2021.11.26
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特にマーケティングに携わっている人であれば、KGIやKPI、KFSなどの言葉を必ず耳にしたことがあるでしょう。
この記事では、KGI(Key Goal Indicator)KPI(Key Performance Indicator)の違いと設定のコツを解説します。
KGIやKPIはいかにもMBA出身者が使いそうな略語で、理解するのが難しそうですが概要をつかむだけなら簡単です。
まずはこの記事で、KGIとKPIの違いを大まかに理解しましょう。
企業における目標管理の概念の中では、GoogleやFacebookなどで採用されているOKRも有力です。もし気になる方は、こちらにまとめ記事がありますのでぜひご覧ください。
具体的な導入方法から運用のコツ、人事評価制度との連携についてまとめています。
OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを導入事例を交えて紹介。KPIやMBOとの違いも解説
KGIとKPIは似た言葉だけに意味も混同されがちです。これらは全く別物であり、しっかりと区別して使い分けることで、その本質を理解し正しく活用することができるでしょう。
まずはそれぞれの言葉の定義と意味を理解し、最後に違いを解説していきます。
そもそもKGIとは何の略でしょうか。これは “Key Goal Indicator” の頭文字を取った言葉で、日本語では「重要目標達成指標」「重要目標達成指数」「経営目標達成指標」などと訳されます。これは、チームや組織、企業や個人が何らかの目標を目指して行動する上で、実際にその目的が達成されているかどうかを推し量るためのものであり、それがKGIなのです。
例えば、年間の売上が3,000万円の小売店があったとして、「来年は売上を30%アップする」という目標を立てた場合、この目標である「売上30%アップ」の達成度合いを可視化するために用いられるのがKGIなのです。簡単に言ってしまえば、KGIは「最終目標」なのです。成約数や売上高、利益率などがこれに当たります。目標の達成度合いを客観的に測るためにKGIを設定し、KGIが示す数値を確認することで、その数値に達したかどうかで目標達成の判断をすることができます。
KPIとは “Key Performance Indicator” の頭文字を取った言葉で、日本語に訳すと「重要業績評価指標」となります。これは、事業目標を達成するために行うべきプロセスが、適切に実施されているかどうかを数値化して評価するためのものです。
例えば「売上N%UP」を目標に立てた場合、営業部門のKPIは以下になります。
これらのKPIを達成することができれば、自ずと売上高などの組織や個人の目標も達成することができます。つまり、日々の業務の中で、達成度合いを具体的に数値化することにより、目標に対しての現在の進捗度がわかるようにするための指標がKPIなのです。
KGI・KPIのそれぞれの意味を理解してきました。
違いをまとめてみると、
となります。
イメージとしてはまず KGIという最終目標があり、その下にその最終目標を達成するためのKPIがあるというかたちになります。まずは、KGIを設定し、その目標を達成するためのKPIを設定していくというのが通常の流れです。
KGI・KPIとCSF/KFS、どれも目標にまつわる言葉ですが、目標との関係が違います。
まず前述のとおり、KGI・KPIは目標そのものであり、かつ目標の達成度を測る目印です。
一方でCSF/KFS (Critical Success Factor/Key Factor for Success)は、主要成功要因(重要成功要因)と訳されており、目標達成のために最も重点的に取り組むべき活動や課題の事を意味します。
いったん整理しましょう。
まずはKGI(重要目標達成指標)を決めます。
次にKGIを達成するのに必要なKPI(重要業績評価指標)を定めます。
そしてKPIを高める為に力を入れる活動を決めます。これがCSF/KFS (主要成功要因)です。
具体例で解説すると更に分かりやすくなるでしょう。
例えば、あるレストランがもっと稼ぎたいと思ったとします。
この時、最初にレストランのKGIを決めます。
もっと稼ぎたいのだったら、いくら稼ぎたいのか?
