2022.10.12
ビジネスの場面でよく耳にする「スキーム」という言葉。皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ビジネスの場面になると、聞き慣れない言葉がたくさん出てきて、聞くに聞けずなんとなく流してしまう場面もあるかもしれません。スキームもそのような言葉の一つと言えるでしょう。
今回は、そのようになんとなく今まで流してしまっていた方、もしくはなんとなく意味はわかっているけどうまく説明はできないという方向けに、この「スキーム」について解説していきたいと思います。
誤解を招かないためにも、ビジネス用語は正しく理解した上で使用することが大切です。正確な意味で使って、ビジネスにおけるよりスムーズなコミュニケーションを目指しましょう。
今回の目次は以下の通りです。
まず、スキームという言葉の語源ですが、これは英語では「scheme」と書き、「枠組みを持った計画」という意味を持つギリシャ語が語源です。その他にも「陰謀」「図表」「図解」といった意味もあり、現代でも「(体系的な行動の)構想や計画」を表す言葉として使用されています。
また、時には「作戦計画」や「構想」といったより広い意味でも使われることがあります。いずれにしても、漠然と単に予定を立てるという意味で使われるわけではなく、目的を達成するために成すべき行動やそのための手順、しくみが決められており、実行を待つ段階にある計画のことを指すのです。
なお、余談にはなりますが、前述したように英語の “scheme” という言葉には、「陰謀」や「悪巧み」というネガティブな意味もあります。むしろ、アメリカなどではこちらの意味として使用されることの方が多いようです。国内の企業で日本人同士で使うのであれば無論問題ありませんが、仮にアメリカでアメリカ人を相手にビジネスなどを行う際は、悪い意味に取られることを避けるためにも、使用するのは避けた方が良いでしょう。
スキームに似たビジネス用語は他にもいくつかあります。ビジネス用語は特に、微妙な意味の違いによって、全く別の言葉を使用している場合はがあるので注意しなければなりません。
ここでは、特に混同しやすい4つの言葉との違いを説明します。よく聞く言葉で問題ないと考えがちですが、改めてそれぞれの正しい使い方や意味を把握しておきましょう。
プランは英語でもそのまま “plan” からきた言葉です。もうすでに日本語として使われていると言っても過言ではないので、ほとんどの方は特に意味など意識せずに使っていることかと思います。日常的にもよく使われ、ビジネスシーンで使用するときと大きく意味が変わるわけではありませんが、「プラン」とは「計画」のことを指し、そこには「予定」や「考え」などの意味も含まれます。
つまり、そこにはまだ細部などが細かく決まっていない、構想段階にある計画というニュアンスが含まれます。ここがスキームとプランの大きな違いです。
たとえば、「来期はSNSを活用して売り上げアップにつなげよう」と考えたとしても、具体的にどのSNSを使ってどのように活用していくのかを決めていない状態では、それはただのプランであってスキームではありません。スキームとは、今にも実行に移せるぐらい、具体的な手順や方法が決まっているニュアンスを含んで使用されます。
フローとは、業務などの一連の流れを指す言葉で、「どこからスタートしてどのようなステぷを踏んでどのように終えるのか」までを表すものです。ビジネスでは「フロー」という言葉が単体で使われるというよりも、「業務フロー」や「ワークフロー」など他の言葉と組み合わせて使われることが多いです。
ワークフローと業務フローは基本的には同じもので、複数人で担当する業務において、それぞれが取り組むべき作業の流れを図式化したものを指します。業務の流れを明確にフロー化することによって、業務の進捗状況の把握が容易になり、自分が担当している作業が、業務全体の中でどのような意味を持ち、どの程度を占めているのかもわかりやすくなります。
このように、フローとスキームは意味が明確に違う言葉と言えるでしょう。
フレームワークは、文字通り「枠組み」や「構造」を表す言葉です。何かを決める際に、ある程度の枠組みがなければ、物事はなかなか決まりません。まずはしっかりとある程度の決まった枠組みを決めておくことが大切です。
フレームワークは、思考の枠組みを指す言葉で、意思決定や戦略立案、課題解決などに用いられます。
計画性は特に伴わず、あくまで枠組みだけを指しているという点で、スキームとは別物と言えるでしょう。
「軍事的戦略」「策略」などを意味する英語の “strategy” という言葉からきている言葉です。日本のビジネスシーンでもよく使用される言葉で、みなさんも聞いたことがあるかと思います。ビジネスシーンにおいては「戦略」「計画」などを意味します。ただし、個人や小規模チームなどの戦略に対してあまり使用されることはなく、企業レベルなどの比較的大規模な組織での総合的な戦略の意味で使われることが一般的です。
