コンプライアンスとは?意味、ポイント、違反事例を紹介BLOG

 2021.5.29

おそらくみなさんは今回のテーマである「コンプライアンス」という言葉を必ず一度は耳にしたことがあるかと思います。特に近年は、この「コンプライアンス」という言葉を様々な場所でよく耳にするようになりました。例えば、テレビ業界でも「この内容はコンプライアンス違反だ」などと、ニュースを通して聞いたこともあるかと思います。

そんな「コンプライアンス」ですが、みなさん何となく意味はわかっていても、一体何が具体的にコンプライアンス違反にあたるのかなどはなかなかご存知ないのではないのでしょうか。

コンプライアンスは、ビジネスにおいても非常に重要な要素であり、コンプライアンスを守ってもらうことは、企業にとって非常に重要度の高い課題となっています。企業の人事の取り組みとしても、コンプライアンスについて従業員にしっかりと理解してもらうための研修や教育を実践していることも多いかと思います。

本記事では、そんなコンプライアンスについて、下記の項目に沿いながら、「そもそもコンプライアンスはなぜ存在しているのか」「ではどのようにしてコンプライアンスを従業員に浸透していけば良いのか」などを中心にコンプライアンスについて解説します。

  • コンプライアンスとは?
  • コンプライアンスとガバナンスの違い
  • コンプライアンス教育をする上での3つのポイント
  • コンプライアンス違反の事例

コンプライアンスとは?

コンプライアンス(compliance)という英単語の意味は、直訳すると「(要求や命令に)承諾、追従すること」です。経営では「法令遵守」と解釈されており、社会の秩序に反することなく公正・公平に業務を行うことを意味しています。しかし、近年では、法令遵守という言葉そのままの、法律に違反していないかという意味合いだけではなく、「社会の規範や倫理から外れていないか」「人間としての道徳から外れてはいないか」など、その意味合いは言葉が本来持っている意味よりも広がりを見せています。

最近よくコンプライアンス違反として取り上げられることの多い、情報漏洩やハラスメントといった問題に関しても、法律などではっきりと定められているものではない場合も多く、それよりも社会倫理から外れている行動として捉えられ問題とされている場合が非常に多いのです。つまり、「法律を守ること=コンプライアンス」という考えだけで行動をしていると、現在考えられているコンプライアンスの意味を齟齬のある行動をしてしまう危険性もあるのです。

コンプライアンスとガバナンスの関係性

コンプライアンスをよく混同される言葉で「ガバナンス(governance)」という言葉があります。このガバナンスという言葉は日本語に直訳すると「支配、統治すること」という意味です。企業経営では、「コーポレート・ガバナンス(企業統治)といった意味で使われることが多くなっています。コーポレート・ガバナンスとは、企業の経営が適切に行われているかどうかを、企業の外側から監視するシステムのことです。

つまり、コンプライアンスは「企業は法律を守り従うこと」で、ガバナンスは「企業が企業自身を統治すること」となるので、企業経営においては、コンプライアンスを守るためにガバナンスを行うという関係性になるのです。

コンプライアンス違反は、組織がガバナンスを怠っていると発生しやすくなります。また、コンプライアンスを重視する経営方針は、コンプライアンス経営と呼ばれます。

コンプライアンス教育をする上での3つのポイント

コンプライアンスは、企業の一部の経営層や上層部が守っていれば良いというわけではありません。従業員全員が遵守してこそ、初めてその企業はしっかりとしたコンプライアンス経営が構築されていると言うことができるでしょう。例えば、大手飲食店チェーンのアルバイトが不祥事を起こしたとしましょう。それを見た世間の人々の反応は、「アルバイトだからしょうがない」と言う反応だけでなく、「この会社の教育はどうなっているのか」という反応ももちろんあり、むしろそのような反応の方が多いかもしれません。例え、アルバイトの不祥事だとしても、その企業のイメージへの打撃は計り知れません。

よく言われることではありますが、取引先や顧客からの信頼を得るには非常に時間と労力を要しますが、逆にその信頼を失ってしまうのは一瞬です。従業員1人の些細な過ちでも、企業の大きなイメージダウンに繋がってしまう危険性をしっかりと理解した上で、そうしたことを避けるためにも、企業全体でコンプライアンス教育に取り組むことは非常に重要なのです。

コンプライアンス違反が起こる原因を詳しく調べてみると、大きく分けて2つの原因に大別されます。一つは「無知による過失」で、もう一つは「無視による故意」です。前者は、コンプライアンス違反と知らずに違反をしてしまうパターンで、後者は、コンプライアンス違反にあたる可能性を知りながら違反してしまうパターンです。多くの従業員が働く企業という組織内で、このようなコンプライアンへの意識の低さを改善していくためには、しっかりとした社内教育が必要となります。しかし、ただ闇雲にコンプライアンスに関する研修等を行えば良いというものでもありません。ここでは、コンプライアンス教育を行う上で重要な3つのポイントについてご紹介します。

