クレドとは?ミッション、ビジョンとの違い、メリット、浸透させる方法を解説BLOG

 2021.10.4

みなさんは「クレド」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。

企業が事業を継続するために今注目されているのが「クレド」です。この言葉は、企業の活動方針を簡潔に表した言葉で、全従業員の行動や考え方の規範となります。

クレドを掲げることによって、従業員の意識改革やモチベーションのアップなどを図ることができます。

今回の記事では、このクレドに焦点を当て、クレドの効果やメリット、従業員に浸透させるための方法などについて詳しく解説をしていきます。

  • クレドとは?
  • ミッション・ビジョンとの違いは?
  • クレドが注目される背景
  • クレド導入3つのメリット
  • クレドの作成手順
  • クレドを浸透させるための3つの方法

クレドとは?

「クレド」という言葉は、ラテン語で「我を信じる」「信条」を意味する言葉です。企業活動においては、従業一人一人が心がけるべき「信条」や「行動指針」「大事にしていること」を指します。

元々は、アメリカの大手医療品メーカーである「ジョンソン・エンド・ジョンソン」の13代社長であるロバート・ウッド・ジョンソンJr. によって考案され、世間に広まりました。

クレドがないと、従業員が行動する上での判断基準がないため、会社の意向から逸れた行動を起こしてしまう危険性がありますが、明確なクレドがあれば、どのようなアクションを起こすべきかの判断がしやすくなります。

例えば、非常に単純な例を挙げると、「顧客満足を常に最優先する」というクレドがあった場合、たとえ会社側として利益が出ることだとしても、結果顧客満足度を下げてしまう可能性があるのであれば、それはやめたほうが良いという判断が容易になります。しかし、もしこのようなクレドがなければ、個人の判断で「これならしてみても良いかも」と判断してしまう危険性があり、顧客満足よりも売上を優先してしまうという、会社の意向とは違った考え方が生まれてしまうかもしれません。

会社として何を大事にするのかということを明示することで、全従業員の行動が統一されることが期待できるのです。

ミッション・ビジョンとの違いは?

ここまでの解説を見ていると「これってミッションやビジョンと同じことじゃないの?」と思う方もいるかと思います。たしかに、この3つの言葉は非常に混同をされやすいですが、正確にはそれぞれ違った意味を持つ言葉になりますので、ここでは簡単にそれぞれの意味と違いについて解説をしておきます。

まず「ミッション」とは、企業の目的や使命、任務などを指し、経営を通じて実現したいこと、社会に対してどのように貢献をしていくのか、といったこと言葉で表したものです。また、「ビジョン」とは、企業のあるべき姿のことを表し、企業の目標や方向性を示す言葉となります。ミッションとビジョンはそれぞれ密接に関連しており、「ミッションを果たすことでビジョンをかたちづくっていく」という関係性になります。

ここからもわかるように、ミッションとビジョンはあくまで企業が主体となっている言葉です。一方クレドとは、従業員一人一人が主体となる言葉なのです。クレドは、企業のミッションやビジョンを達成するための指針とも言い換えることができるでしょう。

上記のように、クレド、そしてミッションとビジョンは、それぞれ違う意味を持つ言葉ではありますが、それぞれが連動しているという点は間違いありません。

クレドが注目される背景

冒頭でご紹介したように、クレドは特に今注目をされています。では、その注目の背景にはいったいどのような要因があるのでしょうか。

コンプライアンス強化

2000年代には、会社の不祥事による倒産が相次いで起こりました。日本でも、食品偽装などのニュースが飛び交ったのは記憶に新しいと思います。このようなことをきっかけに、各企業は、よりコンプライアンス強化への取り組みを始め、クレドが求められるようになりました。

行動指針がしっかりと明示されていれば、判断材料があるために正しい行動をできるようになる可能性が高まるからです。また、会社の倫理観に沿って行動しなければいけないという意識も生まれやすくなります。

会社の価値観の提示

クレドが注目されている2つ目の理由は、企業自身が独自の価値観を生み出すことを求められ始めているということです。今の時代は、よく「VUCA時代」と表現されます。これは、ビジネスにおいて、変化が激しく、先行きの見えない不確実性の高い状況のことを指します。

特にこのような状況では、従業員も何を信じれば良いのか迷ってしまう場面も多くなってしまうでしょう。こんな時代だからこそ、従業員全員が同じ方向を向くことのできる価値観が必要となってくるのです。この価値観がクレドにあたるのです。

クレド導入3つのメリット

クレドが注目されている背景を見ていただければ、クレドを導入している企業がなぜ増えてきているのかということがある程度わかってくるかと思います。ここでは、改めてクレド導入の3つの主なメリットをご紹介します。

従業員のモチベーションの向上

1つ目のメリットは、従業員のモチベーションの向上です。活動方針が明確になれば、従業員も自然と意欲を持って仕事に取り組むことができるようになります。モチベーションというのは、人のことなので、いかにして従業員一人一人のモチベーションを向上させるかというのは、常に企業が苦心しているところでしょう。

クレドを導入することによって、従業員がより主体性を持って積極的に行動ができるようになり、結果としてモチベーションアップを期待することができるのです。

コンプライアンスの遵守

2つ目のメリットは、先にもお話ししたようにコンプライアンスの遵守が実現できることです。クレドを導入することで、具体的な行動指針が持てるようになり、社員の意識改革のきっかけを作ることができます。

