ケイパビリティとは?意味、種類、企業における意味を紹介BLOG

 2021.7.28

企業が掲げたビジョンを達成するために打ち出す目標や、リリースするサービスや商品にはケイパビリティが求められます。企業が積極的に投資を行ったアイデアであっても、ケイパビリティがないものであれば、リターンが返ってくる可能性は低くなってしまうでしょう。ケイパビリティとは、企業における重要な指針となる強みや能力のことを指します。ただ、それが必要だと言われても「自社のケイパビリティが何か分からない」「ケイパビリティを発揮するにはどうすればいいか分からない」という方も多いかと思います。

そこで今回はケイパビリティについて、種類や把握方法などさまざまな観点で紹介していきます。こちらの記事を参考に、自社のケイパビリティについて考えてみてください。

ケイパビリティとは?

ケイパビリティとは日本語に訳すと、「能力」「素質」「可能性」などになります。ビジネスにおいてのケイパビリティは、単に製品や市場などを指すものではなく、事業全体の一連の流れのことを意味しています。事業を成立させるために必要な、研究開発、調達、製造、市場開拓、販売、アフターフォローなど、組織全体としてみた時に他の組織にはない強みに関してのことをケイパビリティと呼ぶのです。例えば、業務遂行がスピーディであることや、生産能力の効率が非常にいいなどがケイパビリティにあたります。昨今の早い市場の変化や激しい競争の中で企業活動を続けるためには、組織を横断的にみた時の内的な強みに注力して、競争優位性を保つことが重要になってくるでしょう。

コアコンピタンスとの違い

ケイパビリティに関連した用語として、「コアコンピタンス」があります。コアコンピタンスとは、組織の中核的な力を指し、特にカスタマーに対して他にはない特有の価値や強みを持っていることです。ケイパビリティとの違いは、組織を横断的にみた時の能力を指すのか、製造する技術力など特定の部門が持っている能力を指すのかという点にあります。コアコンピタンスとケイパビリティには違いがあるものの、基本的には相互で補完しあうような関係にあるものです。例えば、日本が誇る自動車メーカーのホンダは卓越したエンジン技術がコアコンピタンスにあたります。一方でケイパビリティは、ビジネスプロセスを遂行する力だと言えますが、卓越したエンジン技術というコアコンピタンスを持つからこそ、その他の部門に投資ができケイパビリティが向上していくとも言えます。

ケイパビリティの種類

単にケイパビリティと言っても、いくつかの種類があります。ここでは「ダイナミック・ケイパビリティ」と「オーディナリー・ケイパビリティ」について紹介していきます。

ダイナミック・ケイパビリティ

ダイナミック・ケイパビリティとは、2019年に経済産業省が出した「ものづくり基盤技術の選考施策」にもその強化に関して記載されたことから最近注目を集めているものです。意味としては「企業変革力」を表しており、1997年にデイビッド・J・ティース教授らの論文、「Dynamic Capabilities and Strategic Management」によって提唱されました。昨今の経済的な変化の速さの中で企業活動を持続させていくために、環境や状況に応じて主体的に自己変革していく能力が重要視され始めたのが契機となり、次第に広まっていったのです。

オーディナリー・ケイパビリティ

ダイナミック・ケイパビリティに対して、「通常能力」と呼ばれるのがオーディナリー・ケイパビリティです。与えられた経営資源を効率よく活用し、利潤を大きくしていくための能力のことを指します。このオーディナリー・ケイパビリティを高めていくことも企業活動においては重要になりますが、それだけでは変化の激しい中で持続的に企業活動を行うことができず、従来の強みが弱みに変わってしまうという可能性もあるでしょう。そのため、企業はさまざまな変化に応じて経営資源を再構築しながら自己変革を行っていくダイナミック・ケイパビリティを高めていくことを優先させるのが良いと言えます。

企業におけるケイパビリティとは?

自社の組織横断的な強みを活かして、ビジネスを推し進めてきた企業は多いでしょう。そのような企業になるためには、企業におけるケイパビリティがどのように発揮されるかを把握しておく必要があります。ここでは、企業におけるケイパビリティの意義と戦略の立て方について紹介していきます。

企業におけるケイパビリティの意義

企業においてケイパビリティが強化されていると、市場競争において優位性を発揮するすることが可能です。一般的に他社との差別化として用いられるマーケティングの手法や製品そのものの性能は、目に見えやすいことから簡単に真似をされやすいです。一方で、ケイパビリティが強化された組織横断でのサプライチェーンや、販売チャネルの管理能力に関しては、組織のことを熟知していないとわかりづらいものであるため、模倣するのが困難になります。また、ケイパビリティは構築するために多くの経営資源を活用する必要があるため、一度構築してしまえば持続的に効果を発揮する資産になるのです。

従来の経営戦略の立て方

ケイパビリティは近年注目を集めているものですが、裏を返せば従来の経営戦略とは性質が異なっているということになります。そこにはどのような違いがあるのでしょうか?

