自己効力感とは?自己肯定感との違い、要因、高める方法を解説BLOG

 2021.10.4

現代は「VUCAの時代」とも呼ばれ、先行きが見えない変化の激しい時代です。加えて、現在に至っては新型コロナウイルスの影響もあり、これまで以上に先行きが見えづらく、閉塞感の高まっている時代と言えるでしょう。

このような環境の中では、今まで直面したことのないような課題に直面している人も多いかと思います。そんな課題に直面したとき、皆さんはどのように考えるでしょうか?

「難題だけど、きっと対処できるはず」

「これはちょっと自分には無理難題だ」

もちろん、できることなら1つ目のようなポジティブな心持ちで課題に向き合いたいとほとんどの人が思うはずです。ですが、先ほども挙げたコロナウイルスの影響もあり、どうしても今はネガティブになりやすい時期と言えるかもしれません。

そんなときに、「自分ならできる」と思えるための1つのキーとなるのが「自己効力感」です。こんな時代だからこそ、今この「自己効力感」が非常に注目されています。

今回は、「自己効力感」とは何か?自己肯定感との違いは?そして、高めるための方法などを中心に詳しく解説していきたいと思います。

ぜひ「自己肯定感」を高めて、今の時代を生き抜くマインドを持ちましょう。

  • 自己効力感とは?
  • 自己肯定感との違い
  • 自己効力感の3つのカテゴライズ
  • 自己効力感に影響する4つの要因
  • 自己効力感を高める方法

自己効力感とは?

「自己効力感」とは、英語では「Self-Efficacy」と呼ばれ、元々は、カナダの心理学者であるアルバート・バンデューラによって提唱された概念です。これは、おおまかに言ってしまえば「自分には目標を達成するための行動を選び、それを実現できる能力があるということを認識する」ことを指します。より簡潔に言ってしまえば「自信」ということになります。

人が成果を出すプロセスには2つの期待が必要と言われています。1つ目は「この行動を頑張れば成果が出るはず」という成果に対する期待。2つ目は「その行動を自分だったらできるはず」という効力感に対する期待です。

いかに1つ目の成果に対する期待があったとしても、2つ目の効力感に対する自分への期待がなければ、実際のアクションを起こすための一歩をなかなか踏み出すことはできないでしょう。

この「行動」を起こせるかどうかへの期待、言い換えると「確信」や「自分の判断」といった人の感情を「自己効力感」と呼ぶのです。つまり、人は自己効力感を高めないと実際のアクションになかなか移すことができないのです。

また、自己効力感は優劣感や劣等感といった感覚とも大きな関係があります。自己効力感が高まると、その人は優越感を持ちやすくなる一方、自己効力感が低くなれば、その分劣等感も強くなります。ビジネスシーンでは、自己効力感を高めて適度な優越感を持つことが大切です。

自己肯定感との違い

自己効力感と似ている言葉に、「自己肯定感」があります。どちらも仕事のパフォーマンスや人生の満足度を上げるために非常に重要な概念ですが、自己肯定感は英語では「Self-Esteem」と表されるように、両者は別の概念なのです。似ているようで異なるこの2つの違いを、まずはしっかりと把握しておきましょう。

「自己効力感」

目標を達成する前に、「自分ならできる、きっとうまくいく」と信じることができる「認知」のことです。つまり、自身の能力に対する判断のことを指します。目標達成や成果を上げるための能力が自分にはあると認知できて初めて、自己効力感を高めることができるのです。

「自己肯定感」

無条件に「自分には価値がある」と認めることができる「感情」のことです。「自分は優れた能力を持っているから価値がある」と考えるのではなく、無条件に自分の存在価値が高いと認めることができる状態を指します。

認知・判断である「自己効力感」と、感情を表す「自己肯定感」では意味が異なるので、両者を混同しないように気をつけましょう。

自己効力感の3つのカテゴライズ

心理学的に、自己効力感は3つのタイプにカテゴライズすることができます。ここではそれぞれの特徴について解説します。

自己統制的自己効力感

1つ目は、「自己統制的自己効力感」です。これは、簡単に言い換えてしまうと「自分ならできる」という気持ちで、自分の行動をコントロールすることについて肯定感を抱くことができます。できると信じれることで、仮に失敗をしてしまったとしても、心を折らずにチャレンジ精神を持って再度挑戦することができます。自己統制は、自己効力感のカテゴリーの中でも最もスタンダードなものと言えるでしょう。

