2023.10.2
この記事では雇用契約書について解説します。
労働に関わる各種の条件が記載された雇用契約書は、トラブルを避けて仕事をする上で必須の書類です。
しかし、雇用契約書を見たことないという方も多いのではないかと思います。
そこで今回は、雇用契約書に関する情報をまとめてみました。契約書というと難しく感じるかもしれませんが、基本をおさえるだけならハードルは高くありません。
交付の義務があるのかを知りたい人、記載内容を確かめたい人、もらえなかった場合の対処法を知りたい人などは参考にしてみてくださいね。
国内において、契約を交わした場合は契約書を作成します。それは雇用契約に関しても同じです。
使用者と労働者が労働条件に同意した場合、証拠として雇用契約書を作成して双方が控えを保管します。
しかし労働契約は「双方が同意した時点で」成立しますので、必ずしも雇用契約書を作る必要はありません。
しかし、トラブルの原因になる可能性がある為、労働基準法ではなるべく雇用契約書を用いることを勧めています。
労働契約書は法的な義務はありませんが、必要な書類です。
雇用する際に、使用者側から労働者に通知しなければならない書類として労働条件通知書があります。
記載されている内容は雇用契約書とほぼ同じです。
労働条件通知書の絶対的明示事項を抑えておけば、雇用契約書で必要な記載事項をカバーできます。
労働条件通知書の絶対的明示事項として
が挙げられます。
厚生労働省のホームページには「労働条件通知書の様式例」が公表されていますので、確認しておくことがおすすめです。
なお雇用契約書には署名捺印の欄が必要なので注意しましょう。
また絶対的明示事項ではありませんが、書いておいた方が望ましいこととして制裁に関する定めが挙げられます。
無断欠勤が続くなど明らかに勤務態度が悪い場合は、減給や懲戒処分などの制裁を加える場合があることを周知しておくと安心です。
パートやアルバイトの場合も雇用契約書を作成する法的な義務はありません。しかし、何かしらかの書面で雇用主が労働条件を通知することは必要です。
その際に雇用契約書も作成したおいた方がいざというときにもめずに済みます。
雇用契約書に記載する内容は、基本的に正社員と同じです。
ただしパートタイム労働法で、以下4つの事項について、その有無を明記することが定められています。
労働契約だけであれば口頭でも成り立ちますが、もしもの時に備える意味でも雇用契約書を作っておくことが望ましいです。
これから会社で働くさいに雇用契約書がもらえない時は、まず口頭で会社に「雇用契約書をもらえませんか」と依頼しましょう。
労働基準法の第15条で
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
と定められています。
入社したばかりで依頼することをためらう方がいるかもしれません。ですが労働条件をはっきりさせることは会社にとっても重要なことです。
柔らかい聞き方をすれば、ギスギスすることはありませんので、依頼してみることをおすすめします。
もし、依頼をしてもすぐに出てこなかった場合は「前職ではもらったのですが…」と再度依頼しましょう。
それでももらえない場合は、自衛手段を取ることが大切です。ブラック企業の可能性もありますので、求人の際の広告や求人票や保管しましょう。
実際の労働条件が労働契約締結時の条件と異なる場合、労働契約を解約できます。確かなアドバイスを聞きたい時は、無料の法律相談を利用する手法も有効です。
雇用契約書を依頼してももらえない場合は、後々労働トラブルに発展する可能性があります。損をしないようにしっかりと自衛しましょう。
万が一に備えて次の転職先を探しておくことも効果的です。
なお、労働契約書の交付を求める申入書という文章を作成して請求すると、会社が雇用契約書を提示してくれる場合もあります。
会社によっては試用期間を設けている場合もありますよね。
実は試用期間というのは法律で定められた制度ではありません。その為、試用期間かどうかに関わらず雇用契約書は入社初日までに受け取ることがおすすめです。
一般的に入社初日までには試用期間ありの雇用契約書が用意されていることが多いです。
ただし、会社によっては、
