的なOKR導入までのステップを見ていきたいと思います。OKRが何かいうことを理解することがファーストステップではありますが、導入して効果的に活用してこそ意味があるので、しっかりと導入までの流れを把握しておきましょう。

OKRは、OとKRが部署やチームの数とメンバーの数だけ存在し、それが幾重にも重なってツリーのように構成されます。そのため、まずは最初のステップとして、ツリーの頂点となる企業Oから設定することが必要となります。

まずは最初にOKR設定の全体の流れをざっとみておきましょう。

STEP1

企業Oを社長や取締役が設定する

STEP2

企業KR=部署Oを社長や部署マネジャーが設定する

STEP3

部署KR=個人Oを部署マネジャー、もしくはメンバーが設定する

STEP4

全社にOKRが公開されるとともに運用が開始される

企業Obejectiveの作り方

前述したように、まずはツリーの頂点である企業OKRを設定することから始めます。会社の従業員がそれを見て「ぜひこれを実現してみたい」と思えるようなワクワクする言葉を用いて設定することが大切です。
Obejectiveを設定する際のポイントについては、すでに前の章で解説をしておりますでぜひそちらを参考にしてください。

企業Key Resultsの作り方

KRに関しては、こちらもすでにSMARTの法則と絡めたお話をさせていただきましたがここではさらに気をつけたい2つポイントを追加しておきたいと思います。

トップダウンかボトムアップか

OKRを決める際に、トップダウンで決めるのか、それともボトムアップで決めるのか、どちらの方法で決めるのかという点も考えておかなければなりません。「トップダウン」とは、トップが決定権を持ち現場の従業員に指示する手法で、「ボトムアップ」は、トップが現場の従業員の意見を吸い上げて意思決定をする手法のことです。

ちなみに、Googleが公表している『re:Work』の中では「OKRはトップダウンとボトムアップ双方からの提案が組み合わさることで最大限の効果を発揮する」と記されています。

たとえば、まずは社長が企業Oを設定します。その上で、目標達成のための細かいKRを設定し、トップダウンで各担当部署のマネージャーに役割を割り当てていきます。その後個別面談などを行い、戦略や方針についてしっかりと理解してもらった上で、目標へのコミットメントを促すのです。部署ごとのKRに関しては、ボトムアップでマネージャーに設定してもらいます。このようなプロセスを経ることで、マネージャーは目標に対しての納得感と責任が増し、目標達成のに向けての強いモチベーションとなるのです。

どのようなやり方が良いかというのは企業によって違ってくるかとは思いますが、ある程度経営陣で事前に流れを決めておくとよりスムーズに進むでしょう。

目標達成のための要素を具体的に書き出す

企業目標を達成するために必要な要素を具体的に書き出しましょう。それがそのまま企業KR=部署Oとなります。

たとえば「出版業界でNo. 1になる」という目標を掲げた場合、どうなればNo. 1と言えるのか、何をすればNo. 1になれるのか、それに必要な要素を書き出していきます。下記に例を挙げてみます。

Objective
「出版業界でNo.1になる」

・売上規模が業界No. 1(営業、マーケティング)
・サービス価値が業界No. 1(開発部、デザイン)
・ブランドイメージが業界No. 1(マーケティング)
・顧客満足度で業界No. 1(カスタマーサクセス)
・従業員満足度でNo. 1(人事、経営管理)

これらの具体的な要素が企業KRとなり、それがそのまま部署Oとなるのです。

フィードバックを元に企業OKRを調整

会社OKRが決まったら経営陣や外部経営コンサルタントなどにレビューしてもらうようにしましょう。特に、OとKRがしっかりとロジカルな因果関係になっているのか、戦略に妥当性があるかなど、第三者の視点で確認をしてもらい抜けや漏れがないかを必ずチェックしましょう。

主なレビュー項目としては以下の5つが挙げられます。

・目標達成までのプロセスとして妥当か
・戦略的に抜けや漏れがないか
・KRを達成したらOが達成されるようになっているか
・KRは具体的なものになっているか
・Objectiveと会社のビジョンに整合性はあるか

部署Objectiveの作り方

企業Oの達成に直結し連動している内容のものを設定するようにしましょう。

部署Key Resultsの作り方

部署KRは個人Oにあたります。個人OKRをトップダウンで設定するのか、それともボトムアップで設定するのか、または両方を組み合わせるのかは、メンバーの成熟度などを加味して考えるようにしましょう。