ストラテジーは、将来を見据えた戦略を意味する言葉であり、そこがスキームとは意味が異なる点です。
スキームという言葉は、先ほど少し話題に出たフローという言葉と同じように、別の言葉と組み合わせて使用されることが多くあります。
ここでは、スキームを使った代表的な言葉を7つ紹介するとともに、その意味についても解説します。
「連携スキーム」とは、一つの枠組みを超えて協力していくことを指します。
企業内においても、部署それぞれが単独で成果を出そうとするよりも、部署の垣根を超えて協力した方が、会社全体にとっての利益となる結果をもたらせることもあるでしょう。
効果的に連携スキームを構築することによって、技術協力や開発コストの削減などの効果が期待できます。
「評価スキーム」とは、ビジネスシーンにおいては、人事評価や事業評価などに用いるものであり、人や企業そのものを評価する制度のことを指します。
評価方法を体系化することで、従業員や外部からの企業としての信頼度が高まり、同時に強固な組織づくりを行うことができます。
逆に、不透明で不公平な評価ばかりを行ってしまうと、従業員の企業への信頼はどんどん失われていってしまいます。客観的に評価の良し悪しを判断できるように、可視化された評価システムを構築することが必要でしょう。
関わるすべての人が納得できるような合理的な仕組みを整えることが大切です。
「販売スキーム」とは、企業が提供する商品やサービスについて販売の面から一連の流れを捉えることを指します。
たとえば、販路の拡大や販売方法の見直しの際などに用いられる枠組みであり、商品メーカーや消費者といった関係先を軸として考えています。
顧客満足度、クレーム対応、アフターサービスといった項目が、それぞれ販売に対してどのように影響しているのかを把握し、課題点を洗い出していきます。
販売スキームを用いることで、売り上げ向上や販売不振といった課題をクリアするための方法を探ることができます。
「運用スキーム」は、主に金融業界で使われる言葉です。顧客から預かった資産の運用方法を、図表などを用いて示したものを指します。
特定の期間における資産額の増減や運用状況を説明し、顧客の理解度を高めるために用いられます。
運用スキームにより資産の推移を可視化することによって、今後の投資の判断材料に役立てる狙いがあると言えるでしょう。
「返済スキーム」とは、企業が抱える借入金の返済計画を立てる際に用いられます。
金融機関などから資金調達をした際には、契約内容に合わせて返済を行わなければならないため、詳細な返済計画を練る必要があります。
返済時には利息ももちろんあるので、借入金が多ければ多いほど経営を圧迫してしまいます。
企業の財務状況や事業の将来性を踏まえた上で、返済計画に支障が出ない仕組みを整えていくために、適切な返済スキームを検討する必要があります。
「投資スキーム」とは、株式などの有価証券や不動産といった金融商品に対して、どのような配分で投資するのかを決める枠組みを指します。
投資スキームという言葉は、その言葉からもわかるように金融業界で使われることが多く、資産運用型と資産流動化型の2つのタイプに分けられます。
資産運用型では、ファンドマネージャーが運用を行い、収益を投資家に還元します。一方、資産流動化型では、不動産を証券化して販売することで、資金調達を行います。
「企業再生スキーム」とは、経営不振や財務状況が悪化している企業を再建するために用いる枠組みです。
対象となる企業の状況しっかりと把握した上で、事業や収益化の仕組みを再構築することを目的としています。
企業再建のために最適な方法を探り、再生計画の策定を目指します。人員整理や資産売却などの見直しを行います。また、債務が負担となっている場合には、債権放棄などを行い、財政基盤を整えるために最適な方法を見つけるのです。
本記事では、スキームの言葉の意味、そしてスキームと似た言葉との違いとスキームを使ったビジネス用語について解説をしました。
ビジネスで使われる「スキーム」という言葉は、「計画を伴う枠組み」「体系化した仕組み」という意味を持ちます。今回ご紹介したように、他にも似た言葉がいくつかあるので、混同して使用しないように気をつけましょう。
また、スキームと他の言葉を合わせて使用される場合も多いですが、まずはしっかりとスキームの意味を理解していれば、意味を捉えることができるかと思います。
ぜひ今回の記事を参考に、スキームという言葉を正しく使いながら、実際のビジネスの場面にも活かしていただければ幸いです。
スキームとは一体何ですか?簡単な言葉に言い換えると何がありますか?
スキーム(scheme)は「枠組みを持った計画」という意味を持つ言葉です。簡単に言い換えると、「骨組み」「枠組み」といった意味合いで日常使いされています。
スキームのビジネスにおける使い方としてはどんな例がありますか?
「販売スキーム組んでおいてください」や「来年度の事業スキームはどうなっていますか?」といったような使い方をします。ビジネスシーンにおけるさまざまなスキームは記事内で解説していますので、ぜひご覧ください。