人事評価における絶対評価と相対評価の役割の違いBLOG

 2021.8.1

みなさんの会社の人事評価では、絶対評価と相対評価のどちらを採用しているでしょうか?

もちろんそれぞれに役割があり、メリット・デメリットも存在します。どちらの評価制度を用いる場合でも、公正な評価を行うことが重要です。今回この記事では人事評価における絶対評価と相対評価の役割の違いを中心に分かりやすく解説していきます。

<目次>

  • 絶対評価、相対評価とは
  • 絶対評価と相対評価の違い
  • 絶対評価、相対評価のメリット・デメリット
  • 人事評価に必要な4つの評価項目

絶対評価、相対評価とは

まず、「絶対評価」とは、周りと比較することなく、ある定められた基準に基づいて個人の評価を行うことです。周りと比較するわけではないので、良い成績を残せば評価は上がりますし、逆に悪い成績を残せば評価は下がります。

わかりやすく学校を例に挙げると、絶対評価の場合、仮に成績が1~5のでつくとした場合、それぞれの成績に対して点数区分があらかじめ決まっています。例えば、100点満点のテストの場合、80点以上は5、80~60点は4、60~40点は3、40~20点は2、20点以下は1、のようかたちです。この区分によって成績は決まるので、極端な話、クラスの全員が80点以上を取れば、全員の成績が5ということになり、逆に全員が20点以下の場合は、全員成績が1となります。

対して「相対評価」とは、同じ集団内での位置によって評価が行われる評価制度です。こちらの場合は、周りとの比較になるので、良い成績を残しても、周りがそれ以上であれば評価が下り、逆に自分では悪いと思った成績を残しても、周りがさらに悪ければ評価は上がります。

こちらもわかりやすく学校を例に挙げると、順位に従って評価を行うのが相対評価です。こちらの場合は、それぞれの成績に対して、評価される人数の割合があらかじめ決まっています。例えば、5は5人、4は8人、3は10人、4は12人、5は15人、のようなかたちです。それぞれの評価に対して定員が決まっているのが相対評価の特徴です。

例では学校を出しましたが、学校だけに限らず、評価制度を導入している場合は、相対評価か絶対評価のいずれか、もしくはその両方を導入しています。

会社における人事評価も同じです。絶対評価を導入している企業の場合は、個人の設定目標の達成度合いによって評価が決まり、相対評価の場合は、チーム内での周りとの比較により評価が決まります。

絶対評価と相対評価の違い

上述の説明だけでも、絶対評価と相対評価の違いはなんとなく見えてくるかと思いますが、ここではさらに違いを明確にするために、3つのポイントを挙げます。

各評価に割り当てられる人数の違い

絶対評価の場合は、すでにある基準に沿って評価をするため、先ほども述べたように、全員が最高評価、もしくは最低評価ということが起こり得ます。一方で相対評価の場合は、順位によって評価をあらかじめ決まった割合で振り分けるため、全員が最高評価だったり最低評価だったりということはあり得ません。

比較する対象の違い

特に、企業での人事考課の場合、絶対評価である人を評価する場合、基本的にはその人に達成してほしいことが目標になっているはずです。その目標を達成すれば評価が上がるので、ある意味比較対象は「理想の自分」ということになります。一方で、相対評価の場合は、周りとの順位付けで評価が決まるため、文字通り比較対象は「他の社員」ということになり、この二つの評価では、比較の対象が異なります。

評価に波があるか否か

学校のクラスでも、会社でも、成績が良い人、悪い人は必ずいます。そして、優秀者として評価される人はある程度決まってしまうのが常です。よって、相対評価の場合、特定の集団に入ってしまえば、評価は良くも悪くもある程度固定されると言えるでしょう。一方、絶対評価の場合は、各個人の頑張りや努力によって評価が上がったり下がったり、評価の波が激しいのが特徴です。

絶対評価、相対評価のメリット・デメリット

絶対評価のメリット

絶対評価の一番のメリットは、評価の基準に「透明性」があることです。どのように頑張れば評価に繋がるのかが社員にもわかりやすいので、フェアで社員からも納得されやすいかたちで評価を与えることができます。透明性があることで、社員のモチベーションの向上にも繋がります。

さらに、基準が明確なので、評価者も、評価対象者に対して「なぜこの評価なのか」ということを伝えやすく、次に向けて適切なフィードバックを与えることができます。自分が努力すれば努力するほど評価が上がるシステムなので、評価される側としても、よりポジティブに業務と向き合うことができます。

絶対評価のデメリット

絶対評価のデメリットは、評価者の判断力によって評価が左右されてしまうところです。人間なので、必ずと言っていいほど、甘い上司、厳しい上司がいます。甘い上司が評価をする場合、全体の評価が上がりすぎてしまったり、逆に厳しい上司が評価をすると、評価が下がりすぎてしまうことがあります。

