2023.9.25
「社員の人事異動を検討しているが、どう伝えるべきかわからない」
「人事異動をしなければいけないが、社員に拒否されたときの対応がわからない」
このような悩みを抱えている経営層や人事担当者の方もいると思います。
本記事では、人事異動の内示を伝える方法やトラブル防止策についてご紹介します。
これから人事異動の内示をしなければいけない経営層や人事担当者の方は、参考にしてみてください。
「内示」とは、人事異動について通達することです。
人事異動の内容が確定して社内に周知する前に、人事異動の対象となる社員と関係者に対して通達します。
会社から社内に周知されるまで、内示に関する情報は誰にも伝えてはいけません。
内示を伝えるタイミングは、一般的には人事異動が行われる1~2ヶ月前です。
転勤に関する内示の場合、転勤する2ヶ月以上前、早い企業では半年ほど前に通達する企業もあります。
家族への影響(引っ越しの準備や学校への手続きなど)を考慮して、転勤を伴う内示はなるべく早く出すべきです。
昇給の場合は、業務への影響が少ないため、社内への正式発表の1週間前に内示を通達するケースもあります。
人事異動の内示を伝える方法は、企業によってさまざまで決まりはありません。
内示は口頭で伝えることが多く、面談形式で他の人に聞かれない場所で通達するケースが一般的です。
企業によっては、面談にくわえてメールや内示書で通達することもあります。
内示書を社員の家に郵送している企業もありますが、以前に比べて送らない企業も増えています。
辞令とは、人事異動に関する決定事項を、社内に向けて通知する公式の文書を指します。
発令とは、辞令を社内に向けて通達することです。
「内示」「辞令」「発令」の違いについて、以下の表にまとめました。
内示 | 辞令 | 発令 | |
概要 | 人事異動についての情報を通達すること | 人事異動について社内に向けて通知する公式の文書 | 辞令を社内に向けて通達すること |
伝える相手 | 人事異動の対象社員と関係社員 | 社内全体 | 社内全体 |
変更の可能性 | あり | なし | なし |
一般的に会社側は内示を出す義務はありませんが、人事異動をする社員のことを考えると、内示をするのが自然です。
人事異動の前に、社員は業務の引き継ぎや心の準備が必要です。
転勤となる場合は、家族への説明する時間や引っ越しの準備をしなければいけません。
人事異動が急に行われると、業務の引継ぎや引っ越し作業が間に合わない可能性があります。
その結果、業務の不履行や社員の離職につながる恐れもあります。
人事異動の前に、社員が適切に準備できるよう、内示を社員に通達するべきでしょう。
人事異動の内示は大きく分けて3種類あり、内示の種類によって伝える相手・タイミングが異なります。
人事異動の内示の種類は、以下のとおりです。
それぞれの内示の種類について、解説していきます。
異動・転勤の場合、社員は部署や勤務地が変わるので、業務への影響を考慮し、対象の社員と業務に関係する社員の双方に内示を通達します。
業務の引き継ぎや引っ越し作業を行えるように、余裕をもって内示を行います。
会社側と対象社員で、どちらが「物件を契約するか」「引っ越し業者を探すか」など明確にしておきましょう。
昇進・昇格に関する内示は、社員の職位や等級が上がったときに通達します。
昇進とは、「課長から部長へ」「部長から役員へ」などのように、役職が上がることです。
また昇格とは、職能資格の階級が上がることを指し、会社から能力が高まったことを評価されることを意味しています。
業務の引き継ぎを考慮して、正式な辞令を出す1ヶ月ほど前に内示をしたほうが良いとされています。
昇給についての内示は、社員の給与ランクが上がったときに通達し、対象の社員や給与計算を行う社員・部署に伝えます。
昇給とは、給与のランクが上がることを指し、人事評価の結果によって給与ランクが決定されます。
対象の社員の業務が大きく変わるわけではないため、辞令の1週間ほど前に内示を行うことが一般的です。
昇給と昇進・昇格はセットの場合もありますが、昇進・昇格しても給料が上がらないケースもあります。
人事異動の内示を適切に行うために、準備するべきことが2つあります。
人事異動の内示を伝える前に行うことは、以下のとおりです。
内示を行う前に、人事異動に関する情報が漏洩しないように注意してください。
辞令の前に人事異動に関する情報が社内に出回ってしまうと、会社のなかで経営層に対する不信感が高まってしまいます。
もし経営層に関わる人事異動の情報が漏れてしまうと、株価の大暴落や取引先の減少などにつながる恐れもあります。
内示を通達する相手を限定して、情報管理を徹底しましょう。
人事異動の内示を行う前に、「内容が適切か」確認しましょう。
会社は就業規則に則っていれば人事異動を行えますが、適切な目的や動機がなければ職権濫用となってしまいます。
人事異動の内容が雇用契約に反している場合、社員の同意なしに人事異動を行えません。