役職や立場に合わせた教育を実施する

たしかに、コンプライアンス教育を全従業員を対象に行うことが必要ですが、内容をすべて均一のかたちで行うのではなく、それぞれの役職や立場に合わせた教育を行うことが重要です。

まず、全従業員に対しては、自社のコンプライアンスに対する指針や姿勢をはっきりと伝えることが必要です。その上で、どのような行動がコンプライアンス違反に該当するのかを伝え、全従業員が認識できるよう働きかけましょう。

役職者に対しては、部下へのアドバイスや相談を持ちかけられるなどのコミュニケーションの機会も多いので、そういった際の対応の指針等をしっかりと教育する必要があります。

それ以上の経営層に関しては、企業の経営責任を負う立場なので、より広範囲にわたる社会全体的なコンプライアンスの観点と知識が必要とされます。自社の事業に関連する法令などを理解した上で、リスクマネジメントを管理することで、いざ問題が起こりそうになった場合に、より適切な経営判断を下すことに活かすことができるでしょう。

ディスカッションの場を設ける

コンプライアンス教育は、基本的には知識の吸収なので座学が中心となります。ただ、何事もそうですが、実践抜きにして、聞いて終わりにしているだけでは、なかなか本当の意味でコンプライアンスについて理解したとは言い難いです。そこで、参加者同士でのディスカッションの場を設けることをおすすめします。「この行動はコンプライアンス違反にあたるか」「ではなぜに違反にあたるのか」などのケーススタディを行い参加者同士で議論を交わすことで、より話で聞いたことの定着が増すでしょう。コンプライアンスというかしこまった内容ですが、ただ淡々と行うのではなく、より参加者が参加しやすいような伝え方や形式を工夫することが大切です。

実際の事例を紹介する

仮定の話ばかりをしていては、説得力を欠くことになってしまう可能性もあるので、実際の事例を紹介するのも効果的です。特にそれが、自社と同等の規模や業界の他社の例であると、参加者はよりイメージがしやすく、当事者意識を持って参加することができるでしょう。2つ目のポイントと絡めて、実際の事例について「何が問題だったか」「どうすれば事前に問題を避けることができたか」などのディスカッションを行うことができれば、より効果的です。

コンプライアンス違反の事例

冒頭で述べたように、コンプライアンス違反に関するニュースは毎日のように耳に入ってきます。その種類は様々ですが、ここではその中でもよく耳にする代表的な3つの事例をご紹介します。

不正会計

最も代表的なコンプライアンス違反の例として挙げられるのが「不正会計」です。2015年には、非常に有名な大手電機メーカーの不正会計が発覚し、世間を騒がせました。利益を不当に水増しするような会計処理が行われており、その額はなんと累計で1,500億円以上でした。目的は、赤字決算の回避を行い、業績悪化が外部に見えないようにするためでした。しかも、経営陣が主導する形の組織全体での不正だったと結論づけられています。

違法残業

労働基準法に違反する違法残業も、コンプライアンス違反にあたります。2015年大手広告代理店に勤める女性新入社員が過労によって自ら命を絶ったという事件が起こりました。これは、会社側が労働時間の過少申告を指示した上で、1ヶ月に100時間以上の時間外労働をさせたという衝撃的なものでした。この事件は、業界だけではなく、日本における「働き方」というものについて多くの人が考えさせられるきっかけとなったと言えるでしょう。

個人情報流出

個人情報流出も、近年非常よくニュースでも話題になるコンプライアンス違反の代表例です。2014年には、大手通信会社が運営していたサービスのユーザー約1,300万人の個人情報が流出しました。原因は、サービスを運営していた委託会社の従業員が、個人情報の入ったPCを紛失してしまったことでした。前の2つの事例と違うのは、大手通信会社の従業員が故意に情報を流出したわけではないということです。企業や個人の情報がデータとして管理されている場合、従業員がそれを簡単に外部に持ち出せるような状況であれば、このようなことが起こる危険性は常に付き纏います。もしこれが悪用されたとなれば、会社の存続が危ぶまれるほどの損害賠償を求められる可能性もあるのです。

上記3つはあくまで、コンプライアンス違反の代表的な例ですが、こういった事例を事前に知り、それについて考えたり議論をする時間を作ることで、自社の事前防止策や再発防止策を考えるきっかけとなるでしょう。

コンプライアンスに気をつけ、企業信頼を高めよう

コンプライアンス違反が一因となった企業の倒産件数は、ここ数年は毎年200件前後にのぼります。企業経営において、コンプライアンスは、顧客や従業員の保護だけでなく、自社の経営基盤強化にも繋がります。経営者からアルバイトまで、役職や立場に関係なく、会社に関わる一人ひとりの意識や行動が、その会社の社会的信頼を支えているということを常に意識し、継続的に根気よくコンプライアンスへの意識を浸透させていくことがこれからもより必要になっていくでしょう。

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