更新日: 2021年8月1日
仕事において、複雑で難解な課題に取り組む場合、個人ではなく、チームとしてお互いが協力し合いながら目標達成に向けて行動することが必要になってきます。そこで重要になってくるのが「チームビルディング」です。企業を取り巻く環境が大きく変化している昨今、組織の成果を最大化するための方法として注目されています。
今回は、以下のような流れでチームビルディングの段階やメリットなどについて詳しく解説していきます。
「チームビルディング」とは、チームの中での個々人のスキルや能力を最大限発揮し、目標を目指すための取り組みのことを指します。
ただがむしゃらに優秀な人材を集めれば良いチームが出来上がるのかというとそうではありません。「チームビルディング」という言葉を訳すと、文字通り「チームの構築」となります。目標達成に向けて、それぞれの異なるスキルを尊重し、うまく融合させていくことが重要になります。
チームと似た言葉に「グループ」という言葉もありますが、グループは言葉の定義上、複数のメンバーが集まっていることを指し、メンバーが共通の目的を持っているとは限りません。
チームの場合は、メンバー同士が、共通の目的やゴールを達成するために、協力し合っている組織のことを指します。そのため、グループという言葉は、チームという言葉よりもより広義な意味を持っていると言えるでしょう。
また、もう一つチームビルディングと混同されがちな言葉として、「チームワーク」という言葉があります。チームワークとは、1人では達成できない目標をチームメンバーと協力し合うことで達成することです。
目標に対してチームが一つになって向かっていくという点では非常に類似していますが、目指すチームの姿と、メンバーの成長について加味しているかで違いが見られます。
チームビルディングは、大きな変化が求められる組織などでよく使われる言葉で、イノベーションを起こすことができるチームを目指すという点が、チームワークとは少しニュアンスが違う点です。
また、チームワークはメンバーで協力し合って目標を達成するという考え方のため、メンバー個々人の成長にはそこまでフォーカスはされません。
一方で、チームビルディングの場合は、個々人の能力を最大限に発揮しつつ目標目標達成を目指すという考えのため、メンバー一人ひとりの成長も加味されると言えます。
チームビルディングの目的は、1人では達成ができないような目標に対して、チームで取り組むことで目標達成を実現することにあります。
大きな目標を達成するためには、メンバー一人ひとりのスキル、能力や経験を最大限に発揮することが欠かせません。ここでは、チームビルディングを行うことで期待できる効果を紹介します。
チームが機能しない時に、まず原因の一つとして挙げられるのが「コミュニケーションの不足」です。そこで効果的なのがチームビルディングです。
また、チームビルディングを行うことで、コミュニケーションが活発になるだけでなく、それを通してメンバーの価値観や考え方を共有することができます。
特に、チームリーダーは、事前にメンバーそれぞれの考え方や価値観を理解しておくことで、その後人材配置や役割分担などで適切な判断を行いやすくなるでしょう。
チームビルディングでは、メンバーで目標達成に向かっていくため、メンバーそれぞれがこのチームで目標を達成したいという気持ちを持っていることが重要です。
例えば、脱出ゲームなどのゲーム性を持たせた取り組みを行うことで、楽しさが生まれ、チームとしての一体感が増し、メンバーはこのチームで目標を達成したいというマインドセットを持つようになってくることが期待できます。
最近では、会社の内定者や新入社員、新たなプロジェクトのキックオフなどにチームビルディングを導入する企業が増えてきています。
この期間にチームビルディングを行うことで、次期の目標やプロジェクトの目標達成に向けて、チームのビジョンを共有し、チームの一体感をより強固なものにすることができるのです。
チームビルディングを効果的に行うためには、いくつかの段階を経ることが重要です。ここでは、心理学者のタックマンが提唱した「タックマンモデル」を紹介します。
「タックマンモデル」は、チームビルディングにおけるチームの状態を5段階に分類し、次の段階に進むためにはどのようなチームビルディングが求められるかを明確にしたモデルです。
形成期とは、メンバーが決定し、チームが出来上がったばかりの段階のことです。
まだこの段階では、メンバー同士の理解も不十分で、チームの目標も明確ではないので、チーム内には緊張感があります。次の段階に進むためには、メンバーがお互いのことを知り、目標達成のための課題をリーダーが主導になって明確にしていく必要があります。
混乱期は、チームの目標がある程度明確になり、プロジェクトが進み始めた段階のことを指します。
この段階では、メンバー一人ひとりの考え方や価値観の違いから、意見の衝突が対立が起こりやすいでしょう。目標ではなく、メンバー個人の意見や行動に意識が向きがちになってしまいます。次の段階に進むためには、意見の対立を恐れずに、議論を通じてお互いの相互理解を深めていくことが重要になってきます。
統一期とは、これまでの段階でお互いの意見を出し合ったことで、メンバー同士の価値観や考え方への理解が深まり、安定感のあるチームへと統一されていく段階のことを指します。
