HR Techとは?意味と4つのメリットを紹介BLOG

 2021.7.31

みずほ総合研究所の調査によると、日本の労働力人口は2065年までに、2016年比で約4割減少する見通しとなっています。

労働人工の高齢化に伴い、人手不足が深刻化している中、生産性向上や業務効率化は多くの企業が抱えている共通課題です。採用活動や労務管理などの人事業務を行う人手も不足しているなど、各企業が様々な対策を講じています。

そのような状況の中で、近年注目を集めているのが、IT技術を活用して人事業務の効率化を図る「HR Tech」です。

本記事では、そもそも「HR Tech」とはいったいどのようなものなのか、どのようなサービスがあるのか、実際に利用するメリットなどについて詳しく解説していきます。

  • 「HR Tech」とは?
  • HR Techに用いられる主要な3つの技術
  • HR Tech注目の背景
  • HR Tech導入のメリット

HR Techとは?

HR Techとは、人事を表す「HR(Human Resources)」と「Technology」を掛け合わせた造語です。冒頭でも述べたように、このHR Techは、テクノロジーを活用して労務管理や採用管理などの人事労務を効率化する1つのソリューションとして近年注目をされています。

近年では、テクノロジーの急速な発展もあり、給与計算や勤怠管理、社内コミュニケーションを効率化するだけでなく、スキル評価や面接、退職予測など、細かい分析をするシステムとしても活用されています。

HR Techの発展により、本来は担当者がいなければ行えなかった業務も自動化され、たとえ担当者がいなくても対応ができるようになりつつあるのです。

HR Techの市場規模は急速に拡大しており、2020年度におけるHR Techクラウド市場は426億円と言われています。さらに、2021年度には566億円、2025年度には1,710億円になる見込みとなっています。健康経営やダイバーシティ、働き方改革など、人事が担う役割は今まで以上に大きくなっています。そして、その分扱う情報も膨大になっていくため、従来のアナログ的な管理方法では、ミスも起こりやすくなり、人事の業務負担も増える一方になってしまいます。

HR Techの活用によって、業務の効率化を期待することができますが、導入をする前にしっかりと何を目的に業務効率化を目指すのかを明確にしておくことが重要です。

HR Techに用いられる主要な3つの技術

HR Techには、様々なIT技術が活用されています。ここでは、その中でも代表的な3つの技術を紹介します。

1.AI(人工知能)

1つ目は、AI(人工知能)です。AIはHR Techの中でも、ビッグデータの解析に用いられるテクノロジーとして認知されています。

たとえば、会社の営業部の中で「営業で優秀な成績を収めている人材にはどのような傾向があるか」など、過去のものも含めた膨大なデータから分析をすることで、新入社員などが入社し、そういった新たな人材の配属先を選択する際に、それぞれのスキルや特性を考慮した上で、AIが営業部に適性を持った人材をピックアップするということが可能になります。

ここでAIを活用する1つのメリットとしては、AIはあくまで客観的なデータから全てを判断するため、属人的な要素を排除することができます。これにより、しっかりと人材それぞれのスキルや適性を明確に判断し、成果の出やすい適材適所の人材配置につなげることができるのです。

また、AIを活用して「退職予測」に役立てている企業も増えてきています。入社後のアンケートや面談、営業成績の結果などのデータから、退職リスクの高い人材を予測することができるのです。こうした情報が事前に予測できることで、個別にフォローをしたり、配属先を変更するなどの対策を講じることができ、結果、人材の流出を防ぐこともできます。

さらに近年では、給与計算や労働時間の管理といった、ヒューマンエラーの起こりやすい事務作業においてもAIの活用がされ始めています。

2.ビッグデータ

先述した人材配置や退職予測などの分析において、AIと同様に重要なのがビッグデータです。いくらAIの処理能力や分析能力が高度なものであったとしても、根拠となるデータや情報がなければ分析や予測を行うことはできません。ビッグデータは、AIが様々な処理をする上で根拠となる材料です。

たとえば、人材配置の分析をする場合は、実際にその部門で成果を上げている人材の特徴やスキル、経験などの要素がビッグデータにあたります。退職予測の場合は、過去に退職をした元従業員の退職理由、営業成績の傾向、アンケートの結果の傾向などがビッグデータにあたります。

ビッグデータの情報量が膨大であればあるほど、AIの予測の精度が高まる傾向にあります。

3.クラウド

従来のように、自社サーバーを配置して運用されるシステムではなく、インターネットに接続できる環境であればどこでも利用できるシステムを、クラウドシステム、またはSaaSと呼びます。

スマートフォンやタブレット端末など、デスクトップやノートパソコン以外のモバイル端末の普及もあり、パソコン以外の端末からも簡単にアクセスできるクラウドサービスの需要が高まっています。また、コロナ後は特に顕著ですが、テレワークによってオフィス以外の場所で働く機会が増えたことも、クラウドサービスが求められるようになった大きな要因の1つと言えるでしょう。

HR Tech注目の背景

冒頭にお話したように、HR Techの需要が近年急速に高まっています。では、いったいなぜここまで急速にHR Techは広がりを見せているでしょうか。すでに理由については簡単に述べましたが、ここでは3つのポイントを挙げて、より細かくその理由について考えていきたいと思います。