部署OKRが完成したら、会社OKRとしっかり連動性があるかどうか、上司や役員にレビューしてもらいます。
レビュー項目は以下の2つです。

・部署KRの指標、難易度は適正か
・部署OKR全体で整合性がとれているか

個人OKRの設定

OKRでは、特に従業員個人個人のパフォーマンスが会社全体の成果に直結します。そのため、個人OKRの設定は非常に比重の大きい要素です。責任を感じるかもしれませんが、自分がより会社にコミットしているということがやりがいにもつながるでしょう。また、業績としての成果だけではなく、従業員個人としての成長にも大きな意味を持ちます。

部署OKRと同様、トップダウンかボトムダウンかによってタイミングは変わりますが、従業員全員が目標にコミットできるよう1on1などの機会を設けるようにしましょう。こちらの設定ポイントも企業OKRと共通です。

トップダウンかボトムアップか個人OKRを共有し合い、調整

個人OKRのレビューは、部署のマネージャーや、状況によってはメンターなども含めて行います。部署OKRのレビューと同じで、会社OKR、部署OKRそれぞれときっちり整合性が取れているかという点が一番のチェックポイントです。

また、個人KRの場合は、適正な指標、難易度であるか、OKR全体と整合性がとれているかということだけでなく、それが本人の成長につながっているかというところも注意して見るようにしましょう。

週に1度「チェックイン」をして進捗確認

OKRは定期的に進捗チェックをすることが欠かせません。これは一般的には「チェックインミーティング」と呼ばれており、一般的には週次で行います。基本的には週の初めに行い自信度の更新やその理由の共有、今週は何を最優先にして動くか、健康・健全化指標の確認もここで行います。

チェックインミーティングはただ報告を行うだけの場ではありません。今やっていることでちゃんとKRを達成することができるのか、今の最優先課題は何なのか、自身度はどうか、なぜそうなのかなど、しっかりと他のメンバーと話し合い意見交換をする場です。

チェックインミーティングでやるべきこと

・今週やるべき優先事項の確認
・OKR自信度の見直しとその理由
・健康・健全化指標の確認と更新
・今後1ヶ月の予定の共有

チェックインミーティングでは、今週やるべきことを全員で決めますが、なんでもかんでも出してしまうと結果まとまらなくなってしまう恐れもあります。全体でだいたい5つぐらいまでに絞るようにしましょう。そうすることで、優先事項を確実に処理していくことができます。

中間レビューを行う

設定期間の中間地点では、全体的な中間レビューを必ず行うようにしましょう。OKRの設定期間を四半期に設定している場合は、約1.5~2ヶ月が経過した時点で実施しましょう。もしそこで進捗に遅れがあるなどの課題が出た場合には、その改善点を議論します。

また、OKRの場合は、一度決めた目標は何があっても最後までやり通すというスタンスを推奨していません。むしろ、状況によっては目標それ自体を変更しても構いません。このような柔軟性がOKRの特徴であり、高頻度でレビューを行うことによって、いち早く軌道修正を行うことができるのです。

最終レビューを行う

OKR対象期間終了後は、全体的な成果の測定と評価を行います。1から10までの10段階評価や、0から100%までのパーセント評価などを用いて明確な評価を行いましょう。

達成度が低すぎたり高すぎたりした場合は、そのままの状態で続行しても逆効果になってしまう危険性もあるので、別の目標への切り替えも検討しましょう。

OKRを効果的に運用するための「CFR」とは?

繰り返しお伝えしているように、OKRは個人の目標達成率がそのまま給与や賞与などに反映される評価制度ではありません。つまり、目標に向かってもらうためには、金銭的な報酬だけではなく、やりがいや個人の成長などの目には見えいない動機付けを促していくマネジメントが必要になるのです。またこのような動機付けを促していくためには、会社への帰属意識、いわゆる「エンゲージメント」も重要です。

このようにOKRを運用する上でメンバーの動機付けに欠かせないマネジメント手法が「CFR」です。これは「Conversation(対話)」「Feedback(フィードバック)」「Recognition(承認)」の3つの単語の頭文字を取った言葉で、どれもOKR運用には欠かせない要素となります。ただ、その3つの要素を実践するにもいくつかの方法があるので、ここではそれを実践する上で重要な方法とポイントを見ていきたいと思います。

