内部統制とは?意味、目的、メリット・デメリットを紹介BLOG

 2021.5.21

見積書の承認漏れ、ご発注、不明瞭な業務プロセスなど、企業が事業を継続する上では、様々な課題が生じてきます。これらの問題をそのまま放置していては、健全な事業活動を継続することはできません。人為的なミスや不正等の発生を未然に防ぎ、企業が成長するために欠かせないのが「内部統制」です。企業を健全に維持するために必要なものですが、言葉はなんとなく聞いたことがあっても、その目的やメリットについてはあまり知られていないかもしれません。もちろん、きちんと理解をしていない状態では、内部統制に向けての動きを活発化することもできません。今回は、下記の項目に沿いながら、内部統制の実施に必要な項目、目的やメリットについて詳しく解説していきたいと思います。

  • 内部統制とは?
  • 内部統制の4つの目的
  • 内部統制の6つの構成要素
  • 内部統制を行うメリット

内部統制とは?

「内部統制」とは、企業が健全な状態で事業を続けるための社内ルールや仕組みのことを指します。このルールは、全ての従業員が順守するべきものです。仕組みに関しても、あらかじめ従うべきプロセスがあれば、ミスや不正が発生するリスクを最小限に止めることができ、業務の効率化を図ることができます。

簡単な例で言えば、みなさんが働いている企業の中には、「USBメモリの社外持ち出し禁止」といったルールを設けている企業が多いと思います。これも内部統制の一種であり、USBメモリの持ち出しを禁止することで、社外への情報漏洩のリスクを回避しているのです。さらに、システム的に許可なくデータをUSBメモリに移行できなくなるようにするなど、ルールを順守するための仕組みも内部統制の一つであり、このような仕組みを内部統制システムと呼びます。

一般的に、内部統制は企業内で行われるほとんどの業務に組み込まれています。しかし、ここで重要なのは、しっかりと「目的やメリットを理解した上で運用がされているのか」ということなのです。

内部統制の4つの目的

内部統制は、ただ単に実行すれば良いというものではありません。目的をしっかりと理解した上で実行することで、より効果を発揮するのです。ここでは、内部統制の重要な4つの目的について解説します。

業務の有効性及び効率性

1つ目の目的は、「業務の有効性及び効率性の向上」です。無駄な業務を行ったり、業務の効率を悪くさせることは、その分余計なコストが生まれ、経営状況を悪化させる要因になります。適正な内部統制を行うことにより、「時間」「人」「モノ」「コスト」がどのように活用されていたかを確認する機会が生まれ、その結果、従業員個人の業務効率化や、組織全体の効率化に繋がるのです。

財務報告の信頼性

2つ目の目的は、「財務報告の信頼性が高まる」ということです。財務報告は、企業の経営状況を判断する上で非常に重要な情報であり、粉飾決算などの虚偽の報告が行われた場合、投資家や銀行などは大きな損害を被ります。逆に、正しい報告をしていることを証明することができれば、投資家や銀行からの信頼も高まり、投資を呼び込むチャンスも生まれるのです。

法令に従った内部統制がしっかりと行われれば、財務報告が適切に作成されるで、企業の社会的信用に繋がります。企業の発展に社会的信用は欠かせませんので、内部統制はその向上にも繋がるのです。

法令等の遵守

3つ目は、「法令等の遵守」です。企業にとって、利益を上げることは最優先事項ですが、そこばかりに意識を集中した結果、法令遵守を怠ってしまえば、法令違反により罰せられ、社会的信用を失い事業を継続することができなくなってしまいます。法令の遵守には、法律だけではなく、社内のルールや一般的モラルを守ることも含まれています。内部統制により、従業員全体が規範を守るよう意識することになれば、企業の社会的信用やイメージも向上していくことでしょう。企業を存続させていく上で、法令の遵守は基本中の基本と言えます。

資産の保全

最後は「資産の保全」です。事業を行うためには資産が必要です。適正な内部統制の下では、資産の運用方法について、正当なプロセスを通して行われているかのチェックを行います。こうしたチェックで、資産の不正運用を排除し、健全な企業活動と資産保全を行うことができるのです。資産を適切の運用すること、有効活用することは、企業の利益を維持・拡大させるためには欠かせないことなのです。

このように、内部統制の4つの目的は、企業を存続させるためにはどれも必要不可欠なものであり、どの会社にも当てはまるものだと言えるでしょう。

内部統制の6つの構成要素

内部統制は、上記の4つの目的を達成するために企業内に構築されます。構築を行うためには、下記の6つの基本的要素が必要とされています。

統制環境

基本的要素の中でも、その基盤とも言えるのが統制環境です。具体的には、企業の倫理観、経営者の姿勢や経営方針などの、従業員の意識やそれを取り巻く環境、社風などを表します。

