2023.9.29
仕事や日常生活で、新しいアイデアや解決策を思いつくことに苦労したことはありませんか? あるいは、同じような問題に何度も直面して、なかなか改善できないことに悩んだことはありませんか? そんなときに役立つのが、ラテラルシンキングという思考法です。
ラテラルシンキングとは、従来の思考パターンにとらわれず、横方向に発想を広げることです。 ラテラルシンキングを身につけることで、創造性や革新性を高めることができます。 また、多様性や柔軟性を持つことで、問題に対して新しい視点やアプローチを見つけることができます。
この記事では、ラテラルシンキングの意味や特徴、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングとの違い、メリットや進め方、コツや例などを紹介します。 ラテラルシンキングを仕事に活かす方法もお伝えします。 ラテラルシンキングは、誰でも簡単に始められる思考法です。 ぜひこの記事を参考にして、ラテラルシンキングの魅力を体験してみてください。
目次
・ラテラルシンキングの意味
・ラテラルシンキングの特徴
・ロジカルシンキング(論理的思考)との違い
・クリティカルシンキング(批判的思考)との違い
・ラテラルシンキングのメリット
・ラテラルシンキングの進め方
・ラテラルシンキングのコツ
・ラテラルシンキングの例
・ラテラルシンキングを仕事に活かす方法
・まとめ
まずは、ラテラルシンキングという言葉の意味から見ていきましょう。 ラテラルシンキングは、「横方向の思考」という意味です。 これは、従来の思考パターンに沿って縦方向に深く掘り下げるのではなく、横方向に発想を広げることを表しています。
例えば、ある問題が与えられたときに、その問題の原因や解決策を探すのが縦方向の思考です。 一方、その問題そのものを変えたり、別の問題に置き換えたりするのが横方向の思考です。
この言葉を提唱したのは、エドワード・デボノ博士というマルタ出身の心理学者です。 彼は、「思考技術」や「創造性」などの分野で多くの著書や講演を行っています。 彼は、「思考はスキルであり、訓練することができる」という考え方を提唱しています。
彼が定義するラテラルシンキングとは、「既存のパターンから抜け出し、新しいパターンを作り出すための思考技術」です。 彼は、「既存のパターンは有用だが、それだけでは不十分であり、時には障害となる」と指摘しています。
彼はまた、「知識や経験は重要だが、それだけでは新しいアイデアを生み出すことができない」と述べています。 彼は、「知識や経験は、既存のパターンを強化することに役立つが、新しいパターンを作り出すことには役立たない」と説明しています。
ラテラルシンキングの目的は、新しい視点やアイデアを生み出すことです。 そのためには、既存のパターンにとらわれず、横方向に発想を広げることが必要です。 ラテラルシンキングは、そのような発想の転換を促す思考法なのです。
次に、ラテラルシンキングの特徴について見ていきましょう。 ラテラルシンキングには、以下のような特徴があります。
これらの特徴からわかるように、ラテラルシンキングは、従来の思考パターンにとらわれず、横方向に発想を広げる思考法です。
ラテラルシンキングと比較されることが多いのが、ロジカルシンキングという思考法です。 ロジカルシンキングとは、「論理や理性に基づく思考」という意味です。 ロジカルシンキングでは、問題を分析し、原因と結果の関係を明らかにすることが重要です。 ロジカルシンキングでは、既存の知識や経験に基づいて推論することが必要です。
ロジカルシンキングとラテラルシンキングの相違点は、以下のようになります。
しかし、これはあくまで一般的な傾向であり、ロジカルシンキングとラテラルシンキングは対立するものではありません。 むしろ、両者は相補的な関係にあります。 ロジカルシンキングは、問題を明確化し、妥当性を検証することに役立ちます。 ラテラルシンキングは、問題に対して多様な視点やアイデアを提供することに役立ちます。 両者をバランスよく使うことで、より効果的な思考ができるようになります。
