心理的安全性とは?意味、測定方法、高める方法を紹介BLOG

 2021.10.2

多様性が重要視されている現代社会において、組織の生産性をあげるためにさまざまな方法が模索されています。そんな中で今注目されているのが、心理的安全性です。Googleが発表したことで世間的に認識されるようになった考え方で、自分の考えを発言したり行動にうつしたりすることで、生産性を高めやすい状態のことを指します。企業だけでなく農林水産省や金融庁でも方針に使われる心理的安全性とはどのようなものなのでしょうか?

今回は心理的安全性について、具体的な測定方法やメリット、高めるための方法などさまざまな観点から解説していきます。

心理的安全性とは?

心理的安全性とは「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」という心理学用語を日本語に翻訳した言葉で、アメリカの組織行動学の研究者であるエイミー・エドモンドソン教授によって提唱されました。エドモンドソン氏は心理的安全性のことを、「チームは、対人関係のリスクをとっても安全な場所であるとの信念がメンバー間に共有された状態である。」と定義しています。ビジネスにおいては、メンバーそれぞれが安心して自分の意見を述べたり、行動に移せたりする状態または環境のことを指します。上司にネガティブなことを言われることを恐れることなく、ありのままの状態でコミュニケーションをしたり、仕事に取り組むことで、チーム全体が生産性を高めることができるのです。

心理的安全性の測定方法

心理的安全性は一見定性的で目に見えづらいものように感じます。しかし、エドモンドソン教授は「7つの質問」と「3つのサイン」を使って心理的安全性は測定でき、可視化できると述べています。では、「7つの質問」と「3つのサイン」とはどのようなものでしょうか。それぞれ解説していきます。

心理的安全性を測る「7つの質問」

組織内の心理安全性は、以下の7つの質問によってどの程度か測定することが可能です。

  • 1.チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
  • 2.チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
  • 3.チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に他者を拒絶することがある。
  • 4.チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
  • 5.チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
  • 6.チームメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
  • 7.チームメンバーと仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。

7つの質問に対しては、それぞれどう感じるかを「強くそう思う/そう思う/どちらとも言えない/あまりそう思わない/そう思わない」の5段階で回答します。

心理的安全性の高さを示す「3つのサイン」

心理的安全性が高い状態かどうかは以下の3つのサインで示されています。

  • 1.ポジティブな発言が多い
  • 2.日頃から成功だけでなく、ミスや問題についても話をする
  • 3.職場に笑いとユーモアがある

この3つの状態が満たされている環境は、心理的安全性が非常に高い状態だと言えるでしょう。自分のチームがどのような状態にあるかを確かめる時は、これら3つの観点で観察してみることが重要です。

心理的安全性のメリット

チームで仕事を進めていく上で、心理的安全性によって具体的にはどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。メリットを理解した上で、心理的安全性を高めていくことでより大きな効果が得られます。ここでは、「チームのパフォーマンス向上」「エンゲージメントの向上」「イノベーションの推進」という3つのメリットについて、それぞれ解説していきます。

チームのパフォーマンス向上

心理的安全性が高い状態だとチーム内でお互いを認め合い、尊重し合うようになるため、メンバーが業務にのめり込めるようになります。いわゆるフロー状態で業務に取り組めるようになるのです。業務に関する主体的な取り組みも増えるため、パフォーマンスの向上に繋がります。何かに集中していると、人は神経伝達物質であるドーパミンの分泌量が増えるため、仕事へのストレスが軽減してやる気や集中力が増加するといういい循環が生まれます。

エンゲージメントの向上

メンバーが組織に対して抱く思いやりを指すエンゲージメントも、心理的安全性によって向上させることができます。居心地の良さやストレスなく仕事に取り組めるような心理的な安全性が保たれている環境では、離職率が低い傾向にあります。また、自身の能力を活かしながら仕事に取り組むことができるため、仕事へのやりがいを感じやすくなり、今の環境で長く働きたいと思うようになるでしょう。そのため、人材の流出を防ぐことにも繋がります。少子高齢化による人材不足が叫ばれる現代社会では、今ある人材の流出を防いで生産性を高めることが重要になるため、心理的安全性によるエンゲージメントの向上は大きなメリットがあるのです。