たとえば、「社内の人を巻き込みながら、新規開拓事業に着手する」というアクションを起こすためには、相当のモチベーションと忍耐力が必要となります。このようなケースの場合、自分の行動を制御しながら成長をし続けなければなりません。そのようなときに、自己統制は役立つのです。

社会的自己効力感

対人関係において役立つのが「社会的自己効力感」です。この感覚は、乳児期や児童期の経験により最も発達し、大人になってからも持続します。

この自己効力感が強いとどのような効果があるかというと、他者に共感して寄り添うことができます。結果として、周りと良好な人間関係を築き、周囲とトラブルを起こすことなく社会で立ち回ることができるのです。

ビジネスの現場においては、言葉や態度がきついなどの理由で、周りから敬遠される人がいることもあるでしょう。そのようなタイプの人と仕事上関わらなければならない時でも、「自分ならきっと仲良くなれるはず」と思うことができます。また、ミスなどをして落ち込んでいる人を見かけても、何か言葉をかけるなど気遣うことができます。

学業的自己効力感

これまで通っていた学校や塾などの学業における達成感によって育まれるのが「学業的自己効力感」です。難関校に合格するなど、学業的に目立った成果を残した人ほど、この感覚は強まります。

ビジネスにおいては、常に新しいことやノウハウを学んだり、決められたカリキュラムに従って勉強やタスクを進めていく際に役立ちます。

仕事を進めていく上では、今までまったく触れてこなかった分野についても学ぶ必要が出てくる場合があります。そのような時に、どれだけ真剣に新しいことにも取り組めるかというのは重要な価値となります。

自己効力感に影響する4つの要因

自己効力感を提唱したバンデューラは、自己効力感に影響する要因を4つ挙げています。これらの要因を意識して行動することにより、自力で自己効力感を高めていくことも可能です。ここでは、その4つの要因について詳しく解説をします。

達成経験

自己効力感を高めていく上で大切な要因の1つ目が「達成経験」です。これは言い換えれば「成功体験」とも言えるでしょう。困難な目標を自分自身の力でやり遂げたという経験があれば、自分の能力を認知するきっかけになります。

逆に、失敗の経験を積み重ねてしまうと、自己効力感の低下を招き、その後の新たな課題へのモチベーションも、低下してしまう危険性があります。「自分には能力がない」と考えている人でも、過去の経験を振り返ってみることで、達成経験に思い当たることがあります。まずは、自分の今までの経験を遡ってみて、どのような行動をしてどのような結果に結びついたのかを整理してみましょう。

ただし、あまりに簡単な目標の達成経験を繰り返しても、本当の意味での自己効力感にはなりにくいので注意しましょう。逆に変に楽観的になってしまう恐れもあるので、努力した上で達成した経験を思い出すようにしましょう。

代理的体験

2つ目は「代理的体験」です。自分の経験だけが自己効力感につながるわけではありません。どういうことかというと、他者の行動を観察し、その成功体験を目にすることで認知が形成されることもあるのです。パターンとしては、「類似性」と「優位性」の2種類があります。自分と能力が近い人の行動を観察し、「これなら自分にもできそう」と感じるのが、類似性による代理的体験で、「あの人よりも自分のほうがうまくやれるだろう」と考えるのが、優位性による代理的体験です。

たとえば、先輩の営業に同行し、それを横で観察して「こういう風に話せばいんだ」と学ぶことも代理的経験の一つと言えます。

一方で、代理的経験はあくまで他者に起こった出来事を、自分でもできるとイメージすることなので、根拠のない自信を生みやすいという危険性があります。自信が大きすぎると、実際に成功しなかった時に一気に自己効力感を失ってしまうこともあるので注意が必要です。