従来の経営戦略で多かったのは、市場における地位やシェアなど自社のポジションを重視した戦略です。市場の中でも儲かるであろう場所にどうポジションを取るかを優先していたと言えます。企業戦略としてはポジショニングをどう向上させるかも、もちろん重要になるでしょう。「ファイブ・フォース・モデル」によって5つの外部要因に着目しながら、ポジションを築けそうなとこで勝負をするというのが代表的な戦略です。このように、ポジショニングによる経営的なアプローチは、外的側面へ作用します。

ケイパビリティをベースにした戦略の立て方

一方で、ケイパビリティでは組織の内的側面を強化して市場競争に耐えうるものにしていく戦略を取ります。企業の内的側面とは、理念や風土、人材育成や組織体制のことを指しており、これらを強化するためには社内組織においての対応や仕組みを構築する必要があります。

実際にケイパビリティをベースにした戦略を立てるためには、まず自組織におけるケイパビリティとは何かを定めます。例えば、アップルではデザイン性を高めて市場の中で独自のポジションを確立することを目指し、さまざまな業界からデザイナーを採用するなどしてケイパビリティを構築していきました。単に儲かるかどうか、という視点ではなく、自社が持っている組織的な強みは何かを理解し、それをさらに強化していくためにすべきことを実践していきます。また、ケイパビリティが構築されている組織は、採用市場の人材にとって魅力的に見えやすいです。そのため企業価値が社会に広がりやすく、採用コストを抑えながら人材を確保したり、離職率の低減にも繋げることができるでしょう。

ケイパビリティの把握方法

前述した通り、自社のケイパビリティを正しく把握して、強化していくことが重要になります。では、どのように自社のケイパビリティを把握すれば良いのでしょうか。ほとんどの企業には、組織のどこかに必ずケイパビリティがあるはずですが、それを強化して差別化ができていない企業も多いです。それは自社の強みを俯瞰的に正しく把握できていないことが要因になります。企業活動が円滑にいっている組織は、全てにおいて優位に立とうとはせず、最も得意な分野においてのケイパビリティを強化することに注力しています。また、同じケイパビリティでも発揮の仕方は市場の変化によって柔軟に対応する必要があるため、変化する市場ニーズを把握する仕組みも構築しておくのが良いでしょう。

SWOT分析

具体的にケイパビリティを把握する手法として用いられるのが、「SWOT分析」です。SWOT分析とは外部環境と内部環境という軸、プラス要因とマイナス要因という軸で4つの項目に分けて次組織について分析していきます。SWOT分析をすることで、自社の強みや課題を俯瞰的に確認することができるため、組織全体を見渡してケイパビリティを把握するには最適だと言えるでしょう。分析をする際には、必ず相対評価をするようにしましょう。他社の製品を使ったり、情報収集するなどして、SWOT分析で出てきた強みと他社の強みを比べることで、本当に自社特有のケイパビリティとなり得るのかを確認することができます。さらに、そこに顧客視点での分析を入れることで、より精度高くケイパビリティの把握をすることができるはずです。

バリューチェーンを洗い出す

もう一つの方法は、バリューチェーンを洗い出すことです。バリューチェーンとは、企業活動を機能ごとに分類し、どの部門で価値がどのくらい生まれているのかを分析することを指します。項目としては「研究開発」や「原料調達」「製造」「マーケティング」「販売」「カスタマーサクセス」など、各組織によって分け方はさまざまです。重要なのはSWOT分析同様、各項目に関して他社と比較しながら、何が自社ならではの強みなのかを把握することです。

ケイパビリティを高めて企業を成長させる

自組織の把握できていないケイパビリティを発見することができれば、今以上に企業として大きく成長を遂げることができるでしょう。ケイパビリティを高める際には、市場を敏感に察知しながら行うダイナミック・ケイパビリティの観点を重視することが大切です。また、企業としてはもちろん、各メンバーも自分自身のケイパビリティを発見することも重要だと言えるでしょう。

こちらの記事を参考に、自社や自分自身のケイパビリティを見つけてみてください。

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