「1on1(ワン・オン・ワン)」の取り組み

まず、最も知られているフィードバック手法の一つとして挙げられるのが「1on1」です。困難な目標に向かうOKRにおいても、この1on1は非常に重要です。

OKRでは、会社、部署、個人がベクトルを合わせて各で目標を定めていきます。そのため、メンバーには部署マネージャー、部署マネージャーには経営陣といったように三者間で連携したサポート体制が不可欠なのです。

OKRで1on1に求められる主な目的は以下の4つです。

個人とチームのOKRを決める

個人とチームのOKRを決めるためには1on1は欠かすことができません。前提として、個人OKRは従業員自身で決めるべきです。1on1は一般的な面談とは違い、部下から上司に話すことを重要視しています。部下が自分のことを話す1on1の機会を設けるという意味で、1on1は従業員が個人OKRを決めるのに打ってつけの場と言って良いでしょう。

また、1on1の場を設けることにより、上司としてはチームOKRの設定や修正を行うための思わぬ有益な情報を部下から手に入れられる可能性もあります。

部下のOKRの進捗度を把握する

OKRにおける1on1では、上司は個人OKRに関して従業員が悩んでいることや改善したことなどについて聞くことになるでしょう。そして、上司はそれらに対して部下自身が考えて気付けるような形でアドバイスを与えます。

これら個人OKRの進捗の把握は、チームOKRへの影響を知るという意味でも非常に重要です。

高い目標達成に向けて部下を勇気付ける

OKRの目標は達成可能性60~70%という非常に高いものです。つまり、従業員としては達成がかなり難しいと最初からわかっている目標に向かわなければなりません。このような状況では、モチベーションの維持も難しく、途中で心が折れてしまうことにもなりかねません。

ここで1on1を活用することで、上司は部下の日頃の頑張りに感謝を伝え、勇気付けることができます。1人では心が折れてしまう場面でも、上司からの励ましなどがあればモチベーションを維持して目標に向かえるきっかけとなるでしょう。

OKRの習慣づけ

1on1は週に一度は実施することが望ましいとされています。毎週1on1の機会を設けることにより、上司も部下も必然的にOKRのことを考えるようになります。これは正にOKRの習慣づけなのです。

OKRは他の目標管理手法と同じで設定しただけでは意味がありません。日々の業務をOKRに意識づけさせるためには、OKRを習慣化してしまうのが一番の近道です。

OKRのための1on1についてさらに詳しく学びたい方は、こちらに掲載している記事もご覧ください。

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「フィードバック」の一形式「360°評価」

フィードバックの一つの方法に「360°評価」というものがあります。これは、別名「多面評価」とも呼ばれ、複数の様々な立場の関係者が、1人の従業員に対して多面的に評価を行う人事評価手法です。

基本的には人事評価で使用されることが多いこの評価方法ですが、OKRにおいては、チームのメンバーなどからフィードバックをもらうという意味で活用することができます。OKRでは、個人での目標達成ということではなく、チームとして、会社としての目標達成に重きを置いています。したがって、従業員それぞれが各にばらばらの目標に向かって進んでいるわけではなく、同じ方向性を持って業務に取り組んでいるはずなので、チーム間でのフィードバックもしやすい環境になっているのです。

上で紹介した1on1に関しては、基本的には上司と部下間で行われるものになりますが、360°評価も活用することで、同じ立場のメンバーからのフィードバックも受け取り、個人OKR達成の設定や改善に活かすことができるのです。

承認しあう「ウィンセッション」

「ウィンセッション」は直訳すると「勝者のセッション」です。チェックインミーティングが週の初めに行われるのに対して、ウィンセッションは基本的に週の終わり、つまりは金曜日の夕方に行われるのが一般的です。ウィンセッションでは、会社が従業員の好きな食べ物や飲み物を提供することも多いです。

ウィンセッションの一番の目的は、どんなに小さな目標への進捗でもそれを皆の前で発表し、周りはそれを褒めることです。

OKR運用においてウィンセッションを行う主なメリットとして、以下の4つが挙げられるでしょう。

・他のメンバーのOKRの進捗具合がわかる
・従業員のモチベーションを維持することができる
・自分や自分のチームでは気づけなかった改善点などに気付ける
・会社へのエンゲージメントが向上する

