2023.6.27
ビジネスにおいて、「チームワークを強化するにはチームビルディングが重要だ」と聞いたことはないでしょうか?しかし、チームビルディングと聞いても漠然としていて、どのように取り組めばよいのかわかりにくいものです。
そこでこの記事では、チームビルディングにどう取り組めばよいのか、すでに導入している企業の事例を交えつつ紹介します。チームワークに課題を抱えており、改善を検討している方は必見です。
チームビルディングが求められるようになった背景には、以下のような理由があります。
メンバーが一致団結し、協力して目標を達成するために必要な活動がチームビルディングです。チームメンバーの仲間意識を養い、生産性を高めることを主目的としています。
チームには結成してから解散するまでにさまざまな段階があるため、対象チームの段階に応じてチームビルディングに取り組む必要があります。段階ごとの取り組みをまとめると以下の通りです。
段階 | 取り組みの方向性 | 取り組みが必要になる理由 |
---|---|---|
形成期 | メンバー同士が親睦を深め、互いのことを知る | 結成されたばかりのチームはお互いのことをよく知らず、そのままでは円滑に機能しないため |
混乱期 | 議論を通してメンバーの相互理解を深める | メンバーの考え方を明らかにして次の段階に進めるため |
統一期 | チーム目標を設定し、メンバーひとりひとりに目標を達成するための役割を与える | チームが安定しはじめ、お互いの理解が深まるため |
機能期 | マネージャーがメンバーをサポートし、チームワークを高める | 機能しているチームのパフォーマンスを高め、目標を達成するため |
散会期 | 成果や取り組みを振り返る | プロジェクトで得た経験を次回以降に活かすため |
チームがどの段階にあるかで、必要とすることや解決すべき課題が異なります。チームビルディングに取り組む際には、自分のチームがどの段階にあリ、何を必要とするかを見極めるところから始めましょう。
チームビルディングでは、メンバーが協力してチームワークを高められるアクティビティに取り組むのがおすすめです。ここからは、チームビルディングに取り入れられるアクティビティとして、以下の4つを紹介します。
それぞれ具体例を挙げつつ解説するので、自分のチームに取り入れられそうなものを探してみてください。
ワークショップは「体験型の研修・学習」を指す用語で、ビジネスにおいてはアウトプットの機会として用いられています。チームビルディングでワークショップに取り組むときは、「与えられた課題に対してチームメンバーが協力して取り組み、解決を目指す内容」にするとよいでしょう。
実際に課題を解決するまでの流れをワークショップを通して学べるため、実践的な対応力を習得しつつチームの団結力を高める効果に期待できます。
協調性や団結力が試されるゲームに取り組むのもチームビルディングに効果的です。効果が高く、社内の空きスペースで手軽に取り組めるゲームには以下のようなものがあります。
それぞれのゲームについて詳しく解説するので、ぜひ自社のチームビルディングに取り入れてみてください。
ピンポン玉リレーとは、スプーンの上にピンポン玉を載せて運び、複数人でリレーしながらゴールを目指すものです。用意するものがスプーンとピンポン玉のみと簡単で、会議室などで手軽にできます。
複数のチームを集めて対抗戦形式にする方法もあり、比較的取り組みやすいでしょう。協力しないとゴールできないため、チームビルディングとして効果的です。
ジェスチャーゲームとは、与えられたお題をジェスチャーで表現し、他のメンバーがお題を当てるゲームです。こちらはとくに用意するものがなく、お題さえあればいつでも実施できます。
チーム結成時のイベントとして取り入れれば、新たなメンバーの緊張を一気にほぐしてくれるでしょう。
伝言ゲームは、あらかじめ決められた特定の文章を次の人に伝え、最後まで正確かつ素早く伝えられるかを競うゲームです。ルールはシンプルですが、正確に意思疎通するのは意外と難しいものです。
伝言ゲームではどのように伝えればよいのかを考えなければならず、伝わりやすい話し方やヒアリング力など、業務に欠かせないスキルを習得できます。
