2023.4.19
会社で部下ができたとき、どのように育成すればよいのか悩みますよね。
人材育成といっても、世の中にはさまざまな方法が出回っており、よくわからないという声も聞かれます。
今回は人材育成の概要や3つのフレームワーク、人材育成に必要なスキルを解説しています。
人材育成を行うことになったマネージャーや人事の方は、効果的な人材育成の方法を理解して業務に生かしてみてください。
人材育成とは、「人の成長を促すこと」を意味することが多いです。
「経営戦略に貢献できるように人材の成長を促す」とさらに細かく定義している企業もあります。
人材育成と似た言葉に、「人材教育」や「人材開発」という言葉があります。
意味 | |
人材育成 | 人材の成長を促すこと |
人材教育 | 人材に必要な知識やスキルを教えること |
人材開発 | 人材の新たなスキルを発掘し、実用化すること |
人材育成と比較して、人材教育は業務に必要なことを教えるというニュアンスが強いです。
人材開発は人的資源の潜在能力を発掘して経営の効率化を図る意味合いが、人材育成と比べて強いです。
人材育成の意味の詳細については、以下の記事で詳しく紹介しています。
管理職や人事になり、これから人材育成について考える方は参考にしてみてください。
人材育成のフレームワークは、以下の3つです。
OJTとは、On-the-Job Trainingの略で、先輩社員が現場で新入社員と一緒に業務を行う育成方法です。
先輩社員の営業に新入社員が同行したり、先輩社員の仕事を新入社員が手伝ったりしながら、業務に必要な知識やスキルを身につけていきます。
マンツーマンで業務を教えてもらえるため、新入社員はわからない点をすぐに相談できるメリットがあります。
業務に必要な知識やスキルを効率的に学習できるため、OJTは多くの企業で導入されている育成方法です。
Off-JTとは、Off-the-Job Trainingの略で、研修やe-ラーニングなどの仕事の現場から離れて行う人材育成の方法です。
e-ラーニングとは、インターネットを利用して学習する教育形態を指します。
業務を行う前に、業務に必要な知識や理論の理解をし、業務を円滑に進められるようにするのが目的です。
実際の業務で発生することを想定して、ロールプレイングやケーススタディを行い、若手社員が業務を効率的に行えるように準備します。
自己啓発とは、社員が主体的に学習していく育成方法です。
休日や仕事後の自由時間に、モチベーションの高い社員が書籍や通信教育で必要な知識を学ぶことが特徴です。
社員の自己啓発を促すために、企業はさまざまな取り組みを行っています。
学習する際にかかる費用を補助している取り組みが多いです。
人材育成をするための代表的な制度は、以下の4点となります。
ジョブローテーション制度とは、長期的に若手社員をさまざまな部署に配属させることで人材を育成する制度です。
たとえば、「入社してから3年間は営業職として働き、その後は商品企画職に異動」のように、社員を異動させます。
複数の部署や業種を経験すると、会社の仕事を多角的に若手社員が理解し、会社全体の仕事の流れを意識して自分の業務に取り組めるようになります。
その結果、若手社員は業務を通してスキルアップし、社内で活躍できる人材へと成長するでしょう。
また、企業全体を理解したうえで、適切な戦略を考えてマネジメントできるリーダーの育成にも効果的です。
目標管理制度とは、社員の目標を適切に設定して進捗を管理することで、人材を育成する制度です。
具体的な目標の指標は、「MBO」や「OKR」といったものがあります。
MBOとは、Management by Objectiveの略で、四半期から半期ごとの目標を設定して管理・評価する目標管理方法です。
自分の目標を達成するための試行錯誤を促し、人材成長を促します。
また、MBOとは異なるOKR(Objectives and Key Results)という目標管理手法を導入する企業が増えています。
OKRは、会社の目標と自分の目標を連動させることで、会社への貢献度がわかる目標管理制度です。
OKRをこれから導入しようと考えている管理職や人事の方は、以下の記事を参考にしてみてください。
OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを導入事例を交えて紹介。KPIやMBOとの違いも解説
人事評価制度とは、社員の能力や成果を評価し、その評価に応じて社員の昇進や昇給を決める制度です。
一般的には、四半期に1回や半年に1回などの頻度で定期的に人事評価を行います。
評価をする人は、評価される社員の直属の上司であることが多いです。
評価基準は企業ごとに異なり、その企業で求められるスキルが評価基準に設定されています。
メンター制度とは、上司やベテランの社員がメンターとして、経験の浅い社員をマンツーマンでサポートする制度です。
メンターは、若手社員の精神的なサポートやスキルや知識の指導も行います。
メンターと若手社員で行われるミーティングの「1on1」の役割は、若手社員のスキル定着度を確認することや、モチベーションの管理などです。
人材育成に必要なスキルは、以下の5つです。
以下の記事では、成長企業が必ずやっている人事施策の事例を紹介しています。
マネージャーや社員の教育の仕方に悩んでいる方は、一度読んでみてください。
こちらの資料では各役職の役割と意義、マネジメントの要点と成長企業が実施している強化施策についてわかりやすく紹介しています。また、マネージャーを育てるための即効性のある施策をお探しならこの資料が必ず役に立ちます。ぜひご活用ください。
人材育成において、チームメンバーのマネジメントを任されている社員は組織や人材の現状を把握し、課題を特定するスキルが必要です。
