2023.5.17
「人事考課と言われても具体的にどういう意味かわかりづらい」「どのような視点で人事考課をすべきかわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
人事考課は従業員の評価に関わるので、意味を知ったうえで行わなければいけません。理解しないまま行うと従業員からの信頼が得にくく、企業の生産性にも関わります。
今回は人事考課を行う際の視点や注意点、運用の方法について詳しく紹介するので、人事考課についておおまかに理解しましょう。
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目次
1. 人事考課とは社員の能力や勤務態度に対する評価を行う制度
2. 人事考課の導入で期待できる効果
3. 人事考課の3つの視点
4. 人事考課制度の評価、運用方法
5. フィードバックにおける人事考課シートの効果的な活用法
6. 人事考課の効果を高めるために知っておきたいデメリット
7. 「人事考課は意味ない」と言われないために意識すべきポイント
8. 人事考課を通して企業と従業員の成長を促そう
人事考課とは、簡単に言えば「社員の能力や勤務態度に対する評価を行う制度」です。業務への貢献度や業績に対して一定の基準で評価を行い、評価した内容を以下のような様々なものに反映します。
人事考課は、ただ単に賃金や昇進を決めたり、社員をランク付けしたりするものではありません。他の社員からの客観的な評価に加え、自己評価も交えて総合的な観点から適切な評価をします。
会社に貢献している従業員に対しては適切な昇給や昇進を行い、他者評価と自己評価の間に大きな乖離がある場合には面談を行うなどの措置を取ります。そうすることで、企業と従業員とが円滑なコミュニケーションを築き、組織全体のモラル向上に繋がるのです。
人事考課の最大の目的は、従業員へのインセンティブの付与です。
インセンティブとは、従業員の精神的エネルギーを生み出す誘因を言います。インセンティブのかたちは様々ですが、インセンティブをうまく付与できれば、個々人の動きを組織に合わせて統率したり従業員の努力をより引き出したりすることが可能です。いい意味での競争が生まれ、組織の利益拡大にも繋がります。
人事考課は従業員のモチベーションの維持にも大きく関わるものです。明確で公正な人事評価が下されると、自分の働きが企業側に評価されていると認識できます。企業に貢献すればするほどリターンがあれば、期待に応えようと努力をするでしょう。結果として、企業の利益拡大に大きくつながるのです。
評価過程の中で従業員一人ひとりの個性やスキルを把握すれば、個人に合った業務を割り振れます。従業員側としても企業側としても、満足のいく関係性を作れるでしょう。
人は誰かに認められたり良い評価をされたりしたときに、最も達成感を覚えます。
「人事考課で達成感を与える書き方」にはコツがあります。
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人事考課と似た意味で使われる言葉に、人事評価があります。両者の違いを見てみましょう。
制度 | 人事考課 | 人事評価 |
目的 | 昇給や昇進など人事面における処遇を決める | ・社員の評価を行う・従業員の育成を意識している |
評価対象 | ・能力やスキル・企業への貢献度 | 売上など直接業績に関わる成果 |
公開の有無 | 非公開 | 公開も可能 |
人事考課は従業員本人の能力やスキル、企業への貢献度を評価し、昇給や昇進などの人事面における処遇を適切に行うために設けられた制度です。
対して人事評価は売上など直接業績に関わる成果を評価対象として、社員の評価を行います。人事評価は直接金銭的な評価に結びつけるのではなく、従業員の育成を意識した制度です。
人事評価制度という大きな概念の中に、人事考課制度という具体的な制度が含まれていると考えましょう。
人事考課を導入すると、以下の効果が期待できます。
それぞれについて詳細を確認しましょう。
人事考課を導入すると、昇給やボーナスなど待遇の明確な根拠になります。客観的な評価を元にして査定が行われるため、平等な評価が下せるのがメリットです。
客観的な基準がないと、上司との関係性や業務内容の違いによって不公平感が出る可能性は否定できません。不公平だと感じると従業員の満足度が下がりますが、人事考課を導入すれば明確な根拠を元に判断できて従業員の満足度を高められます。
