2021.6.30
人生においても仕事においても、目標設定をすることは、活力やモチベーションの向上に繋がり、様々な点で人を成功に導いてくれます。しかし、もちろんそこには目標を達成できる人とできない人がいます。そこの違いはいったいなんのか?様々なアプローチでトライしているものの、なかなか目標達成に向けて進むことができずに困っている方も多いかと思います。
今回は、脳、心、そしてシステムという側面から、総合的にアプローチするNLP(神経言語プログラミング)に焦点を当て、このNLPの考えたかを用いた目標設定の方法について解説していきます。
そもそも、今回のキーワードである「NLP」とは一体何なのでしょうか?まず初めに、本題である目標設定の話に入る前に、NLPとは何かということからご紹介したいと思います。
NLPとは、1970年代のアメリカで生まれた心理学であり、仕事や人間関係の問題を解決し、自身の人生の目標を設定するための脳科学や心理学を統合し、大きな成果を生み出すスキルや考え方のことです。
NLPは、「Neuro(神経)」「Linguistic(言語)」「Programming(プログラミング)の3つの言葉の頭を文字を取った言葉で、「NLP(神経言語プログラミング)」と呼ばれています。Neuroは五感のことであり、Linguisticは言語のことです。Programmingとは、私たちの脳の中に組み込まれたパターンを意味します。
人間は、五感を使って目の前で起きていることなどを認識します。そして、五感で認識したことを言語によって処理していきます。この五感から言語化された情報により、個人個人の思考や考え方、行動パターンが形成されるのです。
そして、このパターンはコンピューターと同じように、一度設定されると変更されるまでは同様のパターンを繰り返します。例えば、「自分にはできないとすぐあきらめてしまう」「初対面の人と話すときは必ず緊張してしまう」「自分にはリーダーシップがない」などのマイナスな制限につながるプログラミンがインプットされていると、どんなに頑張ってもなかなか成果を出すことができないということが起こりうるのです。逆に「自分はできる」「自分は失敗しない」などのプログラミンができていると、高いパフォーマンスを発揮することができ、大きな成果にもつながるのです。
このように、無意識のプログラミングが、私たちの人生を決定づけていると言っても過言ではないのです。
NPLでは、上述した五感と言語をうまくコントロールし、より望ましい状態にしていくためのスキルや考え方を学ぶのです。
ここからは、目標設定に話を戻し、いかにしてNPLを活用して目標設定をしていくかを解説します。
当たり前ですが、目標達成をするためには、まずその目標自体の設定がスタートとなります。目標設定の際によく出てくる「SMARTの法則」というものがあります。「具体性を持たせる」「期限を設ける」「数値化する」などがそれに当たりますが、NPLではこれ以外の重要な条件も提示されています。
「アウトカム」とは、適正な形に整えられた目標のことを指し、これからご紹介する6つの条件を満たしているかどうかによって、目標を達成できるかどうかの可能性が変わってくると考えられています。
それでは、その6つの条件をご紹介します。
「したくないこと」ではなくて、「したいこと」を設定するようにしましょう。例えば、「貧乏にはならない」ではなく、「裕福になる」のように、肯定的な表現で目標を設定するようにしましょう。否定的な表現を使ってしまうことは、努力が空回りする原因の一つとなってしまう恐れがあります。
なぜなら、「お酒を飲まないようにしましょう」「夜更かしはしないようにしましょう」などと考えるとき、この言葉の意味を理解するために、私たちの脳は一度その行動を行っている自分を想像する必要があるのです。例えば突拍子もないですが、「全長4mの犬を想像しないでください」と言われたら、必ず全長4mの犬を一度想像していまいますよね。
すなわち、重要なのは「欲しくない」という否定的な状態で表現するのではなく、「欲しい」という肯定的な状態で表現することなのです。
「自分の子供をアメリカの大学に入学させる」という目標を持ったとします。この場合、大学に入学するための成績を取る努力をするのはあくまで子供です。親としてできることと言えば、入学にかかる学費を工面することです。つまり、この場合のあなたの目標は、「学費を工面する」ということになり、それが、自分のできる範囲に沿った目標となるのです。
会社として「新規契約2倍」という目標を掲げた場合、契約をするのはあくまで顧客なので、その目標を達成するために、「新規へのテレアポ数を倍にする」「新規営業訪問数を倍にする」などが自分でできる範囲にフォーカスした目標となります。
どのようにしたら目標を達成したと言えるのでしょうか?NLPには、「VAKモデル」と呼ばれるユニークな概念があります。これは、人間が五感で情報を処理していることを示し、「Visual(視覚)」「Auditory(聴覚)」そして残りの3つを含んで「Kinesthetic(体感覚)」の頭文字を取ったものです。
このVAKモデルを用いて目標設定をするということは、もしあなたが目標を達成したら、どのような映像を見ることができるのか、何が聞こえるのか、そして何に触れて、その時体はどのように感じるのかということを明確にし、脳にインプットしていくことを目的としています。そして、それらを文章で表現していくのです。
例えば、何かの資格取得が目的だとしたら、映像として見ることができるのは、自分の名前が載せられた認定証であったり、家族や友人の喜んでくれている笑顔などです。どんな音が聞こえるのかという点では、家族や友人から「おめでとう」とお祝いの言葉をもらえたりすかと思いますが、それもこの音による認識の一つです。また、何に触れ、どのように感じるかという点においては、認定証を持っているという満足感もその一つとなります。
上記のように、目標達成の証拠となる要素をVAKに沿って特定していくのです。
これはSMARTの法則でも言われていることですが、目標を具体的なものにするということは、目標設定をする上で欠かすことのできない要素です。いわゆる5W、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰が)」「What(何を)」「Why(なぜ)」という要素を踏まえつつ、目標設定をしていくことで、自然と目標が具体性を帯びてきます。その上で、しっかりと数値や期限を入れるようにしましょう。
「メタ」というのは「それを超えた」という意味の言葉です。すなわち「メタアウトカム」とは、「目標達成を超えた」さらなる可能性を秘めた目的ということになります。わかりづらいかもしれませんが、以下の質問にみなさんであれば何と答えるでしょうか?
