2021.5.29
「PDCAを回しているがイマイチ効果が出ない」
「PDCAを採用したいがどう始めればいいか分からない」
このようなお悩みをお持ちの業務改善担当者の方は多いのではないでしょうか?
PDCAは低コストで生産性を上げるための手段として多くの企業に採用されています。そのため聞き馴染みのあるキーワードですが、実際の運用は簡単ではありません。
今回はPDCAに関してメリットや運用のポイントまで詳しく解説していきます。こちらの記事を参考に、自社に合ったPDCA運用の方法を見つけてみてください。
PDCAとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取ったもので、アメリカの統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミング博士とウォルター・シューハート博士によって提唱された業務改善の手法です。「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」のサイクルを循環させることで、効率よく業務改善を進めることができます。品質管理や生産管理の場面でよく使われますが、多岐に渡る分野で活用ができる手法です。
PDCAの各プロセスにはそれぞれ特徴があり、その特徴を捉えてくことで効果的なPDCAのサイクルを回すことができます。
ここからは各プロセスのポイントを詳しく解説していきます。
Plan(計画)は具体的な目標の設定や、目標達成に向けた行動計画を策定するステップです。ここで決定する目標や行動計画がPDCAを回すための起点となるため、誰が見てもわかりやすい明確なものにしておくことが重要です。そのためには数字で把握できるような具体的な目標にしたり、すぐに実行できるレベルまで細分化された行動計画であることが望ましいです。
Do(実行)はPlan(計画)で策定した目標に向けた行動計画を実行に移すステップです。策定した行動を実行することはもちろんのこと、それを実行してみてどうだったのか、改善すべき点はあるかなど、さまざまな角度から検証する段階でもあります。検証をするためには、目標に対して進捗を記録したり、時間や点数など細かく定量的な結果が残るようにしておいたりするのがポイントです。
Check(評価)ではPlan(計画)で設定した目標が達成できているかどうか、行動計画が実行できているかどうかについて評価します。もし計画通りに目標達成ができていない場合は、その要因を明らかにしておきましょう。また、達成した場合でも成功要因を分析して明らかにしておくことで、次の達成に繋げることができます。どちらの場合でも、数値的な根拠も合わせて要因分析をしておくことで、再現性のある検証が可能です。
Action(改善)は、Check(評価)で分析した失敗及び成功要因をもとに課題を洗い出し、改善点を検討していきます。改善点の考え方としては、計画通りそのまま進めるかどうか、計画を進めながら新たな視点を取り入れるか、そもそも計画を中止して再計画するかなど、さまざまな選択肢を持っておくことが重要です。そうすることで対応が柔軟になり、目標達成の可能性を引き上げることができます。
PDCAをうまく回すことでさまざまなメリットを得ることが可能です。
具体的には「目標とタスクが明確になる」「課題が発見できる」「タスク実行に集中できる」「着実に改善できる」という4つのメリットがあります。ここからはそれぞれについて詳しく解説していきます。
PDCAを運用することで目標とそれを達成するための具体的なタスクが明確になります。目標が明確になっていないと、具体的な行動計画を立てることはできず、方針が定まりません。そうなるとせっかく目標を立てても達成できないことが続き、モチベーションが低下します。PDCAではPlan(計画)の段階で、具体的な計画に落とし込んで目標達成に向けて行動するため、モチベーションを維持しながら業務に取り組むことが可能です。
Do(実行)で行動したことをCheck(評価)で検証することで、多かれ少なかれ良かった点・改善点が浮き彫りになります。出てきた改善点をしっかりと分析することで、計画段階では見えてこなかった具体的な課題を発見することができるでしょう。その課題を解消するために新たな行動計画を策定し実行、そこで新たな課題を発見するという循環が生まれます。このサイクルを繰り返すことで、成長や高い成果に繋げることが可能です。
