インクルージョンとは?ダイバーシティとの違い、メリット、導入ポイントを紹介BLOG

 2021.10.3

昨今、多様性が重視されるようになったことで「インクルージョン」という言葉を耳にする機会は多くなったのでしょうか。インクルージョンは、働く人々がそれぞれの能力や特性を活かしながら、それぞれが高め合いながら活躍する社会を実現するために重要な考え方になってきます。しかし、聞いたことはあっても正しい意味やメリットを理解していない方は、少なくないのではないでしょうか。

今回はインクルージョンについて、意味や導入のためのポイントまでさまざまな観点で解説していきます。

インクルージョンとは?

インクルージョンとは、日本語に訳すと「包括・包含」となり、全体をまとめる、中に含むという意味を指します。ビジネスシーンにおいては、組織のメンバーが業務においてそれぞれの能力や特性、価値観が受け入れられており、それを活かしながら活躍できる状態にあることを意味します。単一的な特性を持ったメンバーだけで物事を進めると、アイデアの幅は狭くなってしまうでしょう。また、ビジネス上では性別や国籍など、あらゆる多様な人材と関わることになるため、インクルージョンな状態であることが組織の成長にとって重要なポイントになります。

インクルージョンの語源

インクルージョンという言葉は、フランスが起源であると言われており、もともと宝石業界で使われていました。石に含まれた鉱物によって産地や天然石かどうかの判断を行っており、その含有物のことをインクルージョンと呼んでいたのです。ここから派生して、社会福祉分野で「ソーシャルインクルージョン」と呼ばれ始めました。ソーシャルインクルージョンでは、さまざまな理由で社会から排除されてきた対象の人々を、社会全体で包み込むという意味合いがあります。その考え方がビジネスの場でも使われるようになり、多様性が重要視され始めたことを背景に注目を集めるようになったのです。

ダイバーシティとの違い

インクルージョンと同じように多様性に関連した言葉で「ダイバーシティ」があります。インクルージョンとダイバーシティはどのような違いがあるのでしょうか。異なる意味を持っていますが、全く違うものではなく、双方の関連性が深いため、正しく意味を理解して活用できるようにしましょう。

ダイバーシティとは

ダイバーシティという言葉は、インクルージョンよりも以前にビジネスシーンで浸透していきました。ダイバーシティは、多様なバックグランドを持ったメンバーが組織に所属している状態のことを指しています。少子高齢化による労働人口の不足が問題になっている現在の日本社会において、多様な人材が活躍できる組織体制を整備して、人材を確保することは非常に重要です。そのため、人事領域にてダイバーシティの考え方は日本でも注目されるようになりました。

インクルージョンとダイバーシティの違いは?

ダイバーシティが「多様なバックグランドを持ったメンバーが組織に所属している状態」を意味しているのに対して、インクルージョンはそれを発展させ、「多様なバックグランドを認め、それぞれが個性を活かし合って活躍している状態」になっています。例えば、ダイバーシティの考えに則って、組織内の外国人比率を高めようと積極的に海外人材を雇用したとしても、その人たちが活躍できるような文化や仕組みが整っていなければ意味がありません。ダイバーシティを追求するだけではなく、それぞれの個性を理解して、シナジーを生みながら働ける環境作りをインクルージョンの考え方をもとに実践していくことが重要です。そのためダイバーシティとインクルージョンは一括りにして、考え方を導入している企業が増えています。

インクルージョンを推進するメリット

具体的に企業がインクルージョンを推進していくことにどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからはインクルージョンを推進するメリットをいくつか紹介していきます。

離職率の低下

インクルージョンを推し進め、メンバーそれぞれの個性を認めて活かす環境を整えることで、メンバーは会社から自分が大切にされているという実感を得ることができます。それによって自己肯定感が向上したり、業務へのモチベーションに繋げることができるでしょう。よって、会社への帰属意識が高まり、会社に貢献していきたいというメンバーが増えるため、離職率を下げることができます。少子高齢化による人材不足が叫ばれる中で、人材の流出が防げるのは大きなメリットだと言えるでしょう。

企業イメージの向上

会社としてインクルージョンを推し進めていることは、健全な経営を行っていると外部に評価してもらえることが多いです。CSR(企業の社会的責任)の一環にもなるでしょう。企業としてクリーンなイメージが向上すれば、新しいビジネス展開が見込めたり、働きたいという人を増やしていくことにも繋がります。

