2021.5.23
現代の日本では人材の流動性が高まったり、企業がグローバル化や多様な価値観の受け入れを進めており、「エンゲージメント」というキーワードをよく耳にするようになりました。近年では新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、リモートでの業務を推進する企業も多く、生産性を高めるために社員のエンゲージメントを高めることが重要視されています。
今回はエンゲージメントに関して、メリットや測定方法、抑えておきたいポイントまで詳しくご紹介していきます。
エンゲージメントとは使われる場面によってさまざまな意味を持つ言葉です。直訳すると「契約」「結束」のような意味を持っています。ことビジネスシーンにおいては、「顧客と企業の繋がりを固いものにする」「社員と会社間の繋がり」といった意味で使われることが多いです。特に人事領域で用いられることが多く、社員に愛社精神を持った上で業務に取り組んでもらうことで会社と共に高い成長を目指してもらうべくさまざまな施策が実施されます。
企業活動をする上でエンゲージメントというキーワードは欠かせないものとなっています。なぜ現代ではエンゲージメントが重要視されているのでしょうか?
ここからはエンゲージメントが注目される背景を解説していきます。
これまでの日本企業は終身雇用や年功序列などの人事制度が当たり前でしたが、今では従来の人事制度は崩壊し、成果主義の評価制度に移行する企業が増えてきています。そのため労働者側はより自身が評価される環境を求めるようになり、結果として人材の流動化が進んでいるのです。リモートワークや副業解禁など、働き方も多様化してきています。そのような中で、自社の人材が流出していくのを防ぐためにエンゲージメントを強めて信頼関係を構築しようと試みる企業が増えているのです。
現代では働くことに対するモチベーションや価値観が多様化しています。従来の人事制度が崩壊していることに伴い、個人でも日本的な価値観に捉われることなく働いています。報酬以外にも自身のやりがいや働く環境、キャリアステップへの支援などを重視するようになり、自身に合わない場合は辞めるという選択肢も当たり前になってきました。そんなそれぞれが多様な価値観を持つ社員が継続的にやりがいを持って働いてもらうために、エンゲージメントが重要視されています。
社内でのエンゲージメントが高まることで、さまざまなメリットを得ることができます。どんなメリットが得られるかを頭に入れることで、企業側も労働者側もより効果を実感することができるでしょう。
ここからはエンゲージメント向上によって得られる3つのメリットについて解説していきます。
エンゲージメントが向上して会社との信頼関係が強固になることで、その会社で長く活躍したいと思う社員を増やすことができます。それによって人材の流動性が高まっている状況でも、社員の定着率を向上させて長期的に成果を出し続けられる組織になっていくでしょう。社員が定着することによって業務に関するノウハウも溜まっていきますし、新たな人材を採用するコストを抑えることもできます。
社員のエンゲージメントが高い状態だと、それぞれが会社をもっとよくしていこうというモチベーションで働くため、会社全体の生産性が向上します。自分の任されている業務に関してどうすれば効率よく進められるか、新しいアイデアはないか、他の部署とどう連携すれば良いか、などを主体的に考えるようになることで高い成果を出せる組織になっていくでしょう。それにより会社の業績にも大きな影響をもたらします。
エンゲージメントが高く社員からの信頼が得られている組織は、結果として外部からの評判もよくなり優秀な人材が注目するようになります。人材の流動性が高まっているということは、優秀な人材は常にやりがいを持って働ける環境を探しています。社員がエンゲージメント高くイキイキと働いている姿は、そんな優秀な人材にとっても魅力的に感じることでしょう。そういった人材が組織に集まることで、さらに生産性の高い組織になり、新たなチャレンジができるようになります。
実際に企業活動の中でエンゲージメントを測定するためには、さまざまな手法があります。エンゲージメントとは具体的な数値ですぐに明確にできたり、目に見えたりするものではないため、測定をするためには工夫が必要です。組織によって細かく測定方法は変わってきますが、大きく分けて2つの方法で測定することができます。
ここからは2つの手法について、それぞれ解説していきます。
