2023.8.25
MBO(目標管理)とは、経営者や上司が部下に対して目標を設定し、その達成度を評価することで、部下の自主性や能力を向上させるとともに、組織の業績を高めることを目的とした管理手法です。MBOでは、目標を明確にするために、SMART原則(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Attainable:達成可能、Relevant:関連性のある、Time-bound:期限のある)に沿って目標を設定します。また、目標管理シートと呼ばれる文書を用いて、目標の内容や理由、指標や期限、アクションプランや実績、評価や反省、次の目標などを記録します。この記事では、MBOの目標管理シートのテンプレートと記入例をご紹介します。
MBOは、1954年にピーター・ドラッカーが提唱した経営手法です。MBOでは、組織のトップから部門や個人まで、目標を具体的に設定し、それに沿って行動することで業績を向上させます。MBOのメリットは以下の通りです。
目標設定は、MBOの中核をなすプロセスです。目標設定をすることで、以下の効果が期待できます。
目標管理シートは作成する人や組織によってフォーマットは変化します。作成する形式はExcelや紙、WEB上の専用ツールなどがあるので社内の運用方法に合わせて最適なやり方を検討しましょう。
また目標管理テンプレートには抑えておくべき基本的な項目があります。以下の項目を含めて、自身に合った目標管理シートを作成してみましょう。
目標設定シートを用いることで、部下は自分の目標に対する責任感やモチベーションを高めることができます。また、上司は部下の目標達成度や能力を客観的に評価することができます。
さらに、目標設定シートを作成することで、以下の効果が期待できます。
目標管理シートは、職種や業務内容に応じてカスタマイズすることができます。以下に、いくつかの職種ごとに分けて目標管理シートの記入例を示します。
項目 | 内容 |
---|---|
目標 | ・売上高を前年比20%増加させる |
理由 | ・市場の拡大や競争力の強化に対応するため ・会社の利益や成長に貢献するため |
指標 | ・売上高 ・売上高の前年比増減率 |
期限 | ・2023年12月31日までに |
アクションプラン | ・既存顧客との関係を深め、リピートや紹介を促す ・新規顧客の開拓やアプローチを積極的に行う ・商品やサービスの価値やメリットを効果的に伝える ・営業成績や活動状況を定期的に分析し、改善策を実施する |
実績 | ・売上高:1億円 ・売上高の前年比増減率:25%増加 |
評価 | ・目標達成 ・目標以上の成果を出した ・顧客満足度も高かった |
反省 | ・新規顧客の開拓に苦労した ・商品やサービスの知名度が低かった ・コロナ禍で営業活動が制限された |
次の目標 | ・売上高を前年比30%増加させる ・新規顧客の開拓方法や手段を工夫する ・商品やサービスのPR活動を強化する |
項目 | 内容 |
---|---|
目標 | ・新規事業の立ち上げを成功させる |
理由 | ・会社の事業ポートフォリオを多様化するため ・新たな市場ニーズに応えるため |
指標 | ・新規事業の売上高 ・新規事業の利益率 ・新規事業の顧客満足度 |
期限 | ・2023年12月31日までに |
アクションプラン | ・新規事業の市場調査や競合分析を行う ・新規事業のビジネスモデルや戦略を策定する ・新規事業の実施計画や予算を作成する ・新規事業の進捗管理や問題解決を行う |
実績 | ・新規事業の売上高:5000万円 ・新規事業の利益率:10% ・新規事業の顧客満足度:80%以上 |
評価 | ・目標達成 ・新規事業が市場に受け入れられた ・利益率は改善の余地があった |
反省 | ・新規事業の立ち上げに時間がかかった ・新規事業のコスト管理が難しかった ・新規事業の知名度やブランド力が低かった |
次の目標 | ・新規事業の売上高を前年比50%増加させる ・新規事業の利益率を15%以上にする ・新規事業の顧客満足度を90%以上にする |
項目 | 内容 |
---|---|
目標 | ・会社の知名度やブランド力を向上させる |
理由 | ・会社の商品やサービスの認知度や評判を高めるため ・会社の採用活動やパートナーシップを支援するため |
指標 | ・広報活動の回数や範囲 ・広報活動のメディア露出度 ・広報活動の影響力や評価 |
期限 | ・2023年12月31日までに |
アクションプラン | ・広報戦略や方針を策定する ・広報資料やプレスリリースを作成する ・メディアや関係者とのコミュニケーションを行う ・広報活動の効果測定やフィードバックを行う |
実績 | ・広報活動の回数:50回 ・広報活動のメディア露出度:100件 ・広報活動の影響力:SNSで10万いいね、5万シェア ・広報活動の評価:90%以上が好意的 |
評価 | ・目標達成 ・会社の知名度やブランド力が大幅に向上した ・商品やサービスの売上にも貢献した |
反省 | ・広報活動のコスト管理ができなかった ・広報活動の品質や内容にばらつきがあった ・広報活動のタイミングや対象に工夫が必要だった |
次の目標 | ・広報活動の回数を前年比20%増加させる ・広報活動のメディア露出度を200件にする ・広報活動の影響力をSNSで20万いいね、10万シェアにする |
項目 | 内容 |
---|---|
目標 | ・会社の財務状況を正確に把握し、適切に管理する |
理由 | ・会社の経営判断や戦略に必要な情報を提供するため ・会社の法令遵守や信用力を保つため |
指標 | ・財務諸表や決算書の作成期限と精度 ・税務申告や監査対応の期限と精度 ・経費管理や予算管理の効率と効果 |
期限 | ・2023年12月31日までに |
アクションプラン | ・財務諸表や決算書を定期的に作成し、分析し、報告する ・税務申告や監査対応を適時に行い、問題がないことを確認する ・経費管理や予算管理のルールやツールを整備し、遵守させる |
実績 | ・財務諸表や決算書の作成期限:すべて期限内 ・財務諸表や決算書の精度:すべて正確 ・税務申告や監査対応の期限:すべて期限内 ・税務申告や監査対応の精度:すべて正確 ・経費管理や予算管理の効率:20%向上 ・経費管理や予算管理の効果:10%削減 |
