組織の定義とは?目標や目的、良い組織を作るポイントを詳しく紹介しますBLOG

 2024.1.25

「組織がうまく機能できていない」

「良い組織づくりに必要なものは何?」

と考えていませんか?

会社やチームなどの組織では、全員が1つの目標に向かって任務を遂行することが重要です。

OKRMBOを使った目標管理を行う企業も多くなっています。しかし、正しく組織を運営しないと、チーム全体のパフォーマンスが下がり、目標の達成が困難になってしまいます。

そこで今回は、組織について以下のことを紹介します。

  • 組織が成り立つための要件
  • 組織の共通の目標や目的
  • 学問の観点で見る組織の定義
  • 組織作りで使用される構造の種類
  • 良い組織の作り方や共通点

この記事を読めば、良い組織の作り方を知ることができますので、ぜひ読んでみてください。

「組織」の定義とは

「組織」という言葉は、明確な定義が存在せず、学問やビジネスシーンによって意味が異なります。

広辞苑によると、組織は「ある目的を達成するために、分化した役割を持つ個人や下位集団から構成される集団」と定義されています。

会社で考えると、会社の目的を達成するために、個人がそれぞれの業務を遂行し、協力して仕事を行う集団を組織といえるでしょう。

ドラッカーが提唱する「組織論」について

組織について定義した人物として、経営学者のピーター・ドラッカーがいます。

ドラッカーは経営陣が組織を運営するうえで、以下の3つの役割が必要であると「組織論」で提唱しています。

役割概要
自らの組織に特有の目的と使命を果たす企業独自の商品やサービスを開発し、提供する
仕事を生産的なものにし、働く人たちに成果をあげさせる社員が働くことで生きがいを感じられるようにする
自らが社会に与えるインパクトを処理するとともに、社会的な貢献を行う社会活動はポジティブな面もあればネガティブな面もあり、ネガティブな影響を処理して社会に貢献する

この3つの役割を果たすことが、組織の役割としてドラッカーが定義しました。

組織が成り立つための3つの要素

組織について知っておくべき定義として、アメリカの経営学者であるチェスター・バーナードが提唱した「バーナードの定義」があります。

参考:バーナードの組織の3要素

バーナードの定義では、「組織とは、意識的に調整された2人、またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステムである。」と定義しています。

簡単に要約すると、「2人以上で何かをやろうする人たち」という意味です。

バーナードの定義で特に大事なのは、組織が成り立つための要素です。以下の3つの要素が組織に欠かせないので、それぞれ詳しく解説します。

  • 共通目的
  • 協働意思
  • 意思疎通

共通目的

まず1つ目の要件は、「共通目的」で、「組織目的」とも言われます。会社を例に挙げるとすれば、これは経営理念やビジョンが会社の共通目的にあたります。

共通目的は、組織をまとめるための目標となるような存在だと言えます。この共通目的が明確で、組織全体で共通認識を持っていれば、組織内のメンバーは1つの方向に向かって進んで行けます。

しかし、この共通目的が曖昧だったり明確でない場合、組織内でトラブルが発生してしまう可能性があります。共通目的は、社会に受け入れられるものであり、なおかつ市場で有効であることも重要です。市場で有効なものでなければ、企業は存続することができないからです。共通意識を持つことで、組織内だけでなく組織外からも支持を受けて、長く存続できる企業が生まれるのです。

OKRクラウドツール「Resily」で組織の目標を見える化した例

協働意思

2つ目の要件は「協働意思」です。協働意思は、別の言葉で貢献意欲とも呼ばれています。組織の中で一緒に働く上で、皆それぞれがその組織の役に立ちたい、貢献したいという思いが協働意思です。会社という大きな単位では、社員それぞれが異なる役割を担っています。だからといって、それぞれのモチベーションや会社への思いにばらつきがあれば、そのばらつきが大きければ大きいほど、組織としての結束力はちぐはぐなものになってしまいます。もし、社員それぞれが、会社に貢献したいという気持ちを強く持っていれば、自ずと組織自体もより強固で強いものになるでしょう。