スポーツイベントは屋外で行うアクティビティのひとつで、メンバーが同じ時間を過ごしてスポーツに取り組むことで団結力を高めます。今回はチームビルディングに役立つスポーツイベントとして、以下の3つを見ていきましょう。
中には準備に時間がかかったり、参加者の負担が大きくなったりするものもあります。自社でも取り組めそうか考えてから導入しましょう。
キャンプにはテントの設営や食事の用意など、チームメンバーが協力しなければいけない要素が多数含まれています。各メンバーがそれぞれの役割を果たし、手分けしてさまざまな活動をしなければなりません。
チームメンバーの団結力を高める要素が詰まっていますが、時間・体力面で負担が大きいのがデメリットです。
登山も屋外で行うアクティビティの定番です。山を登るという分かりやすい目標を掲げられるため、何を目指すのかが明確になります。チームメンバー全員で同じ時間を過ごすよい機会になり、機会があればチームビルディングに取り入れてみてもよいでしょう。
ただし、登山は危険が伴うので、天候の把握や行き先の選定など、事前のマネジメントが大切です。
近場で手軽に取り組めるスポーツを探しているなら、ゲートボールがおすすめです。ゲートボールなら参加者の負担も少なく、手軽に楽しめます。
試合に勝利するには、いかに多く得点をゲットして相手チームの邪魔をするかを考えなければなりません。チーム対抗戦をすれば一人ひとりの考えを刺激し、チームビルディングの効果を高められるでしょう。
合宿型研修を取り入れるのもおすすめの方法です。単純に複数日に及ぶ合宿を行うだけではなく、ワークショップなどの体験型研修を取り入れるとさらに効果的です。
宿泊が伴う分メンバーへの負担が大きくなりますが、機会があれば挑戦してみてもよいでしょう。
チームビルディングに最適なアクティビティを一通りチェックしたうえで、実際にチームビルディングを取り入れている企業の事例を確認してみましょう。今回紹介するのは、以下の5社の事例です。
それぞれの取り組みについて学びつつ、自社に取り入れられそうな要素がないか考えてみましょう。
メルカリではレゴを使ったチームビルディングに取り組んでいます。単純にレゴで作品を作るだけではなく、制作後に作品の背後に秘められている思いや設計思想を発表するのが特徴です。
レゴで作った作品について他の人に説明することで、自分の考えをわかりやすく伝える力を養えます。他のメンバーはその思いを聞くことで、作品を作った人がどのような考え方をしているのかを学べます。
メンバーの考え方や思いを知ることで、メンバーの特性を理解した上で協力してビジネスに取り組み、成果につなげられるようになるでしょう。
一風変わったユニークなチームビルディングに取り組んでいるのが、食品大手の日清食品です。日清食品では管理職を対象にした無人島研修を行っており、3日間のサバイバル生活を通して対応力に優れた管理職を育成することを目的としています。
支給される食料以外を現地調達する必要があるなど、無人島生活では参加したメンバー同士の協力が欠かせません。キャンプ地の確保や燃料の調達、設備の作成なども自力で行わなければならないのが特徴です。
この研修を通して臨機応変な対応力や豊かな想像力、マネージャーとして必要とされるリーダーシップを培います。
タニタは「The 商社」というビジネスゲームを活用したチームビルディングに取り組んでいます。The 商社は経営資源を効果的に運用し、利益を上げることを学べる実際的なゲームです。
プレイヤーは複数のチーム(企業)に分かれ、互いに交渉しつつ自社の事業を成長させていきます。
「存在する経営資源をどのように運用するか」「利益に繋がりそうな事業はどれか」「ビジネスを進めるためにどのような交渉をするか」などを考えなければなりません。
これによって参加者の思考を刺激し、チームとして協力しつつ成果を出すことを学べます。実践的な知識を学びつつチームワークを高められるので、チームビルディングとして最適です。
電設資材や配管資材を製造する未来工業では、5年おきに社員旅行を実施しています。旅費は全額会社負担で、参加した社員が楽しむことに重点をおいているのが特徴です。