まず、ウィンセッションを行うことで、従業員やチームそれぞれが進捗の発表を行うので、自分だけではない他のメンバーの進捗具合も知ることができます。そして、それらの情報を共有することによって、自分たちでは気づけなかった問題点の解決策を見つけることができるかもしれません。自分にとっては難しいことが他の人にとっても難しいとは限らないのです。

また、ウィンセッションを行うことで、従業員のモチベーションやエンゲージメント向上も期待できます。OKRのような高い目標を目指す上で大事なのは盛り上がり、いわゆる「ライブ感」です。

会社全体で目標に向かって頑張っているという雰囲気をウィンセッションでは感じることができるので、また目標に向けて努力する力も湧いてくることでしょう。そして、ウィンセッションでは「できなかったこと」ではなくて、あくまで「できたこと」に注目して褒め合うためも自己肯定感が増す良いきっかけにもなるのです。

CFRについてさらに学びたい方へ

OKRの効果的運用方法「CFR」についてResily主催のWebセミナーでノウハウを公開しました。
アーカイブ動画をResilyのYoutubeチャンネルからご覧いただけます。ぜひご活用ください。

OKRと人事評価の関係

すでに話に出ているように、「OKRの目標の達成度と人事評価は直結するべきではありません。」OKRを導入しているGoogleも「OKRは従業員を評価するためのツールではない」と言っています。

なぜOKRと人事評価を直結するべきではないのでしょうか。

OKRと人事評価をそのまま結び付けてしまうと、ほとんどの従業員は、目標を達成するために達成のしやすいある程度容易な目標を設定するようになってしまいます。なぜなら、達成度が高ければ高いほど多くの報酬が見込めるからです。

OKRの目的の一つは、高い目標を設定することによる従業員の成長です。目的が保守的なものになってしまっては、OKRが持つ本来の特徴を活かすことができません。

以上のような理由から、OKRの評価は人事評価と直結させるべきではないと考えられているのです。

OKRの人事評価基準の例

OKRを導入する場合は、基本給は定性と定量評価で、ボーナスやインセンティブは業績や定量評価をもとに割り出すのがおすすめです。

・定性・定量評価による基本給の設定

基本給は、360°評価などの定性評価と、業績の明確な数値などを用いた定量評価によって算出をします。ここでは、数値で表される業績などが不可欠です。なぜなら、OKRの達成率の評価のみだと、実際の実績が過小評価されてしまう可能性があるからです。

例えば、10件中5件の成約と、100件中50件の成約では同じ率でも会社への貢献度は大きく変わってくるはずです。

・定量評価によるボーナス・インセンティブの算出

ボーナスやインセンティブを算出する際に注意すべき点は、会社の目標に直結しない事項に関する成果への対応です。もちろんこれらも個人としては立派な成果となりますが、インセンティブを付けるべきではありません。あくまで会社の目標の優先順位を評価制度に反映させることで、会社としての方向性を統一することができるのです。

OKRの人事評価をさらに学びたい方へ

OKRの人事評価についてResily主催のWebセミナーでノウハウを公開しました。
アーカイブ動画をResilyのYoutubeチャンネルからご覧いただけます。ぜひご活用ください。

OKRの導入事例

最後に、実際にOKRを導入して成功している企業の事例を2つ見ておきましょう。ここまでで流れを掴んでくださっていれば、あとは実例を見ることでより具体的なイメージを持つことができるかと思います。
ぜひ今後のOKR導入の参考にしていただければと思います。

Sansanの導入事例

まず最初に取り上げるのは、法人向けのクラウド名刺管理サービス「Sansan」を中心としてビジネス展開をしているSansan株式会社です。

SansanがOKRを導入したのは2015年のことであり、きっかけはGoogleが導入して成果を上げたことです。Sansanが持つフットワークの軽さがOKRを導入した背景にありました。

Sansanでは生産性向上を非常に重視しているため、現場に対して多くの定量目標を設定していますが、現場のメンバーからすれば、なぜそれらの目標が設定されているのかがわかりづらくなっているという課題がありました。

