2021.6.10
2019年7月25日(木)「デジタル促進でイノベーションを!新規事業を生み出すOKR運用法」と題し、日本経済新聞社(デジタル事業 デジタル編成ユニット CPO室 プロダクトマネージャー 武市 大志様)、Sansan株式会社(執行役員/CHRO(Chief Human Resources Officer)/人事部 部長)にお越しいただき、どのような目的でOKRを導入し、運用上どのような課題を抱えているかを共有いただきました。
(※役職は登壇日時点)
前編では、OKR導入事例のご紹介およびパネルディスカッションの内容についてご紹介いたしました。
>>前編:OKR導入事例のご紹介、パネルディスカッション〜はこちら
後編では、会場に参加された方からお二方への質問を募集しそれに回答頂く形式で行いました。その質問と回答をご紹介いたします。
(ファシリテーター:Resily株式会社 取締役 西川 哲郎)
Sansan株式会社 大間様(以下、大間):弊社では基本的に個人OKRが無い中で数値目標を追っていて、それがMBOっぽくなっていると思うんですよね。ただ考えてみると、OKRってOとKRに分かれていてKRは定量が入ってくるので、KRだけ追っているとMBOとほぼ一緒なんですよ。
ですから、OKRにおいては「何のためにこの数字を追うのか」と、意味付けされていることがけっこう重要かなと思っています。
大間:変わってきますね。
例えば、社員から「なんでこの目標設定なんですか?」という質問があると思います。
このような質問が出てくるのは、ふだん仕事をしていて「自分の仕事が何につながっているか」が見えていないからです。自分の仕事が何につながっているか、という意味付けがあるだけでだいぶ違うと思うんですよね。
OKRを運用することで、上司があえて言わなくてもそれが意味付けされているというのは、とても重要だと思います。
大間:OKRの前はMBOで、まさしく数字に向き合っている感じだったんですね。
以前は上から数字だけが落ちてきても、古株のメンバーであれば「なぜそれをやらなきゃいけないのか」ということを説明しなくても阿吽の呼吸でわかるというか説明は不要でした。ただ会社の規模が大きくなってくると、会社の意向や数字に対して説明をする場面も増えてくると思います。それは過去の経緯をしらない新しいメンバーからすると当然かもしれませんが。
OKRを導入することで、そのような部分に対しての説明コストがかなり低くなりましたね。
今やってることに「どう意義を持たせるか」ということにおいて、マネジメントは説明コストが下がる分楽になるんじゃないでしょうか。
日本経済新聞社 武市様(以下、武市):各チームでKPT(※注)をやってもらってるのでアンケートに近いことをしていると思います。
最初はネガティブな反応もありましたが、OKR導入時は特にキーパーソンなどにはマンツーマンで具体的に説明し丁寧にやりました(※Q6参照)。
※注:KPTとは、これまでの仕事や活動内容を
の順に検討し、今後のアクションを決める手法のこと。
大間:グループメンバー間は1on1の中ですり合わせをします。基本的には定量目標を達成するためのOKRなので、まずはそこを見ますね。
経営も同じで、そのカンパニーで掲げたOKRのOの下にKRがありますので、数字をチェックしたりしながらOKRの話をします。
評価のしやすさからも、KRをいかに定性ではなく定量にするかがキーだと思いますね。
武市:もちろんOKRに抵抗感がある人もいて、そこには繰り返し「OKRはあくまで課題解決の手段の一つ」として伝えました。
現状こういう課題があって、OKRなら解決できるかもしれない、「代替案が無いんだったらOKRやってみましょうよ」という感じで伝えましたね。
また、関連するチームごとに「OKRをなぜ入れたいのか」が伝わる資料を作って説明してまわりました。キーパーソンや詳しい説明が必要な人などにはマンツーマンでも説明してフィードバックをもらうなど1ヶ月くらいかけてかなり丁寧にやりました。
武市:チームのプロダクトマネジャーに対してははっきりと「チームのOKRを設定して、週1でチームでMTGをやるとかして、KRを進めてほしい」と言っているので、まったくそれをやらないという事態は起きていませんね。
ただOKRの設定の仕方であるとか、進め方とかは適宜フォローして一緒にやったりしています。OKRって「設定して終わる」というのがありがちな罠だと聞いていたので、それだけは陥らないようにしようと思っていますね。
大間:弊社はOKRが文化として根付いている方だと思いますが、ただ「こうなったらいいな的なOKR」を立てると動かない時はありますね。
基本的に動かなかったOKRは優先度が低いということなので、そこにアテンションを張るな、ということなんですよね。リソースがもったいないので、「動かないOKRは次の期はやるな」と判断します。