給与やボーナスといった金銭面だけではなく、人事考課による昇進の判断も可能です。
明確な判断基準があれば、従業員も自分のいる位置を客観視できます。客観的に自分を見つめ直す機会があれば、足りない部分に対する対策にも役立ち、授業員の能力の向上も期待できるでしょう。
人事考課を導入すれば、企業としての在り方や従業員に求めるものが可視化できます。企業としてどのように在りたいか、従業員に何を求めるかを示すために、企業として求める方向性に合う評価基準を作成しましょう。
評価基準を見れば、従業員はどのようにすれば評価されるかわかります。求められるものが明確になれば改善点や問題点が浮き彫りになり、対策もしやすくなるでしょう。求められる人物像がわかれば、キャリアパスも描きやすくなります。
明確な基準を元に従業員が会社の方向性を認識し、自分たちに求められるものを理解すれば、円滑な風土を持った組織の形成も可能です。円滑な風土があれば、従業員の成長にも繋がります。
人事考課を導入すれば、従業員のモチベーション向上も期待可能です。
具体的な基準を設ければ、従業員が進むべき方向が明確になります。「どのように進めば会社が評価してくれるのか」がわかりやすくなり、業務へのモチベーションも高まります。
企業側としても従業員の状況をしっかりと把握し、公正な評価ができます。企業の方向性を元に公正な評価が行われると、従業員としては働きを認められたという実感が得られるものです。働きが認められれば、企業に貢献する意識が高まります。
従業員の状況が把握できていれば、必要に応じて適切な研修や教育の機会を与えられるのもメリット。状況の把握は従業員の能力開発に繋がるのと共に、企業の生産性も高められます。
人事考課を導入すれば、従業員と上司のコミュニケーションが円滑になります。
人事考課制度があれば、結果のフィードバックによって上司と部下が合意のもとで査定を行えるのがメリットです。
上司は従業員の能力や貢献度を把握でき、必要に応じて助言もできます。従業員は「理解してもらえる」という実感が持て、不公平な評価をされるかもしれないという不安も感じずに済むでしょう。承認されていると思えば、労働意欲も高まります。
上司と部下がお互いに信頼できれば、コミュニケーションもより円滑になり結果として企業の生産性の向上にも繋がるのです。
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人事考課を行う際の視点には、下記の3つがあります。
人事考課を実施するなら、考課の視点として適しているものを設定した上で公正な評価を下す必要があります。それぞれについて詳細を確認しましょう。
「業績考課」とは、従業員が出した成果や業績について、どれほど会社に貢献したのかを評価する視点です。評価の際にはプロセスは考慮せず、売上額や会社への貢献度などを数字で計り、数字に基づいた客観的な査定を行います。
人事考課の3つの視点の中で、唯一の定量的な視点が業績考課です。例として以下のような数値を取り上げて評価します。
業績考課のみで判断すると、外的要因などから能力がありながらも、業績を上げられなかった従業員の評価が不当に低くなってしまう可能性があります。不当な評価を防ぐために、次に紹介する2つの視点も非常に重要です。
2つ目の視点である「能力考課」は、従業員が持っているスキルや能力を正当に評価するために必要なものです。業績考課では、あくまで結果に基づいた評価を下します。それに対して能力考課は、結果に至るまでのプロセスの中で身に付けた能力を評価する視点です。
たとえば、まったく同じ業績を上げた従業員が2人いた場合、同じ業績でも難易度の高いプロセスを取った従業員の方がより高い能力考課を与えられます。能力考課での具体的な項目には以下のようなものがあります。
能力考課では、ひたすら黒子に徹して周りを支えた従業員や、表立って成績として現れない動きをした従業員も正当に評価できるのが特徴です。
最後は、成果を出すプロセスの中で示される、仕事への情熱や態度に関する「情意考課」です。情熱や態度は抽象的なもので判断が難しいかもしれませんが、主に次のような視点から評価できます。
