メルクマールとは?意味、導入手順、運用の3つのポイントを紹介BLOG

 2021.7.31

みなさんは「メルクマール」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、この言葉はビジネスにおいて、「指標」や「基準」を指す用語です。

最終目標の達成に向けた中間地点の指標として用いられるケースも多いですが、業界によって使い方は様々で、判断基準として用いられることもあり、様々な業界で幅広く活用されています。適切なメルクマールを設定することが、迅速な軌道修正へとつながり、目標達成への重要なカギとなるのです。

今回は、この「メルクマール」に注目し、メルクマールの意味や、似た用語との違い、実際に導入するための手順などを、下記の項目に沿って詳しく解説していきます。

  • メルクマールとは?
  • メルクマール設定の重要性
  • メルクマールと関連用語との違い
  • メルクマール導入の手順
  • メルクマール運用で大事な3つのポイント

メルクマールとは?

メルクマールとは、ドイツ語で「指標」や「目印」という意味を持つ、 “merkmal” を語源とした言葉です。具体的には、目標地点までの進捗状況を把握するための「目標」を指す言葉です。

また、ビジネスにおけるメルクマールとは、事業や業務の活動の目標達成するために設けられる、管理指標や達成基準として使用されます。

また、業界によってメルクマールの意味や使い方は異なった特徴を持つことがありますので、いくつか例をご紹介します。

医療業界

医療現場においては、治療効果を判定するための検査値などの指標のことをメルクマールと呼ぶことがあります。戦前に日本はドイツから医療技術を学んだということもあり、「カルテ」のように、医療現場には今でもドイツ語の用語が多く残っているのです。

金融、法律業界

金融、法律業界では、メルクマールという言葉は、判断基準や目印という意味で用いられることが多いようです。例えば、「預金残高は返済能力のメルクマール(判断基準)である」などです。

哲学

哲学的な思想や考え方の中でメルクマールが用いられるときは、「目印」という意味で使われることが多いようです。しかし、ただ単純な目印という意味で使われるというよりは、「目印としての概念」や「比喩的な目印」という哲学的な意味で使用されます。例えば、「ソクラテスの哲学は、それ以前と以後の哲学を分けるメルクマール(目印)となった」などです。

メルクマール設定の重要性

では、メルクマールを設定することがなぜ重要なのでしょうか。ここでは、3つのポイントを挙げて、メルクマールを設定する重要性について考えてみたいと思います。

KPIとしての役割

メルクマールにはKPIとしての役割もあります。KPIとは “Key Performance Indicator” の略で、日本語で言うと「重要業績評価指標」という意味です。

KPIとは、最終目標を達成するための定量的な数値目標のことであり、営業部を例に挙げると、例えば、最終目標が「月間売上500万円」だとすると、この場合のKPIは、架電数、アポイント数、商談数、訪問数、契約数などとなります。

KPIの数値を設定するためには、これまでのデータを元に「率」を求めるのが良いでしょう。単純な例で言えば、例えば100件架電をして、アポイントが1件入るとすれば、アポイント率は1%です。1日2件のアポイントを獲得することが目標だとすれば、1日200件の架電がKPIとなります。

課題や成功理由の可視化

メルクマールを設定することは、課題や成功理由の「可視化」につながります。例えば、先ほどのアポイント率1%の例で考えてみましょう。もしここで、メルクマールを1日4件のアポイントと設定したとしましょう。そうなると、1日に必要な架電数は400件となり、正直なところあまり現実的な数字とは言えないでしょう。また、困難な目標設定に従業員のモチベーションも下がり、アポイント率が逆に下がってしまう危険性もあります。

ここでの課題は、架電数ではなくアポイント率です。メルクマールを設定することで、課題が明確になり、弱点を洗い出して改善することに役立てることができるのです。

事業計画達成に役立つ

事業の目標を達成するためには、しっかりとした見通しを立て、達成可能性の高いプロセスに沿って事業を進めていかなければなりません。

メルクマールを設定することで、最終目標達成のために中間目標を立て、その中間目標を達成するための現実的なプロセスを考えることができるのです。もしそれがなければ、行き当たりばったりの行動に終始してしまうことでしょう。

メルクマールと関連用語との違い

ここでは、メルクマールと混同されやすい言葉を2つ挙げて、それぞれの違いと意味について解説します。

マイルストーン

まずメルクマールとほぼ同じような使い方をされる言葉の1つとして、「マイルストーン」という言葉があります。

マイルストーンとは、元々は道路などに置かれている距離を示す標識のことを指し、最終的な目標地点に到達するまでの節目のことを表します。ビジネスにおいては、目標に向かう途中の地点にマイルストーンを設定し、その地点での達成すべき事柄と状況をチェックすることで、進捗の確認を行います。つまり、「あとどのくらい進めば目標に辿り着けるのか」を表すのが、マイルストーンの一番の役割と言えるでしょう。

一方、メルクマールの場合、「基準」や「目印」という意味を持ち、ただ「節目」を指すマイルストーンとは違い、「中間目標を達成できているかどうか」「達成度合いはどの程度か」といった判断基準として機能することが大きな違いです。