ラテラルシンキングと比較されることがあるもう一つの思考法が、クリティカルシンキングです。 クリティカルシンキングとは、「情報や主張を批判的に評価する思考」という意味です。 クリティカルシンキングでは、問題を解決するために必要な情報を選別し、信頼性や妥当性を判断することが重要です。 クリティカルシンキングでは、自分や他者の思考に対して疑問を持ち、反証や反論を探すことが必要です。
クリティカルシンキングとラテラルシンキングの相違点は、以下のようになります。
しかし、これもまた一般的な傾向であり、クリティカルシンキングとラテラルシンキングは対立するものではなく、両者は相補的な関係にあります。 クリティカルシンキングは、問題を正しく理解し、誤りや偏見を排除することに役立ちます。 ラテラルシンキングは、問題に対して多様な視点やアイデアを提供することに役立ちます。 両者をバランスよく使うことで、より効果的な思考ができるようになります。
ラテラルシンキングには、以下のようなメリットがあります。
これらのメリットからわかるように、ラテラルシンキングは、自分自身の思考力や人間性を向上させることができる思考法です。
ラテラルシンキングを始めるには、どのようにすればいいのでしょうか? ラテラルシンキングには、さまざまな手法やツールがあります。 ここでは、代表的なラテラルシンキングの手法やツールについて紹介します。
6つ帽子の思考法とは、エドワード・デボノ博士が提唱したラテラルシンキングの手法です。 この手法では、6つの色の帽子を使って、思考のスタイルや角度を変えることで、問題に対して多面的にアプローチします。
6つの色の帽子とその意味は以下の通りです。
この手法では、一人でも複数でも、一つずつ帽子をかぶって思考します。 例えば、白い帽子をかぶったときは、事実やデータを集めて分析します。 赤い帽子をかぶったときは、感情や直感を表現します。 黒い帽子をかぶったときは、悪い点やリスクを指摘します。 黄色い帽子をかぶったときは、良い点やメリットを挙げます。 緑の帽子をかぶったときは、新しいアイデアや可能性を提案します。 青い帽子をかぶったときは、全体の流れや目的を管理します。
このようにして、6つの色の帽子を使って思考することで、問題に対して多様な視点やアイデアを持つことができます。 また、自分や他者の思考スタイルや角度を明確にすることで、コミュニケーションも円滑になります。
PMI法とは、エドワード・デボノ博士が提唱したラテラルシンキングの手法です。 この手法では、あるアイデアや提案に対して、以下の3つの観点から評価します。
この手法では、PとMだけではなく、Iも重視します。 Iは、PでもMでもなく、中立的な観点です。 Iは、新しい視点やアイデアを生み出すきっかけになります。
この手法では、あるアイデアや提案に対して、PとMとIをそれぞれ数値化して評価します。 例えば、Pが+3点、Mが-2点、Iが+1点というようにします。 そして、その合計を求めます。
例えば、+3点-2点+1点=+2点になるとします。 その合計がプラスであれば、そのアイデアや提案は採用する価値があると判断します。 その合計がマイナスであれば、そのアイデアや提案は採用しない方が良いと判断します。
このようにして、PMI法を使って思考することで、あるアイデアや提案に対して客観的かつ建設的に評価することができます。 また、興味深い点や気になる点を探ることで、新しい視点やアイデアを生み出すことができます。
ランダムワード法とは、エドワード・デボノ博士が提唱したラテラルシンキングの手法です。 この手法では、ランダムに選んだ単語を使って、問題に対して新しい視点やアイデアを生み出します。
この手法では、以下のような手順で思考します。
このようにして、ランダムワード法を使って思考することで、問題に対して予想外の視点やアイデアを持つことができます。 また、ランダムな単語を使うことで、既存の知識や経験に依存しない思考ができます。
SCAMPER法とは、ボブ・イーバーグが提唱したラテラルシンキングの手法です。 この手法では、以下の7つのアクションを使って、問題に対して新しい視点やアイデアを生み出します。
この手法では、以下のような手順で思考します。
このようにして、SCAMPER法を使って思考することで、問題に対して多様な視点やアイデアを持つことができます。 また、7つのアクションを使うことで、既存のパターンにとらわれない思考ができます。