経験や知識がまだ足りず、業績考課や能力考課では高評価を得られない従業員に対しても、上記の視点を通せば見込みのある従業員として高評価を与えられます。情意考課は、他の2つの視点と違って根拠を示すのが難しいものです。正確な評価を行うには、上司や部下、同じチームの同僚からの評価を集める必要があります。
人事考課制度の評価や運用はどのように行えばいいのか、手順を確認しましょう。
人事考課を導入するにあたっては、企業の理念や戦略に基づく評価基準を策定する必要があります。それぞれの企業独自の文化や現状を踏まえてこそ、適切な評価に繋がり、結果的に企業の業績アップも期待できるのです。
評価を与えるにあたっては、明確な基準値が必要となります。5段階評価でもABC評価でも構いませんが、どの水準が5やSやAにあたるのか、明確な根拠を示さなければなりません。理念や戦略をしっかりと念頭に置いたうえで、企業基準を策定しましょう。
次のステップは目標設定です。
達成すべき目標は、直属の上司などに相談し、双方が納得のいくものを定めなければなりません。あまりに現実的でない目標を設定してしまうと、その従業員の大きなモチベーションの低下に繋がる可能性があります。低すぎず、努力すれば達成可能な目標の設定が重要です。
非常に難しいところではありますが、目標設定がもっとも重要と言っても過言ではないので、双方で話し合いベストな目標を設定しましょう。また目標達成のために必要なプロセスがわかり、達成度が数値で示せることも大切なポイントです。
上長は、最初に策定した評価方法で従業員を評価します。気をつけなければならないのは、あくまで主観的な視点は排除し、公正な評価を下さなければならないことです。あえて厳しい評価を与えたり、個人的な相性による評価を入れたくなってしまう場面もあるかもしれませんが、フラットな目で評価しましょう。
人事考課では、同じ項目について従業員による自己評価も行います。上長は従業員の自己評価についても鑑みなければなりません。人によって評価が分かれるのではなく、誰が見ても納得のいく根拠が必要です。客観的な視点で評価するよう常に意識しましょう。
評価が終わってもそれで終わりではありません。評価に対してしっかりとフォローをすることが重要です。次期の目標を設定するためにも、今期の評価を振り返り、必ずフィードバックをするよう心がけましょう。
結果をただ伝えるだけではなく、評価に対して明確な根拠を示さなければいけません。またフィードバックをする際には、改善点や課題について伝える必要はありますが、それに終始するのではなく高い評価だった項目についても、何が良かったのかを積極的に伝えるようにしましょう。人事考課には、従業員のモチベーションアップの側面もあることを忘れてはいけません。
仮に評価が低かったとしても、上長は従業員が自ら積極的に相談できる環境を作る必要があります。丁寧なフィードバックを行い、自分に対する評価の根拠に納得できれば、会社や上長に対する不満や不信を解消できます。
しっかりと話し合う中で、自分の長所や短所がわかれば今後の糧になると従業員に理解してもらいましょう。言葉一つに関しても、「なぜできなかったのか」ではなく、「どうしたらうまくいくと思うか」など言い方を変えればより面談が円滑になる可能性があります。
フィードバックにおける人事考課シートの効果的な活用法について紹介するので、参考にしてみてください。
人事考課によって従業員のモチベーションを高めるには、フィードバックが重要です。人事考課シートを活用すれば、有意義なフィードバックが行えます。
人事考課シートに記入すべき項目は、以下の通りです。
評価したい項目は、企業の理念や戦略に基づいて決定します。上記で紹介した通り、「業績考課」「能力考課」「情意考課」に分けて必要な項目を記載しましょう。
評価したい項目が決まったら、考課の評価基準を明確に設定します。たとえば「A~Eの5段階」「A~Cの3段階など」何段階で評価するのかを設定し、それぞれの段階でどの水準に達していればいいのかを決めましょう。
評価の水準を決める際には、以下の点を確認しながら設定します。
シートに記入する際は、まず従業員が自己評価を行い、続いて評価者が客観的な立場から評価を行う流れです。考課者は二人置いてもよいでしょう。二人置く場合は一次考課、二次考課とそれぞれ別の評価者が評価を担当します。
評価者は評価内容に対するコメントを記載して、従業員へのフィードバックを行いましょう。