の2つを用意していることもあります。この場合は、段階に応じて2回に分けて締結することがおすすめです。
使用者側は雇用契約書における試用期間についての記載事項として
を明記しておくことが肝心です。
試用期間を延長するケースも考えられるなら、その旨も記載しておくことがおすすめです。書面で明示しておけば、無用なトラブルが避けられます。
試用期間の限度は明確に定められているわけではありませんが、一般的には1年程度が限度と考えられています。
労働者は自衛の為にも雇用契約書をよく読むことが必要です。内容をチェックして、了承した上で署名捺印をするようにしましょう。
雇用契約書を作成するのは使用者側です。
ただ交付しただけでは労働者が雇用契約書の内容を確認したとは言い難いと言えます。
しかし署名捺印がある場合は、内容に合意していたとみなされますので気をつけましょう。
万が一訴訟トラブルになった時に、署名捺印の有無は重要な争点になりますので、事前に内容を理解した上で署名捺印をすることが大切です。
会社が雇用契約書を新たに作る場合、雛形があると頼もしいです。
参考:WORDでそのまま使える人事労務管理基本書式集 | 伊藤社労士事務所
現代では、無料で使える雇用契約書の雛形がインターネット上にアップロードされています。もちろん厚生労働省の様式例を使うことも可能です。
ただし、運用前に内容をチェックすることは必要と言えます。
もし不安があるならば、弁護士に依頼をして内容を確認してもらうか正しい雇用契約書を作成してもらう方法がおすすめです。
プロの法律家に依頼をすることで、安心して使うことができます。
おさらいすると、雇用契約書は働く上での基本ルールを明確に定めた書類です。
締結することで、使用者も労働者も気持ちよく働くことができます。
雇用契約書は会社と社員の目標ベクトルを合わせる第一歩。雇用契約書によって下地が整えられていると、例えば、OKRなどの全社的にベクトルを合わせて野心的な目標設定ができる仕組みの導入もスムーズです。
土台がしっかりしているので、プロジェクトに関わる全員でゴールを明確に定め、達成の計測を協力的に数値化できる可能性が高くなります。
生産性を高める上でも、入社時に雇用契約書を交わすことがおすすめです。
「OKRって聞いたことあるけど、詳しくはわからないかも…」と思っている方は「OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを紹介」をご一読ください。
雇用契約書は法的に交付の義務がある書類ではありませんが、交わしておくと万が一の労働トラブルを避けられるので安心です。
もし用意をしていないなら、使用者は早めに作成を済ませておきましょう。
労働者は署名捺印をする前にしっかり内容を読み込んで内容を理解することが大切です。
お互いに労働条件に合意した証拠を書面で残すことで、よりスムーズに仕事に取り組めるようになります。
OKRを導入する上でも、入社時に雇用契約書を交わしていた方が効率的です。
雛形はインターネット上に無料で用意されていますが、正しい雇用契約書を作りたいなら、弁護士などに相談しながら作成することをおすすめします。
本記事を執筆したResilyはスタートアップから大企業まで幅広い組織で採用され始めている「OKR」を管理するツールを提供しています。
は、ぜひこちらの記事もご覧ください。59ページのOKR教科書という資料も記事内で無料で公開しています。登録なしでODFダウンロードすることもできますので、ぜひご活用ください。
⇒OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを紹介
雇用契約書がないとどうなりますか?違法ですか?
雇用契約書がなくても違法ではありません。「労働の対価として賃金を支払う」ことを雇う側と雇われ側が合意していれば雇用契約は成立するため、雇用契約書なしの口約束であっても問題はありません。一方で雇用契約書はトラブルから身を守るためにも作成した方が安全と言えるでしょう。本記事では雇用契約書がない場合の対処方法や雇用契約書に明示すべき項目を解説しています。ぜひご覧ください。
雇用契約書をもらうタイミングはいつがベストですか?
入社初日までに受け取ることがベストです。