この協働意思が働くためには、1つ目の要件として紹介した共通目的が必要です。同じ目的に向かう過程の中で協働意思は生まれるのです。ですが、それだけでは、協働意思を向上させるためには不十分な場合があります。もう1つ重要なのはリターンです。会社に対して貢献をすれば、それに見合ったリターンがあるという信頼関係が、さらなる協働意思を生み出します。貢献することでリターンが期待できるという環境であれば、協働意思も生まれやすくなりますし、より会社としての存続もしやすいと言われています。

意思疎通

組織が成立するための最後の要件は「意思疎通」です。組織というものには、必ずと言っていいほど、通常のメンバーの他にそれを束ねるリーダーが存在します。意思疎通とは、このメンバー間やメンバーとリーダーの間でのコミュニケーションのことを指します。組織内で問題が頻発している場合は、ほとんどの場合この意思疎通が不十分であることが原因です。この組織のメンバー間での意思疎通は、組織を作り上げていく上で欠かせないものです。

組織を作るためには、最低でも2人以上の人間が必要です。1人では組織にはなり得ません。2人以上の人間がいる場合は、基本的に必ずコミュニケーションが発生するはずなので、そのコミュニケーションを円滑にしなければ、組織としての歯車が狂ってしまいます。組織を存続させるためには、意思疎通が重要な役割を担っているということを認識しておきましょう。

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組織の共通の目標・目的とは?

先述した組織を成立させるための要素の1つ「共通目的」について深く掘り下げます。

組織における目的・目標と聞くと、売上や利益などを連想する人もいるでしょうが、それだけが組織の目標とは限りません。

組織では、従業員全員が組織の目的や目標を認識している必要があり、組織が持つべき目標にもいくつか種類があります。

組織の目的・目標は、以下の3つに分類できますので、それぞれについて詳しく解説します。

意義目標

組織の目標の1つとして、「意義目標」があります。意義目標とは、経営理念やビジョンで掲げられる目標のことです。

たとえば、旅館であれば「旅館の宿泊を通じて、お客様がくつろげる時間を提供する」が意義目標といえます。

メーカーであれば、「独自の技術で、世界中の人の生活をよりよくする」が目標の一例として考えられるでしょう。

この意義目標から逆算し、自主的に動く社員がチームには求められます。

言われたことを淡々とこなす人も必要ですが、チームの一人ひとりが逆算して行動できなければいけません。

成果目標

成果目標とは、意義目標を達成するために個人や組織が取り組むべき目標のことです。成果目標では、達成基準が明確で、具体的な数値化を用いて目標を設定します。

営業の場合、「成約を1年で100件取る」や「売上を300万円獲得する」が成果目標として設定可能です。自動車メーカーであれば、「航続距離500kmの電気自動車を開発する」や「生産コストを10%削減する」などが考えられます。

