2021.10.20
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「会社でうまく上司とコミュニケーションが取れない」
「自分の意見をお客さんに率直に伝えられない」
仕事をする上でコミュニケーションに関して、このようなお悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。
コミュニケーションを取る上では、相手の気持ちを尊重しながら、率直に自分の意見も伝えられるのが望ましいです。そのために有効な手法が「アサーティブコミュニケーション」です。このアサーティブコミュニケーションをトレーニングすれば、コミュニケーションを取る際に自分も相手も快適な状態でいられるようになるでしょう。
今回はアサーティブの意味やメリット、トレーニング方法などを紹介していきます。
アサーティブとは英語で「自信のある」「積極的な」という意味を持つ単語で、自分の考えや意見を率直に相手に伝える表現方法のことを指します。自信が考えていることや主張したいことを我慢して言えない状態でいると、ストレスが溜まったり人間関係を崩してしまうきっかけになったりしてしまうでしょう。アサーティブな状態でコミュニケーションを取ることで、相手のことを尊重しながら適切に自信の考えを伝えられるようになるため、控えめになりがちな日本人にこそ必要なスキルだと言えます。
アサーティブな状態でコミュニケーションを取るためには、心がけておきたい要素がいくつかあります。アサーティブについて発信をしているNPO法人アサーティブジャパンの代表理事・森田汐生氏の著書『気持ちが伝わる話しかた 自分も相手も心地いいアサーティブな表現術』では、4つの要素がコミュニケーションにおける心のもちように関係しているとしています。ここからは4つの要素についてそれぞれ解説していきます。
アサーティブな状態であることは、相手に対してはもちろんのこと自分の心にも嘘をついていないことが求められます。相手のことを真摯に考えることは重要ではありますが、そればかりで自分の感情や欲求を抑えてしまうことはアサーティブな状態ではありません。自分自身のことを大切にしてあげることで、相手に対しても同じように誠実であり続けることができるのです。
自信の意見を表明する際に回りくどい言い回しではなく、率直に相手に伝えることがアサーティブな状態です。ここでいう「率直」に伝えるというのは、自分ごととして意見を表明するということを指します。例えば、「みんながこう言っているから」「部長にああしろと指示を受けた」のような、本来思っていることの主語を第三者に置き換えて受動的に発言することはアサーティブではありません。自分の意見は主体的かつ率直に「私はこう思います」と表明するようにしましょう。
相手と自分が対等な状態でコミュニケーションを取ることも、アサーティブであるためには重要です。たとえコミュニケーションを取る相手が目上の上司であろうと、自分の意見を押さえ込んでおどおどしてしまったり、部下に対して必要以上に威圧的な態度を取るべきではありません。このような態度をしないためには、振る舞いだけでなく心の中でも相手と対等だと意識しておく必要があります。そうでなければ、細かい振る舞いや言葉の節々に対等ではない表現が出てしまいアサーティブな状態ではなくなるでしょう。
自分の行動やそれに伴う結果は大小はあれど、自分自身の責任であるという認識でいることがアサーティブな状態です。自身が発したことはもちろんのこと、発しなかったことで生じた結果についても責任を持ちます。たとえ他者が関係して起こった事象でも、全ての責任を押し付けるのではなく、自分にも幾分か責任があるはずです。あくまで抱え込みすぎるのは良くないですが、「自分にも責任がある」と思うことで物事を良い方向に進めることができるでしょう。
アサーティブな状態でコミュニケーションを取ることは、日常生活はもちろんのことビジネスシーンでも活用することができます。お客さんやプロジェクトを一緒に進める社内外の関係者など、ビジネスの現場ではコミュニケーションを取る機会が非常に多いです。ビジネスでは信頼関係が全てと言っても過言ではないため、アサーティブコミュニケーションを身につけてスムーズに仕事が進められるようにしましょう。
ここかからはビジネスシーンでのアサーティブコミュニケーションのメリットをいくつか紹介します。