大間:選んだ1番の理由は堀江さんが弊社Sansanの出身だからですね。(笑)
ただ、彼は当社でOKRに対してとてもバリューを感じて、「OKRを推進するこのプロダクトで独立するのだ」と強く言っていて、OKRがあったことで事業および、自身の成長があったことを明確に言える人物です。
加えて彼は開発部門などでプロジェクトマネジャーもやっていましたので、「価値あるOKRの運用が何か」を知っています。なので、「どのように運営すれば一番効果的なのか」というアドバイスがもらえることも含めて大きかったですね。
武市:弊社は元グーグルの及川さんからの紹介ということがありますね。
Resilyさんからは、導入にあたってツールだけではなく事前に何回もアドバイスをいただいていて、ツールとコンサルティングのセットで見てもらっている感じですね。
大間:期の始まりにおいては、全社OKRならびに部のOKRまでは決まっていますね。そこからグループのOKRが決まるまでに、2週間かからないくらいです。
武市:上位のレイヤーに関しては、各チームに落とし込む前までに決めるよう心がけていて、前倒しでやるようにしてますが1〜2週間ぐらいかかります。そこから各チームにOKRを決めてもらうのに1〜2週間くらいかかりますね。
これが結構しんどくて、全体で最大4週間かかるものを3ヶ月に1回やらなくてはいけない。「そこまで時間を割くものなの?」という声も出ていますので、そこはやり方をもっと工夫していこうと考えています。
1年の中の3ヶ月と位置付けると「6ヶ月後はこんなことやるんだろうな」というのがある程度見えてくると思うので、あとは調整するぐらいでいいのでは、と考えていますね。
大間:3ヶ月で回すがいいのではないかと思います。弊社などもそうなんですけど、3ヶ月の中でOKRが都度変更されることがあるんですね。なので、スピード感を持って事業をドライブしていくには3ヶ月で回していくのがいいと思います。
武市:僕も同じことを思っていますね。及川さんからも同じことを言われたんですが、ストレッチな目標を達成するには、ある程度厳しい条件(3ヶ月という期間)でないとムーンショットは生まれないんじゃないか、ということです。
西川:自分もいろんなお客様を見てきていますが、やはりベースは3ヶ月だと思います。組織の上の方になってカンパニーレベルであれば1年とかでもいいと思うんですが、基本は3ヶ月でいいと思いますね。
武市:僕はWebの仕事につく前にインディーズでバンドをやっていたんですね。今振り返ると「あの時にOKRがあったら違ったんじゃないか」と思うんですね。
というのは、なんとなくObjectiveとして「スターになりたい」というのがあるとするじゃないですか。でもそのために何を達成しなければいけないかというのは曖昧で、当時の僕は路上ライブばかりやっていたんですが、それって手段から入ってしまっているんですね。それが本当にスターへの階段につながるかって、ものすごく曖昧だったんですよ。
なので、そんなバンドマンでさえもOKRは有用であったと思うので、基本的にはどの会社もトライすべきなんじゃないかと思います。
大間:運用ができるという前提で言うと、絶対にやったほうがいいと思いました。
どの会社もやっている事業には意味があって、でも中には意味を見出せなくなっているけど、売上も立っているからまあいいか、というものもあると思っていて。
ただそこに意味を宿すのは自分たちです。
「何のためにやるのか」をちゃんと設定するのがOKRだとしたら、それは絶対にやったほうがいいと思います。
大間:最初はトップダウンで引っ張って、意義を感じてもらうところまでやっていかないと難しいと思います。
なので
ことが重要だと思いますね。
武市:本当にその通りだと思います。なんでOKRを導入するのかについては、「こんな課題があって、それを解決できそうだから今やるんです。」というのを全員に理解してもらわないといけないんですね。だからすごく丁寧に説明していったほうがいいと思いますね。
あと、ある程度は実施の期間を決めておいてもいいと思いますね。
「とりあえず少しの期間だけやってみようよ」「やりながらフィードバックちょうだいよ」と、そうやって引っ張っていく人が重要だと思いますね。
ここまで、OKR導入や運用への質問に対して、日本経済新聞社の武市様とSansan株式会社の大間様にお答えいただきました。
武市様のお話にもあった通り、OKRは企業だけでなく様々な規模の取り組みに応用できる柔軟さがあります。
初めての導入は不安があると思いますが、まずは3ヶ月の運用をベースにして導入準備を進めていきましょう!
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