言語的説得

3つ目は「言語的説得」です。これは「褒められる」という他者からの言葉によって自己効力感が高まることです。自分の能力やスキルを他者からの言葉で褒められると、人は肯定された気分になります。何かアクションを起こす際に不安があったとして、「君ならできるよ」「こうすればできるよ」などの励ましや説得の言葉で背中を押してもらうことで、自分の中でも「自分ならきっとできる」という認知が形成されて自己効力感につながっていくのです。

しかし、こちらも注意しておかないといけないのが、他者の意見が拠り所となってしまっている点です。つまり、他者の意見に左右されてしまうということです。褒められることで自己効力感は高まりますが、逆に批判されると落ち込んでしまい、自己効力感が低下してしまいます。言語的説得のみに期待をするのは避けた方が良いでしょう。

生理的情緒的喚起

最後は、「生理的情緒的喚起」です。行動中に自分の内部に生じた生理的状態を意識することが、自信や意識の向上につながります。たとえば、体力が有り余っている状態の時は、「今なら何でもできる」という気持ちになりやすいでしょうし、逆に、本番前に心臓がドクドク波打っているのを意識すれば不安が募ることでしょう。

他にも、好きな音楽を聴いたりしていると、気分が高まり自信も高まることがあります。心身の状態を整えることは自己効力感に大きく影響するのです。

自己効力感を高める方法

最後に、自己効力感を高める方法について、先に紹介した4つの要因と紐づけてご紹介したいと思います。

小さな成功体験を積み重ねる

「達成経験」を活かして自己効力感を高めるのであれば、大事なのはとにかく数をこなして成功体験を増やしていくことです。まずは小さなことからでも構わないので、「自分でできた」という経験を認識することが大切です。

もちろん、目標が大きければ大きいほど達成の際に得られる自己効力感も大きなものになります。しかし、実力の伴わない目標を設定し続けると、未達成を繰り返すことになってしまい、結果として自己効力感を低下させてしまう恐れがあります。目標レベルは徐々に高めていくことを心がけましょう。

身近にいる人を観察する

「代理的経験」から自己効力感を高める場合は、まずは友人や同僚などの身近な人から、自分が身につけたいスキルや能力をうまく活かしている人を見つけることから始めましょう。

他者の成功体験を自身の自己効力感につなげるためには、ただ結果だけを見たり聞いたりしているだけでは不十分です。「どうして成功したのか」などの成功までのプロセスを聞いた上で自分の体験に当てはめイメージすることが大切です。

コミュニケーションの機会を設ける

「言語的説得」は、他者からの声がけや評価によって認識を形成していく方法です。そのために、まずは他者からの声がけをもらえるきっかけを増やすためにも、周りとのコミュニケーションの機会を積極的に設けましょう。

前述したように、言語的説得は他者の言葉に左右されます。ネガティブな意見を聞くと、落ち込んでしまって自己効力感が低下してしまう可能性があります。だからこそ、他者から与えられた言葉は、なるべくポジティブに解釈をして、行動を変えるきっかけにするよう心がけましょう。

簡単な習慣を身につける

「生理的情緒的喚起」の場合は、自分が不調の際に持ち直すための簡単な習慣を身につけることが効果的です。たとえば、「お気に入りの決まった曲を聴く」「サウナに行って汗を流す」など、ネガティブになったときの対処としての簡単な習慣を決めておくことで、気持ちの切り替えがしやすくなり、それが成果につながれば自己効力感が高まります。

自己効力感を高めて、大きな成果を生み出そう。

自己効力感が高い人は、困難な目標を前にしても、自分の行動に対して自信を持つことができるので、比較的ポジティブに行動を起こすことができます。結果として、新しいことに積極的に挑戦したり、大きな成果を生み出すことができるのです。

逆に、自己効力感が低いと、なかなか行動に移すことができず、結果何もできずに終わってしまう傾向があります。

自己効力感は、今回ご紹介した要因を意識することで、自分でも高めることができます。ぜひ今回の記事を参考に、自己効力感を高めて、ポジティブにビジネスに取り組める人を目指しましょう。

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