社員が喜ぶイベントを実施することで、参加した社員に「会社のために仕事して還元したい」と思ってもらい、労働意欲を高めて自発的な働きにつなげることを目標としています。
社員が自発的に「会社に貢献したい」という気持ちを持つことで全体のモチベーションが高まり、より高い成果を上げられるのがメリットです。社員にとっても働きやすい環境を作り出すことにつながります。
約7kmのコースを1時間10分程度かけてウォーキングしながら会話する取り組みが、「ウォーキング・ミーティング」です。チームメンバーとウォーキングしながら会話することで自然な雰囲気の中で話せ、率直な意見や考えを聞き出せます。
ぐるなびではこのウォーキング・ミーティングに取り組んでおり、「新たなアイディアを思いつきやすくなった」「誰かに邪魔されずに会話できる」といった効果を実感しています。
運動不足の解消効果もあり、準備の大変さもないため、手軽にできるチームビルディングとして取り入れてみてもよいでしょう。
チームビルディングに取り組むことで、団結力を高めてモチベーションをアップさせる効果に期待できます。チームの力をより発揮できる環境を用意するためにも、チームビルディングに取り組む際には以下の3つのポイントを意識するのがおすすめです。
これからそれぞれのポイントを詳しく解説するので、チームビルディングの効果を高めたいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。
「団結力の強化」「チームワークの強化」という目的を果たすためにも、チームビルディングで取り組むアクティビティは協力して行えるものを意識しましょう。アクティビティ選びで迷ったときは、以下のポイントを意識してみてください。
一例として、この記事で紹介した「ピンポン玉リレー」ではチームプレイが求められます。「キャンプ」では役割分担やリーダーシップを強化可能です。
上記のいずれかまたは複数を満たしているアクティビティは、チームビルディングとして効果が高いといえます。
チームビルディングでは、目標を明確に掲げられるアクティビティを取り入れることも大切です。その理由は、ビジネスにおけるチームワークの目的は「パフォーマンスを発揮して共通の目標を達成すること」だからです。以下の例のように目標を明確にできるアクティビティを導入すると効果が高まるでしょう。
他にも目標を明確に掲げられるアクティビティは多いので、チームの状況にあわせていろいろ考えてみてください。
職位や立場など、円滑なコミュニケーションを阻害する要因になるものを省くのもチームビルディングを成功させる上で大切です。職務上の上下関係や立場の違いを意識するようになると、率直な意見を出しにくくなってコミュニケーションが滞ります。
チームビルディングに取り組むときは「平等な立場で取り組めるか」を意識するとよいでしょう。リーダーをくじ引きで決めたり、平等に発言の機会を与えたりするなどの取り組みも有用です。
チームワークと聞くと、チームメンバーの団結力が結果に大きく影響すると感じる人もいるのではないでしょうか?しかし、チームワークを高めるにはそれだけでなく、マネージャーのマネジメントスキルを高めることも欠かせません。
チームワークに課題を抱えているなら、マネジメント層の教育にも力を入れることをおすすめします。マネージャー向けの研修を定期的に実施するとよいでしょう。
マネジメント層のスキルアップに役立つ情報については、以下の資料で詳しく解説しています。興味がある人は、ぜひダウンロードして内容を確認してみてください。
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新たなチームを結成したときやチームワークが低下してきたときは、適切にチームビルディングを行うことで団結力を高められます。チームビルディングにはチームワークを維持する効果もあり、定期的に取り組むのもおすすめです。
チームビルディングとして効果的なアクティビティにはさまざまなものがあるので、ぜひ今回紹介した情報を参考にして、自分のチームにマッチしたものを導入してみてください。
適切にチームビルディングを実施することで、チームが団結した状態を維持してより高い成果を生み出せるでしょう。