逆説法とは、エドワード・デボノ博士が提唱したラテラルシンキングの手法です。 この手法では、問題の前提や条件を逆転させて、問題に対して新しい視点やアイデアを生み出します。
この手法では、以下のような手順で思考します。
このようにして、逆説法を使って思考することで、問題に対して予想外の視点やアイデアを持つことができます。 また、問題の前提や条件を逆転させることで、既存のパターンにとらわれない思考ができます。
ラテラルシンキングをするときに注意すべきことや心構えについて述べます。 ラテラルシンキングをするときには、以下のようなことを意識すると良いでしょう。
ラテラルシンキングでは、既存のパターンから抜け出し、新しいパターンを作り出すことが目的です。そのためには、試行錯誤を繰り返すことが必要です。試行錯誤をすることで、失敗や間違いから学ぶことができ、思考の幅や深さを広げることができます。試行錯誤を恐れずに、積極的に挑戦してみましょう。
ラテラルシンキングでは、失敗や間違いは避けるべきものではありません。むしろ、失敗や間違いは学びの機会と捉えるべきです。失敗や間違いから、自分の思考に気づきや気付きを得ることができ、自分の思考に挑戦や刺激を与えることがで、自分の思考に柔軟性や開放性を与えることができます。失敗や間違いを恥ずかしがらずに、前向きに受け止めてみましょう。
ラテラルシンキングでは、新しい視点やアイデアを生み出すことが目的です。そのためには、アイデアを評価し、客観的かつ建設的にすることが大切です。アイデアを評価するときは、論理や理性だけではなく、直感や感覚も重視しましょう。また、悪い点やリスクだけではなく、良い点やメリットも挙げましょう。注意点として、アイデアを評価するときは、否定的な言葉や態度ではなく、肯定的な言葉や態度で伝えるようにします。
ラテラルシンキングでは、自分の思考に挑戦することが必要です。自分の思考に挑戦することで、固定観念や先入観を打破することができ、新しい視点やアイデアを受け入れることができます。
そして自分の思考に挑戦するためには、他者の意見に耳を傾けることが大切です。他者の意見に耳を傾けることで、自分の思考に気づきや気付きを得て、自分の思考に挑戦や刺激を与えることができます。また、自分の思考に柔軟性や開放性を与えることができます。
これらのことを意識することで、ラテラルシンキングをより効果的に行うことができます。 ラテラルシンキングは、簡単に始められる思考法ですが、継続的に練習することで、より上達することができます。 ぜひ、日常生活や仕事で、ラテラルシンキングを試してみてください。
ラテラルシンキングの成功事例や有名な問題について紹介します。 ラテラルシンキングは、さまざまな分野で活用されています。 ここでは、その中からいくつかの例を挙げてみます。
ダイソンの掃除機は、ラテラルシンキングの代表的な成功事例です。 ダイソンの創業者であるジェームズ・ダイソンは、従来の掃除機に不満を持っていました。 従来の掃除機は、紙パックやフィルターが詰まると吸引力が低下するという問題がありました。 ダイソンは、この問題の原因や解決策を探すのではなく、問題そのものを変えることにしました。 彼は、紙パックやフィルターを使わずに、遠心力でホコリを分離するという発想を思いつきました。 彼は、この発想を実現するために、5年間で約5000回もの試作を繰り返しました。 そして、ついに世界初のサイクロン式掃除機を開発しました。 この掃除機は、吸引力が低下しないという画期的な特徴を持ち、世界中で大ヒットしました。 ダイソンは、この掃除機で一躍有名になり、現在ではさまざまな家電製品を開発しています。
シャープの液晶テレビも、ラテラルシンキングの成功事例です。 シャープは、1980年代から液晶技術に注力していました。 しかし、当時の液晶は、小型で低解像度で高価であるという欠点がありました。 そのため、液晶は主に電卓や時計などに使われていました。 シャープは、この欠点を克服するために、液晶技術の改良に努めました。 しかし、それだけでは不十分でした。 シャープは、液晶技術の可能性を広げるために、従来のテレビとは異なる発想を思いつきました。 彼らは、「テレビは壁に貼れるべきだ」という発想を思いつきました。 彼らは、「壁に貼れるテレビ」という発想を実現するために、液晶技術を応用しました。 彼らは、大型で高解像度で薄型で省エネであるという特徴を持つ液晶テレビを開発しました。 この液晶テレビは、従来のテレビとは異なる視覚的なインパクトと利便性を持ち、世界中で大ヒットしました。 シャープは、この液晶テレビで世界的なリーダーシップを確立しました。