この段階まで進んでくると、メンバー個々人の役割などをそれぞれがしっかりと把握しているため、チームにまとまりが生まれています。ここからさらに次の段階に移行するためには、メンバーそれぞれの個性を活かした役割分担や、全員が納得できるチームの目標設定など、メンバー全員が主体的に動くことが必要になります。
機能期とは、文字通りチームがチームとして機能している段階のことを指します。
この段階になると、メンバー個人がそれぞれの役割を全うするだけではなく、チームのメンバー同士でのフォローが生まれてきます。一人ひとりの主体的な行動と、メンバー同士でのサポートにより、チームとしての成果が現れ始めます。この時期を長期的に持続するためには、リーダーによるメンバーへのサポートや、チームワークを高めるためのアクティビティの実施などが効果的です。
散会期とは、プロジェクトの終了や、チームメンバーの異動などにより、チームとしての活動が終わる段階のことです。
チームビルディングが成功していたのかどうかは、この段階でのメンバーの反応で判断することができます。解散を惜しむ声や、メンバー同士がお互いの健闘を称え合う姿が見ることができれば、良いチームビルディングができたと言えるでしょう。
このように、チームビルディングは形成期に始まり散会期に終わります。タックマンモデルを利用し、今自分のチームがどの段階にいるかを把握することで、目標達成のために必要な施策などを適切に打ち出すことができるのです。
チームビルディングがどのように進んでいくかを理解したところで、具体的なチームビルディングを行うメリットを見ていきましょう。
チームビルディングを行うことで、チーム目標という共通項ができます。
これによってよりチーム内は活気付くことでしょう。結果として、チーム内でのコミュニケーション量が増え活発化することになります。上司と部下の間の「報・連・相」が増えたり、ナレッジの共有や、相談がよりしやすくなるなどの効果も期待できます。
チームの成果を最大化するためには、メンバー個々人のモチベーションを最大限に引き上げることが重要です。
チームで行動を共にすることにより、一体感が生まれ、「このチームのために何かしたい。」「もっとメンバーから認められたい。」などの承認欲求が生まれます。そこで成果を出すことで、周りのメンバーか称賛されたりすることで、その承認欲求は満たされ、モチベーションはさらに増加します。モチベーションが上がれば、自然と生産性や仕事効率なども向上していきます。
チームのメンバーは一人ひとり違った考えを持っています。
時にそれが原因で対立してしまうこともありますが、それでも意見を出し合い相互理解を深めていくことで、それぞれの意見や価値観が融合し、新たなアイディアが生まれてくるのです。決して1人では考えつかなかったようなアイディアが生まれやすいので、チームや組織のイノベーションに繋がります。
チームビルディングを行う上での、ポイントを3つ紹介します。
チーム目標が明確に定まっていれば、各メンバーがモチベーションをキープしながら目標達成に向けて進んでいくことができます。
目標が抽象的であったりすると、メンバーがどのように行動すれば良いかわからず、モチベーションの低下にも繋がり、チームワークを発揮するのは難しくなってしまいます。
仕事をする際は、役割が明確になっていたほうが行動しやすく、成果も出やすいでしょう。
経験やスキルの異なるメンバーが集まってくるチーム作りでは、それぞれのスキルや経験をしっかりと見極め、各自の役割を明確にすることが重要です。それにより、各自が目標に向けての行動を起こしやすく、適切な役割を全うすることでチームの目標を達成しやすくなります。
チームのメンバーの価値観は様々です。
それぞれの考え方を尊重し合うことで、チームとしての結束力を高めることができるのです。お互いを認め合い相互理解を積極的に深めていきましょう。相互理解が進んでいないチームは、どこかで必ず支障をきたし崩壊してしまう可能性が高いです。
最後に、チームビルディングを行う上での注意点を3つ紹介します。
メンバーが仕事をやらされていると感じてしまっては、十分な成果は生まれません。
そのため、強制的な目標を押し付けるのではなく、一人ひとりが自主的に行動できる目標を設定することが重要になります。チームビルディングを実施する前には、どういったことに取り組みたいかなどを、具体的にメンバーにヒアリングしておくのも良いかもしれません。
仕事に対して、メンバーにある程度の自由を与えることは大切なことですが、すべてをメンバー任せにしてしまえば、チームがバラバラになってしまう恐れがあります。
そうならないためには、リーダーがリーダーシップを発揮することが重要です。ミッションや業務の意味を丁寧に説明することを心がけましょう。
チームを作る上では、ただ単に十分な任ずを集めれば良いというわけではありません。
チームとして有効に機能するチームを形成するためには、メンバーそれぞれのスキルや経験、関係性を加味したチーム作りが必要です。一定期間が経っても、一向に対立などが頻繁に起こる場合には、チーム編成に問題があるかもしれません。その際は、メンバーの入れ替えなど、迅速な対応が必要となってきます。
近年では、働き方の多様化や、ダイバーシティーの推進などによって、チームのあり方は変化してきています。ぜひ今回解説した「タックマンモデル」などを参考に、チームの状況に合わせた最適なチームビルディングを実践してみてはいかがだろうか。
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