システム面などの物理的要素を整えることももちろん重要ではありますが、内部統制では、そのシステムを運用する経営者や従業員の意識や考え方を統制することを基本としています。

リスクの評価と対応

内部統制において、リスクマネジメントは重要な過程です。具体的には、事業目的の達成の妨げとなるリスクについての分析と評価を行います。その上で想定されるリスクへの適切な対応を行うためのプロセスを指します。

統制活動

3つ目の統制活動は、経営陣が指示した内容が確実に社内で実行されるための仕組みづくりのことを指します。具体的には、社内規定の設定や業務マニュアルの作成・整備などが挙げられます。

情報と伝達

情報と伝達とは、社内外にかかわらず、内部統制を実現するために必要な情報を、的確に従業員に共有できる体制の構築のことを指します。従業員などの関係者への正しい情報伝達とともに、企業内での不正行為を防止し、情報漏洩のリスクを減らすために必要なことです。

モニタリング

モニタリングでは、内部統制が正しく行われているかを継続的に監視し、従業員に浸透しているかを確認するためのものです。

ITへの対応

最後のITへの対応は、事業活動に必要とされるITを導入し、内部統制に利用するシステムの開発・管理・保守を行ったり、アクセス権限などの管理を行ったりすることを指します。

一口に内部統制の構築と言っても、整えるべき要素は広範囲に渡ります。上記の6つの要素が一体となって初めて内部統制としての機能を果たします。2008年に内部統制報告制度(J-SOX)が導入されたことにより、多くの企業で内部統制の強化が図られたのです。

内部統制を行うメリット

ここまで読んでいただければある程度想像はつくかと思いますが、内部統制を実行することで企業が得られるメリットはいくつもあります。メリットを知っておけば、より適切なルールづくりを行うことが可能となります。ここでは、内部統制を行うことによるメリットをご紹介します。

業務内容やフローの可視化

内部統制を行うことにより、現場の業務も含めてしっかりとしたルールとシステムづくりを行うことができます。経営陣が現場の業務を把握することができれば、より合理的かつ効率的なシステムを構築することができるようになるでしょう。

財務状況の見えるか

業務の可視化だけでなく、財務についての状況も把握しやすくなります。財務状況は、経営の根幹につながる情報なので、適切に把握されていることが重要です。内部統制を徹底することで、経営状況を適切に把握し、正しい経営判断をするのに役立つでしょう。

社内ルールやガイドラインの整備

内部統制には、全ての従業員が遵守すべき社内ルールやガイドラインの策定が必要不可欠です。内部統制を見直すことで、日々の業務フローから社内のルールまで、一挙に改善をする機会を得ることができます。また、定期的なルールの見直しは、そのルールを社内により浸透させるためにも役立つことでしょう。

不正やミスが起きやすい業務フローの撤廃

内部統制の徹底は、従業員による不正の起こりやすい業務や資産管理などのリスクの軽減に繋がります。また、すでに何度か述べた情報漏洩などの社会的信用の低下に繋がる事態を防ぐ効果も期待できます。法令遵守に対する意識を社内全体に浸透させ、基本的なルールとしてプロセスに組み込んでいくことが重要です。

社員のモチベーション・組織の業績向上

内部統制により、業務フローの改善を行い、適正な評価基準が構築されることにより、従業員のモチベーション向上も見込めます。内部統制には、従業員がより働きやすくなる環境を整備するという側面もあるのです。また、組織内における共通のルールが設けられることにより、組織内での信頼も築きやすくなります。従業員同士の信頼関係が深まれば、お互いに協力するという風潮が生まれ、業績の向上も期待することができるのです。

企業の社会的信用の向上

内部統制を徹底することで、会社全体と従業員のモラルの向上も見込めます。ルールをしっかりと整備し、従業員の遵守を徹底すれば、企業の業界における社会的信用度も上がります。ルールの徹底は、ときに従業員からの反発を招く場合もありますが、社会的信用は企業にとって最も大事な要素の一つなので、最終的には、企業の価値を高めることに繋がるはずです。

内部統制を行い企業イメージを上げよう

内部統制を行うことは、単に業務の効率化や業績向上に繋がるだけでなく、社会的信用や企業としてのイメージを高める効果もあるのです。また、従業員の不正などのリスクを減少させ、企業の資産保全にも繋がるものなので、内部統制の実施や見直しは、企業の成長に必要不可欠なものと言えるでしょう。

内部統制は、決して経営層だけが理解していれば良いものではなく、組織全体が理解を深めるべき事柄です。ぜひ、今回の記事を参考にしていただき、自社に合った内部統制の仕組みについて考えるきっかけにしていただければ幸いです。

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