ピグマリオン効果とは?意味と5つの活用ポイントを紹介BLOG

 2021.7.31

みなさんは「ピグマリオン効果」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この「ピグマリオン効果」という言葉は、特に教育現場において、教育者を育成する場面で頻繁に使われている言葉です。

近年、このピグマリオン効果をビジネスの場面にも活用していこうという考えが普及してきています。特に、人材育成の場面での活用が期待されています。

みなさんの中でも、後輩の育成を任されているが、なかなか上手に指導ができずに悩んでいる方も少なくないと思います。そういった方々にはぜひ今回の記事を読んでいただきたいと思います。

先述したように、ピグマリオン効果は教育現場で使われることの多い言葉です。ですが、教師を上司、生徒を部下、という風に考えれば、ビジネスの場面に当てはめて考えやすいものなのです。

本記事では、ピグマリオン効果の意味、そしてそれがもたらす効果、実際に活用する際のポイントと注意しなければいけない点などを中心に解説していきます。

  • ピグマリオン効果とは?
  • 類似する3つの理論との違い
  • ピグマリオン効果を効果的にマネジメントで活用するポイント
  • ピグマリオン効果の注意点
  • まとめ

ピグマリオン効果とは?

ピグマリオン効果とは、他者から期待されることで学校の成績が上がったり、仕事での成果が上がったりする心理効果のことで、アメリカの教育心理学者ローゼンタールが発表した心理学用語です。別名、教師期待効果、ローゼンタール効果とも呼ばれます。

彼は、1963年から1964年にかけて実験を行い、その実験の結果、教師が期待をかけた生徒の方が、期待をかけられなかった生徒よりも学力の向上が大きいという傾向を見つけ出しました。

実験の内容を簡単に説明すると、ローゼンタールはあるサンフランシスコの小学校で特別なテスト行いました。そして、担任に対して、このテストの成績優秀者はこれからの伸び代が大きい生徒だと伝えたのです。しかし、実際はテストの結果は関係なく、伸び代があるとされた生徒は無作為に選ばれていたのです。それにも関わらず、その情報を信じて担任がその生徒たちに期待を寄せた結果、実際にその生徒たちの成績が向上したのです。

この実験結果から、「人は他者から期待されることで成長が大きくなる」という結論を導き出し、この効果をピグマリオン効果と呼ぶようになりました。

これは、ビジネスの面にも応用することができ、このピグマリオン効果を企業の人材育成にうまく活用することができれば、業務に対して意欲的な人材を育成し増やすことができると考えられています。

一般的に、人のパフォーマンスに対して大きな効果をもたらすと考えられているピグマリオン効果ですが、この効果に対しては批判の声も少なくありません。特に、ローゼンタールが実際の教育現場で行った実験は、生徒たち自らが進んで学んでいくという視点に乏しいと指摘されることがよくあります。

ピグマリオン効果をビジネスのマネジメントの場面などで活用する場合には、しっかりとピグマリオン効果の意味を理解した上で、注意しながら活用していくことが重要と言えるでしょう。

類似する3つの理論との違い

ピグマリオン効果に類似する他の理論として、「ゴーレム効果」「ホーソン効果」「ハロー効果」と呼ばれるものがあります。ピグマリオン効果をより深く理解するためにも、ここではそれらの理論との違いについて解説したいと思います。

ゴーレム効果

ゴーレム効果は、ピグマリオン効果と全く逆の意味を持つ効果を指します。つまり、他者に対して、期待を寄せないことにより、相手のパフォーマンスが下がってしまう心理効果のことです。例えば、上司が部下に対して、「仕事できないね」「全然成長してないな」などの言葉をかけた場合、これによって仕事のパフォーマンスが下がってしまうことは、まさにゴーレム効果に該当する事例なのです。

ちなみに、ゴーレム効果も、ピグマリオン効果を発表したローゼンタールによって提唱された理論であり、まさに対の関係となる理論同士と言えるでしょう。

ホーソン効果

ホーソン効果とは、他人から注目されることで、その期待に応えようと力を発揮する人の心理効果を指す言葉です。例えば、定期的に上司が部下に表彰などを行ったりすることで、ホーソン効果が働き部下のやる気やモチベーションを上げることに寄与することが期待できるでしょう。

非常にピグマリオン効果に似ていますが、モチベーションやパフォーマンスが向上する要因に違いがあります。ホーソン効果では「注目」であり、ピグマリオン効果では「期待」となります。

ハロー効果

ハロー効果とは、顕著な特徴によって他の特徴の評価が歪められ、実際の能力よりも高く相手を評価してしまう心理現象です。わかりやすい例を挙げると、「仕立ての良いスーツをしっかりと着こなしているビジネスマンは仕事ができそうに見える」など、実際の能力とは無関係の部分の顕著な特徴を評価してしまい、それに伴って他の部分も良く評価してしまうなどが、このハロー効果に該当します。

ピグマリオン効果は、相手の期待に応えようという評価対象者側の心理現象であるのに対し、ハロー効果は評価側の心理現象であるというのがこの二つの理論の大きな違いです。

ピグマリオン効果を効果的にマネジメントで活用する5つのポイント

ここまで、ピグマリオン効果の意味と、類似する理論との違いについて解説してきましたが、ここでは肝心な点である「実際にピグマリオン効果をマネジメント活用する方法」について解説したいと思います。

