2022.3.31
「管理職の負担を減らして、生産性を上げたい」
「社員が増えてきたので、効率化するために制度や仕組みを作りたい」
このように思っている企業の経営層の方や管理職の方もいるのではないでしょうか。
組織マネジメントを適切に行うことで、社員の業務を効率化でき、会社全体の生産性を上げられます。
本記事を読むと、組織マネジメントについて以下のことがわかります。
組織マネジメントについて詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
「組織マネジメント」とは、「ヒト・モノ・金・情報」の4つの経営資源を、管理職がマネジメントする手法です。
組織マネジメントの目的は、会社全体のパフォーマンスを高め、競争優位性を保ち、ビジョンの達成を目指すことです。
経営層やマネージャーなどの管理職には、目標達成のために経営資源である「ヒト・モノ・金・情報」を適切に活用することが求められます。
「ヒト」は「モノ・金・情報」の3つを扱うため、もっとも重要な経営資源と言われています。
グローバル化によって海外からのライバル企業の参入が増加し、市場の変化のスピードは早くなり、企業間の競争が激しくなっています。
企業間での激しい競争を勝ち抜くために、組織マネジメントを行い会社の生産性を高める必要性が出てきました。
組織マネジメントの導入は、自社の競争優位性を保ち、社員のパフォーマンスを上げられ、企業間の競争を勝ち抜くことにつながるからです。
組織マネジメントを行うためのフレームワークである「7S」という概念を、アメリカのコンサル企業であるマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱しました。
7Sは「ハードの3S」と「ソフトの4S」から構成されます。
「ハードの3S」は組織の構造に関するフレームワークで、「ソフトの4S」は人に関するフレームワークです。
ハードの3S
ソフトの4S
ハードの3Sである戦略(Starategy)とは、企業が目指すビジョン達成のための道筋を示すものです。
戦略を策定するとき、「企業戦略」「事業戦略」「機能戦略」の順に考えていきます。
機能戦略の具体的な機能は、「研究開発」「生産」「営業」「人事」「経理」などです。
ハードの3Sである組織(Structure)とは、高いパフォーマンスを発揮できる組織構造を策定することを指します。
組織構造は、大きく3つに分類されます。
機能別組織とは、仕事の種類や目的に応じて、同じスキルや専門知識のメンバーを構成する組織構造です。
たとえば、「テレアポ」「商談」「契約後フォロー」の3つに組織を分け、それぞれの専門知識をもった社員を各組織に配置して効率化を図ります。
事業部制組織とは、事業ごとに部署を設置し、各事業部に責任を与える組織構造です。
各事業ごとに、「研究開発」「生産」「営業」などの必要な機能を設置します。
プロジェクト組織とは、さまざまな専門分野のプロを集めて、特定のプロジェクトチームを作る組織構造です。
多数のプロジェクトを抱えている会社が採用している組織構造です。
ハードの3Sであるシステム(System)とは、会社の目標を達成するための仕組みや制度(ルール)づくりを指します。
社内のシステムを作る目的は、業務を効率化し、社員の業務レベルを一定に保つためです。
代表的な仕組みや制度は以下のとおりです。
会社全体で情報共有を円滑にするために、ITツールを導入している企業もあります。
ソフトの4Sであるスキル(Skill)とは、組織が保有している能力・強みであり、他社に対する競争優位性です。
スキルは、社員の個々のスキルだけではなく、会社全体のスキルである「開発力」「販売力」「マーケティング」力なども指します。
会社全体のスキルは長い時間をかけて作られる資産であり、伸ばすためには中長期的な戦略や計画が必要です。
中長期的な戦略をもとに、伸ばしたいスキルや改善するスキルを洗い出し、採用や育成計画に反映させることで、会社のスキルは少しずつ伸びていきます。
ソフトの4Sである人材(Staff)は、組織に属する人材を理解することを指します。
人材を理解するために抑えておきたい点の一例は、以下のとおりです。
人材が保有しているスキルだけではなく、個々の価値観まで理解できるように努めましょう。
上司が部下に対して行う評価だけでは人材を理解しきれない部分があるため、会社として人材のチェックツールを導入しているケースもあります。
ソフトの4Sである価値観(Shared Value)とは、企業理念や行動指針を指します。
「社員に組織の企業理念や行動指針が浸透しているか」を把握しましょう。
価値観を把握するときに、企業外の第三者に手伝ってもらい、客観的な意見をもらうと効果的です。
価値観は無意識的に社員に浸透しているものであり、新しい価値観を定着させるのは手間と労力がかかり難しいです。
ソフトの4Sであるスタイル(Style)は、会社の雰囲気や社風、職場環境、人材管理を指します。
ルールとして明確に決められていない「組織内の暗黙の了解」が積み重なって、会社の雰囲気や社風は決まります。
スタイルの一例は、以下のとおりです。
「組織の戦略に対してスタイルがプラスに作用するかどうか」の視点で、スタイルをチェックしましょう。
スタイルが適切に機能すると、社員の働きやすさ向上に繋がり、社員のモチベーションや会社に対する帰属意識が上がります。
組織マネジメントを導入すると、以下の組織の課題を解決できます。
組織マネジメントだけでなく、OKRの導入も組織の課題を解決できます。
OKRによって解決できる課題を紹介しているので、組織内で課題がある管理職の方は、資料をダウンロードして参考にしてみてください。