インクルージョン導入のポイント

では、実際にインクルージョンの考え方を導入するためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。環境や仕組みを整備する必要が出てくるため、「これをすれば大丈夫」というものはなく、自社の状況に合わせて導入していくことが重要です。その中でも、共通して重要になるポイントはあるため、いくつか紹介していきます。

メンバーそれぞれに浸透させる

インクルージョンを社内に浸透させるためには、一気に推し進めるのではなくメンバー個人に丁寧に浸透させていく必要があります。社内の環境や制度が大きく変わる可能性があるため、メンバーの理解を得ずに進めてしまうと、導入後に反発されてしまい、うまくいかないということもあるでしょう。まずはメンバーが現状考えているいることや問題意識を把握するために、アンケートや面談を行うことが重要です。ヒアリングする内容は、「男女差なく評価されているか」「自身の特性を発揮できているか」など、現状インクルージョンの考え方がどれくらい浸透しているかを確認するようなものにします。

目的やゴールの共有

メンバーに浸透させるためには、なぜインクルージョンを導入すべきなのか、導入後はどのような状態になるのか、いつまでに実現を目指すのかなど、目的や達成イメージを事前に共有しておくことがポイントです。イメージを共有しておくことで、導入を進める側もメンバーも同じ方向を向いて、測定可能なものとしてインクルージョンを捉えることができるでしょう。また、どのような状態であれば達成したと言えるのかを共有していることで、プロジェクトの達成確率をあげることができます。

年齢や性別、国籍関係なく発言できる環境を整える

インクルージョンを導入するにあたって、最も重要と言えるのが立場や性質の違いに関係なく、アイデアを発言したり意見を表明したりしやすい環境を整えることです。遠慮して亜しまいがちな若い社員でも、活発に意見が出ることで新たなビジネスチャンスが生まれることもあるでしょう。そうしたチャンスを損なわないためにも、匿名でのアンケートを実施したり、リラックスした状態で話せる1on1を実施したりして、組織の特性にあった環境作りをしていくことが重要です。

インクルージョン導入の注意点

インクルージョンを導入する際には、注意しておかなければならないこともあります。せっかく導入したのに失敗してしまわないように、注意点も抑えておきましょう。

最後にインクルージョン導入での注意点をいくつか紹介していきます。

成果を可視化する

インクルージョンは具体的な数値として見えにくい考え方であるため、意識的に成果を可視化しておくことが重要です。曖昧にしていると、導入したのに結局意味がないものになってしまいます。示すことができる数値としては、社員の離職率や採用に関わるコストの削減などが挙げられます。注意したいのは「女性管理職の割合向上」や「海外人材の採用数」などを指標にしてしまうと、それが目的になってしまい、その結果どうなったのかという成果が見えにくくなってしまいます。

効果が出るのに時間がかかる

インクルージョンは考え方を導入すればすぐに効果が表れるというものではありません。メンバーそれぞれに浸透し、「自身が会社から受け入れられて、能力を発揮できている」という実感が得られて始めて効果が表れます。心理面への働きかけが必要になってくる分、じっくりと時間をかけて、少しずつ理解が得られているものだという認識で推進していきましょう。そもそもの仕組みや制度、文化にも変化が表れるため、中には反発するメンバーも出てくるでしょう。そういったメンバーの意見も無下にせず、丁寧に導入の目的や意義を浸透させていくことがインクルージョンの導入には必要です。

経営陣の協力を得る

自社にインクルージョンを浸透させるためには、現場のメンバーや人事部門だけでなく、経営層の協力が不可欠です。組織の方針そのものに関わるため、経営層が導入の目的をしっかりと理解し、推進の旗振りをしていかなければ浸透していかないでしょう。自社の人的資源を最大限活かすことが、経営層のミッションとも言えるので、インクルージョン推進には経営層の積極的な協力を促すようにしましょう。

インクルージョンを導入して企業の多様性を広げよう

インクルージョンは組織を運営していくにあたって、今後重要な考え方になります。ただ、単に多様な人材を確保すればいいというものではなく、それぞれの多様性を活かしあってシナジーを生むような仕組み作りをしていくことが必要です。そのためには、まず自社の多様性に関する現状を把握し、どんなとこに課題があるのかを明確にしてみましょう。それに合わせて、インクルージョンと合わせてダイバーシティの考え方を取り入れていくのが望ましいです。他の企業の実践例を参考にしてみるのも良いでしょう。

是非こちらの記事を参考に、インクルージョンの導入を検討してみてください。

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