売り上げでいくら、粗利益でいくら、といった具合に数値化します。
次に数値化された目標を達成するためにKPIを決めます。
売り上げ100万円、粗利益40万円を目指すのなら、顧客単価は5,000円で月に200人来てもらう必要があり、料理にかける原価は一人当たり3,000円という事になります。
※ここでは簡単に解説するため、従業員の給料や家賃などは考慮せず単純化しています。
顧客単価や原価、来客数といった細分化された数値がKPIです。
次にKPIを達成するために必要な活動を決めます。
やりようはいくらでもありますが、重要なのはもっとも効果的に目標を達成できる活動です。
CSFはいくつも決めるのではなく、コレ!と決めた一つに絞ります。
ここで必要となるのがCSF分析です。
レストランが常にお客さんであふれているのなら、CSFはチラシやイベントではありません。
出来るだけ売り上げと粗利益が見込めるメニューを提供したり、原価を下げる事を考えるべきです。
逆にレストランの客数が少ないのなら原価やメニュー単価アップよりも、集客をCSFとすべきでしょう。
このようにKGI・KPI・CSFは有機的に結びついています。
3文字の略語だとイメージしづらいかと思いますが、このように順を追って実例に当てはめれば定義を理解するのは難しい事ではありません。
むしろ慣れれば意味が圧縮されているので、意思決定が速くなります。
KGIとKPIを設定するメリットは、以下の3つです。
KGI・KPIを設定する1つ目のメリットは、それぞれの事業の進捗状況を把握しやすくなるということです。KGIとKPIは、全て数字で表すことのできる項目や期限を設けるため、主観が入る余地はほぼありません。KGIは、進捗を客観的に把握するためのものなのです。数値で計るため、進捗状況や達成状況を客観的に管理しやすくなります。例えば、売上目標200万円というKGIに対して、現在の売上が150万円だった場合、150万円という売上が多いか少ないかではなく、現在の目標達成率が75%とということが、客観的に明確に可視化されるので、KGIに対して事業がうまく回っているのかを把握することができるのです。KPIも、4つ指標を立てて、其内2つが達成出来たのなら現状の達成率が50%であることが客観的にわかります。
このように、進捗状況を数値で把握することで、場合によっては、施策や事業の見直しを行うなど、正しい経営判断も行うことができるようになるのです。
KGI・KPIを設定する2つ目のメリットは、最終目標と中間指標を設定することで、達成するまでにやるべきタスクが明確にできるということです。最終目標がなければ、事業をどのように進めていくのか、日々の業務で何をどれくらいすれば良いのかがわかりません。また、最終目標を定めても、その達成となる指標がなければ達成のイメージも湧きません。KGIを設定し、そこから逆算的にKPIを割り出すことで、日々の業務の中で何を優先しなければならないかが自ずと見えてくるのです。
やみくもに目の前のタスクをこなすのではなく、効率的に働くことができれば従業員のストレスとプレッシャーも緩和されるでしょう。
KGI・KPIを設定する3つ目のメリットは、組織のモチベーションアップです。KGIとKPIの達成すべき目標をグループ全体で共有することにより、組織全体のモチベーションが上がり、業務の生産性の向上に繋がります。会社の目標に向けての業務プロセスの中で何か問題が発生した場合でも、すぐに全体で共有することができます。またその課題に対して、従業員全体で解決に向けて取り組むことができるので、結束力を高めることもできます。
また、組織レベルではなく、個人レベルでのKGIも設定することで、個人個人に目標をもたせモチーベーションを保つことも可能です。個人としても目標がなければ業務にやりがいを感じることができなくなり、モチベーションを失ってしまう恐れがあります。また、適切な評価が為されているのかという点においても不安になってしまう可能性があります。全体の目標を共有し、個人レベルでも目標を持ってもらうことで、モチベーション維持にも繋がり、適切な評価を行うことでの信頼関係にも繋がるのです。
KGI・KPIを設定する4つ目のメリットは、評価基準を統一できるということです。KGI・KPIは量的な数値を用います。明確な数値を用いることで、公正な評価基準を作ることができるのです。例えば、単純な話売上目標が1000万円だとして、もし売上が1000万円に到達すれば、それは目標達成になりますし、もし到達しなければ、それは目標が達成できなかったということになります。明確な数値を目標にすることで、誰が見ても納得のいく評価基準を設けることができるのです。
これは個人の目標に対しても同じことが言えます。明確な数字が目標となるので、従業員も納得のいく公平な評価を下すことができるのです。
KGIとKPIは、以下の3ステップで設定されます。
以下にレストランを例にして、それぞれのステップをご紹介します。
まずステップ1つ目は、KGIを1つ決めることです。
一度に決めるKGIは1つだけなくてはなりません。なぜなら、KGIを何個も決めると方向性がぶれるためです。
売り上げを上げたいのか、常連客(リピーター)を増やしたいのか、もっと効率的に利益を出したいのか?