KPI

先ほど、メルクマールにはKPIとしての役割もあるということを述べましたが、その通り、KPIとメルクマールはほぼ同義語として考えて良いでしょう。

あえて違いを挙げるとすれば、KPIは目標達成を管理する意味合いが強いのに対し、メルクマールは目標だけを対象にしているとは限らないということが言えるでしょう。冒頭で述べたように、メルクマールは様々な業界で幅広く活用されているのです。

メルクマール導入の手順

ここでは、実際にメルクマールを事業に導入するための5つの手順について解説します。

1.最終目標を立てる

まず第一に、最終的に達成したい目標を設定します。

メルクマールは、あくまで目標達成に向けた中間的な管理指標です。最終的なゴールや目標が不安定であったり、曖昧なままにしておいた場合、中間指標の存在も無意味になってしまいます。なので、まずはしっかりと明確な最終目標を設定することを心がけましょう。

最終目標を設定する上でのポイントは、定量的に測れるものであると同時に、しっかり達成が可能であるということです。従業員がしっかりとモチベーションを保って向かうことのできる目標を設定することが非常に重要です。

2.アクションの整理

次のステップとして、目標達成に必要なアクションを洗い出します。最終目標を設定するよりも、こちらのアクションを整理する方が難しいかもしれません。

最終目標に関しては、「売上高◯◯%アップ」や「顧客満足度◯◯%以上」など比較的簡単に設定することが可能ですが、それに向けたアクションの場合、達成方法にはもちろん様々なやり方がありますし、達成するまでのシナリオをしっかりと見据えなければなりません。

実際の現状と理想となる状況の間にあるギャップを分析し、常に今取るべき行動をアップデートしながら業務を進めていくことが重要です。

3.アクションのプロセス設定

実際に行うべきアクションを設定したら、次にそれを実施するプロセスを設定します。たとえ行うべきアクションを決めたとしても、すぐにアクションに移せるものばかりとは限りません。むしろ、そのようなアクションのほうが少ないと言えるでしょう。

実施するアクションは多岐にわたる場合がほとんどなので、アクションごとに期限や方法を明確に設定するようにしましょう。

4.メルクマールを設定する

メルクマールの設定と書きましたが、これに関しては、必要なアクションや実施するプロセスがしっかりと定まっていれば、ほぼ自動的にこちらも定まっていくでしょう。

メルクマールを設定する際は、メルクマールはあくまで中間判断指標であることを意識しましょう。先に述べたように、実施するアクションは、期限や方法もしっかりと設定しますが、メルクマールにはその後のチェック指標としての役割があります。

つまり、最終的な目標達成に向けて、それぞれのアクションが正しい方向に向かっているのかを判断するための基準であるため、メルクマールも具体的な数値で設定し、期日を設けることが大切なのです。

5.PDCAサイクルの実施

メルクマールは、それを設定して終わりではなく、PDCAサイクルを実施することでより効果を発揮します。

せっかくメルクマールを設定したのであれば、それだけで終わりにするのではなく、その後改善のためのアクションを実施し、メルクマール自体の見直しも行いPDCAを回し続けることで、最短の目標達成へとつなげることができるのです。

メルクマール運用で大事な3つのポイント

最後に、メルクマールを運用する上で重要な3つのポイントについてご紹介します。

1.組織への意思疎通

メルクマールの導入にあたっては、まずは各メンバーに対して丁寧な説明を行うことが必要です。

いかに的確で素晴らしいメルクマールを設定したとしても、それに対し実際に実行する従業員がしっかりとコミットできなければ、効果は期待できません。

各メンバーに対して、なぜそのメルクマールが必要なのか、導入することでどのようなメリットを得ることができるかを丁寧に説明するよう心がけましょう。

2.具体的な指標の設定

メルクマールは、最終目標達成に向けて、メンバーが業務に取り組んでいくための目印となるものです。メルクマールという共通認識があれば、プロジェクトの途中で方向性に迷いが生じたとしても、意思疎通もスムーズに行うことができ、議論の方向性もブレずに進めることができます。

ですが、メルクマールが曖昧なものであったり、現実的なものではない場合、メンバーのモチベーションが下がってしまうこともあり得るのです。

メンバーが一丸となり業務に取り組めるよう、明確で現実的なメルクマールを設定するようにしましょう。

3.実行体制の確立

何か新しい施策などを始めるときは、どうしても日々の業務に追われる中で後回しにされてしまう傾向にあります。そうなると、せっかく設定したメルクマールも効果を発揮することはできません。それを防ぐためには、責任者を明確に任命し、チームを立ち上げ、継続的に運用ができる体制を整えるようにしましょう。

メルクマールを導入して事業をスムーズに

メルクマールは最終目標を達成するための中間指標です。ビジネスにうまく導入すれば、評価や判断の基準として、事業をスームズに進めるための助けとなることでしょう。

今回ご紹介したポイントをぜひ参考にしていただきながら、メルクマールを導入して上手に運用していただければ幸いです。

OKRを1つのツールに
まとめて運用しましょう

製品資料のダウンロードはこちら

お問い合わせ・導入のご相談はこちら