人手不足による人材獲得競争

近年、人手不足が深刻化している日本では、優秀な人材の獲得競争が一層激しくなっています。

また、そもそも採用活動をする企業の人事部自体の人手が足りていないという問題もあり、労務管理といった人事業務と並行して人材採用を担当しているケースも多く見受けられます。その結果、応募者への対応やフォローといった採用活動に多くの時間を避けられないという問題も生じてしまいます。これが悪循環となり、そもそも激化している人材獲得競争に遅れを取ってしまうことになるのです。

しかし、HR Techを活用することで、労務管理といった定型的な人事業務を自動化し、負担を軽減することができます。また、履歴書やエントリーシートのチェック、面接などにAIを活用することで、さらなる業務の効率化やより適格に優秀な人材の採用をすることが可能となります。

多様化する働き方

テレワークや時短勤務など、より従業員個人個人に合った働き方を提供することが企業には求められています。従来は、オフィスに出社して働くことが大前提でした。しかし、コロナの影響もあり、テレワークなどは急速に広がりを見せており、今後も広がりを見せ続けることでしょう。そのような場合、今まで大前提としていたオフィスでの業務のみ労務管理では、在宅での勤怠の記録などに対応することはできません。

また、オフィスとは異なる場所で働く場合、管理者や上司の目が届かず、仕事ぶりを把握することができないという問題点もあります。このような多様化する働き方に対応をしていくためには、今まで以上に公正で客観的に評価ができるシステムの構築が必要になってきます。

HR Techを導入すれば、オフィス外での勤怠管理も可能になり、実績をもとに客観的に適正な評価を下しやすくなります。さらに、社内向けのSNSツールを活用することで、たとえリモートワークで離れた場所でお互い働いていたとしても、密なコミュニケーションを行うことができ、従業員にとって働きやすい環境作りにも寄与することでしょう。

クラウドサービスの普及

これまでであれば、企業がHR Techのようなシステムを会社に導入しようとした場合、個別にシステムの開発・設計を行う必要がありました。しかし、もちろんこれには膨大なコストと時間がかかり、そもそもエンジニアがいなければ実現することができませんでした。

クラウドサービスの登場は、このような問題をほとんど解決してしまいました。クラウドサービスの場合、導入が比較的安価であり、毎月決まった料金を支払うだけで手軽に利用することができます。また、基本的には個別のシステムを自社で開発する必要がないため、エンジニアなどが自社にいなくても安心です。クラウドサービスの登場により、大手企業だけでなく中小企業もHR Techを導入しやすくなったのです。

HR Tech導入の4つのメリット

最後に、HR Techを導入することで得られるメリットについて解説します。HR Tech普及の背景を知り、メリットを理解することで、より適正なものを自社に導入することができるでしょう。ここでは、主な4つのメリットをご紹介します。

1.人事の定型業務の効率化

HR Techによって、労務管理や給与計算といった定型的な事務作業を自動化することが期待できます。これにより、前述した「採用活動に時間や労力を割くことができない」という問題点を改善することができます。また、採用活動によって生じる様々な書類に関しても、すべてデータベース化することで、手間を省くだけでなく、紛失を防ぐなどのセキュリティの面の強化にもつながります。

2.ミスマッチの防止

HR Techでは、膨大なデータをもとに、現在自社で活躍している従業員と、採用候補者の比較を行うことができます。これによって、共通点や傾向を事前に把握することができるので、採用後のミスマッチの可能性を減少させることができます。

採用したは良いものの、実際に働いてみるとスキルの面や相性の面などで、「この企業は自分には合わない」と思われてしまうことは往々にして起こり得ることです。これは早期離職にもつながってしまい、お互いにとってそれまでの労力やコストが勿体なかったという結果になりかねません。

最終的なジャッジはもちろん人事担当者に委ねられていますが、根拠の明確なデータを用いることで、早期離職や内定辞退を防ぐことができるのです。

3.客観的にデータによる組織マネジメント

人事異動などにより従業員の配属先を決める際、もちろんスキルや能力といったことも大切ですが、性格などの内面的な適性も非常に重要です。こちらに関しても、ビッグデータとして従業員個人の情報をデータベースに記録しておくことで、従業員それぞれに合った配属先を割り出すことも可能になります。

また、特に人事評価においてHR Techは非常に有効です。評価の根拠となるデータがないと、どうしても評価者の主観が入ってしまいがちなのが人事評価です。これでは、評価エラーにつながってしまいます。個人の実績などをデータベースに残しておくことで、人事評価の際に、より客観的な評価を行うことが可能になるでしょう。

4.離職率の低減

採用のミスマッチや組織マネジメントの適正化は、結果的に離職率の低減につながります。自分に合わないと思った仕事を続けることはモチベーションの大きな低下につながります。逆を言えば、そこがしっかりと合っていれば、仕事に対して大きなやりがいを感じることができるのです。

HR Techを活用し、それぞれの適性に合ったポジションや業務を与えることで、離職率の大幅な提言が期待できるのです。

自社に合ったHR Techシステムを導入しよう

本記事でご紹介した「人材獲得競争の激化」「働き方の多様化」「クラウドサービスの普及」などの動きは今後も益々大きくなっていくと考えられます。そうなると、HR Techの活用はよりスタンダードなものになっていくことを想像するのは難しくありません。

しかし、HR Techには様々なサービスがあります。自社でHR Techを活用することを考えている場合は、まず自社の抱えている人事課題がどこにあるのかを明確にすることが前提です。その上で、適切なサービスを導入することができれば、驚くような業務効率化を図ることもできるでしょう。

ぜひ本記事を、HR Techのシステムをより深く知ろうというきっかけにしていただければ幸いです。

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