インセンティブとは?メリット、デメリット、導入の3つのポイントを紹介BLOG

 2021.5.31

例えば、転職サイトなどの求人情報を見ていると、給与の欄に「インセンティブあり」などの記載をみなさんも目にしたことがあるのではないでしょうか?なんとなく給与に関係のある制度なんだろうなということはわかっても、具体的に通常の給与形態との違いがわかっていない方も多いかと思います。

また、業績に応じた報酬という意味までわかっていても、それはあくまで金銭的な面に限定して考えている方がほとんどなのではないかと思います。しかし、近年では、金銭的な報酬に限らず、インセンティブの本来の意味に立ち返り、個人の価値観に着目したインセンティブ制度を導入する企業が増えてきています。

そこで、今回は下記の項目に着目しながら、「人事制度におけるインセンティブとは何なのか」「インセンティブ制度のメリット・デメリットとは」などについて詳しく解説していきたいと思います。

  • 「インセンティブ」とは?
  • ボーナスや歩合制とは違う?
  • インセンティブの5つの種類
  • インセンティブ制度のメリット・デメリット
  • インセンティブ制度を導入する際に知っておきたい3つのポイント

「インセンティブ」とは?

「インセンティブ」という言葉そもそもの意味とは、大きく分けて二つあります。一つは、仕事に対してやる気を起こさせるような刺激や動機付けです。もう一つは、個人の成績に応じて支払われる報酬金です。

広い意味では、何かに対する意欲を引き出すための動機付けとなる刺激を、外部から与えることをインセンティブと言います。より的を絞った意味となると、業務実績に応じて支払われるボーナスや報奨金のような、仕事で成果を出すことへの意欲をアップさせる報酬のことを指します。

人事領域における「インセンティブ」とは、主に、業績に応じて何かしらの報酬を与える評価制度のことを指します。近年では、ただ単に個人の業績に合わせて報酬を支払うだけでなく、その従業員が持つ価値観に合わせ、組織全体の生産性向上に寄与するインセンティブ制度を取り入れる企業も増えてきました。

後述しますが、インセンティブというと金銭的な報酬が真っ先に思い浮かぶと思いますが、現在は、様々なかたちのインセンティブ制度が導入されているのです。

ボーナスや歩合制とは違う?

インセンティブと混同されやすい報酬としてあるのがボーナスです。2つの違いとしては、まずインセンティブは「個人の業績に合わせて与えられる報酬」です。なので、上述したように、インセンティブは金銭的報酬とは限りません。例えば、特別休暇や昇給などもインセンティブに含まれるのです。一方、ボーナスは「企業の業績に応じてほぼすべての従業員に支払われる金銭報酬」です。

「基準が個人の成績か、企業の業績か」「支給対象が個人か従業員全体か」「報酬は金銭なのか、それ以外もあるのか」という点で、インセンティブとボーナスは全く違うものと考えることができるでしょう。

もう一つインセンティブと混同されやすいのが、「歩合制」です。

「歩合制」とは、「個人の成果に対して金銭が支払われるシステム」です。個人に与えられる報酬という意味では、インセンティブとほぼ同じ意味ですが、金銭に限定されているという点が歩合制の特徴と言えるでしょう。ただし、歩合制の場合は、成果報酬型の給与体系に組み込まれる場合がほとんどです。なので、インセンティブは目標達成ごとに報酬が発生しますが、歩合制の場合は、目標達成ごとに一定の金額が基本給に上乗せされていくかたちとなります。

歩合制もインセンティブに非常に近いものと言えますが、こうして見てみると、やはり異なったシステムであるということがわかるでしょう。

インセンティブの5つの種類

先ほどからすでに述べているように、インセンティブというと、金銭的なインセンティブをどうしても連想しがちです。しかし、近年では、金銭以外のインセンティブが、様々な企業で導入されています。ここでは、そうしたインセンティブの中で主な5つの種類を紹介します。学術的には、「マズローの欲求5段階説」というものがあり、基本的なインセンティブはそれに沿って分類することができます。

物質的インセンティブ

物質的インセンティブとは、みなさんがインセンティブと聞いて真っ先に思い浮かべる金銭的なインセンティブのことを指します。物質的欲求は誰しもが持っている基本的な欲求なので、やはりこのインセンティブは最も一般的なものと言えるでしょう。ただ、これは金銭だけを指すのではなく、例えば何かのチケットであったり、旅行などもこの物質的インセンティブに含まれます。

ただ、マズローの欲求5段階説によると、これは人間の最低限の欲求であるため、ある程度その人が満たされてしまうと効果が薄れてしまうと言われています。

人的インセンティブ

会社の上司であったり先輩の人間性によって行動の促進、モチベーションの向上が為されることを人的インセンティブと呼びます。また、集団に属することによって心地よさを感じることも人的インセンティブの一つです。

人間関係や集団に属することがインセンティブになるのかと疑問に感じる方もいるかもしれませんが、仕事において人間関係は非常に重要なものであり、仕事に対するモチベーションに大きく関わってきます。例えば、この上司のために成果を出したいと思える人がいれば、自ずと業務へのモチベーションも上がるはずであり、これも立派なインセンティブの一つなのです。

評価的インセンティブ

評価的インセンティブとは、企業の中での従業員の仕事を評価することを指します。これは、いわゆる「承認欲求」というものです。企業側が従業員一人ひとりをしっかりと見て評価しているんだという思いがまず必要となり、仕事の成果だけではないその従業員の貢献度もしっかり評価することが大切です。日々の何気ない褒めるということも、従業員の心理には大きな心理的効果をもたらします。

