2021.5.31
現代の日本では人材の流動性が高まり、多くの企業が人手不足に悩んでいることでしょう。それに伴い、採用や労務管理、人材のマネジメントといった人事業務に割く人員が不足しており、さまざまな対策をとっています。
そんな中で人事・労務関連でもデジタルを活用した取り組みが注目を集めています。それが「HRテック」です。HRテックによって人材不足の各企業の課題が、大きく解決に向かうとされています。昨今出てきたものであるため、まだまだ知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はHRテックがどのようなものか、メリットや導入のポイントまで含めて詳しくご紹介していきます。
HRテックとは、人事という意味の「Human Resouces」と「テクノロジー」を組み合わせた言葉で、人事労務分野と最新のIT技術が掛け合わさって生まれた新たなマネジメントサービスのことです。採用や人材育成、給与や人事評価まで人事労務に関するあらゆる業務を効率化し、生産性を高めるために活用されます。
イメージがつきやすいのは給与計算システムや勤怠管理システムなどですが、近年ではスキル評価や面接、退職予測を分析するようなシステムも登場し、これまで人が担ってきた業務も効率化できるようになってきているのです。
日本ではHRテックは2019年から急速に注目を集めるようになりました。そのような注目を集めた背景には主に「人事業務の効率化の必要性が高まった」「テクノロジーの発展」「人事部門の役割の変化」が挙げられます。
ここからはそれぞれについて詳しく解説していきます。
ひとつめに挙げられるのが、人事業務をより一層効率化させる必要が出てきたからです。現代の日本は少子高齢化による労働人口の減少や、働くことへの価値観の多様化による人材流動性の高まりによって、以前に比べて人材の確保が難しくなっています。そうした中で人事部門は自社に必要な優秀な人材を採用し育成しなければなりません。そのため、工数のかかる作業や無駄な業務は削減し、効率よく採用活動や人材管理を実施していく必要があります。そのひとつの手段としてHRテックは注目を集めているのです。
ビッグデータやクラウドなどさまざまな技術発展が進み、あらゆる分野においてこれまでにない業務改革を起こせるようになりました。人事分野においても業務の効率化ができるようになっただけでなく、社員データに基づくスキル評価や適切な人員配置、能力分析などさまざまな観点で発展を遂げています。クラウドサービスが増えていることで、これまで導入にかかっていた初期コストを大きく削って、気軽にデータを可視化したり一言管理できるようになったのも注目される大きな理由でしょう。
従来の人事は管理部門の一環として、定常的に採用や管理を行うことが主な役割でした。しかし、現在は経営戦略のひとつの手段として必要な人材の獲得、育成、マネジメントを担うことが人事部門には必要になっています。さまざまな外的要因の変化に組織として対応するべく、社員ひとりひとりの特性を見極めて柔軟に管理していくことが求めらるため、人事担当の属人的な知識や経験だけで業務を行うことは難しいです。
そのためHRテックを活用し、定量的なデータやそれに基づいた分析によって人材マネジメントで価値を発揮していく必要があります。
HRテックに関連するテクノロジーは多岐に渡ります。これまで人事部門とは無関係だった技術も掛け合わさっているため、HRテック導入検討をしている人事担当者は関連する技術の基礎知識は知っておいた方が良いでしょう。
ここからはHRテックに使われる技術の一部を紹介していきます。
さまざまな分野でよく聞くAIですが、HRテックにおいても特に重要だと言えます。AIは簡単に言うと「機械学習」であり、読み込んだデータを学習し、学習したことを基にデータを解析する技術のことを指します。社員データや実績などのデータを学習させ、傾向分析をしたり人事関連の予測を立てたりするのに活用できるでしょう。ただしAIが何でもできるというわけではなく、あくまで元となるデータが必要で、さらに学習期間も必要です。
近年増えているネットワーク経由でソフトウェアを提供する形式を支えるのが、クラウド技術です。クラウド技術の発展によって、さまざまなサービスをサーバーなしで使用できるようになりました。そのため社内にサーバーを立てる必要がなく、容量も気にせずにサービスを利用できるようになったため、導入のハードルをグッと下げることができます。