行動目標

「行動目標」は、社員が自ら設定した目標のことです。成果目標を達成するために自身で決めた目標ともいえます。

たとえば、営業の場合、「新規クライアント獲得のために、毎日10件営業する」が行動目標となります。

行動目標を人事評価として目標管理している企業も少なくありません。自身が設定した目標を評価基準とすることで、社員のモチベーションが向上します。

学問で論証されている組織

組織の定義は、社会科学や経営学、政治学、経済学など学問によっても異なります。

これらの学問では、組織のあり方や集団の行動について、「組織論」として昔から研究されてきました。

組織論が論じられている代表的な学問として、社会科学と経営学について紹介します。

社会科学における組織論

社会科学は、個人や集団生活での社会活動や社会現象を研究する学問のことで、組織の研究も1つの大きなテーマとして扱っています。

社会科学では、「人間が集団で暮らし、効率良く社会で生きていくために生まれたもの」と考えられています。

組織について「公式組織」と「非公式組織」に分類していることも社会科学の特徴です。

公式組織とは、広辞苑の「組織」と同じようなものです。目的を達成するために意図的に作られた組織のことをいいます。会社や政府が公式組織の代表的な例です。

非公式組織は、自然に作られた組織になります。野球好きな友達が集まってプレーをしたり、同じ趣味を持つ人が集まったりすることで組織が形成されます。

このように、社会科学は企業以外の組織も含めて、組織と定義していることが一般的です。

経営学における組織論

経営学は、企業の経営に関する研究をしており、社会科学と比較すると、企業の組織をメインに研究しています。

経営学の組織に関する研究や学問は、以下のように分類されています。

  • 組織自体の体系論
  • マクロ組織論
  • ミクロ組織論
  • 組織間関係論

経営学は実際の企業を研究対象にしているため、ビジネスに直結した実践的な学問であるのが特徴です。

組織論についても多くの経営学者が提唱しています。先ほど紹介した「ドラッカーの組織論」や「バーナードの定義」も組織論の1つです。

組織づくりで使用される構造の種類

良い組織をつくるためには、「組織構造」についても理解しておきましょう。

組織構造とは、組織の構成を分類したもので、社員一人ひとりの業務や責任、権限を把握できます。

明確な組織構造があることで、社員が意思決定のフローを把握でき、コミュニケーションが円滑になります。生産性の向上にも有効です。

組織構造には以下の5つの種類があるため、それぞれ特徴やメリット・デメリットを紹介します。

  • 事業部制組織
  • 機能別組織
  • マトリックス型組織
  • チーム型組織
  • カンパニー型組織

事業部制組織

事業部制組織とは、事業別に分けた組織のことです。

以下のように、事業部を区切ることが多いです。

  • 商品(商品A事業部、商品B事業部)
  • 顧客(A社向け商品事業部、B社向け商品事業部)
  • 地域別(東京事業部、大阪事業部)

1つの事業部に開発担当者、営業担当者など異なる職種の人がいます。

事業部制にすると、事業部ごとに意思決定権があるため、スムーズに業務を遂行できるのがメリットです。しかし、事業部間で業務が重複することもあり、人件費が増加するリスクもあります。