エンゲージメントについて社員にアンケート調査を実施するという方法があります。測定項目は組織によって細かく考える必要はありますが、組織に合わせた独自の質問項目によって測定することが有効です。アンケート調査を実施する上で気をつけなければいけない点は、スコア化するとしてどれくらいのスコアであれば高いとするのか、本音を引き出すことができるかなど、実施する上で事前に検討しておくべきポイントがあるということです。そうしなければ正確な実態を掴むことができないでしょう。
既存の測定サービスを使って社員エンゲージメントを測定するというのも手法のひとつです。エンゲージメントへの注目度が高まっていることから、さまざまな企業から測定サービスはリリースされており、社員の離職防止や入社してからパフォーマンスを発揮することに特化したものなど、それぞれに特徴があります。なぜエンゲージメント測定ツールを利用するかを明確にした上で、自社の目的に合ったツールを選定して運用していくことが重要です。
エンゲージメントを高めるためには、紹介したような手法を漫然と実施するだけでは意味がありません。社員それぞれの特性を理解して自社組織に合った施策を打っていく必要があるでしょう。そのため組織によって細かく抑えておくべきポイントは変わってきますが、どの組織にもエンゲージメントを高めるために共通する観点があります。
ここからは4つに分けて、エンゲージメントを高めるために抑えておきたいポイントをご紹介していきます。
社員に組織のビジョンを共感してもらうのは、エンゲージメントを高める上で大前提のことです。ビジョンは組織が進むべき方向性を決めるものであるため、ビジョンへの共感を得られてない場合は業務に取り組む意義を見出しづらくなり、組織への帰属意識が薄くなります。社員へビジョンに共感してもらうためには、都度組織に関する情報を発信していくことが重要です。入社時だけでなく、定期的に経営層の考えや判断に至った経緯など方向性を示すことで、社員と信頼関係を築くことができます。
業務へ取り組むモチベーションは環境によって左右されます。心身共に負荷のかかる仕事環境では、やりがいを見出しづらくなり、離職に繋がってしまうでしょう。逆に自分の意向を汲み取ってくれたり、良好な人間関係が築ける人材が集まっている環境であれば、組織に愛着を持って働き続けることができます。そのためには仕事内容はもちろんのこと、コミュニケーションがうまれやすい仕組みを作ることも重要です。チーム内だけではなく、交流の少ない他チームとコミュニケーションを取る機会を設けたりするのも有効でしょう。
働く人の多くは、誰かに認められたい・感謝されたいという欲求を持って仕事をしています。このような欲求が満たされない状態だと、例え自身が興味のある仕事をやっていたとしても、モチベーションを保てなくなってしまうでしょう。成果が出れば褒め合うのはもちろんのこと、結果に繋がらない場合もよかった点や成長している点などを見出すような文化を作ることが重要です。そのためには上司だけでなく、社員間でお互いの仕事内容や成果を見えるようにしておくことが必要になります。
社員が継続的に業務への熱意を持ち続けるためには、それぞれがパフォーマンスを最大限発揮できることはもちろん、業務を通じて成長を感じられることが重要です。まずはそれぞれの社員が目指すキャリアステップを丁寧に汲み取り、それに向かって成長できるような研修の実施や配置替えなどを行って支援します。そのためには上司がこまめに社員とコミュニケーションを取り、人事部に共有したり、業務設計を工夫したりする必要があります。それぞれの社員と定期的なミーティングを実施したり、意見を汲み取れるような仕組みを作ると良いでしょう。
どんな組織でもエンゲージメントが高い方が、働きがいがある状態ではあります。とはいえ、どんな状態がエンゲージメントが高いのか、どんな施策をする必要があるのかはそれぞれの組織で異なります。つまりエンゲージメントを高める方法や施策に正解はありません。そんな中でも現代の日本を取り巻く価値観の変容スピードはどんどん早くなっていきます。そのためエンゲージメントを高めることの重要性はどんどん増していくため、自社に合った適切な方法を見つけていくことが必要です。
こちらの記事を参考に、自社に必要なエンゲージメントのあり方を見つけてみてください。
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