2021.8.1
グローバル社会と言われて久しい昨今、グローバルビジネスの環境下において、日本企業も「人材育成」の重要性を見直し始めています。
そもそも人材育成とは一体何なのでしょうか。
今回この記事では人材育成の意味、目的についてを紹介していきます。
目次
ビジネスにおいて、人材育成とは「会社の経営戦略の実現のために貢献をできる人材を育てること」です。主体性を持ち、自ら行動のできる自立した大人としてのスキル向上に重きを置いています。なので、単に仕事ができる人間を育成するための学習や訓練を行うこととは異なったものなのです。
会社に貢献できる人材を育てることが目標なので、会社の将来的な目標も見据え、状況に合わせて能力をしっかりと発揮できる人材と会社の目標をリンクさせて考える必要があります。この2つをうまく結びつけることによって、「会社自体の業績向上」と「社員の働きがい向上」の好循環を生むことができるのです。
前述したように、人材育成は単に訓練や教育といった限られたものだけでなく、自立性や主体性を持った人としてのスキルアップを目指すとともに、企業の業績向上と個人の能力の発揮の統合を目指すものなのです。
人材育成と似たかたちで使われる言葉に、「人材開発」と「能力開発」といったものがありますが、「人材開発」は、全社員を対象に、スキルや能力を引き出し、個人のパフォーマンスを最大化することで、組織全体の組織力を高めていくことを目的としています。「能力開発」も同様に、それぞれの潜在的能力を引き出し定着させることを目的としています。「人材開発」と「能力開発」は非常に似た意味で使用されるのです。
一方で、「人材育成」は、役職や社歴などに分けて、その時々で求められるスキルや能力を身に付けて、個人のキャリア形成やスキルアップを目的としている場合が多いようです。
どの言葉も非常に似た意味で使われますが、「育成」は、教えること、教育を意味し、「開発」は、新たなスキルの発掘し実用化するという意味を持っているのです。
では、そもそもなぜ企業にとって人材育成は必要なのでしょうか。ここでは、人材育成のメリットを踏まえながら、人材育成の目的について考えてみたいと思います。
企業が人材育成を行う1つ目の目的として、「事業に貢献できる人材を育成する」ということが挙げられます。人材育成は、短期的なスパンのみで考えるものではなく、長期的な視野が大切になってきます。5年後、10年後、企業が成長していくために、どのような人材配置を行い、どのような戦略を立て実行していくのかが非常に重要です。それを実現するためには、当たり前ですが、従業員の育成に力を注ぐことが必要です。企業のミッションや理念に従業員が賛同し、モチベーションをキープした上で日々の業務に取り組むことができれば、PDCAのサイクルがより円滑になり、新たなビジネスプランの創出なども期待することができるようになります。
現在は、経済環境が今まで以上に複雑化しており、予測不能な事態がいつでも起こり得る、いわゆるVUCA(ブーカ)の時代です。まさに今発生しているコロナウイルス感染症を筆頭に、テクノロジーの進化など、社会情勢や経済環境は目まぐるしく変化をしています。そのような状況の中で企業が生き残っていくためには、予測が難しいビジネス環境の中でも、そのような状況に柔軟に対応ができ、かつスピーディーな判断ができることが求められます。その時々の経済状況を見てしっかりと判断をし、自ら考え行動できる人材が必要と言えます。
先行きの見えない時代においては、社員一人ひとりの生産性の向上が重要です。社員の生産性の向上は、そのまま企業の生産性の向上に繋がります。業務を効率よくカットし、新たなサービスや企画立案に時間を費やすことができるようになれば、より事業を活性化することができます。さらに、2019年から「働き方改革」も施行されており、より社員一人ひとりの生産性の向上力を上げるための人材育成が注目されています。
日本は現在少子高齢が年々加速しており、深刻な人材不足が社会問題となっています。その上で、さらに優秀な経験やスキルを持つ人材を見つけることは非常に困難です。なんとかそのような人材を見つけたとしても、企業側がしっかりとして成長機会を与えなければ、その企業にいる必要性に疑問を感じ、退職してしまう恐れも高くなります。社員の退職は、ノウハウの流出や新たな採用へのコストの面などを考えるとできる限り避けたいものです。そういった状況を防ぐためにも、企業側はじっかりとした人材育成システムを準備しておくことが重要です。
