2021.5.20
昨今は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、さまざまな企業でテレワークでの働き方が広がっていきました。テレワークによって便利になったこともある反面、これまでになかった課題も生まれています。その中のひとつが新人を育成する際のOJTのやり方です。テレワークでは対面指導ができない分、取り組み状況が把握しづらかったり、細かな表情が読み取れなかったり、通常よりも教育の難易度が高い場合が多いでしょう。
そこで今回はテレワーク下でのOJTのポイントを解説していきます。
会社の新人教育でよく使われるOJTとはそもそもどういったものなのでしょうか?OJTとは「On the Job Training」の略で、チームの先輩や上司が指導係となり、仕事を進めていく上で必要な知識やスキルを実務を通して教育していく方法のことを指します。OJTを通して経験を積むことで即戦力として現場に配属されることが期待できるため、多くの企業で新人研修や社員教育の場で採用されているのです。
OJTに対して外部講師や人事担当が実施する全体での研修のことを「OFF-JT」と呼びます。
多くの企業が採用しているOJTには、実施することでどのようなメリットがあるのでしょうか。オンラインOJTのポイントを把握する前に、OJTそのもののメリットを理解しておきましょう。ここでは3つのメリットに分けてそれぞれ解説していきます。
OJTの大きなメリットとしては、現場で即戦力になる人材育成ができることが挙げられます。OFF-JTでの座学で知識をインプットも必要ですが、それを実務に活かすことができなければ意味がありません。OJTで実際の業務を通じて、新しい気づきや課題を発見することができるでしょう。自身の課題に対して改善策を考えて行動に移す、という流れは現場に置いて必要なスキルであるため、早い成長を見込むことができます。また、業務で使用するツールなどに慣れるという意味でも、実務で慣れていく方が効率的と言えるでしょう。
OJTで得られるメリットは教育される側だけでなく、教育をする側にもあります。新人に実際の現場業務について説明するためには、わかりやすく的確に伝える技術が必要です。そのためには自身の業務だけでなく、会社全体の構造や連携する部署の動きなど業務内容を深く理解しておかなくてはなりません。OJTを通じて、新人社員が業務に対して理解すると共に、教育担当者もさらなる業務への理解や見えていなかった課題・改善点に気づくきっかけになるでしょう。
会社のことをまだ何も知らない新人を一から教育するのは、かなりの時間とコストがかかります。OFF-JTを実施して外部講師に研修を外注すれば、その分費用もかかるでしょう。OJTでは実務を通して業務への理解を深めていくため、教育担当者も自身の仕事をやりながらトレーニングを進められたり、教育のステップを全て社内で完結できたりするのは大きなメリットだと言えます。
基本的に対面で実施することが多かったOJTですが、テレワークの普及によってオンラインでOJTを実施する企業も増えてきています。実務を通して教育を行うという点は共通していますが、特性や細かいやり方はオンラインと対面で異なります。ここからはオンラインと対面でのOJTの違いについて詳しく解説していきます。
オンラインと対面のOJTでは人間関係の構築のしやすさが異なります。従来の対面でのOJTでは、業務に関する会話はもちろん何気ない日常会話や偶然のコミュニケーションが生まれやすく、比較的人間関係が構築しやすいです。一方でオンラインでのOJTは、オンライン会議ツールなどを使ってコミュニケーションを取ることになりますが、一緒の空間にいない分雑談などが生まれにくいです。教育担当側がコミュニケーションを工夫する必要があるでしょう。
対面でのOJTの場合は、適宜新人に声をかけたり成果物の確認をその場でできるため、業務状況が把握しやすいという特徴があります。状況把握がしやすい分新人が困っている点や疑問点を解消しやすく、新人としても業務の飲み込みスピードが速いと言えます。オンラインの場合は、成果物の確認はオンライン上のツールを介して行う必要があったり、テキストベースでのやりとりが多くなったりするため、コミュニケーションに時間差ができてしまう場合が多いです。
対面とオンラインのOJTではさまざまな違いがありますが、オンラインOJTならではの課題も存在します。たくさんの企業に浸透し始めてきたばかりなので、手探りでオンラインOJTを進めている企業も多いはずです。想定できる課題を把握しておいて、しかるべき対策が取れるようにしておきましょう。