評価 | ・目標達成 ・会社の財務状況を正確に把握し、適切に管理した ・会社の経営判断や戦略に必要な情報を提供した |
反省 | ・財務諸表や決算書の作成に手間がかかった ・税務申告や監査対応にストレスが溜まった ・経費管理や予算管理のルールやツールに改善の余地があった |
次の目標 | ・財務諸表や決算書の作成期限を前年比10%短縮する ・税務申告や監査対応の期限を前年比10%短縮する ・経費管理や予算管理の効率をさらに20%向上させる |
項目 | 内容 |
---|---|
目標 | ・会社の商品やサービスの売上を増加させる |
理由 | ・会社の収益や利益を向上させるため ・会社の市場シェアや競争力を高めるため |
指標 | ・商品やサービスの売上高 ・商品やサービスの利益率 ・商品やサービスの顧客満足度 |
期限 | ・2023年12月31日までに |
アクションプラン | ・商品やサービスの市場調査や競合分析を行う ・商品やサービスのマーケティング戦略や方針を策定する ・商品やサービスの広告やプロモーションを実施する ・商品やサービスの効果測定やフィードバックを行う |
実績 | ・商品やサービスの売上高:前年比50%増加 ・商品やサービスの利益率:前年比10%増加 ・商品やサービスの顧客満足度:90%以上 |
評価 | ・目標達成 ・会社の商品やサービスの売上を大幅に増加させた ・会社の市場シェアや競争力を高めた |
反省 | ・商品やサービスの市場調査や競合分析が不十分だった ・商品やサービスのマーケティング戦略や方針に改善の余地があった ・商品やサービスの広告やプロモーションのコスト管理ができなかった |
次の目標 | ・商品やサービスの売上高を前年比100%増加させる ・商品やサービスの利益率を前年比20%増加させる ・商品やサービスの顧客満足度を95%以上にする |
項目 | 内容 |
---|---|
目標 | ・会社の人事・労務・福利厚生・環境整備などを円滑に行う |
理由 | ・会社の従業員のモチベーションやパフォーマンスを向上させるため ・会社の法令遵守や安全性を保つため |
指標 | ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務遂行率 ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務品質 ・従業員の満足度や離職率 |
期限 | ・2023年12月31日までに |
アクションプラン | ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務計画を立てる ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務実施と管理を行う ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務改善と評価を行う |
実績 | ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務遂行率:100% ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務品質:高い ・従業員の満足度:80%以上 ・従業員の離職率:5%以下 |
評価 | ・目標達成 ・会社の従業員のモチベーションやパフォーマンスを高めた ・会社の法令遵守や安全性を確保した |
反省 | ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務計画が遅れた ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務実施と管理にコミュニケーション不足があった ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務改善と評価にフィードバック不足があった |
次の目標 | ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務計画を前年比10%早める ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務実施と管理にコミュニケーションを強化する ・人事・労務・福利厚生・環境整備などの業務改善と評価にフィードバックを活用する |
目標管理シートの失敗例について、詳しく書いてみます。目標管理シートを作成する際に、よくある失敗例は以下の通りです。
目標が達成不可能なレベルに設定されていたり、逆に達成しやすすぎてやる気が出なかったりすると、目標管理シートの意味がありません。
目標の数が多すぎると、優先順位がつけにくくなり、全体のバランスが崩れます。また、進捗管理も煩雑になります。
目標管理シートは、上司や会社が一方的に決めるものではありません。従業員の自己申告や希望も聞き入れることで、モチベーションやコミットメントを高めます。
目標管理シートは、個人の目標だけでなく、部署や会社の目標とも整合性が取れている必要があります。方向性がずれていると、組織全体のパフォーマンスに影響します。
目標管理シートは、従業員の成長やスキルアップを促すためのものです。ただ数字を追うだけではなく、達成方法や評価基準も明確にすることが重要です。
目標管理シートを効果的に運用するためには、以下の点に注意する必要があります。
MBO(目標管理)とは、経営者や上司が部下に対して目標を設定し、その達成度を評価することで、部下の自主性や能力を向上させるとともに、組織の業績を高めることを目的とした管理手法です。MBOでは、目標管理シートと呼ばれる文書を用いて、目標の内容や理由、指標や期限、アクションプランや実績、評価や反省、次の目標などを記録します。この記事では、MBOの目標管理シートのテンプレートと記入例をご紹介しました。また、目標管理シートを効果的に運用するための方法もご紹介しました。MBOは、部下と上司が対話しながら目標を設定し、共有し、評価することで、部下のモチベーションやパフォーマンスを高めることができる有効な管理手法です。ぜひご活用ください。
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