RPAは「ロボティクス・プロセス・オートメーション」の略で、単純な手作業をソフトウェア・ロボットに代用させる技術のことです。例えば人事上必要な表計算やデータ入力作業をロボットに代行させることで、作業効率を大幅に向上させることができます。RPA技術は非常に発達しており、導入すれば定常的な事務作業のほとんどをソフトウェアに代行させることも可能でしょう。
さまざまなIT技術が駆使されているHRテックには、人事労務管理の分野に大きな変化をもたらしています。HRテックを導入することで、企業にとって具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは3つの具体的なメリットについてそれぞれ詳しく紹介していきます。
HRテックを導入することの最も大きなメリットは、人事労務部門の業務を大幅に効率化できることだと言えます。それぞれの企業によって人事労務部門が抱えている細かい課題は異なりますが、大きくは「事務作業でミスが起きやすい」「データの集計に時間かかる」などに集約されるでしょう。HRテックを導入することで、自動集計ができたり作業工数を削減できたりと、よくある人事労務分野の課題は解消することができます。
HRテックを導入することで、社員データや人事関連のデータを蓄積して分析し、どんな人材を採用すれば良いかのシミュレーションが可能です。現代社会は求められるニーズやそれを実現するために必要な人材もどんどん変化し、その速い変化に柔軟に対応することが求められます。HRテックによるデータの分析及び採用シミュレーションを活用することで、時代の変化に柔軟に対応しながら人材・組織開発を進めていくことができるでしょう。
HRテックによるデータ分析を活用することで、退職のリスクがある社員を予測することも可能です。そのため本人が退職を本格的に検討する前に、要因を確認して対策を講じることで人材の流出を防ぐことができるかもしれません。また、データを基に普段からきめ細やかなマネジメントを実践することで、特に入社後のギャップから早期退職する可能性を減らすことができるでしょう。HRテックのチャットツールを活用して、コミュニケーションを密に取ることができるのも大きなメリットです。
単にHRテックといってもその種類は多岐に渡ります。HRテックを導入する場合は、企業が抱えている課題や組織の特性によって、必要な機能やシステムを選定するのが重要です。
最後に具体的なHRテックの種類とそれぞれの特徴について解説していきます。こちらを参考に、自社に必要なHRテックの導入を検討してみてください。
採用管理システムとは、採用に関するデータを一元管理するシステムのことを指します。具体的には面接の日程、エントリーシート、面接時のヒアリング内容・評価など、管理するデータは多岐に渡ります。これらのデータを一元で管理できることで、エントリーシートの管理が簡易化されて採用までの時間を短縮できたり、面接の日程調整が容易になったりと、採用に関連する業務に手間を大幅に削減可能です。また、応募者のデータが蓄積していくことで振り返りや分析をしながら、戦略的な採用活動を実施できます。
HRテックの代表とも言われるのが労務・勤怠管理システムであり、多くのサービスが標準的に機能を有しています。社員の出退勤をオンライン上で行えることはもちろん、決裁のワークフローもシステム上で完結できるため、スピーディな意思決定や行動を促進することが可能です。給与システムと連携している場合は、蓄積したデータをそのまま給与計算に活用できるため、データの管理を容易にすることができます。
社員それぞれの特性やスキルなどを一元管理するものをタレントマネジメントシステムと呼びます。最適な人材配置を実施するために社員それぞれの能力を可視化するために活用されます。それによって社員が自身の強みを活かした働き方ができるようになり、結果として業務へのモチベーション向上、組織としての生産性の向上が期待できるでしょう。また、組織図を網羅的に確認することもできるため、人事担当者だけでなく経営層にとっても欠かせないシステムだとも言えます。
今後さらに少子高齢化や人材の流動性は加速し、人材獲得のためにさまざまな施策を打っていく必要があるでしょう。その際にHRテックを活用して、時流に合わせた柔軟な対応ができるかどうかが重要です。ただし、HRテックはただ導入すればいいというものではありません。自社の課題に合ったものを選定し、運用する中で改善を繰り返していくことが必要です。
こちらの記事を参考に、自社に合ったHRテックの活用方法を見つけてみてください。
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