雇用保険とは?適用される事業、労働者の条件を紹介します。BLOG

 2021.8.1

「雇用保険ってどんな保険なんだろう。これから人を雇うことになったけど、何か手続きが必要なのかな」と思っている方。

雇用保険とは、政府が管理する保険の1つです。雇用保険は、失業者への給付や、雇用を安定させる事業のために運営されます。

基本的には、人を雇えば雇用保険の届出を出す必要があります。そして適切に届出をしなければ、法律によって罰則を受ける場合も。知らないうちに違法行為をするのは避けたいですよね。

そこでこの記事では、

  • 雇用保険の概要
  • 雇用保険の適用範囲
  • 雇用保険の被保険者の条件
  • 雇用保険に必要な届出

をご紹介します。まずはこの記事で、雇用保険を大まかに理解しましょう。

雇用保険とは、「政府が管理する、雇用に関する保険」

雇用保険とは政府が管理する保険の中で、雇用に関する保険です。「仕事がなくなったときの備えとなる保険」と考えている人も多いかもしれませんね。

しかし雇用保険の役割は、それだけではありません。次では、雇用保険の役割をご紹介します。

雇用保険の役割

雇用保険には、以下の2つの役割があります。

  • 失業等給付を支給
  • 失業等給付を減らすための、雇用保険二事業を実施

雇用保険の概要図


引用:厚生労働省ハローワーク https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_summary.html

以下、それぞれをご紹介します。

失業等給付を支給

雇用保険のまず第1の役割は、失業等給付の支給です。給付する目的によって、失業等給付は以下の4種類に分けられます。

  • 求職者給付(基本手当):労働者の、失業中の生活を支える
  • 就職促進給付:失業者の再就職を促す
  • 教育訓練給付:雇用の安定と再就職を促す
  • 雇用継続給付:生活の継続を支える

給付を減らすための、雇用保険二事業の実施

雇用保険の第2の役割は、「雇用保険二事業の実施」です。雇用保険二事業とは、失業等給付を減らすための以下の2つの事業のことです。

  • 事業主に対する雇用安定事業
  • 労働者に対する能力開発事業

失業者を減らせば、政府が失業等給付を出す機会は減ります。このようにして失業等給付を減らすのが、これら2つの事業の目的です。

次では、雇用保険と混同されがちな社会保険との違いをご紹介します。

雇用保険と社会保険の違い

雇用保険と同じく、社会保険も政府が管理する保険制度です。社会保険には「広い意味での社会保険」と、「狭い意味での社会保険」があります。

広い意味では、雇用保険は社会保険の一部

まず広い意味では、雇用保険は社会保険を構成する保険の一部です。雇用保険の他にも、以下の4つの保険が「広い意味での社会保険」に含まれます。

  • 医療保険
  • 介護保険
  • 年金保険
  • 労災保険

狭い意味では、何に関する保険かが違う

先ほど紹介した「広い意味での社会保険」は、さらに「狭い意味での社会保険」と「労働保険」に分けられます。それぞれの分類は以下の通りです。

  • 社会保険:医療保険、介護保険、年金保険
  • 労働保険:労災保険、雇用保険

2つの保険の違いは、「何に関する保険か」です。労働保険は、その名の通り労働に関する保険を指します。一方で社会保険は、医療などより広い「生活」に関する保険であることが特徴です。

次では雇用保険の適用範囲をご紹介します。

雇用保険の適用範囲:労働者を雇う、ほとんど全ての事業主

雇用保険の適用範囲は、労働者を雇う、ほとんど全ての事業主です。言い換えれば、ほとんどの場合において、人を雇ったら届出を出さなくてはいけません。

「ほとんど」とあるように、雇用保険が適用されない事業もあります。その例外とは、「農林水産の事業を行っており、かつ常に5人以上の労働者を雇用するとは限らない事業」です。