ただ、褒めているだけの心理的効果だけでは、継続的にその人のモチベーションを維持させることは難しいため、昇給や昇格など、しっかりとした形の評価が必要になります。

理念的インセンティブ

理念的インセンティブとは、その企業や経営者が掲げる理念やビジョンに共感し、従業員の目標達成意欲を動機付けすることを指します。

企業の理念によって、「自分たちは社会にとって本当に意義のある仕事をしているんだ」と従業員が思うことができれば、自ずと企業全体に責任感や使命感を浸透させることができます。

このインセンティブは、承認欲求や自己実現への欲求を満たすことができると言われています。

自己実現的インセンティブ

自己実現的インセンティブとは、個人の目標の達成や、それ以外の企業への貢献によって、従業員が満足感を得られる環境を整えることです。

評価的インセンティブと似ている部分がありますが、従業員に対して大きな権限を与えたり、本人が望んでいる業務を担当させたり、職場環境を従業員に合わせて働きやすいものにしたりというのが、自己実現的インセンティブです。実は、この「自己実現的欲求」は、人間にとって最大の欲求と考えられており、それを満たすことができるのがこのインセンティブなのです。

インセンティブ制度のメリット・デメリット

どの制度もそうですが、もちろんインセンティブ制度にもメリット・デメリットと考えられるものがあります。それぞれについてここでは詳しく見ていきましょう。

メリット

従業員のモチベーション向上

自分の仕事の成果に対して、目に見える報酬であるインセンティブが与えられると、従業員のモチベーションは向上しやすくなります。あともう少しで目標が達成できそうだというときに、インセンティブがあれば、その最後の一踏ん張りができる動機付けにもなります。こういった姿は、従業員全体への相乗効果となり、結果的に会社の業績に寄与する可能性も高まります。

不公平さの減少

いくら仕事を頑張ったとしても、頑張らない人と評価や報酬が同じであれば、モチベーションは上がりません。むしろ頑張っている人のモチベーションがどんどん低下する事態になってしまうでしょう。しかし、インセンティブがあれば、頑張った人にはその分の報酬が与えられるので、頑張っていると人と頑張らない人の評価が同じなどという不公平さは生まれにくくなります。

健全な競争が生まれる

インセンティブ制度が導入されることによって、企業の中に少なからず競争が生まれます。インセンティブがほしい、そのために評価されたい、スキルアップをしたいなど、従業員の中には様々な考えが生まれます。競争はマイナスに働いてしまうこともありますが、その競争が良い形で生まれれば、より生産性の高い企業へと成長することができるでしょう。

デメリット

競争によって結束が乱れる恐れがある

先ほど、競争はマイナスに働くこともあると述べましたが、インセンティブ制度を導入したことによって、それまでは結束力のあった組織の結束が失われてしまうという恐れがあります。

例えば、導入しているインセンティブ制度が個人の業績評価に依存している場合、その評価に関わる業務のみを一生懸命こなし、逆にそれ以外の業務を疎かにしてしまうという危険性があります。

評価が個人の業績にのみ依存している場合、例えば、新人研修やそれに向けての資料作成、従業員同士のフォローなどは誰もやりたがらなくなり、押し付けあいになってしまうことが考えられます。こうした状況が出来上がってしまうと、企業全体の結束力は低下してしまうでしょう。

企業の成長の停滞

インセンティブを得ることが一番の目標になってしまうと、目先の業務ばかりに目がいってしまいがちになってしまいます。結果的に新しいことへの挑戦の機会が減り、長期的な目線で見ると、企業の成長を停滞させてしまう恐れがあるのです。

インセンティブを獲得するための業務がいかに企業への成長につながるかを考えることが非常に重要と言えます。

心理的プレッシャー

インセンティブ制度によってその恩恵を受けて生産性を向上させる従業員もいれば、それによって心理的プレッシャーを感じてしまう従業員もいることを考慮しなければなりません。

逆に明確にインセンティブが明示されることによって、それを達成しなければ報酬がもらえないというプレッシャーを強く感じてしまい、業務に支障をきたしてしまうケースが見られるのも事実なのです。

一部の従業員しかインセンティブをもらえない制度の場合の不公平

インセンティブ制度を導入する場合は、その条件を達成できるのが一部の社員に限られていないかということを確認する必要があります。例えば、営業などは目標が比較的立てやすいので、営業チームはインセンティブを獲得でいるが、事務などの仕事に従事する従業員はインセンティブを得ることができないなどはよく見られるケースです。このような場合には、インセンティブをもらう機会がない職種に従事する従業員から不満が出る可能性があります。

インセンティブ制度を設計する上で大事なことは「公平性」です。公平性がなければ、インセンティブ制度を導入したとしても、マイナスに働く可能性のほうが高くなってしまいます。ただ、制度として導入しただけでは、インセンティブのメリットを活かすことはできないでしょう。

インセンティブ制度を導入して従業員のモチベーションを上げよう

インセンティブ制度は、従業員一人ひとりのモチベーションを向上させ、企業の生産性や業績アップに寄与できる制度です。ですが、従業員のモチベーションの上下のポイントをしっかりと把握していなければ、逆に生産性の低下を招いてしまう恐れがあります。

この記事では、一般的な金銭的インセンティブ以外のインセンティブに関してもご紹介をしましたので、ぜひ自社に合ったインセンティブ制度の選択肢を広げていただくきっかけになれば幸いです。

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