会社内の部門や年次、役職ごとに仕事内容を整理し、それぞれの生産性を把握していきます。
現状把握する際、組織としての3~5年の長期計画を理解した上で、自社の人員構成や社員の求められる役割も予想しておきましょう。
現状把握ができたら、会社や部門ごとのミッションや目標と比較して、現状とのギャップを把握します。
ギャップの原因を深掘りして、課題を特定し、人材育成の方針を考えることが重要です。
人材育成の計画を立てるマネージャーや人事の方は、明確でわかりやすい具体的な目標・計画を設定するスキルが求められます。
目標が抽象的で曖昧であると、人材育成の施策がどのくらい効果を発揮したのかわかりにくいです。
「人材育成のための施策をしたのに、振り返ってみると意味がなかった」とムダな時間を過ごす可能性も。
期限を設けて、できるだけわかりやすい数字を使用した目標の設定をして、人材育成を意味あるものにしましょう。
人材育成の計画を立てて実行していくときに、人材育成の責任者は計画通りに長期のスケジュールを管理する能力も求められます。
週や月ごとに、人材育成の効果を検証し、目標の達成度を振り返りましょう。
目標達成度の進捗が悪ければ、課題を特定し改善する必要があります。
定期的にスケジュールを管理して、人材育成の目標達成を目指しましょう。
社員の育成に力を入れていくなら、人材育成を担当するマネージャーには、社内のメンバーと円滑にコミュニケーションする力も必要です。
社内メンバーの困っていることをヒアリングする力や、指導したいことを誰でも理解できるようにわかりやすく伝えてあげる力が求められます。
若手社員には、誰にでもわかりやすい言葉を使ったり、ゆっくり話したりするなどの配慮をしてあげましょう。
また、相手が相談しやすいように、定期的に質問の時間を設けてあげるのもよいでしょう。
社内のメンバーに仕事を任せて自立して成果を出せるように、人材育成を行う上司は若手社員をマネジメントする力も重要です。
人材育成を担当する上司が面倒を見ているときだけ、若手社員が頑張っている状況はよくありません。
教えた内容を若手社員が理解した上で、自然とできるようになるまで教えてあげましょう。
さらに、若手社員と一緒に目標を立てて、定期的に達成度を振り返って、今後の計画を一緒に考えます。
ミーティングで教えた内容の理解度の確認や、実際の業務で教育内容を活かせているかの確認をしてみましょう。
人材育成する上で大切なポイントは、以下の4つです。
会社やチーム単位で人材育成を実施する目的を明確にすることで、目的達成に必要な作業が明確になり、人材育成の効果が高まります。
たとえば、新入社員の育成が目的の場合、「社会人としての基礎となるスキルを定義し、新入社員育成の経験ある人を指導者にする」ことが必要です。
目的が不明確であれば、必要な業務を把握できず、人材育成の計画やスケジュールを立てられません。
さらに、社内における人材育成の正解がわからず、上司が勝手に育成のため研修やトレーニングをしたり、人材育成の計画を作ってしまったりすることも。
人材育成の目的を会社やチーム単位で明確にし、社内にはっきりと伝えることで、施策の効果を高められます。
質の高い人材育成を行うために、上司として人材育成をできる人材が組織内にいることも重要です。
また、人材育成を担当する社員が人材育成に注力できる環境が整っていることも大事です。
人材育成を行う上司になったからといって、すぐにできるものではありません。
人材育成を行う社員に求められる役割やスキルを明確にし、振り返りを行える環境の整備をしましょう。
会社全体として人材育成できるように、人事評価制度や目標管理制度を使いこなせるように上司に指導することも求められます。
さらに、人材育成に注力できるように、その他の業務を調整してあげることも必要です。
上司から教わったことや研修で学んだことを社員が実践して、学習内容の定着ができる機会を設けるのも、若手社員の成長を促すための大切なポイントです。
座学で知識を教えられてばかりで実践する機会がなければ、知識の理解が進まず、成長スピードが遅いです。
ミーティングや研修終了後に行動計画を一緒に考えて、学習内容を生かせる業務ができるように環境を整えてあげましょう。
また、業務の権限を若手社員に任せて、定期的に業務の振り返りができる時間を設けてあげましょう。
学習内容の生かせる業務を若手社員に経験させることで、人材育成の施策の質が高まります。
前提として、会社全体が人材育成の重要性を認識するのも、価値のある人材を育成するために大切なことです。
経営層・部門責任者・人事部が同じように人材育成の必要性を認識していることが求められます。
会社全体として人材育成の重要性を認識できていないと、人事部だけが頑張っていたり、部門責任者が我流で人材育成をしていたりなどの問題が起こります。
企業のミッションやビジョン、それらを実現するための人材育成のあり方を話し合い、会社全体としての共通認識を持ちましょう。
人材育成の目的や目標を会社全体として掲げて、足並みを揃えて人材育成を行うことが重要です。
人材育成の計画を作るマネージャーや人事の方は、人材育成のフレームワークや人材育成をする制度を理解して運用できるようになりましょう。
人材育成をするために、まず会社における人材育成の位置づけを明確にする必要があります。
その上で、人材育成の目的や明確な目標を設定し、人材育成の環境を整えていきましょう。
近年、人材育成のために、OKRという新しい人事評価制度を導入している企業が増えています。
OKRの導入を考えている人材育成担当の方や経営層の方は、以下の記事を参考にしてみてください。
OKRを1つのツールに
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