人事考課シートの書き方のコツは、以下の3点です。
人事考課は毎年残るものなので、ネガティブな評価を書くとずっと残り続けます。目標に達していない場合は評価を下げるようなネガティブな内容を書くのではなく、目標に到達していないという事実のみを記載するのがポイントです。
目標に到達している場合も、事実としての到達度合いを記載しましょう。
目標に到達していない場合に、部下に言いづらいと感じるケースもあるかもしれませんが、目標の到達度合いのチェックは人事考課を行う上で重要です。明確な基準がある以上、公平な評価を行うためにもきちんと判断しなければいけません。
コメントを細かく書き過ぎると、要点が伝わりにくくなります。結論から書き始め、わかりやすい文章になるよう心がけましょう。推測で記載するのではなく、断定口調で事実が伝わるように書く必要があります。
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人事考課を点数化する際のポイントは、以下の通りです。
人事考課を行う際には、なぜこの評価になったのかプロセスが明らかになっている必要があります。どのように取り組めば評価されるのか、従業員がわかるようにプロセスまで意識して点数化しましょう。
点数化の際には客観的な基準で評価する必要もあります。たとえばA~Eの5段階で評価する場合、業績考課の採用人数の目標が10人だったとすれば、10人から9人採用できたらAというように明確に基準を設定しましょう。
数字で評価できない基準に関しては、企業の理念や戦略を元に詳細にわかりやすい基準を設定しなければいけません。
人事考課の効果を高めるためには、デメリットを知ったうえで導入する必要があります。人事考課のデメリットは、以下の通りです。
それぞれについて詳細を確認しましょう。
人事考課では、以下の3つの理由で従業員から不満が出る可能性があります。
明確に数値化する業績考課は基準がわかりやすくても、客観的な基準を設置しようとしても能力考課や情意考課ではある程度の認識の違いが出ます。認識の違いを避けるには、できるだけ透明度の高い客観的な基準を設けるようにしましょう。
評価をすると評価が低い従業員が出るため、評価が低い社員が不満に思う場合もあります。不満を軽減するには、フィードバックで評価の理由やできていない部分を納得してもらい、改善できるようなサポートが必要です。
フィードバックの際になぜこの評価になるのか評価内容がきちんと伝わらない場合も、不満が出やすくなります。
人事考課を行うためには、以下の理由で時間がかかるのもデメリットです。
目標設定から評価までのプロセスを行うには、時間も手間も必要です。フィードバックまで行わないと効果が出ないため、フィードバックのためのシートの記入や面談も行わなければいけません。
普段の業務に加えて上記のような作業があると、負担に感じる従業員もいます。
人事考課を行うための基準の設定や評価項目の選定など、制度の導入の段階でも時間や労力が必要です。時間をかけたくないからと煮詰めないまま制度化すれば、制度を導入した意味がありません。
他社でも行われているからという理由で制度を取り入れた場合、自社の実情に合わず活用しきれない可能性もあります。自社の成長のために制度を活かすのではなく制度の導入が目的になると、導入後に制度を上手く活用しきれません。
人事考課では客観的に判断できる基準の作成が必要ですが、作成した基準が自社の業務内容に合っていないケースでも制度を上手く活用しきれません。自社の実情を分析したうえで、企業の目標や戦略に合う基準を設ける必要があります。
人事評価の際に起こりやすい、以下のようなエラーがあるのもデメリットです。
人事評価エラーは無意識に行われてしまう傾向があるため、起こりやすいものを事前に把握しておくといち早くエラーに気づけます。エラーの内容について具体的に確認しましょう。
ハローは英語のhaloで、「光輪」や「後光」という意味です。良い部分に影響され、他の部分まで良い評価をしてしまうエラーを言います。評価全体に捉われるのではなく、一つ一つの項目に対して、適切な判断をするよう意識しましょう。
評価側独自の論理で評価を付けてしまうエラーです。これは、人事側から評価者に対して事前に想像などでの判断をしないよう明確に伝えておけば、ある程度防げます。また評価基準の定義についても、しっかりと伝え理解を深めておいてもらうことも大切です。
