2021.10.20
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「相対評価とはどういう意味だろう。」「相対評価と絶対評価の違いが分からない。」
と思っている方。
今回この記事では相対評価の意味とメリットなどについて分かりやすく解説していきます。
<目次>
上記を理解して人事評価に取り入れていきましょう。
相対評価とは、個人の能力や成績を、集団内での他者と比較をし、相対的な位置を明らかにする評価方法で、集団準拠型の評価方法とも言われます。個人の特性や経験年数などが加味されることはほとんどなく、集団の中で相対的に優劣をつけて評価が下されます。相対評価では、あらかじめランクによって人数の割合が決められており、評価によって上位順にランクが割り振られます。例えば、S評価は5人、A評価は7人、B評価は10人のように、どの評価に何人が振り分けられるかが決められており、成績の良い順に良い評価が与えられます。
このことからわかるように、相対評価の大きな特徴は、属する集団のレベルのよって、自分の評価が大きく変わるというところにあります。仮に、まったく同じ点数を得たとして、属している集団によって、評価が変わります。相対評価の場合は、自分より点数が高い人が多ければ、評価は低くなり、逆に自分より点数が低い人がいれば評価は高くなります。スポーツ大会など、基本的に上位順にランクが付けられる評価方法も、相対評価です。企業の場合も同じで、優秀な人が多ければ多いほど、自分の評価を上げることが難しくなっていくということになります。
相対評価は、バランスよく評価を分布できるので、従来の日本では広く使われてきた評価制度です。しかし、近年は個人の成長により目を向けるべきだという声が高まり、次で述べる「絶対評価」にも注目が集まってきています。
「相対評価」と対になる評価方法として、「絶対評価」というものがあります。相対評価については簡単に上述しましたが、絶対評価とは、個人の能力に応じてそれぞれが評価される評価方法です。
絶対評価の場合、自分の努力や業績がそのまま評価に結びつくので、社員のモチベーション向上に繋がりやすいです。また、実力がそのまま評価に結びつくため、逆に実力にそぐわない評価が下されることがありません。よって、第三者からの評価への信頼度が増すことになります。しかしながら、絶対評価の場合は、評価に対しての報酬や特典の量が予想しにくいという問題点があります。また、評価の基準を個人個人に合わせて設定するために、評価基準の設定が非常に複雑で難しいものになりやすいです。明確な基準を設けるのが困難なため、評価者によって、評価のばらつきも起こりやすいとも言えます。その分、評価者の責任は大きくなります。
相対評価と絶対評価は表裏一体の評価方法で、それぞれ異なった特徴があります。その違いを明確に理解し、自分の企業に合った評価方法を見極め導入する必要があります。
すでにここまでで、相対評価についていくつかポイントを挙げていますが、相対評価にはメリット・デメリットがあります。もちろん対となる絶対評価にもメリット・デメリットは存在します。
ここでは、相対評価のメリット・デメリットをいくつか挙げ、相対評価への理解をより深めたいと思います。
まず最初のメリットは、評価者にとって評価をする作業が比較的簡単ということが言えます。集団の中でメンバーを比較して、順位を付けていくのであまり細かい検証なども必要ではありません。さらに、明確な評価基準を設ける必要もないので、導入する前の準備時間もほとんどかかりません。絶対評価の場合は、個人に合わせて評価基準を決めなければならないので、かなりの労力が必要とされます。そのような重いタスクを削減できるので、相対評価は、評価者にとって非常にありがたい評価方法と言えるでしょう。
2つ目のメリットは、評価者の影響が少ないということです。特に、評価基準を設けるのが難しい職種の場合、評価者によって評価が大きく変わってしまう恐れがあります。人によっては甘くなり過ぎてしまったり、または逆に厳し過ぎてしまったりなどのリスクが、相対評価の場合はかなり少ないのが大きなメリットです。
最後のメリットは、まずは競争力の向上です。相対評価の場合、そのチームや集団内で順位付けをされるため、自ずとチームの中に競争意識が芽生えます。そのチームの中で上位にいけば、自然と評価も上がるので、より良い成績を出そうと努力するようになるのです。そのため、管理側が積極的に働きかけなくても、自動的にモチベーション向上やスキルアップを自発的に行うようになるのです。チーム内で競争心を持ち、お互いに切磋琢磨をする環境が生まれやすいのも、相対評価のメリットと言えるでしょう。
