2021.6.10
2019年4月10日(水)にSpeeeラウンジにてブレインパッド様、Speee様、Yappli様をお迎えし、各社OKRの導入・運用におけるよくある課題とその解決方法やチャレンジしている事を赤裸々に語っていただくセミナーを開催いたしました。
まずは前編「OKR導入事例のご紹介」として以下のお三方に自社事例のお話をいただきましたのでそのレポートをいたします。
株式会社ブレインパッド 上川様
プライベートDMP「Rtoaster(アールトースター)」のプロダクトマネージャー、企画部門およびマーケティング部門長
弊社はデータサイエンティストを80名以上抱え、データ活用を主軸に事業を展開しています。その中で、私は「Rtoaster(アールトースター)」というプロダクトを提供する事業部に属しています。
私はデータを扱う事業が主軸だからこそ、そこで働く人の意思や夢などが重要になると考えています。自分たちはデータを活用して何がしたいのか、そこを明確に表現したい。そして、コミュニケーションを取りながらそれを実現していきたい、そんな思いから私の所属する事業部でOKRを導入しました。
OKR導入前の具体的な問題点は、組織が大きくなるにつれて疑問を感じる部分が増えてきたことです。
実際に部門の目標を立てるときも、果たして事業目標と合っているのか、わからなくなることがありました。
OKRは「Objective」(目標) と「Key Results」(主要な成果) で構成されますが、社員にOKRを説明する際にはもう少しわかりやすい例えを使います。それは、
「朝ベッドから飛び起きてやる気が湧いてくる」のが良い「Objective」
「もしかしたら達成できないんじゃないかとちょっと不安になる」のが良い「Key Results」
そんな風に感じるものが良いOKRなのだ、ということです。
OKR導入に気をつけたポイントは、
こと。そんな形で導入を進めたOKRですが、途中さまざまな失敗がありました。
例えば弊社でOKRを導入した当初は、Biz (ビジネス部門) とDev (開発部門) で共通のOKRを持つことは難しいと考え、それぞれ分けてOKRを設定していました。
しかしそれによって、
などの課題が出たため、今期はBizとDevのOKRを共通にしています。
その他にも、
などの失敗がありました。
これらの失敗に対しては、
などで対応。定例会などで定期的に確認して運用しています。
また導入後の課題は「定常的に運用していくこと」です。
OKRの設計は作り手の手腕や視座によって大きく変わるので、目線や粒度を合わせたり、ディスカッションしたりする時間を確保しなければなりません。それを事業運営と同じように進めていくのはなかなか大変だと思います。
一方で、OKRを導入して良かった点は「可視化して設計して運用することで、それまで見えていなかった課題が見えてきたこと」です。
例えば、OKRを進めていく中で、OKRにたくさん紐付いている人と、あまり紐付いていない人が見えてきました。
また、事業上優先順位が低いかもしれないことをやっていたりする点にも気づきました。
OKRによってさまざまな課題が見える化され、それを解決していこうという話し合いができる、そのためのフレームワークとしてOKRは素晴らしいツールです。
株式会社Speee VPoE 大場様
弊社の社員は300名ほどで、
など、複数の事業を展開しています。
OKRを導入した2017年当時は創業10周年を迎え、事業の成長や人の増加などによる多様性が、歪みを生み出し始めていました。そのような背景があり、会社のあり方を振り返ってみる機会が必要なのでは?というところから各事業ごとのミッション・ビジョン作成に至ります。
Speeeのミッションは「解き尽くす。未来を引きよせる。」ですが、各事業においてこのミッションを1段落としたミッション・ビジョンを定義していきました。
しかしミッション・ビジョンを定義していく中で、「そこに向かっていく道標」となるようなものが無ければたどり着けないのではないか、という課題感がありました。
掲げたミッション・ビジョンをどうやって事業に落とし込んでいくか、そこでOKRが役立つのではないかと考えたのです。
当時はエンジニアの目標管理にOKRを使っていたのですが、OKR同士の接続や、大きな組織としてのOKR運用はできていませんでした。そこで組織全体にチャレンジを促す仕組みをつくるため、OKRの全社運用を進めたのです。