イノベーションの推進

心理的安全性が高い環境であれば、経営層だけではなく現場のメンバーでも主体的に成果をあげていこうという風潮が生まれやすいです。また、自分の意見がすぐに否定される心配がないため、個人のアイデアが活発に出てくるようになり、建設的な議論を行うことができます。そのため、新たな価値創出や難易度の高い課題解決ができるなど、イノベーションが生まれやすい組織になっていきます。

心理的安全性が高まる方法

組織にとって多くのメリットがある心理的安全性ですが、具体的にはどのように高めて行けば良いのでしょうか。ここでは4つの方法をそれぞれ詳しく紹介していきます。自チームでも実践できそうな方法から試してみましょう。

メンバーを責めない

何かチーム内でうまくいかないことや思った成果が上がらなかった時に、特定の誰かのせいしたり、自分の責任だと思い詰めているメンバーがいる状態はよくないです。自分を正当化したり、自己満足のために他者を責めるようなメンバーがいるのも同様。チーム内で何か問題が起きた場合は、人を責めるのではなく、どうすれば次に同じことが起きないか考えることに焦点をあてるようにしましょう。

メンバーの意見を踏まえた意思決定

チームに関連する意思決定を行う際には、チームメンバーにヒアリングしたり、フィードバックをもらうなどして意見を反映するようにしましょう。自分の意見が意思決定に関与しているという実感が得られることで、メンバーはモチベーションが高まり、心理的安全性を構築することができます。出てきた意見に対して、しっかりと理解を示すことも重要です。メンバーの意見に対して積極的に関わる姿勢をみせることで、発言しても大丈夫だという安心感を与えることができます。また、意思決定が行われたあとは、その背景をメンバーに説明し、意思決定のプロセスを透明化することで、信頼関係を築くことができます。

リーダーの働きかけ

チームのリーダーは、メンバー個人に対して主体的に関わってさまざまな働きかけをするようにしましょう。キャリア開発に関してアドバイスをしたり、メンバー内での不和がある場合は、放置せずに解決に向けて動いていくことで、心理的安全性を高めることができます。リーダーの働きかけそのものがチーム内での雰囲気に関わってくるのです。そのため、リーダーがチーム内の課題を放置していたりすると、心理的な安全性を担保できなくなってしまいます。

心理的安全性を高めるマネジメント手法

これまで述べてきたような具体的な心理的安全性を高める方法を実践するためのマネジメント手法もいくつかあります。ここでは「1on1ミーティング」「OKR」「ピアボーナス」「雑談」に4つのマネジメント手法に関して、それぞれ詳しく紹介していきます。

1on1ミーティング

1on1ミーティングとは、上司とチームメンバーが1対1で定期的に話す機会を設けることです。通常の面談とは異なり、仕事に関して普段相談できないようなことから、プライベートでの悩みまでざっくばらんに話すのが特徴です。業務中には話づらいことまで上司と対話し、それが受け入れられる感覚を与えることで、心理的安全性を形成することができます。各メンバーと月1回程度のペースでミーティングをするようにしましょう。

OKR

OKRとは主に目標設定に使われる手法のことで、組織全体の目標を設定し、そこからチーム、さらに各メンバーの目標を設定していくことを指します。OKRによって、メンバーそれぞれが自身の活動が組織全体の成果に直結していることを実感でき、主体的に業務に取り組むようになるのです。OMRで定めた目標は、定期的に振り返りながら、チーム全体で同じ目標に向かえているかを確認しましょう。

ピアボーナス

ピアボーナスとは、Googleが組織のメンバーを評価する際に活用する仕組みの一つです。メンバー間でお互いの成果や取り組みを認め合い、ボーナスを贈り合うというものです。上司からだけでなく、チームのメンバーからも評価を受けることで、より自分の取り組みに自信を持つことができるようになります。ピアボーナスで実際に贈るものはさまざまあるため、自組織にはどのような仕組みが合っているかを見極めることが重要です。

心理的安全性が担保された環境を作ろう

心理的安全性が担保されている環境は、メンバーの能力を最大限発揮できるものです。心理的安全性を高めることで、結果として組織全体に大きなメリットを生み出してくれるでしょう。そのためには、まずはチームでなぜ心理的安全性を高めるべきなのか、自分たちの現状はどの程度かを確認することから始めましょう。そして、自分たちに合った心理的安全性の高め方を見つけることが重要です。こちらの記事を参考に、是非組織内の心理的安全性を見直してみてください。

OKRを1つのツールに
まとめて運用しましょう

製品資料のダウンロードはこちら

お問い合わせ・導入のご相談はこちら