また、あらかじめ評価の割合が決まっているので、高評価か低評価に評価が偏ってしまう心配もありません。絶対評価の場合は、評価をある程度評価者がコントロールできてしまうため、そのような危険性を予防できるのは、管理側的にも非常に大きなメリットです。
相対評価による評価は、あくまでその集団内で決まるものです。これにより、例えばあるチーム内で非常に優れた評価を得ていたとしても、違う部署や職場に異動した際に、能力が全く足りていなく、著しく評価が落ちてしまうというケースはよくあることです。そのため、相対評価を導入している場合、人事異動等の判断が難しくなってしまいます。また、ある評価が下される人数があらかじめ決まっているので、もしほぼ同等の能力を持ち、同じような業績を残した社員が2人以上いる場合でも、その割合に沿った評価を下さなければなりません。この場合、もしその評価の分かれ目について問われた場合、相手を納得させる説明をするのは難しいでしょう。特に少人数チームの場合は、平均値がブレやすいので、適正な評価をつけるのはさらに難しくなります。
相対的に評価をするため、個人個人の成長が評価に反映されにくいというのもデメリットです。個人がいくら努力をしてスキルアップをしたとしても、周りが同様にスキルアップをしてしまえば、その人の評価が上がることはありません。むしろ、周りの努力次第では、どんどんと評価が下がってしまうケースも考えられるのです。そうなった場合、「なぜこんなに頑張っているに評価されないのだろう。」とモチベーションの低下は避けられず、企業への不満が溜まっていくことになってしまいます。また、全体の評価とチーム内の評価の乖離の恐れもあります。本当に優秀な能力を持ち合わせていながら、周りのチームメンバーの能力がそれ以上のために、適正な評価に結びつかないことも考えられるのです。
チーム内で競争意識が芽生えるのは、もちろんメリットでもありますが、一方でデメリットにもなり得ます。なぜなら、自分の評価を上げるために周りの足を故意的に引っ張るという選択肢が生まれてしまうからです。すでに何度も述べているように、相対評価では、周りの評価が下がれば、必然的に自分の評価が上がることになります。競争意識が芽生え煽られすぎると、チーム内での情報共有がうまくなされなかったり、アイディアがあっても、自分だけのものにするために、敢えて共有しないなど、チームよりも個人を優先するチーム体制ができてしまう危険性があるのです。
上述のように、相対評価にはメリット・デメリットが存在します。導入の仕方によっては、相対評価は社員の不満やモチベーション低下に繋がるため、導入の際は注意が必要です。ここでは、人事評価に相対評価を導入する際に気をつけたい最低限のポイント紹介します。
相対評価の場合、チームや集団内での分布によって評価が下されるので、それぞれ何%の割合で、どのような評価を下すのか基準を作る必要があります。なおかつ、その評価基準に達するものが、ある程度の実力を反映するものでなければなりません。しかし、相対評価の良いところは、一度基準を作ってしまえば、誰でも比較的簡単に評価ができるようになるという点です。逆を言えば、それだけ最初の基準作りが重要なものになってくるということです。長く会社として運用のできる厳密な評価基準を作るよう心がけましょう。
相対評価では、自分がいくら努力をして結果を出したとしても、周りがそれ以上に結果を出していた場合、評価に繋がるとは限らないため、その不透明性から、社員が会社や評価制度に対して不満を持ちやすいと言えます。また、仮に良い評価をもらったとしても、そのチーム内での自分の立ち位置は曖昧なままになってしまうことがほとんどです。社員にしっかりと納得してもらうために、その評価基準を明確に全体に公開するようにしましょう。そうすることで、社員のモチベーションを向上させ、会社への信頼にも繋げることができます。
相対評価は、数値での評価が難しいケースなどで使いやすい評価方法です。なぜなら、評価者による評価のばらつきが少ないためです。逆に、数値等で差が出るような場合には、相対評価よりも絶対評価のほうが向いている場合がほとんどです。よって、数値的な差が出るものに関しては絶対評価を用い、定員が決まっていたり、数値化が難しいような場合には相対評価を用いるなど、両方の評価方法をうまく使い分けることで、より公正な評価を下すことができる場合があるのです。
いかがでしたでしょうか?今回は、「相対評価」に焦点を充て、そのメリット・デメリット、運用する際のポイントについて解説しました。冒頭で述べたように、現在はより個人に目を向けるために、絶対評価を採用する企業が増えてきました。しかし、競争心を高めるなど、相対評価にしかないメリットもあり、上手く運用すれば会社全体の利益に繋がる向上心のある職場環境を生み出すことができます。自分の会社の社風や状況をしっかりと把握し、適切な評価システムを導入するようにしましょう。