自分の評価が相手にどう思われるかを気にしすぎて、評価者が平均的な評価を与えてしまうエラーです。中心化傾向は、評価者が評価される側の能力をしっかりと把握できていないときに起こりやすいと考えられます。
評価者は従業員とのコミュニケーション量を増やし、幅広い視点を持って対象者の能力を把握するよう努めましょう。
また評価基準自体への理解が曖昧な場合にも中心化傾向が起きやすくなります。人事側から評価基準に対して不明点等がないかを事前にヒアリングし、全てがクリアな状態で評価者が評価に臨めるようにしましょう。
寛大化・厳格化傾向とは、評価対象者から良い印象を持たれたいために必要以上に甘い評価を下す、逆に相性が合わないなどの理由から必要以上に厳しい評価を与えてしまうといった、正当な評価が行えないエラーです。寛大化・厳格化傾向を防ぐには、評価者に対して必ず事実や根拠を示せる評価を下すように明確に伝えておきましょう。
人事考課を導入したのに効果が出ず「人事考課は意味がない」と言われないために、導入の際に意識すべきポイントは以下の通りです。
それぞれについて詳細を確認しましょう。
人事考課を効果的に行うには、基準があいまいにならないよう明確に策定するのがポイントです。基準があいまいだと公平な評価ができず、従業員が不満を抱える原因になります。
基準を策定する際には自社の人事コンセプトをはっきりさせたうえで、具体的に何を評価するか決めましょう。どのような行動をすれば目標に到達したと判断されるのか、事例を多く取り入れるとわかりやすい評価基準になります。
従業員の納得感を高められるような、明確な基準を設けましょう。
担当者の心情に左右されないよう評価のポイントをすり合わせるのも、人事考課を効果的に行うためのポイントです。
先程紹介したように、評価者の心情によってはエラーが起こりやすくなり、正確な評価ができません。評価者によって基準の解釈が異なると、同じ基準を元に評価を行っていても評価結果が異なる可能性もあります。
評価者による解釈の違いが大きすぎると、評価に対する信頼性の低下は避けられません。評価者の心情に左右されないように、事前に評価のポイントをすり合わせて納得感のある評価を行いましょう。
人事考課を行う際には、定期的な面談で従業員をサポートして納得感を高める必要があります。人事考課を目的とした面談は半年~1年に1回行われるケースが多く見られますが、期間が空き過ぎると従業員の変化が把握しきれません。
従業員が目標に向かってどのように取り組んでいるか、適切なプロセスを踏んでいるかなど、状況を把握するには定期的な面談が効果的です。従業員の状況が理解できれば必要なサポートができ、従業員からの信頼も得られるでしょう。
人事考課制度は従業員が目標を立てますが、簡単に達成できる目標を定める場合もあります。簡単に達成できるレベルの目標では、従業員の成長に繋がりません。高すぎる目標を掲げると、達成が難しくモチベーションが保てなくなる可能性も考えられます。
上司は従業員が決めた目標をチェックして、レベルや能力に合う目標になっているか確認しましょう。低すぎず、努力すれば達成可能なレベルの目標が適切です。従業員と話し合いながら、双方が納得できる目標を設定しましょう。
人事考課制度を導入する際には、従業員の理解を得てから取りかかりましょう。人事考課制度を運用するには、時間が必要です。制度を運用するための準備にも時間がかかりますが、運用を始めた後にも目標設定やシートへの記入、フィードバックのための面談と時間を割かなければいけません。
従業員の理解を得ないまま取りかかると、業務の負担が大きくなると感じ不満が生じる可能性があります。人事考課制度の意味をきちんと伝えて、理解を得たうえで導入を検討しましょう。
人事考課制度には多くのメリットがあり、正しいかたちで導入すれば企業に多くのメリットをもたらしてくれます。適切に運用すれば、従業員のモチベーション向上や会社の業績アップも可能です。
一方で、従業員一人ひとりの評価を適切に行う重大なものであることを理解しておかなければいけません。人事考課制度を適切に行い、より企業と従業員の成長に繋がるシステムを構築してみてください。
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