さらに、全体の評価が上がってしまうと、給与等の面でバランスの調整が難しくなってしまい、逆にボーナスの支払いが難しくなってしまうなどの可能性が考えられるのです。

相対評価のメリット

相対評価のメリットは、なんと言っても集団内での競争意識が高まることです。集団内での順位によって評価が決まるので、周りよりもいい結果を残せば評価が上がるということで非常にシンプルです。この競争意識は、いい方向に働けば、お互いが切磋琢磨するいい意味で緊張感のある環境を作り出すことができます。

また、給与等の面で、順位による評価のため分配が容易というのもメリットの一つです。

相対評価のデメリット

相対評価のデメリットは、絶対評価とは逆で透明性が保たれないところにあります。営業など、成績が数値として現れやすい部門であれば、比較的優劣を付けやすいですが、そうでない部門の場合、何をもって「AさんがBさんより優秀なのか」というところが非常に不透明になってしまいます。評価者からすると、なんとか評価をつけるしかありませんが、明確な根拠を提示しにくいので、評価対象者側からすると、不満の残りやすい評価になってしまう恐れがあります。どのように努力をすれば評価に繋がるのかが見えづらいため、モチベーションの著しい低下に繋がってしまう危険性があるのが、相対評価の最大のデメリットと言えるでしょう。

人事評価に必要な4つの評価項目

絶対評価、相対評価それぞれのメリット・デメリットについて紹介しましたが、最近の傾向としては、社員のモチベーションアップに繋がりやすい絶対評価を採用する企業が増えてきています。しかし、実際に絶対評価を導入したいと考えても、どのような項目を設定すれば良いのかがわからなければ、適切なかたちで運用することはできません。

ここでは、人事評価に必要な4つの項目について簡単に紹介したいと思います。

業績項目

業績項目とは、具体的な数値で表すことができ、その結果によって評価できるものです。例えば、成約数や個人売上などがそれにあたります。

業績項目を作成する際には、「業績結果項目」と「業績プロセス項目」に分けることがポイントです。結果だけを見るのではなく、それに至ったプロセスも盛り込むようにしましょう。結果だけを追求しても、その後の指導や育成に繋がらないのであれば、良い評価方法とは言えません。行動もしっかりと評価できることが重要です。

成果項目

成果項目とは、数値で表すことはできないが、業績に直結する重要な役割や業務のことを指します。例えば、営業職であれば企画提案や顧客管理、総務なら採用や労務管理などです。

成果項目には、二つの視点を組み込むようにしましょう。

一つが、「コスト削減」や「業務改善」などの会社にとっては実は非常に重要にもかかわらず、なかなか手が回らず後回しになってしまう課題です。 

もう一つは、「顧客管理」や「企画提案」などの、数値に直結する重要な業務です。

長い目で見て強い組織を作るためには、一つ目の「重要度は高いが、緊急性は低いもの」にどれだけ手を回せるかが重要です。未来を見据え、積極的にこうした課題に取り組むようにしましょう。

能力項目

能力項目とは、成果を出すために必要なスキル、知識、資格などを示したものです。ですが、、能力があるだけでは、もちろん評価の対象にはなりません。持っている能力を実際に仕事で実践できて初めて評価対象になるのです。

情意項目

最後に情意項目ですが、これは仕事に対する姿勢を評価する項目です。仕事に対する積極性やチームワークなどがこれに該当します。4つの項目全てがもちろん大事ですが、特にこの情意項目はあくまで姿勢の問題なので、まず真っ先に全社員にクリアしてもらいたい項目だと言えるでしょう。

さらに、情意とは言いつつも、もちろんこちらも行動に落とし込んでこそ評価対象になります。例えば「積極性」であれば、新しいこと、まだ挑戦したことのないことなどに積極的に取り組む姿勢を見せることで、初めて評価対象となるのです。

絶対評価を実践する際には、この4つの項目は必要不可欠なものです。社員一人ひとりを、多方面から総合的に評価することで、公正な評価ができている言えることになるからです。評価基準を具体的に定めることで、評価者も評価がしやすくなりますし、評価対象者としても、評価に対して納得しやすくなり、モチベーションの向上にも繋がります。評価基準を決めるのが難しい時は、一度会社の経営理念やビジョンに立ち返ることで、どのような人材を会社が求めてるのかを理解し、適切な評価基準を設けることができるでしょう。

相対評価と絶対評価のバランスが取れた人事評価をしよう

絶対評価、相対評価それぞれについて解説をしてきましたが、どちらにもメリット・デメリットが存在します。透明性という部分では絶対評価に分があり、現在多くの企業がこの絶対評価を導入しています。ですが、相対評価には、絶対評価ではなかなか生み出すことのできない競争心が芽生えた環境を作り出すことができます。

大事なのは、しっかりとそれぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の会社に適切な評価制度運用することです。

少しでもこの記事を参考にして、評価制度の見直しに役立てていただければと思います。                                             

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