2023.9.19
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昨今、「リフレクション」という手法が人材育成の分野において注目を集めています。
リフレクションは、経済産業省のHPの「社会人基礎力」の項を見る限りでは「振り返り」と訳されています。
「…能力を発揮するにあたって、自己を認識してリフレクション(振り返り)しながら、目的、学び、統合のバランスを図ることが、自らキャリアを切りひらいていく上で必要…」
経済産業省 -社会人基礎力- https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html
この「振り返り」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。この記事では以下のことについて分かりやすく説明していきます。
「リフレクション」と言われると普段聞き慣れず難しく感じるかもしれませんが、概要をつかむのは大変なことではありません。
まずはこの記事で、リフレクションを大まかに理解しましょう。
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リフレクション(英:reflection)は直訳すると「反射」または「熟考」を意味します。
日本では「リフレクション」という言葉はこのような場面で使われます。
カメラで言うならば、水面に反射した被写体をさし、看護の分野では「起こった現象の振り返り」、「現象に対する自分の行動への評価」という意味を指します。
今回は人材育成としての意味を深く掘り下げてみていきましょう。
人材育成におけるリフレクションの意味は、「仕事に対する『客観的』な振り返り」を意味します。「客観的」な振り返りとは、失敗してしまった時の感情や自責の念に左右されない、フラットな観点から見るということです。
次ではリフレクションと混同されがちな、
との違いについて、それぞれ解説しますね。
リフレクションと反省は客観的なものかどうか、という違いがあります。リフレクションは前述したとおり客観的な立場から起こった出来事を見つめ直します。一方、「反省」は主観的な立場から出来事を振り返り、次同じミスを起こさないように対策を考えるのです。
「反省」と「内省」の違いを明確にするために以下の例を見てみましょう。
出来事:スケジュールでダブルブッキングをした。
反省の思考:
「自分のミスのせいで取引先に迷惑をかけてしまった…。」
↓
「次同じミスをしないために、スケジュールをダブルチェックしよう。」
内省の思考:
「スケジュールミスをすると多方面に迷惑がかかってしまう。」
↓
「ミスをしないために、『やること』と『やめること』のアクションをリストアップしてみよう。」
このように思考のプロセスで考えると、反省は自分軸で考え、且つ感情が入っています。一方、内省は出来事を俯瞰して考えます。
次は「リフレクション」と「フィードバック」の違いを見ていきましょう。
リフレクションとフィードバックの違いは、誰が、誰の行動を評価するのか、にあります。
まずリフレクション は従業員あるいはチームが、自分あるいは自分たちの行動を振り返ります。一方のフィードバックは、評価する人とされる人は同じ人ではありません。
従業員が別の従業員の行動、例えば上司が部下の行動を評価するのです。
次ではリフレクションのメリットをご紹介します。
従業員がリフレクションをすることで、会社は以下の3つのメリットを得ることができます。
まず第1に、リフレクションは業務の改善につながります。振り返りによって自分の問題点や、伸ばすべきポイントが見つかるからです。起きたミスやインシデントに対してすぐにリフレクションができる従業員の成長スピードは早いでしょう。
物事を俯瞰して見る力と改善するスピードを各従業員が身につけられるならば、生産性は上がり、常に成長し続ける企業になります。
第2にリフレクションによって、従業員それぞれの自立性が高まります。リフレクションは、自分で自分の行動を振り返る行いであるため、常に自立性が養われます。
通常の会社では1on1などを通して個々人に「フィードバック」を与えていると思います。前述したように、「フィードバック」は一方的に評価されるため、自分で考えて改善する力はリフレクションに比べ劣るでしょう。
個々人が自発的に動くことで、会社全体の勢いも増します。
2のメリットに関連して、自立性を備えた従業員は会社の中でリーダーシップを発揮できるようになります。
リフレクションは、上司からのアドバイス受けるのではなく、個人の言動を客観的に振り返り、改善していく方法です。
リフレクションができる従業員は、客観的な思考力と全体を俯瞰する力が備わっているため、チームを牽引するリーダーに向いているというわけです。
リフレクションが得意な従業員がリーダーになるならば、チームメンバーのリフレクションの学びにも繋がるため、より強固な組織を築き上げることができるでしょう。