機能別組織

機能別組織とは職務ごとに部門を分けた組織のことで、以下のように組織を区切っています。

  • 研究部門
  • 商品開発部門
  • 生産部門
  • 営業部門
  • 広告部門
  • 経営部門

1つの商品やサービスに注力している企業がよく活用している組織構造です。機能別組織にすることで、専門性が高くなり、独自のノウハウが身に付きやすくなります。

また、事業部組織と比べると、業務が重複しないため、生産性向上に有効です。

しかし、専門性が高くなる分、1つの部署が独立してしまうことで、幅広い視野をもつ人材が育ちにくくなります。

マトリックス型組織

マトリックス型組織とは、事業部制組織と機能別組織の2つの特徴をもった組織構造です。

1人の従業員が、事業部制組織と機能別組織のそれぞれの部門に所属して働く仕組みとなっています。

マトリックス型組織では、事業部制組織の円滑な業務スピードと、機能別組織の専門性の高さを掛け合わせた組織を作れることがメリットです。

ただし、2つの部門に所属するため、どちらを優先して働けばいいかわからなくなり、混乱が起きやすくなります。

チーム型組織

チーム型組織は、1つのプロジェクトを遂行するために、さまざまな部門の人が集まってチームを作る組織のことです。

プロジェクトが遂行される期間だけチームを作り、完了したら解散し、もともと所属していた部門で通常業務に戻ります。

チーム型組織では、スキルのある人材や専門性の高い人材が集まるため、スムーズにプロジェクトを進められます。

さまざまな部門の専門知識が集まるため、新しい技術の発見や、今までにないサービスが思いつきやすくなるのがメリットです。

一方で、プロジェクトチームに招集された社員は通常業務と並行して参加しなければならない場合もあるため、社員の負担になるおそれがあります。

カンパニー型組織

カンパニー型組織は、事業部制組織の事業部を分社化した組織構造です。分社化することで、事業部が独立性の高い会社になっています。

カンパニー型組織は、事業部制組織と比べて、意思決定権が強くなるのが特徴です。

意思決定がそれぞれの会社で決められることで、コミュニケーションの円滑化や業務スピードの向上が期待されます。

ただし、会社同士のコミュニケーションが少なくなり、連携が弱くなるおそれがあります。

良い組織の3つの共通点

ここからは、良い組織の定義について紹介します。「良い組織」も「組織」と同様で明確な定義がありません。

しかし、以下の3つのパターンが良い組織であると考えられています。

  • 将来にわたり長く存続し続ける組織
  • 社会に対して価値を提供している組織
  • 組織内のメンバーが心地よく働ける組織

それぞれの組織について詳しく解説します。

また、「良い組織」や「成長企業」などと言われている会社では、マネージャーの人事施策が優れている傾向にあります。

将来にわたり長く存続し続ける組織

資金不足や社会情勢の影響により倒産する企業がある中、「数十年と存続する組織(企業)」は良い組織と言えます。

特に、昨今のコロナの影響により、苦境に立たされている企業は非常に多いです。

倒産してしまえば、組織として社会に貢献できなくなり、社員の雇用を守り続けられなくなります。

組織の存続は、組織メンバーの生活を守ることに繋がり、社会にも影響を与え続けられるのです。そのため、長く存続する組織というのは、良い組織と言えるでしょう。

社会に対して価値を提供している組織

社会に対して価値を提供している組織も良い組織です。組織というのは、組織の内部や外部に対して価値を提供することで、存在価値が高まります。

自社のサービスや商品を購入した人が豊かな生活を送れたり、BtoB向けのサービスで企業の活動をサポートしたりすることなどが挙げられます。

周りからの支持を得て、求められる組織であれば、良い組織として存続できるでしょう。

組織内のメンバーが心地よく働ける組織

良い組織として、組織内のメンバーが心地よく働ける組織もあります。

組織内のメンバーの関係が良好で、お互いの意見を尊重し合える会社であることで、社員が働きやすくなります。

ワークライフバランスが整備されている会社も、良い組織の1つです。有給休暇や育児休暇を必要があれば取得でき、社員が家族との時間を有意義に過ごせる環境は非常に大切です。

組織やそのメンバーが好きで働き続けたいという社員がいれば、非常に良い組織と言えるでしょう。

社員のモチベーションやエンゲージメントを高める目標管理フレームワークについて知りたい方はこちらもご覧ください。
OKRとは?OKR専門家が基本から運用方法まで解説!

良い組織を作るための3つのポイント

良い組織がどのような組織化ということがわかっても、それに向かう道筋がわからなければ意味がありません。ここでは、良い組織になるための3つの方法をご紹介します。

人事評価制度の構築

組織の成立要件の1つとして「協働意思」を挙げましたが、いくら会社やメンバーに対しての貢献意欲が高かったとしても、それが正しく評価されなければ、その意欲はどんどんと下がっていってしまいます。

組織内のメンバーの貢献意欲を維持するためには、正しい評価を与えるための適切な人事評価制度が必要です。人事評価制度を導入することで、メンバーはモチベーションをキープすることができ、皆が貢献意欲を持つ良い組織が作られていくのです。

理念やビジョンの共有

当たり前のことですが、組織が大きくなればなるほど、組織としてのまとまりを維持するのが難しくなっていきます。そのような状況でまとまりを生むために必要不可欠なのが理念とビジョンです。

理念やビジョンを組織内に共有することによって、成立要件の1つである共通目的を常に全員が意識している環境を作ることができます。組織としての目標・目的がはっきりしていれば、そこからメンバー個人の目標・目的に細分化していくことが可能となり、結果的に組織としての団結が増すことになるでしょう。良い組織を作り上げるためには、経営者などのトップが、明確で洗練されたビジョンを持っておくことが重要です。

教育制度の確立

3つ目の方法は、教育制度の確立です。良い組織を作る上で、理念やビジョンの共有はもちろん不可欠なものですが、それだけでは足りません。いくら素晴らしい理念やビジョンを持っていたとしても、組織内のメンバーがそれを達成するだけの知識やスキルを持っていなければ、それが達成されることはないからです。常に成長が求められている企業においては、教育制度が確立されることが必要です。

スキルの向上ももちろんのことですが、組織の成立要件である、共通目的・協働意思、意思疎通の3つを中心とした教育制度を確立することによって、より良い組織作りが進んでいくことでしょう。

理想の組織を作るために目標やビジョンの共有をしましょう

企業における組織では、バーナードが定義した要件である「共通目的」や「協働意志」、「意思疎通」の3つが必要です。

また、将来にわたり長く続く組織をつくるためにも、社内や社外に良い影響を与える会社になることが望ましいです。

まずは社員全体に目標やビジョンの共有することが大切です。

共有の際、OKRという目標管理のフレームワークを使えば、組織の方向性を統一でき、生産性の向上にも効果があります。

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