ナイン・ドット問題とは、ラテラルシンキングの有名な問題です。 この問題では、以下のような図が与えられます。
この図の中の9つの点を、4本以下の直線で一筆書きで結ぶことができるでしょうか? この問題は、一見簡単に見えますが、実は難しい問題です。 多くの人は、この問題を解くときに、以下のような思考パターンに陥ります。
しかし、このような思考パターンにとらわれていると、この問題は解けません。 この問題を解くためには、ラテラルシンキングが必要です。 ラテラルシンキングでは、以下のような発想をします。
このような発想をすると、この問題は以下のように解けます。
このようにして、ナイン・ドット問題は、ラテラルシンキングを試すことができる問題です。 この問題では、既存のパターンにとらわれず、横方向に発想を広げることが必要です。
アインシュタインの謎とは、ラテラルシンキングの有名な問題です。 この問題では、以下のような設定が与えられます。
そして、以下のようなヒントが与えられます。
この問題では、以下のような質問に答えることが求められます。
この問題は、一見複雑に見えますが、実は簡単な問題です。 多くの人は、この問題を解くときに、以下のような思考パターンに陥ります。
しかし、このような思考パターンにとらわれていると、この問題は解けません。 この問題を解くためには、ラテラルシンキングが必要です。 ラテラルシンキングでは、以下のような発想をします。
このような発想をすると、この問題は以下のように解けます。
このようにして、アインシュタインの謎は、ラテラルシンキングを試すことができる問題です。 この問題では、既存のパターンにとらわれず、横方向に発想を広げることが必要です。
ラテラルシンキングは、仕事にも役立つ思考法です。 ラテラルシンキングを仕事に活かすことで、以下のようなメリットがあります。
これらのメリットからわかるように、ラテラルシンキングは、仕事にも役立つ思考法です。 しかし、ラテラルシンキングは、仕事だけではなく、日常生活でも役立つ思考法です。 日常生活でも、さまざまな問題に直面することがあります。 そのような問題に対しても、ラテラルシンキングを使って思考することで、新しい視点やアイデアを持つことができます。 ラテラルシンキングは、自分自身の思考力や人間性を向上させることができる思考法です。 ぜひ、日常生活や仕事で、ラテラルシンキングを試してみてください。
この記事では、ラテラルシンキングとは何か、どのような特徴やメリットがあるか、どのように進めるか、どのように仕事に活かすか、どのような例があるかなどを紹介しました。
ラテラルシンキングとは、既存のパターンにとらわれず、横方向に発想を広げることです。 ラテラルシンキングを身につけることで、創造性や革新性を高めることができます。 また、多様性や柔軟性を持つことで、問題に対して新しい視点やアプローチを見つけることができます。 ラテラルシンキングは、誰でも簡単に始められる思考法です。 ぜひ、この記事を参考にして、ラテラルシンキングの魅力を体験してみてください。
しかし、ラテラルシンキングだけでは、発想したアイデアを実現するための具体的な計画や管理ができません。そこで、ラテラルシンキングと組み合わせてお勧めしたいのが、OKRです。
OKRとは、Objectives and Key Resultsの略で、「目標と主要な成果」という意味です。OKRは、目標を設定・管理する方法のひとつで、従来の目標達成計画よりも「明確」かつ「一定のペース」で計画を進めることができます。OKRでは、定性的な「目標」を達成するために、複数の定量的な「成果」を目標への進捗測定に取り入れ、組織全体の生産性や業務効率アップを目指していきます。
ラテラルシンキングとOKRを組み合わせることで、以下のようなメリットがあります。
このようにして、ラテラルシンキングとOKRは相互に補完しあう関係にあります。ラテラルシンキングはOKRの設定に役立ち、OKRはラテラルシンキングの実現に役立ちます。下記の記事も参考にして、ラテラルシンキングとOKRの魅力を体験してみてください。