リフレクションの効果を理解できたところで、次はリフレクションを実践するためのフレームワークを学んでいきましょう。
今回紹介するフレームワークは3つです。
最初に紹介するフレームワークは、「Keep」・「 Problem」・「 Try」の頭文字を取った「KPT(ケプト)」です。
このフレームワークは仕事やチームプロジェクトの改善スピードを高めるのに有効な手段です。
KPT法は、以下の3つをリフレクションします。
KPT
ミーティング終了後、「結局何を次すれば良いだろう?」というようになったことがある方は少なくないと思います。そこでこのKPT法を使うことで、振り返るべき事、次に行う事が整理され次のアクションが明確になるのです。
また、個人のリフレクションの際にも出来事を俯瞰して考えられるようになります。まずは良かったことを見つけKeepすることを決意します。その次に今回の出来事の問題点(Problem)を探し、Tryするためのアクションプランを考えるのです。
チーム単位、個人単位にもすぐに使える有益なフレームワークと言えるでしょう。
次に紹介するフレームワークは「KDA法」です。先程のKPT法と似ていますが、大きく違う点は、振り返って「やめること」を決める手法だということです。
それぞれのポイントを見ていきましょう。
KDA
リフレクションをして振り返った時に、改善するために新しく何かを初めなければと考えてしまうことはよくあります。しかし、何かを始めることよりも大事なことは「やめること」です。
改善に改善を重ねた結果タスクがtoo muchになりすぎてしまったがために成果を挙げられなかったという人も多いでしょう。まずは失敗の原因を探り、その原因を作ってしまったアクションを今すぐやめる決意をしましょう。それから新しいことに挑戦するのです。
上記のような失敗の経験がある人には有効な手法と言えるでしょう。
最後に紹介するYWT法は「日本能率協会コンサルティング」で生み出された日本独自のリフレクションフレームワークです。
それぞれのポイントはとてもシンプルです。
YWT
過去の経験から学ぶためには上記の3つの点を振り返ることが大事です。プロジェクトの振り返りや、個人の業務の振り返りの際に使えるでしょう。
リフレクションをする際は、スピードも大事です。出来事があったら忘れないうちにすぐに取り掛かることが成長の鍵といえます。YWT法はシンプルゆえにスピード感を持ってリフレクションに取り組むことができます。
一般的にリフレクションは、以下4つの手順を踏んで行われます。
以下、例を交えてそれぞれの手順を簡単に解説します。
まずはじめに、リフレクションの対象となる経験をピックアップします。
例えば営業職の方がリフレクションをする場合には、「20社にメールで自社製品を売り込もうとしたが、10社にしかメールを送れなかった」と言った経験が挙げられます。
次に、ピックアップした経験をステップごとに分けます。例えば前述の経験は、以下のようなステップに分けることが可能です。
ステップはできるだけ細かく分けましょう。なぜならステップを細かく分けることで、具体的な問題点やよくできた点を見つけやすくなるためです。
第3の手順では、先ほどの手順で分解したステップそれぞれに対して、
を分析します。
前述の例では、
などと振り返ることができます。
最後に「できていたこと」と「できたかもしれないこと」を元に、業務の流れを再構築します。
前述の例では、
などが再構築の例として挙げられます。
リフレクションは、1回やって終わりではありません。リフレクションを継続的に行うことで、業務の継続的な改善が見込めます。
次では、リフレクションの効果を高める方法を紹介します。
従業員それぞれのリフレクションの効果を高める方法として、リフレクション・ミーティングが挙げられます。
リフレクション・ミーティングとは、各従業員の振り返りを発表する場のことです。
リフレクション・ミーティングによって、自己への内省をさらに深めることができます。
というのも自分の経験を話すためは言語化が必要であり、また他人と自分の比べることで、「自分だったらどうしただろうか」と考えることができるためです。
この記事では、まず人材育成におけるリフレクションとは、「自分のした仕事に対する客観的な振り返り」であると紹介しました。
リフレクションには、
人材育成におけるリフレクションは、以下のステップを踏んで進めるのがおすすめです。
最後にリフレクションの効果をより高める方法として、従業員間でリフレクションの内容を発表する「リフレクション・ミーティング」をご紹介しました。
リフレクションを習慣的に行うことで、従業員の自発的な成長が見込めます。まずは日々の業務のどこにリフレクションのための時間を作り出せるか、検討してみてはいかがでしょうか。
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