2023.9.11
あなたは、自分の会社で「ノーレイティング」という言葉を聞いたことがありますか?ノーレイティングとは、従来の人事評価制度である「レイティング」を廃止し、社員の能力や成果を定量的に評価しないという考え方です。近年、日本でもノーレイティングを導入する企業が増えていますが、その背景やメリット・デメリットは何でしょうか?また、ノーレイティングを導入する場合、どのような方法が効果的なのでしょうか?
この記事では、ノーレイティングについて詳しく解説します。ノーレイティングの基本的な概念や特徴、導入方法や成功させるポイントなどを紹介します。ノーレイティングに興味がある方や、自分の会社でノーレイティングを検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
・ノーレイティングとは
・ノーレイティングが作られた背景
・従来の「レイティング」との違い
・ノーレイティングのメリットとデメリット
・ノーレイティングの導入方法
・ノーレイティング導入時の注意点
・ノーレイティングを成功させるポイント
・ノーレイティング導入後の給与や昇進
・ノーレイティングと合わせて導入したい人事評価制度
・ノーレイティングの導入事例
・まとめ
まずは、ノーレイティングとは何かについて説明します。ノーレイティングとは、「No Rating」という英語からきた造語で、「レイティングなし」という意味です。レイティングとは、「Rating」という英語からきた言葉で、「評価」という意味です。つまり、ノーレイティングとは、「評価なし」ということになります。
では、評価なしとはどういうことでしょうか?それには、人事評価制度であるレイティングがどういうものかを知る必要があります。
レイティングとは、社員の能力や成果を定量的に測定し、数値やランクなどで表すことです。例えば、「A~E」や「1~5」などの5段階評価や、「トップ10%」「中間70%」「下位20%」などのフォース・ランキング(強制曲線配分)などがあります。
レイティングは、社員の優劣や強弱を明確にすることで、給与や昇進などの人事処遇に反映させることができます。また、社員に目標やフィードバックを与えることで、モチベーションやパフォーマンスを向上させることができます。レイティングは、長年にわたって多くの企業で採用されてきた人事評価制度です。
しかし、レイティングには問題点もあります。レイティングは、社員の能力や成果を客観的に評価することが難しいということです。評価基準や評価者によって、評価の結果が大きく変わる可能性があり、レイティングは社員の協力や創造性などの質的な要素を評価することができません。また、社員の多様性や個性を無視して、一律に評価することになります。
さらに、レイティングは、社員のモチベーションやパフォーマンスを低下させることもあります。レイティングは、社員を競争させることになるため、コミュニケーションや協力の妨げになる可能性があります。結果、社員に不安やストレスを与えることになり、自信や自己肯定感の低下に繋がります。
このように、レイティングは、現代のビジネス環境に合わないという声が高まっています。そこで、レイティングを廃止し、社員の能力や成果を定量的に評価しないという考え方が生まれたのがノーレイティングです。
ノーレイティングは、2000年代後半から2010年代前半にかけて、米国の大手企業から始まりました。その中でも最も有名なのは、2012年にノーレイティングを導入したマイクロソフトです。マイクロソフトは、従来のフォース・ランキング制度を廃止し、「One Microsoft」という組織文化の変革を行いました。その結果、マイクロソフトは、社員のエンゲージメントやパフォーマンスを向上させることができました。
マイクロソフト以外にも、デロイト、アクセンチュア、GEなどの大手企業がノーレイティングを導入しました。これらの企業は、レイティング制度が時間やコストの無駄であると判断し、レイティング制度が社員の成長や学習を阻害すると考えました。そして、レイティング制度ではなく、社員の目標設定やフィードバックやコーチングなどの人事施策に重点を置くことにしました。
日本でも、2010年代後半からノーレイティングを導入する企業が増えています。例えば、リクルート、ヤフー、ベネッセ、アサヒグループなどがノーレイティングを採用しています。これらの企業は、レイティング制度が社員の多様性や個性を尊重しないと感じ、レイティング制度が社員の自主性や主体性を奪うと考えました。そして、レイティング制度ではなく、社員の目標達成やフィードフォワードやメンタリングなどの人事施策に注力することにしました。