OKRはクリエイティブや営業だけでなく、管理部門にもコミュニケーションを加速させるツールとして導入し、評価ツールとしては使っていません。
ワークショップを通じて、事業で設定したOKRとチームのOKRをツリーで結ぶことができるようになってきました。これにより、トップダウンとボトムアップ両方を循環させることができる可能性が見えてきたのです。
OKR導入時に難しいと感じた点は、
などです。
OKR導入時はフレームを気にするあまり「このObjectiveは目標として正しいのか」みたいな質問が出てきます。しかし、そこにとらわれていては前に進めません。この点については「チームの成熟度に応じて使えていればOK」としました。
またOKRは運用が命のツールです。OKRを設定したのであれば、しっかりと運用しなければ意味がありません。
そして管理部門など、OKRが設定しにくい部署もあると思いますが「あなたの行動が未来を引きよせる行動になっているかどうか」など、大きなミッション・ビジョンに沿って考えてもらうことが大切だと思います。
OKRを進めるうえで相談させて頂いたTablyの及川さんのアドバイスで、1番感銘を受けたところがあります。
そういう場合は、しかるべき課題背景があるはずで、それを聞きに行くだけでも価値があるのではないか、ということです。
OKRそのものだけではなく、それらが可視化されることがコミュニケーションツールとして大きなメリットを持っているのだと思います。
株式会社ヤプリ CFO 角田様
弊社のプロダクト Yappli はノーコーディングでモバイルアプリが展開できるオンラインのプラットフォームです。今はアプリの可能性や開発の範囲が広がっている一方で、アプリのエンジニアが不足しています。そういった環境のギャップを解決するような事業を展開しています。
組織のメンバーは140人弱です。OKRは去年から準備をはじめて、導入は今年からです。準備開始当時は80人程度の規模でしたが、目標設定や評価制度について課題を持っていました。
以前はMBO(個別またはグルーブごとに目標を設定し、それに対する達成度合いで評価を決める制度)を使っていたのですが、客観性と納得感の醸成に課題を感じていました。
その原因は、
ことです。
特に問題が顕著だったのが開発で、
などと不満が出ていました。
そんな中で及川さんからOKRを紹介していただき、導入に至っています。
OKR導入のきっかけは開発でしたが、導入を進める中で「全社でやるべき」と判断し、現在は全社導入で進めています。
OKR導入に際して、弊社では部門横断のプロジェクトと部門ごとの両方のOKRを作成しています。また、予算とOKRと評価は分離して運用し、
このように分けています。
OKRの運用面での課題の一つとして、面談の時間を要する「チェックイン」や「1on1」が必要になる、時間的な負担になりやすいことが挙げられます。
運用は部門ごとに近くで見守る人がいないと「目標設定として、このObjectiveは正しいのか」という話など、そもそも「正しい運用」という幻想に囚われてなかなか定着しません。
解決策としては
などがあります。そもそもかしこまった会議などではないので、場合によってはお酒を飲みながら盛り上がったり、それなりに楽しくできている手応えがあります。
直近数ヶ月ですが、OKR導入の効果としては、
が、以前と比べると醸成されてきたかなと感じます。
OKRの運用は可能な限り各部署に委譲している状態で、自分たちで工夫して裁量を持ってやることで一体感や達成感が生まれているように思います。
OKRに「こうすれば正解」という絶対解はありません。最低限OKRの軸としてぶれないところを決めておけば、あとは使いやすく変えていけば良いと思います。
ここまで、ブレインパッド様、Speee様、ヤプリ様をお迎えして、OKRの導入・運用に置けるよくある課題とその解決方法などをお伺いしました。
OKRは強力なツールではありますが、人が関わってくる部分においては様々なハードルが生まれます。今回お迎えした3社様では、それぞれがOKRを使って課題と向き合い、試行錯誤しながら解決に向かっていたことが印象的でした。
引き続き後半では、より具体的にOKRに関わる課題の乗り越え方について、パネル・ディスカッション形式でお伺いします。
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