Plan(計画)のステップで目標や行動計画を明確にしてあるおかげで、自身がやるべきタスクに集中できるのもメリットのひとつです。自分が何をすべきなのか、組織に何が求められているのかを明確に理解することができるため、それに対しての行動や作業だけに集中することができるでしょう。タスクの実行だけに集中することができれば、その分生産性高く業務に取り組めるのも魅力のひとつです。
PDCAを正しく回すことができれば、業務を着実に改善していくことができます。細かく課題を洗い出したり、論理的に計画を立案したりするのは時間がかかるかもしれませんが、その分しっかり整理できていれば確実に改善することが可能なフレームワークです。逆に言えば短期的な効果ばかりを期待して、きちんと要素を整理できていなければメリットを教授することは難しいでしょう。
前述したようにPDCAを正しく運用することで多くのメリットを得ることができます。ただしポイントを抑えた運用ができていなければ、せっかく実践しているにも関わらず失敗に終わってしまう場合もあるでしょう。ここからはPDCAが失敗する要因について詳しく紹介していきます。メリットだけでなく失敗要因も確認することで、効率よくPDCAを回していけるようにしましょう。
PDCAの起点となるPlan(計画)の段階で現状に見合っていない高すぎる目標や具体的ではない目標を立ててしまうと、失敗する可能性が高くなります。PDCAでは仮説を立てたことに対して検証してまた仮説を立て直す、という循環が基本になるため、起点となる目標の精度が低いと計画倒れになりやすいです。自社の状況を正しく把握し、改善に繋がる現実的で具体的な目標を立てるようにしましょう。
PDCAにおいての要は実行したことをCheck(評価)して改善に繋げることにあります。にも関わらず、成果を出すことを急ぐばかりに曖昧な評価のままステップを進めてしまうと、効果的な改善に繋げることはできません。効果的な改善を実施するためには、評価の段階で課題を細かく見出して分析していくことが重要です。その分析した内容をノウハウとして蓄積していくことで、PDCAを回していくごとに改善の効果が高まっていくことでしょう。
PDCAはただステップ通りにこなしていけば効果が出るというものではありません。組織によって細かく運用の方法は異なりますが、PDCAを効果的に回すためには基本的に抑えておきたいポイントがあります。
ここからは「具体的に目標と計画を設定する」「計画通りに実行する」「定期的に評価・確認をする」という3つのポイントに分けてそれぞれ詳しく紹介していきます。
具体的な数字や定量的に評価可能な目標を設定し、それに付随する計画も具体的であればあるほど効率的な業務改善に繋がります。例えば「営業成績をアップさせる」という目標よりも「新規顧客を前月より10件増加、既存顧客への訪問回数も前月比120%にすることで売上を前月比30%向上させる」といった目標の方が、具体的な計画にも落とし込みやすいかつ振り返りがしやすいです。また、目標を設定するさいは内容だけでなく、期限も具体的に設定しておくようにしましょう。
設定した目標や計画は必ず計画通りに実行するようにしましょう。計画通りに実行しなかった場合、計画の良し悪しを検証することが難しく、効果的な改善に繋がづらくなってしまいます。もし計画通りに実行できなかった際は、その状況や要因を細かく記録しておくことが重要です。その記録を元に客観的に次の計画を立てることができます。計画通りに実行する場合でも、都度活動の記録を残しておくようにし、評価や分析の材料にできるようにしましょう。
基本的にPDCAは通常の業務に加えて実施することが多いため、日々の業務に追われてしまうと振り返りを怠ってしまいがちです。しかしPDCAで効果的な改善を実施するためには振り返りが肝になるため、定期的に確認や評価をして細かい軌道修正を行うことが欠かせません。日々の業務に埋もれないように、週の決まったタイミングで振り返りの時間を設けるなどして、短い時間でも計画の進捗や現状の分析を実施することでPDCAのサイクルを良くできるでしょう。
PDCAはポイントさえ理解して正しく運用すれば、着実に効果を得ることができます。ただPDCAは組織や個人によって細かく運用の方法は変わってくるため、自社に合ったPDCAの運用方法を見極めることが重要です。今回紹介したメリットやポイントを参考にしながら、組織の成果向上のためのPDCA運用を構築してみてください。