こちらの資料では目標管理フレームワーク「OKR」がいかにして組織課題を解決するかを簡潔にまとめています。特に企業成長においては役職間での共通言語をつくることがとても重要です。マネジメントにお悩みの方は、ぜひご活用ください。
組織マネジメントを導入すると、従業員一人ひとりに合わせたマネジメントが可能です。
近年、働き方が多様化し、業務委託や時短勤務、派遣労働などの働き方をしている方が増えています。
多様化する社員の働き方や能力・価値観に合わせて、管理職が適切に仕事を配分しサポートすることが必要です。
組織マネジメントを導入すると、従業員一人ひとりの適性に合ったポジションを提供できます。
従業員は自分の能力を生かせるため、パフォーマンスは向上し、会社への貢献度を感じやすくなり、人材の流出を防げます。
組織マネジメントの導入は、管理職の負担を減らせるメリットもあります。
管理職は、部下の目標達成のために教育やサポートをしなければならず、多忙です。
組織マネジメントをうまくできると、従業員は効率的に業務をこなせるようになります。
従業員のパフォーマンスは向上し、成果を出すために自発的に行動できる人材へと成長することで、管理職の部下へのフォローの手間と労力が減ります。
組織マネジメントを導入するメリットは、管理職の管理コストを減らせることです。
組織マネジメントを導入すると、組織全体の生産性を向上できるメリットも。
組織マネジメントによって、組織の課題を把握・改善できる効果があり、組織全体の生産性が向上します。
組織マネジメントのフレームワークを利用すると、以下のような課題が浮き彫りになります。
このような組織の課題を組織マネジメントによって解決することで、組織全体の生産性を向上できます。
組織マネジメントに必要なスキルや能力は、以下の3つです。
組織マネジメントを適切に行うためには、リーダーシップのスキルが必要です。
リーダーシップとは、企業の方針やビジョンに沿って、従業員を同じ方向へ導くスキルです。
従業員に企業の方向性やビジョンをわかりやすく魅力的に伝え、自らビジョンを達成するための行動を示す必要があります。
従業員に信頼してもらえるように一貫した行動を取ることも、リーダーシップです。
従業員のやりたいことや価値観を詳しく聞いてやる気を引き出すコミュニケーション力とも、リーダーシップは関連しています。
組織の達成すべき目標を理解し、目標を具体的な計画や施策に落とし込む力も、組織マネジメントをするうえで必要です。
組織の目標を策定し、適切に人員を配置することで、従業員の生産性は上がります。
また、目標を具体的な計画や施策に落とし込めると、目標が実現できるかどうかが明確になり、従業員のやる気向上につながります。
目標を設定するときは従業員の意見を聞きながら設定しましょう。
あいまいな目標や実現不可能な目標を設定してしまうと、従業員のやる気低下や離職につながることも。
管理職の方は、「具体的」で「実現可能」な目標を設定しましょう。
組織マネジメントを適切に行うために、課題解決力も重要なスキルです。
組織で発生しているさまざまな課題は、多くの人を巻き込まなければ解決できません。
課題を解決するために、一緒に働く人の意見を参考にして合意を得ながら、従業員を巻き込んでいく必要があります。
従業員の合意を得るために、会議をうまく回す力も求められます。
管理職の方は、組織の課題を解決するために、多くの人を巻き込めるコミュニケーション力も身につけましょう。
企業の組織マネジメントの事例を、2つ紹介します。
Googleと花王は「OKR」という目標管理制度を導入し、組織の生産性を高めています。
組織の生産性を高めたい経営層や管理職の方は、OKRについて解説している記事を参考にしてみてください。
OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを導入事例を交えて紹介。KPIやMBOとの違いも解説
Googleの人事チームが組織マネジメントを導入したことで、Googleは「もっとも働きたい会社」のひとつに選ばれています。
Googleが実践している組織マネジメントのコツを一部紹介します。
仕事を高尚なビジョンや目的に結び付けることで会社が成長すると、Googleは考えています。
そのため、Googleは「世界の情報を整理して、誰でも利用できる有益なものにする」というビジョンを掲げ、社員の仕事に意味を持たせています。
また、Googleではマネージャーは部下を信頼して仕事を任せ、部下を細かく管理してはいけません。
部下を信頼することで、部下のパフォーマンスは向上します。
Googleは福利厚生が手厚く、社員の健康管理やオフィスランチ、送迎のシャトルバスなどにかなりのコストをかけています。
社員が健康であることは、会社にとって価値が高いと考えているからです。
花王は組織マネジメントとして、OKRを導入しています。
2020年12月に花王は、中期経営計画のなかで「社員活力の最大化」を掲げ、その達成のためにOKRを導入することに決定しました。
OKRは従業員一人ひとりの「やりたいこと」や「想い」を目標に組み込めるため、従業員のパフォーマンス向上を狙えます。
また、OKRの目標は組織内で共有されるため、社内コミュニケーションの活発化も期待できます。
社内でOKRを正しく運用していくために、運用システムの導入や研修の実施を行っていく予定です。
組織マネジメントとは、組織の目標を達成するために「ヒト・モノ・金・情報」の4つの経営資源を適切に管理することです。
グローバル化による企業間での激しい競争に勝ち抜くために、組織マネジメントの重要性が高まっています。
組織マネジメントを導入すると、従業員一人ひとりだけでなく、組織全体の生産性向上もできます。
組織の課題を解決したい経営層や管理職の方は、組織マネジメントを理解して導入を検討してみてください。