その目標達成をすることで「どのような価値を手に入れるのか」「自分はどのように成長ができるのか」「誰にどんな幸せをもたらすのか」「どんな新たな可能性が未来に生まれるのか」などの質問への答えこそがメタアウトカムです。本来の目標と比較してみると、少し抽象的にはなってしまいますが、メタアウトカムまで意識を持っていると、本来の目標は一つの通過点であるということに気づき、さらなるモチベーションが生まれてくるのです。
最後は「エコロジー的観点」です。NLPでいうエコロジーとは、「バランス」のことであり、周囲とのバランスのことを指しています。
仮に目標を達成したとしても、その結果身も心もボロボロになってしまっているのでは意味がありません。自分自身と周りの人々との関係がWIN-WINになっていることが重要なのです。
もちろん目標達成に向けて全力を尽くすことは非常に大切なことですが、目標を達成することで、しっかりと自分自身に対してもメリットをもたらさなければならないということを忘れないようにしましょう。
次に、NLPを用いた計画の立て方についてです。目標を達成するためには、プランニングが非常に重要です。プランニングの時点で、目標達成に必要な手順や方法を考えていきますが、周囲の反発や意見の食い違いなどで、結局実行されずに終わってしまうというケースも非常に多いです。
そうならないためにも、ここでは、NLPから「ディズニー・プランニング・ストラテジー」というものをご紹介したいと思います。
この方法は、ディズニーの創始者であるウォルト・ディズニーをモデルに開発された技法です。この方法を使って目標を設定する際に必要なのは、以下の3つの視点です。
夢や理想という壮大なゴールに焦点を置きます。とにかく望むことはすべてが実現可能であるという心理状態をキープします。
質問例:
あなたは何をしたいのか?
それを達成することで周囲にどんな良い影響を与えられるのか?
何のためにそれを実現したいのか?
具体的な行動を決めていくことにフォーカスし、時間や具体的なプロセス、進捗管理などの現実的な視点を持ちます。
質問例:
いつまでに達成するのか?
時間や費用はどれぐらいかかるのか?
どうやって進捗を管理するのか?
ただ単に批判ばかりを繰り返す批評家になるのではなく、目標達成に向けてのリスクや問題点をいかに解決するのかという点にフォーカスした視点を持ちます。
質問例:
このプロジェクトを進めるとどのようなリスクがあるのか?
このプロジェクトを進めない方がいい理由はあるか?
誰が責任を持ってこのプロジェクトを進めるのか?
ウォルト・ディズニーは、何かプロジェクトを進める際に、時に突拍子もない壮大な夢を語る夢想家でありながら、時には非常に現実的な戦略を立て、また時にリスク回避に向けての解決案を提示するなど、状況に合わせた仕事の進め方をしていました。つまり、彼はプロジェクトを進める上で、偏った視点を持つのではなく、上記の3つのような視点を常に持つことでバランスを保ちながら、夢を現実化していったのです。
実際の会議などで目標達成に向けての計画を練る際には、上記で挙げた3つの視点とそれぞれの質問例をお互いに投げかけながら進めていくことによって、より円滑に計画を進めていくことができるのです。
今回は、目標を達成する上で重要な「目標設定」「計画」についてNLPの観点からご紹介をしました。目標達成について考えた時、どうしても技術的なことや、具体的な方法のみにフォーカスしてしまいがちですが、目標を達成するためには、「目標達成脳」を作ることが非常に大切です。自分の脳に何がインプットされているかによって、その人の行動は大きく変わってくるのです。ぜひ今回の記事を参考に、目標を達成するための脳作りに取り組んでみてはいかがでしょうか?