このように、ノーレイティングは、レイティング制度の問題点に対する反発や、ビジネス環境の変化に対応するために作られた人事評価制度です。ノーレイティングは、社員の能力や成果を定量的に評価しないことで、社員の成長や学習を促進しようとする考え方です。
次に、従来の「レイティング」との違いについて詳しく説明します。レイティングとノーレイティングは、以下のような点で異なります。
レイティングは、社員の能力や成果を定量的に測定し、数値やランクなどで表します。
ノーレイティングは、社員の能力や成果を定量的に測定しないか、あるいは測定しても評価に反映させません。
レイティングは、社員の優劣や強弱を明確にすることで、給与や昇進などの人事処遇に反映させることが目的です。
ノーレイティングは、社員の優劣や強弱を明確にしないことで、社員の成長や学習を促進することが目的です。
レイティングは、年度末や半期末などの決まった時期に一括して行います。
ノーレイティングは、随時や頻繁に行います。
レイティングは、上司や同僚などの第三者が社員を評価します。
ノーレイティングは、自己評価や相互評価などの第一者や第二者が社員を評価します。
レイティングは、過去の業績や行動などの結果を評価します。
ノーレイティングは、現在の課題や目標などのプロセスを評価します。
このように、レイティングとノーレイティングは、評価基準や評価目的や評価タイミングや評価方法や評価内容などで異なります。レイティングは、社員の能力や成果を定量的に評価することで、人事処遇に反映させることを重視します。ノーレイティングは、社員の能力や成果を定量的に評価しないことで、社員の成長や学習に注目します。
ノーレイティングには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
このように、ノーレイティングには、メリットとデメリットがあります。ノーレイティングは、社員の能力や成果を定量的に評価しないことで、社員のエンゲージメントやパフォーマンスや協力や創造性や成長や学習を向上させることを目指します。
しかし、ノーレイティングは、社員の能力や成果を客観的に評価することや人事処遇を決定することや評価やフィードバックにかかる時間や労力を削減することには向いていません。
ノーレイティングを導入するには、以下のようなステップが必要です。
以上のように、ノーレイティングの導入方法は、様々なステップがあります。ノーレイティングは、単なる制度変更ではなく、組織変革の一環として捉えることが重要です。
ノーレイティング導入時の注意点として、以下のようなことが挙げられます。
ノーレイティングでは、上司は部下と頻繁に面談を行い、フィードバックを提供する必要があり、部下が多い上司にとっては、面談の時間や準備の時間が大きな負担になります。
ノーレイティングでは、上司は部下の目標や課題や成長や学習などに対して、定性的に評価する必要があります。そのため、上司は部下の状況やニーズを把握し、適切なアドバイスやサポートを提供する能力が求められます。
ノーレイティングでは、従来の評価制度とは異なる考え方や仕組みを導入する必要があります。そのため、従業員やマネージャーに対して、十分な説明や教育やガイドラインを提供しないと、現場で混乱や不満が生じる可能性があります。
ノーレイティングは、組織の変化対応力や社員のパフォーマンスを高めることを目的としています。しかし、すべての企業にノーレイティングが適しているわけではありません。例えば、業務内容や目標が明確でない企業や、社員の自主性や主体性が低い企業では、ノーレイティングを導入しても効果が期待できない場合があります。
以上のように、ノーレイティング導入時には、様々な注意点があります。ノーレイティングを導入する際には、自社の状況や目的に合わせて、適切な準備や計画を立てることが重要です。
ノーレイティングを成功させるポイントとして、以下のものが挙げられます。
マネージャーは、社員の能力や成果を定量的に評価しないことで、社員の目標設定やフィードバックやコーチングなどの役割が増えます。そのため、マネージャーに対して、必要なスキルやツールや時間などを提供することが重要です。