ここでは4つの課題に分けてそれぞれ解説していきます。
オンラインでOJTを実施する時の大きな課題としては、新人をしっかりと観察し続けることが難しいことが挙げられる。業務の進捗状況はもちろんのこと、勤務態度や困っている様子などを察知することも対面に比べるとやりづらくなります。どのように仕事を進めているか、どんな点に困っているかをリアルタイムで読み取れないと全体的な業務スピードも落ちてしまうでしょう。また、新人側も教育担当者の仕事の仕方や職場の人間関係・雰囲気などを観察しづらいため、環境に慣れるまでに時間がかかってしまうでしょう。
対面でのOJTでは、新人が困っていれば気に掛ける言葉を投げかけたり、仕事がよくできていれば褒めたりと、新人の様子に応じた声かけがやりやすいでしょう。一方でオンラインOJTではサポートの声かけや注意喚起などがリアルタイムで実施しづらいです。人間関係を育むための雑談によるコミュニケーションも生まれにくいため、新人がちょっとした疑問や確認をするのに時間がかかってしまうという難点があります。
オンラインOJTが普及し始めたのは最近のことです。多くの企業ではまだまだオンラインOJTを実施する環境が整っていないという場合も多いでしょう。オンラインの接続が悪くなったり、ツールの使い方が十分に周知されていなかったりすると新人への教育が滞ってしまいます。オンラインOJTが始まる前にオンライン環境を万全にしておいたり、育成の要項をしっかり作成しておいたりしておきましょう。
職場での人間関係がうまく構築できずに馴染めなかったり、分からない点をすぐに解消できないと勝手が分からない新人は不安を感じやすいです。ただでさえ新しい環境に慣れるには精神的な負担が大きいため、オンラインOJTの場合は特に新人の精神状態を気にかけておく必要があるでしょう。
オンラインOJTを実施する際には前述した通り、多くの課題が発生しやすいです。効果的にオンラインOJTを進めていくためには、課題を解消できるようにポイントを抑えて運用していく必要があります。
ここからはオンラインOJTを成功させるために抑えておきたい4つのポイントについて、それぞれ解説していきます。
オンラインOJTでは新人の業務の進捗状況を把握するのが難しいため、具体的な目標を設定して新人の方向性を明確にしてあげることが重要です。目標が明確になることで新人がモチベーションを保って自分の業務に取り組むことができ、どこまで進んでいるかも把握しやすくなります。また、具体的かつ細かく目標を設定し、定期的に進捗を確認する機会を設けるのもポイントです。
オンラインOJTでは新人との偶発的なコミュニケーションが生まれづらく、新人が不安に感じやすいです。定期的にコミュニケーションツールを使った会話の時間を作ったり、部署全体や他部門との交流の機会をセッティングしたりして積極的にコミュニケーションの機会を設けるようにしましょう。教育担当者だけでなく歳の近い別の社員や、普段交流のないメンバーとの接点を作るのがポイントです。
職場に慣れない内は新人が自ら課題を見つけて行動に移すのは難しく、オンラインでの教育では定期的に課題を与えて適切に進捗しているか確認してあげることが重要です。明確に期限を設定することで、自然と責任感を持って取り組めるようになり、さらに適切にフィードバックを行うことでコミュニケーションのきっかけにもなります。もし課題への取り組みに問題があれば、出社を促して対面でフォローするなど柔軟な対応も必要です。
対面でOJTを実施する場合は直接手本を見せることができますが、オンラインではそれが難しいため指示や情報を言語化して的確に伝えるということが大切です。教育担当者や社内のメンバーの中の「当たり前」も新人にとっては知らないことであるため、しっかり言語化して伝えてあげましょう。定性的で伝えづらい部分もあるでしょうが、長期的な効率を考えると教育段階で共通認識を作っておくことが非常に重要です。
ご紹介してきたようにオンラインのOJTでは、対面のOJTとは新人に対して全く異なるコミュニケーションを取る必要があります。これまで当たり前にやってきたことを見直して、柔軟に対応していくことで効果的なOJTを実施することができるでしょう。さまざまなツールを活用したり、今回ご紹介したようなポイントを抑えたりして、自社に合ったオンラインOJTのやり方を見つけてみてください。
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