アサーティブな状態を身につけることで、自身のコミュニケーションのあり方を見なすことができるためコミュニケーションにおける表現力を磨くことができます。前述したような「率直」で「対等」なコミュニケーションを取れるようになれば、自身の意見を前向きに相手に伝えることができるようになり、相手にとっても気持ち良いコミュニケーションになるででしょう。そうなることで、コミュニケーションの最大の目的である、良い関係性の構築を達成できます。
ビジネスにおいてアサーティブな状態を実践できれば、業務をスムーズに進めることができ、高い成果に繋げることができます。自身にとってもコミュニケーションを取る相手にとっても、無理のない状態で意見を交わすことができるため、無駄な時間を取ったりトラブルを回避したりできるでしょう。また、仕事に取り掛かる前のすり合わせもスムーズかつ明確な目標を策定しやすいため、関係者がみな不明な点がない状態で業務を進めることができます。
自分の意見や思っていることを主張できない状態は、ストレスに繋がります。ストレスを抱えた状態が長く続いてしまうと、仕事のパフォーマンスにも影響が出てしまい、生産性が下がってしまうでしょう。アサーティブコミュニケーションを実践することで、ストレスにつながるような必要以上の気遣いや我慢をしなくなるため、ストレスを溜め込まずに仕事を進めることができます。また、アサーティブな状態だと仕事もスムーズに進めることができるため、コミュニケーションが原因で「思ったように仕事が進まない…」という負担も軽減することが可能です。
アサーティブコミュニケーションはただ内容を理解しているだけでは意味がありません。実践するためには、どのようにしたらいいのでしょうか。具体的な手法として「DESC法」というやり方があります。「DESC法」とは4つのポイントの頭文字をそれぞれ取ったものです。ここからはそれぞれのポイントについて詳しくご紹介していきます。
Describeとは「描写する」という意味があり、起こった事象や相手の行動に対して主観的な意見を除いて、客観的な事実を忠実に伝えることを指します。例えば相手が納期を守らなかったこと対して「あなたは仕事ができない」と意見するのではなく、「あなたは納期が○日だったが、○日遅れている」とあくまで客観的にわかりやすい数値などを用いて事実を述べましょう。そうすることで、相手に不快な思いをさせずに解決案や意見を交わし合うことができるはずです。
Explainは「説明する」という意味を持っており、DESC法においてはDで述べた事実に対して自身がどう感じているかを感情的にならないように相手に伝えるということを指します。重要なのは、ただ思ったままに相手に伝えるのではなく、不快な気持ちにならないように言い回しや観点を工夫することです。例えば、「納期に遅れていて呆れた」と伝えるのではなく「納期に遅れて、こちらとしてもどうすれば良いか困惑した」と、率直かつ相手も尊重した言い回しで伝えるようにしましょう。
Specifyは「明確に述べる」という意味を持っており、主観的な自身の意見を述べたことを含めて、相手に何をして欲しいのか具体的な行動を提案することを指します。ポイントは抽象的で結局相手が「何をしたらいいか分からない」となるものではなく、具体的で相手がすぐに行動に移せるような意見やアドバイスを述べることです。例えば「もっと仕事に責任を持ってください」と曖昧な要求をするのではなく、「納期に遅れそうな場合は○日前までに共有し、そうなった要因と修正したスケジュールを教えてください」と提案してみましょう。
最後のChooseは「選ぶ」という意味があり、相手に行動の要求をしたあとの反応に対して、自身の行動を選択することを指します。注意点としては、反応に対して新たな提案となりSpecifyに戻ってしまわないようにすることです。例えば「納期に関して共有があれば検討しますが、そうでない場合無理矢理どうにかしてください」と相手に選択を委ねるのではなく、「納期に関して共有があれば検討しますが、なければ今後発注をやめさせていただきます」と自身が選択権を持つようにしましょう。
コミュニケーションの方法としてさまざまなやり方が体系化されてきましたが、アサーティブコミュニケーションは自分の意見はもちろんのこと、それを大事にするために相手をまず尊重するという点が特徴だと言えます。一見自分の主張を明確にすることと、相手のことを尊重することは相反するように感じますが、アサーティブコミュニケーションは「自分を大切にしたければまず相手を大切にする。」ことを実践するためのものであり、逆もまた然りです。
自分だけでなく所属する組織がアサーティブな状態になるために、今回紹介したような方法を実践してみてください。
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