加えて人を雇えばすぐに雇用保険の手続きが必要になるかと言うと、そうではありません。次では雇用保険に関する労働者、つまり被保険者の条件について説明します。

雇用保険加入条件:給料で生活する人は、加入する必要がある

大まかに言えば、「雇用関係によって得られる収入で生計を立てている人」は雇用保険への加入が必要です。代表的な例としては、会社員があります。

一方で、本職の補助として、また一時的に働く人は雇用保険の対象になりません。したがって不定期で業務を請け負っているフリーランスや週10時間のアルバイトをしている学生は、雇用保険の被保険者にはならないのです。

しかしアルバイトや学生でも、雇用保険の被保険者となる場合も。以下ではその条件について、それぞれご紹介します。

アルバイトでも、条件を満たせば対象になる

アルバイトでも、「雇用されることによる収入で生計を立てている」と言えれば、雇用保険に加入する義務があります。具体的には以下の2つの条件を満たせば、雇用保険の被保険者にならなくてはいけません。

  • 雇われたときから、31日間以上働く予定である。
  • 週20時間以上働いている。

人をアルバイトとして雇う場合は、上の2点について会社と求職者のあいだで確認しておくのがおすすめです。

学生でも、条件を満たせば対象になる

アルバイトと同じく学生でも、条件を満たせば雇用保険の被保険者になります。その条件とは、上の2つの条件と、以下の3つの条件のいずれかです。

  1. 夜間大学、定時制、または通信制の学校に通っている
  2. 卒業見込みで、卒業後も引き続き同じ会社に勤務する予定である
  3. 休学している

学生を雇う場合も、上の条件について会社と求職者で確認しておくのがおすすめです。

平成29年から、65歳以上も適用対象に

平成29年から、65歳以上の労働者も雇用保険の対象になりました。65歳の労働者に対しては、高年齢求職者給付が支給されます。

雇用保険に関して、手続きが必要な場合の例

雇用保険に関して、ハローワークへの届出が必要になる条件は様々です。以下では事業所と労働者のそれぞれに関して、届出が必要になる代表的な例と、それぞれの場合において提出しなくてはならない届を紹介します。

事業所に関する手続き

事業所に関する手続きとしては、例えば以下が挙げられます。

  • 適用事業を開始したとき:雇用保険適用事業所設置届
  • 事業を廃止した、または被保険者を雇用しなくなったとき:雇用保険適用事業所廃止届
  • 事業主の名称や所在地などが変わったとき:雇用保険事業主事業所各種変更届

労働者に関する手続き

労働者に関する手続きとしては、例えば以下が挙げられます。

  • 労働者を初めて雇い入れる場合:事業者設置届と雇用保険被保険者資格取得届
  • 新たに労働者を雇い入れた場合:雇用保険被保険者資格取得届
  • 労働者が離職または死亡した場合:雇用保険被保険者資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書

ちなみにハローワークから交付される「雇用保険被保険者証」は、被保険者に渡さなくてはなりません。

他の場合やそれぞれで必要な届、そして提出期限については、厚生労働省の以下のページをご覧ください。

手続き一覧表 |厚生労働省

次では、届を出していなかった場合などに会社が受ける罰則について、ご紹介します。

雇用保険の罰則:会社に6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される場合も

例えば会社が届を出していなかったり、偽りの届を出したりした場合には、会社に6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される可能性があります。

きちんと期限内に、届を提出しましょう。

雇用保険の条件を把握して、忘れずに届出を!

この記事では、まず雇用条件とは、政府が管理する保険の中で、雇用に関する保険である、とご紹介しました。

次に、雇用保険の加入条件についてご紹介しました。ほとんどの事業において、労働者を雇用すれば届を出す必要があります。

しかし誰かに仕事を頼めば常に手続きが必要かというと、そうではありません。雇用関係によって生計を立てる人を雇った場合に手続きをする必要があります。

労働者を雇った場合や離職した場合など、様々なときに応じて事業主は届出をしなくてはなりません。

まずは雇用保険加入条件を把握して、届出をしなくてはいけないときを把握しましょう。

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