また、社員に家庭がある場合には、家庭のことを配慮した人事異動をしなければいけません。
人事異動が社員の状況や雇用契約に則り、適切か確認する必要があります。
人事異動の内示を社員に口頭で伝えるときに、注意したいポイントがあります。
人事異動の内示を口頭で伝えるときのポイントは、以下のとおりです。
口頭で人事異動の内示を伝えるとき、正確に伝えるようにしましょう。
内示について間違った情報を伝えてしまうと、トラブルにつながってしまいます。
事前に伝えるべき内容を整理してから、内示の面談を行うことをオススメします。
また、「言った」「言わない」のトラブルがないように、面談で話したことを記録・録音しておきましょう。
内示を口頭で通達するときに、「目的や根拠」もセットで伝えると社員は納得感を得られます。
とくに異動や転勤の場合、内示の目的・根拠を伝えないと、社員は「評価が下がった」「左遷された」などと思ってしまいます。
結果として、人事異動の拒否や離職などのトラブルになることもあるでしょう。
社員が人事異動について、適切に理解し納得できるように、人事異動の目的・根拠を丁寧に伝えてみてください。
人事異動の内示を面談で伝えるとき、「社員の疑問」に答えられる範囲でその場で回答しましょう。
内示の内容にもよりますが、社員が疑問や不満をもつこともあります。
その場で答えられる範囲で回答することで、社員の不満は少なくなるでしょう。
面談で疑問に対して回答しきれなかった場合は、再度面談を行い、疑問を解消することをオススメします。
人事異動の内示を面談で通達する際、情報を外部に漏らさないように伝えましょう。
内示の情報は確定事項ではなく、会社が正式に社内に周知するまで、口外してはいけません。
とくに、経営に関する人事異動であれば、情報漏洩してしまうと、株価や取引先に大きな影響を与えてしまいます。
内示を伝える面談のときに、情報を口外しないように伝えましょう。
人事異動を行うとき、社員と会社の間でトラブルが起きてしまうこともあります。
人事異動に関する主なトラブルと防止策をご紹介します。
人事異動に関する主なトラブルの1つ目は、社員が内示を拒否することです。
異動や転勤などの人事異動を内示したとき、社員が人事異動を拒否するケースもあります。
一般的に、「どうしても」という理由がなければ、社員は人事異動を拒否できません。
人事異動の内示を対象の社員に拒否された場合は、まずは社員に理由を聞きましょう。
社員が内示を拒否した理由が、「就業規則」「雇用契約」「家庭の状況」などを踏まえた正当な理由であれば、社員は内示を拒否できます。
社員と話し合う時間を確保し、会社と社員が納得できる人事異動を行いましょう。
しかし、社員が正当な理由なく内示を拒否した場合は、解雇を視野にいれて対応しなければいけません。
内示を伝えた結果、社員のモチベーションが下がってしまうことも、人事異動に関するトラブルの1つです。
会社の人事異動に対して納得できず、社員のモチベーションが下がり、業務の生産性が落ちてしまうことがあります。
社員は内示について、誰にも相談できないことも、モチベーションを上げられない理由の1つです。
社員のモチベーションを保つために、面談で丁寧に内示について説明します。
会社の方針や人事異動の目的、社員に期待していることを伝えてみてください。
また、社員が自分の考えについて、率直に話せる雰囲気を作ることも大切です。
面談内で社員の不満を解消できない場合は、再度面談を実施し社員が不満を抱えないようにしましょう。
人事異動に関する主なトラブルの3つ目は、内示ついて情報漏洩してしまうことです。
人事異動を管理する社員が情報を漏洩してしまうこともあります。
内示について記載されている書類・データの管理を徹底できておらず、漏洩してしまうケースです。
一方で、人事異動の対象社員が、面談後に情報を漏洩してしまうこともあります。
内示について不満を他者に相談してしまう場合や、昇給・昇格に浮かれて情報を漏らしてしまうケースです。
人事異動に関する社員に対して、コンプライアンスリスクについて周知しましょう。
人事異動を管理する社員には、書類の処分方法や、データのアクセス権限の管理を徹底させることをオススメします。
また、人事異動の対象の社員には、情報が漏れてしまう事例を伝えて注意喚起しましょう。
定期的に全社向けに、コンプライアンスリスクに関する研修を行うこともオススメです。
内示とは、人事異動についての情報を通達することです。
人事異動の内示は、辞令を発令するまでは、口外禁止の決まりがあります。
とくに、経営層に関する人事異動は株価や取引先に影響を与えるため、口外禁止を徹底しましょう。
内示の情報漏洩を防ぐために、コンプライアンスリスクに関する研修や、書類やデータ管理に注意することが必要です。
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