組織が大きくなったからこその問題であり、OKRを導入したのは正にこのような問題に直面していた時期でした。

SansanがOKR導入で最も期待していたのが、各部門の個々のメンバーが行っていることが何に繋がっているのかの見える化です。
結果としてSansanではOKRを導入し、OKRは評価報酬制度とも一部連動しています。
具体的には、メンバー個人に対する評価は、個人が所属するグループか部のOKR達成に「どれだけ貢献したか」で評価されています。
それは、OKRにおいて設定されたKRが十分達成可能なものではないため、達成度以上に貢献度を測らなければ正しい評価ができないためです。
Sansanでは、会社全体のOKRが各部門のOKRとリンクしており、部門ごとのOKRが下部組織へツリー構造で降りていきます。
ただし、Sansanでは現在、導入当初行っていた個人OKRの設定は行っていません。

理由としては、個人のOKRまで設定するとOKR達成までの期日が短くなってしまうからです。そのため現在では、グループのOKRまで設定し、それをグループとして達成するやり方に変えています。

こうした取り組みにより、Sansanでは企業のミッションを社員が共有する環境が整えられています。

UZABASEのOKR導入事例

株式会社ユーザベースは、ソーシャル経済ニュースメディアのNewspicksやオンライン情報プラットフォームSPEEDAなどを展開するインターネット企業です。

UZABASEでは、2016年頃にOKRを導入しました。きっかけは現同社代表である佐久間氏が “How Google Works” という本と出会ったことです。

従業員が増えて、「社内情報格差が生まれている」「他のメンバーが何をやっているのかわからないので、自発的は協力が生まれない」という問題意識があったので、その本に記載されていた「OKRの透明性」という言葉に直感的に惹かれてまずはリサーチを始めました。

UZABASEには、7バリューという目指すべき価値観を定めており、それが以下となります。

・自由主義で行こう
・創造性がなければ意味がない
・ユーザーの理想から始める
・スピードで驚かす
・迷ったら挑戦する道を選ぶ
・渦中の友を助ける
・異能は才能

これらの価値観を体現するOKRとして、

1. 管理ではなく、意義と対話によるマネジメント
2. 自分でゴールを決めることによるやり切る力
3. 目標や進捗のオープンな共有による、自発的な共創

上記の3つをOKRの仕組み作りの目的と定めたのです。
具体的には、課題積み上げ型ではなく、ビジョンの「今」を切り取るテーマ設定型を選択し、オープンな対話によるOKR解釈の一貫性と、メンバーのオーナーシップを高めることに注力しています。

企業OKRは基本的に1つに絞っています。OKRのサイクルは3ヶ月と設定しており、しっかりとやり切るために、週次の全体会議を設定、さらに、OKRシステムを使い、誰でも全OKRの内容と進捗をいつでも確認できる様にしています。

OKRを導入するならResily

ResilyではOKR運用のための目標管理クラウドツールを提供しています。
社内プロジェクトの目標やその進捗を、集めて、整理し、見える化します。

特に昨今ではリモートワークという新しい働き方の台頭により、より社内メンバー間の情報共有が難しくなってきています。
そういった課題を解決するためにツール導入を検討する企業は増えてきています。

OKRはツリー状に広がっていく性質を持っているため、スプレッドシートやエクセルでの平面的な管理には不向きです。
「1年間ほどOKRをやってみたけどうまくいっていない」という課題感はこういった管理方法に根本的な問題があるケースが多く存在しています。

Resilyではツリー状のOKRを1つの画面に集約して表示する機能や、進捗の一括更新機能を提供しています。
OKRの効率的な運用により、人と組織の成長を促すクラウドサービスになっています。

また、1つ1つの企業に専属のサポートスタッフがつき、導入から運用を支援。社内での利用状況をレポートさせていただき、OKRの浸透を促すためのご提案まで行います。

OKRについてのFAQ

OKRとは目標の設定・管理方法のひとつで、Objectives and Key Results(目標と主要な結果)の略称です。

従来の管理手法であるMBOやKPIとは、目的/評価頻度/達成水準などに違いがあります。OKRは高い水準の目標を設定したうえで組織全体に共有し、かつ高頻度で振り返りやフィードバックを行う特徴があります。

OKRは世界的に知名度の高いGoogleやFacebook、日本ではメルカリなどで導入されています。

OKRの特徴であるチャレンジングな目標(ストレッチゴール)を設定することで、チーム・個人のパフォーマンスが最大化され、社員のエンゲージメントが高まり、業績が大きく改善した事例があります。