実際に人材育成を進めるとなった場合、どのような人材を目指すべきなのかという目標設定が非常に大切です。目標がなければ、人材育成の方針を決めることができません。
また、人事管理側としては、なぜ人材育成において目標設定が大切なのかということをしっかりと理解しておく必要があります。
ここでは、人材育成における目標設定の意味について簡単に説明します。
日頃の業務の中では、時に辛いことがあったり退屈だと感じてしまうことがあったりするのは当然のことです。そのような場合に大事なのが目標です。目標がなければ、ただ毎日の業務をこなすだけになってしまい、社員の成長は望めません。上司とともに目標設定をすることで、自分が何をするべきなのか、なぜその業務を行っているのかを理解することができ、モチベーションのキープに繋がります。
人材育成において、社員の評価を定量的に行うことは非常に難しいことです。しかし、あらかじめ目標を設定していれば、その目標の達成度合いに応じてより正当に社員の評価を行うことができます。その評価が一つの判断材料となり、社員がどれだけ成長しているのかを客観的に見ることができます。大きな目標を達成すればするほど、その人も大きく成長したと言えることができるでしょう。
会社には必ず会社としての目標があるはずです。会社というのはもちろんそこに属する社員で成り立っているので、社員の成長、努力なくして会社の成長はありえません。会社としての目標を基に、個人レベルの目標に落とし込むことで、個人の目標の集合体が結果として会社全体の目標へと繋がることになります。このかたちができていれば、個人の目標達成が、そのまま会社の目標達成へと繋がるのです。
人材育成における目標設定の意味について簡単に説明しましたが、ではいざ目標を設定するとなった場合何を気をつければ良いのでしょうか。目標は、社員一人ひとりが好き勝手に設定すれば良いものではありません。人材育成に繋がる目標を設定するために気をつけなければいけない4つのポイントについて見てみましょう。
目標が抽象的になってしまうと、具体的にどのようなアクションを起こせば良いのかが見えてきません。結果、目標達成どころか、日々の業務の意味も曖昧なものになってしまう恐れがあります。目標設定をする際は、達成目標を明確なものにし、どのような行動をするのかも同様に明確にしておくことが大事です。さらに目標の中に具体的な数値が含まれているとなお良いでしょう。
高い目標を設定することは素晴らしいことですが、どのような努力をしても現実的に達成不可能な目標設定では意味がありません。あまりに高すぎる目標では、途中で社員が挫折してしまい、モチベーションの低下に繋がります。努力と工夫をすることで達成可能な目標を設定するようにしましょう。
目標設定を行う目的は、人材育成ももちろんのことですが、その成長に関して適切な評価を下すということも大切な点です。そのため、目標の達成度合いを定量的に評価できなければなりません。定量的な評価を行うためにも、目標の中には、具体的な数値や、達成すべき明確な事項を含むようにしましょう。
期日がないと、どうしてもだらだらと先延ばしにしてしまうのが人の常です。いつまでにやらなければならないという明確な期日を設定することで、行動を起こすことができます。目標設定をする際は、明確な期日を盛り込むようにしましょう。
人材育成において目標設定が非常に大事だということがわかったところで、最後にいくつかの業種に合わせて、目標例をご紹介したいと思います。
営業はそれぞれ個人目標を持っていたり、チーム目標を追いかけていることが大半です。それらと個人のキャリアデザインをどのように組み合わせるかが重要です。
マーケティング職はマスメディアやWeb広告、オウンドメディアといった様々な媒体を用いて、認知・集客を行うことが主な業務内容です。そのため、個人のキャリアデザインも多岐に渡る可能性があり、企業の成長と関連づけることが難しい職種かもしれません。
人事の仕事は有能な人材を採用することに他なりません。有能かつ企業理念とのマッチ度なども考える必要があるため、短期間での目標設定が難しい場合が多いです。そのため、短期間で設定できる目標と、長期間で見る目標を振り分けておく必要があります。
人材育成を成功をさせるためには、まずは人材育成の目的を明確にすること、そしてそれと同時に、企業が直面している課題や目標も明確にすることが重要です。そこが明確となったきめ細かな人材育成システムは、社員のキャリアアップを促進し、結果企業全体の成長へと繋がるのです。
OKRを1つのツールに
まとめて運用しましょう
製品資料のダウンロードはこちら
お問い合わせ・導入のご相談はこちら