ここでは、ピグマリオン効果を使う際に重要な6つのポイントについてご紹介します。

1.達成できる課題を与える

ピグマリオン効果をマネジメントで上手に活用するための1つ目のポイントは、「達成できる課題を与える」ということです。ピグマリオン効果では「期待をかける」ということが重要ですが、具体的な課題を与えることで取るべきアクションが明確になります。

しかし、ただ具体的であれば良いというわけではなく、大事なのは達成できる課題を与えるということです。なぜなら、課題を達成することで、それが大きな自信につながるからです。逆に達成の難しい課題を与えてしまい、もしそれが達成できなかった場合、期待をかけられていた分失う自信も大きくなってしまうでしょう。まずは、達成が可能と思われる課題から与えていくことを心がけましょう。

2.裁量を与える

2つ目のポイントは、期待をかけるだけではなく「裁量を与える」ことです。口や態度でいくら期待をしているということを相手に伝えたとしても、実際に裁量権を与えられずに指示ばかりでは、部下は「結局期待なんて口だけなんだ」と思ってしまうことでしょう。「この予算の中であれば自由にしていい」「この時間は好きように行動していい」など、相手がある程度自分の判断で行動できるような裁量権を場合によって与えることで、相手は自分が信頼されていると感じ、より意欲的かつ積極的に業務に取り組んでくれることが期待できます。

3.部下を褒める

3つ目のポイントは、「褒めてモチベーションを上げる」ということです。マネジメントの際には、定期的に部下のことを褒め、モチベーションを高めるようにしましょう。

ほとんどの人は、褒められることでモチベーションややる気が向上します。ミスなどがあれば叱ることももちろん大切ではありますが、あくまでモチベーションの向上を目的としている場合は、しっかりと褒めることを怠らないようにしましょう。

4.相手に合った期待値を設定する

ピグマリオン効果をマネジメントで活用する際の4つ目のポイントは、「相手の適性に合った期待値を設定する」ことです。かける期待値は、必ず相手の適性に沿った内容にしましょう。

仮に同じ業種として働いている従業員でも、それぞれの適性は全く異なるでしょう。例えば同じ営業職でも、話の上手さで巧みに契約を取る人もいれば、話はそこまで上手くないけれども、誠実さと人柄で契約を取ってくる人もいます。このような場合、もちろんそれぞれにかける期待の種類は変わってくるものです。それぞれの適性に合った期待値をかけることで、部下の力を最大限引き出してあげましょう。

5.期待値は具体的に示す

5つ目のポイントは、「期待値を具体的に示すこと」です。ただ単に「君には期待しているよ」と言葉をかけられただけでは、自分が何を期待されているのかも相手はわからないでしょう。

期待をかけるということは、しっかりと相手が何を期待されているのかをイメージできるようなかたちで具体的に示すことが非常に重要です。例えば「君の新規顧客とのコミュニケーション力には期待しているよ」など、少し期待に具体性を持たせるだけでも、相手は自分が何を期待されているかをイメージしやすいでしょう。同時に、部下も具体的なアクションを起こしやすくなります。

6.公平な評価制度を構築する

最後のポイントは、「公平な評価制度を構築する」ことです。ピグマリオン効果の力を最大限発揮するためには、公平・公正な評価制度に基づいた人事評価を行うことが大切です。

期待をかけられた上で努力をしても、それが正当に評価されないのでは、部下も仕事に対してポジティブに取り組むことができなくなってしまうでしょう。まず人事評価を従業員が納得できるものに整備し、部下を正当に評価できる職場環境作りを目指しましょう。

ピグマリオン効果の注意点

最後に、ピグマリオン効果をマネジメントに用いる際の注意点を2つご紹介します。期待をかけ褒めることがピグマリオン効果の大前提ではありますが、過度な期待をかけたり、無闇矢鱈に褒めるのでは逆効果になりかねません。

過度な期待は禁物

ピグマリオン効果を実践する際には、相手の適性や能力に合わせた期待をかけることが大切です。過度な期待を感じてしまい、逆にそれがプレッシャーになってしまっては、「どうせ無理」と思ってしまったり、プレッシャーに押しつぶされてしまう危険性があります。

褒めすぎない

ピグマリオン効果において、褒めることは非常に重要な要素です。ただし、相手が現状で満足してしまうほど褒めすぎてはいけません。

相手が期待に応えてくれたら、次の課題をすぐに設定し、相手が現状に満足しないよう上手くコントロールしましょう。

ピグマリオン効果を活用して効果的な人材育成を

ピグマリオン効果は、教育現場で生まれた理論ですが、正しい認識を持って活用すればビジネスの人材育成の場面でも有効な力を発揮します。

しかし、誤った使い方をしてしまうと逆効果になってしまい、従業員のモチベーションを低下させてしまう危険性があります。

従業員それぞれに目標を持ってもらい、適正な期待をかけることで従業員のモチベーションと業務効率向上につなげましょう。

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