雑念をそぎ落として明確化し、売り上げなど数値化可能なものを設定しましょう。
KPIツリーとは1つのKGIと、KGIから導かれた複数のKPIをツリー状に図に表したものです。
前述の利益N%アップを例にKPIを考えてみましょう。
まず利益は、売上から経費を引いたものです。つまり「利益 = 売上 - 経費」です。そして売上は、「売上 = 来客数 × 客単価」と表されます。
したがって以下の3つが利益拡大につながる、つまりKPIである、とわかります。
前述のKPIを定量化させたものが、以下になります。
これらのKPIを達成することが、KGIの達成につながります。
ここではKGIとKPIの導入事例として、トヨタ紡織株式会社とサイバーエージェントの例を紹介します。
トヨタ紡織株式会社は、働き方改革に関してKPIを設定しています。
以下3つはその一例です。
トヨタ紡織株式会社のKPIに関して、詳しくは以下を参照してください。
【参照】日本経済団体連合会『働き方改革アクションプラン』
サイバーエージェントは、マーチングサービス「タップル」に関して、KPI間の関係を整理しています。
売上増加のために課金率をあげようとした結果、無課金ユーザーが離脱し、UUが減ってしまった経験があるためです。
UU:ユニークユーザー、一定期間中にサイトを訪問した人の数。
つまりKPIの達成が、そのままKGIの達成につながるとは限らない、と言えます。
KPI間の関係を整理する方法として、サイバーエージェントは構造方程式モデリングを使っています。
構造方程式モデリングとは、現象間の因果関係を推測することです。
サイバーエージェントの事例について、詳しくは以下をご一読ください。
【参照】サイバーエージェント『マッチングサービスにおけるKPIの話』
ここでは、KPI・KGI設定のポイントとして、以下の3つを紹介します。
Smartの法則とは、以下の5つの基準に基づいた目標の立て方です。
これら5点に注意すれば、目標を具体化させることができます。それぞれの詳しい意味は以下です。
KGI・KPIはできるだけ明確にわかりやすくすることが大事です。従業員全員が完全に理解できるレベルまで落とし込みましょう。そうすることで、個人個人も的確に動くことができます。
目標を達成できるまでの明確な道筋や課題点など、誰でもフィードバックをできるぐらいの測定可能なKGIとKPIを設定しましょう。
最終的な目標を考えた時に、それが達成できるまでのプロセスをしっかりとイメージができ、モチベーションをキープしたまま目標達成に向かっていけるKGI・KPI設定を意識しましょう。
KGIとKPIは必ず相互関係していなければなりません。KPIを一つ達成するごとに、KGI達成に近づいているというイメージを持てることが重要です。KPIを達成したにも関わらず、目標達成に近づいているイメージが持てなければ、モチベーションも下がってしまいますし、KPI設定の見直しが必要な可能性もあります。必ずKGIとKPIが関連した目標・指標設定を行いましょう。
目標達成にはある程度の期限が必要です。期限を設けない目標ではほとんどの場合、その時々の緊急案件により先送りにされ、いつまで経っても達成がされません。もちろんKPI、KGIともに設定するだけでは意味がないので、しっかりと期限を設けた上で設定することを心がけましょう。
進捗管理を仕組み化することで、正確に進捗を把握できます。
仕組みの例としては、例えばKPIに関する共有ファイルを用意するのがおすすめです。
結果指標だけを考えても、改善は難しいです。
自社でコントロールできるプロセス指標もあわせて考えることで、改善をしやすくなります。
ここではKGI・KPIの作成や管理に役立つツールとして下記の3つを紹介します。
ツール1つ目は、Microsoft社が提供する表計算ソフト、Excelです。
ExcelのSmartArt機能によって、ツリー状の図を簡単に作成できます。
ツール2つ目はSimpleKPI社が提供するKPIダッシュボードサービス、SimpleKPIです。
ダッシュボードによって、KPIをリアルタイムで分析できます。以下の4つを無制限で作成できるのが特徴です。
ツール3つ目は、フロンティアビジョン株式会社が提供するKGI・CSF・KPIのマネジメントツール、MIERUです。
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この記事では、KGIとKPIの違いをご紹介しました。KGIは最終目標で、KPIは目標を達成する上で押さえたいポイントです。
つまりKGIの前段階にあるのが、KPIなのです。
KGI・KPIを設定することで、目標達成につながる業務を優先的に進めることができます。
まずは具体的なKGIを設定してみましょう。
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