クレドに沿って行動をすることで、自然と仕事にたいす自身を持てるようになるとともに、コンプライアンスの遵守にもつながるのです。もちろん、クレドにはコンプライアンスに反することは記載されません。クレドの導入は企業のコンプライアンス遵守に大きく貢献することでしょう。

企業にマッチした人材育成

3つ目のメリットは、それぞれの企業に適した人材育成につながることです。クレドの内容は、それぞれの企業が自社の業務内容に合わせて、オリジナルで作成をしている指針となります。よって、自社のクレドに沿った行動をすることによって、自社の価値観を従業員に浸透、共有させることができるのです。

クレドがしっかりと浸透していれば、従業員一人一人が自らの判断で動くことができ、クレドの導入自体が日々の人生育成につながることになるのです。

クレドを導入することによって、企業が求める行動に関する判断軸に沿って行動ができる人材の育成を、自然に行っていくことができるようになります。

クレドの作成手順

次に、実際にクレドを作成したいと考えた場合の、一般的な5ステップをご紹介しますので、ぜひこちらを参考に自社のクレド作成のイメージを膨らませていただければと思います。

ステップ1 目標の明確化

まずは、何のためにクレドを作成するのか明確にすることが第一歩です。ここがあやふやでは、その後のすべてがあやふやになってしまうので、課題解決には至らないでしょう。例えば、従業員全体のモチベーションが低い、従業員たちの意思がバラバラ、など、解決したい課題を明確にした上でクレド作成に着手しましょう。「なんとなく作る」というのは、せっかく作ったとしても形骸化の原因になってしまうので止めておきましょう。

ステップ2 経営者への提案と承認

クレドは、企業のミッションやビジョンに密接に関連するもののため、経営者からの承認が必要不可欠です。むしろ、クレドとは経営者自身が作成するべきものだと言っても良いでしょう。全従業員は同じ方向を向き、より良い会社を作っていくための指針とはどのようなものなのか、自社の課題、クレド作成の目的、目指すべき姿などをセットで考えておく必要があります。会社からの承認を得るために。しっかりとした提案をできるよう準備しましょう。

ステップ3 従業員へのヒアリング

クレドは従業員一人一人の行動指針となります。よって、従業員からのヒアリングをしっかりと行うことが重要です。現場からの納得を得られていないクレドを勝手に作ってしまっては、せっかく作っても不満を生むばかりでうまく機能しないでしょう。クレドを決定する前に、従業員一人一人が感じている課題や問題点も把握しておくことが大切です。仮に全てをクレドに盛り込めなかったとしても、ヒアリングをしたということで、従業員の納得感を得やすくなります。

ステップ4 経営者とのすり合わせ

従業員からのヒアリング内容も加味した上で、クレドの方向性を決めていきましょう。最終決定は基本的に経営者が行うものです。経営者が最善の意思決定をできるように、判断材料なども十分に用意した上ですり合わせを行いましょう。

ステップ5 クレドの言語化

経営者とのすり合わせが終わったら、最後にそのクレドを言語化します。抽象的すぎると、具体的なアクションを起こしにくくなってしまい、逆に具体的すぎると、応用の効きにくいものになってしまいます。行動をする際の判断基準となり、さまざまなシーンで活用できるバランスの良い言葉で表現するようにしましょう。

クレドを浸透させるための3つの方法

明確なクレドを作成できたら、まず第一段階は完了ですが、もちろんこれで終わりではありません。それを全社に浸透させてこそクレド作成の意味があるのです。最後にクレドを浸透させるための3つの方法をご紹介します。

クレドカードの作成

1つ目は、紙などを使って、クレドが記載されたクレドカードを作成し従業員に配るという方法です。携帯しやすいサイズに作成することで、従業員は常に持ち歩くことができ、ふとした瞬間に確認することができます。例えば社員証ケースなどに入れられるようなものを作ると効果的でしょう。

ポスターや社内システムで掲載

2つ目の方法は、オフィス内や業務中に従業員が目に入りやすい場所に掲載する方法です。たとえば、クレドが書かれたポスターをオフィス内に張り出したり、社内のシステムがあるのであれば、パソコン上で確認できるように設定をしたりなどです。形骸化しないように、自然と目に入ってくるような工夫をしましょう。

朝礼などで定期的に説明

3つ目は、定期的にクレドを発信するという方法です。たとえば朝礼の場で経営者や人事が言及したり、定期的に勉強会を行うなどの方法が挙げられます。直接伝えるという方法なので、現場へ浸透度を直接確認できるということがメリットです。ただ、クレドを掲げて従業員の自主性に任せるだけではなかなかクレドは浸透しないでしょう。積極的に経営者側からクレドの重要性を説く機会を持つことが大切です。

適切なクレドを作成して従業員のモチベーションを上げる

本記事では、クレドの基本的な意味やメリット、導入するまでの流れなどについて解説をしました。適切なクレドを作成することで、コンプライアンス遵守だけでなく、企業理念を行動指針に落とし込んで社内に浸透させることができます。そして、従業員のモチベーションアップや成長にもつながります。

ただし、クレドは作成してそれで終わりではありません。経営者や人事側が、どのようにそのクレドを社内に浸透させるのかということもしっかりと考えなければなりません。

ぜひこ今回の記事を参考に、自社だったらどのようなクレドを作成するのか、イメージをしてみていただければと思います。

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