マネージャーは、社員の能力や成果を定量的に評価しないことで、社員の給与や昇進などの人事処遇を決定する際に、より主観的な判断が必要になります。そのため、マネージャーに対して、公平性や透明性や根拠などを担保するための教育やガイドラインなどを提供しましょう。
社員は、自分の能力や成果を定量的に評価しないことで、自分の目標や課題や成長や学習などに対して、より主体的に取り組む必要があります。そのため、社員に対して、自己評価や相互評価などの機会や仕組みを作ることが必要です。
ノーレイティング導入後の給与や昇進の決め方は、企業によって異なります。一般的には、以下のような方法が考えられます。
社員の給与や昇進は、社員の役割やスキルや経験などに基づいて、市場価値を参考に決定する方法です。この方法では、社員のパフォーマンスは直接的には影響しませんが、パフォーマンスが高い社員は、より高い市場価値を持つ役割やスキルや経験を獲得する可能性が高くなります。
社員の給与や昇進は、社員のパフォーマンスに基づいて決定する方法です。社員のパフォーマンスは定量的に評価しない代わりに、定性的に評価することが必要です。例えば、マネージャーは、社員の目標達成度や貢献度や影響力などを考慮して、社員のパフォーマンスを高い・中・低などのレベルに分類し、そのレベルに応じて給与や昇進を決定します。
社員の給与や昇進は、社員が所属するチームのパフォーマンスに基づいて決定する方法です。個人のパフォーマンスではなく、チーム全体のパフォーマンスが重視されます。例えば、マネージャーは、チームの目標達成度や貢献度や影響力などを考慮して、チーム全体のパフォーマンスを高い・中・低などのレベルに分類し、そのレベルに応じてチームメンバー全員の給与や昇進を決定します。
ノーレイティングは、ランク付けしない評価方法ですが、評価を行わないわけではありません。ノーレイティングでは、管理職と部下が定期的に面談を行い、継続的なフィードバックやコーチングを通じて評価を行います。
ノーレイティングと合わせて導入したい人事評価制度は、以下のようなものがあります。
ノーレイティングでは、部下のパフォーマンスや成長を柔軟に評価する必要があります。そのため、部下には明確な目標を設定し、その達成度や進捗状況を管理職と共有することが重要です。目標管理制度は、部下の目標設定や目標達成に向けた支援を行う仕組みです。
ノーレイティングでは、管理職からのフィードバックだけでなく、部下自身や同僚、部門外の人などからのフィードバックも有効です。360度フィードバック制度は、部下のパフォーマンスや能力を多角的に評価することが出来ます。
ノーレイティングでは、部下の成長やキャリアを促進することが目的です。そのため、部下には自分のキャリアビジョンやキャリアプランを持たせることが重要です。キャリアパス制度は、部下のキャリア形成やキャリアチェンジを支援する仕組みです。
以上のように、ノーレイティングと合わせて導入したい人事評価制度は、目標管理制度、360度フィードバック制度、キャリアパス制度などがあります。これらの制度は、ノーレイティングの効果を高めることが期待されます。
ノーレイティングを導入している企業は、国内外で多数あります。その中から、代表的なものを紹介します。
以上のように、ノーレイティングの導入事例は、Adobeや日本マイクロソフトなどの外資系企業だけでなく、カルビーやサッポロビールなどの日本企業もあります。これらの企業は、ノーレイティングによって従業員のパフォーマンスやエンゲージメントを向上させています。
ノーレイティングとは、ランク付けしない評価方法です。ノーレイティングでは、管理職と部下が定期的に面談を行い、継続的なフィードバックやコーチングを通じて評価を行います。ノーレイティングのメリットは、従業員のパフォーマンスやエンゲージメントを向上させることです。ただし、評価基準や評価方法が不明確になることや、管理職の負担が増えることも考えられます。
そのため、ノーレイティングと合わせて、目標管理制度、360度フィードバック制度、キャリアパス制度などを導入してみましょう。これらの制度は、ノーレイティングの効果を高めることが期待されます。
ノーレイティングは、従来の評価制度に不満を持つ企業や従業員にとって、有効な選択肢となるかもしれません。しかし、ノーレイティングにはメリットだけでなくデメリットもあります。ノーレイティングを導入するかどうかは、企業や従業員のニーズや状況に応じて慎重に判断しましょう。
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