組織コミットメントとは?3つの要素と高める方法を解説BLOG

 2022.4.5

人材マネジメントに関連して「組織コミットメント」というワードを耳にすることがあります。しかし、組織コミットメントが具体的にどのようなことを指しているのかわからない人もいるのではないでしょうか?

そこで、この記事では組織コミットメントの考え方や意識向上に努めるメリットなどを紹介します。人材マネジメント面の改革を考えている企業は必見です。従業員の組織コミットメントを適切に高められれば、生産性向上や組織全体の活性化に繋げられます。

組織コミットメントとは

組織コミットメントは「組織に所属する人の、組織に対する帰属意識の高低を表す概念」です。「帰属意識」とは、所属する組織の一員であることをどの程度意識しているかを表します。したがって、一般的な企業において組織コミットメントが高い状態と低い状態はそれぞれ以下の状況を示します。

組織コミットメントが高い従業員と企業の心理的な距離感が近く、一体感がある
組織コミットメントが低い従業員の帰属意識が低く、組織にまとまりがない

企業全体の生産性を高め、風通しをよくするためには組織コミットメントが高い状態を維持することが大切です。従業員と企業の結びつきが強まることで、日々の仕事がスムーズに進むようになります。

一方で組織コミットメントが低いとチーム全体のモチベーションが低くなり、非協力的な従業員が増えることにつながります。

組織コミットメントは、従業員と企業の双方にとって重要な概念なのです。

ビジネスでのコミットメントの意味

ビジネスシーンでは「○○にコミットする」といったように「コミットメント」というワードが頻繁に使われます。最初に、「コミットメント」がもっている意味についてチェックしましょう。主な意味は以下の2つです。

  • 公約・承認する
  • 責任をもって関与する

用語の意味を正しく理解するためにも、事前に一通り確認しておくことをオススメします。

公約・承認する

コミットメントは「公約」「承認」「確約」という意味で使用することがあります。これは「約束」よりも強い意味を持つワードで、「契約」に近いイメージです。

ビジネスシーンにおいては「今月の売上目標をコミットメントする」などと表現します。これは、売上目標を達成すべきものとして明言するものです。

責任をもって関与する

ほかにもコミットメントには「関与する」という意味もあります。ビジネスシーンにおいてこの意味で使われる場合は、「業務フロー最適化にコミットする」などのように表現します。

これは、行うべき業務に責任を持って取り組み、目標達成を目指すというニュアンスです。逆に「業務にコミットしない」とあえて取り組まない業務があることを表現するケースもあります。

組織コミットメントの3要素

組織コミットメントで意識すべき要素は以下の3つです。

  • 情緒的コミットメント
  • 規範的コミットメント
  • 存続的コミットメント(功利的コミットメント)

いずれも組織への帰属意識を示す概念ですが、それぞれ帰属意識を感じている原因が異なります。従業員の意識を高めるには、これら3つの要素を意識してポジティブな理由で帰属意識を感じてもらうことが大切です。

情緒的コミットメント

情緒的コミットメントとは「所属している組織に愛着を感じているために留まる」というポジティブな感情に基づいています。

「組織に貢献したい」「もっと役に立ちたい」という意識につながるため、企業において従業員をこの状態にもっていけば生産性を高められるでしょう。理想的な形なので、改革に取り組む際に目指すべきポイントです。

情緒的コミットメントが高い従業員が増えれば増えるほど組織全体の生産性が高まり、風通しが良くなります。

規範的コミットメント

規範的コミットメントとは、「特に理由はないが忠誠心によって組織に貢献している」という状態を示します。組織に愛着を感じているわけでもなければ、自分にメリットがあるからというわけでもありません。

理由なしに組織に尽くすという状態です。しかし、企業と従業員は労働を提供する代わりに対価をもらうという契約関係にあるだけなので、この状態に陥ることは少ないでしょう。

この状態に陥るスタッフは、自分から変化を起こして提案するのが苦手な傾向にあるため、理想的な形ではありません。

存続的コミットメント(功利的コミットメント)

存続的コミットメントとは、「組織を去るのが難しいから留まっている」という状態を示します。自らの意思で留まっている状態とはことなり、ネガティブな理由で留まっているので生産性が下がりがちです。

存続的コミットメントが高い従業員はモチベーションも低く、企業にとってマイナスになります。したがって、この状態を避けて情緒的コミットメントに導くのが人材マネジメントを成功させるコツです。

組織コミットメントを高める効果

従業員の組織コミットメントを高めることには、ビジネスを円滑に遂行する上で多くのメリットがあります。主なメリットは次の4つです。

  • 生産性が向上する
  • 離職率が低下する
  • コミュニケーションが活性化する
  • 組織力強化によるサービス精度が向上する

意識向上がそれぞれの要素にどのようにつながるのかを見ていきましょう。

生産性が向上する

ポジティブな理由で組織コミットメントが高い従業員は、企業に利益をもたらすために集中して業務に取り組む傾向があります。さらに、業務目標を達成したいという意欲が高いのも特徴です。

意欲的に業務に取り組んでくれるため、そのような従業員が増えることで全体の生産性を大幅に高められます。業務そのものの改革と同時に、従業員の意識改革に取り組むのは非常に有用です。

離職率が低下する

組織コミットメントが高い従業員は、企業に対する愛着も強くなります。自分が愛着を感じている組織から進んで出たいとは思わないため、離職率が低下するのがメリットです。

全体の離職率が低下することで、優秀な人材が他社に流出することを防げます。同時に、転職市場において「離職率が低い企業」として高い評価を受けるのもメリットです。

働きやすい企業として優秀な転職希望者から選んでもらえるようになるため、人材確保の面でも大きなメリットを享受できます。

コミュニケーションが活性化する

従業員相互の信頼関係が高まるのも大きなメリットです。同様に、上司・部下の間でも信頼性が高まるでしょう。

従業員同士の信頼関係が高まると業務上のやり取りが活性化し、業務がよりスムーズに進むようになります。提案をしやすい環境を実現でき、問題点を速やかに改善して、より生産性を高められるようにもなるでしょう。

コミュニケーションが不十分だと問題点の共有が進まず、致命的なトラブルが発生してから露呈するケースもあります。また、日々のコミュニケーションが新たなビジネスの手がかりを掴んだり、イノベーションが産まれるきっかけになったりする可能性もあります。

組織力強化によるサービス精度が向上する

情緒的コミットメントが高い従業員が集まることで、社内目標や将来のビジョンが末端部まで浸透します。従業員が目標意識を共有することで企業全体の結束力が高まるのは大きなメリットです。

経営目標を達成するために団結して努力するようになり、業務の精度UPに繋がります。業務の精度が向上すれば提供している製品やサービスの質も向上するため、取引先の満足度を高めることにも繋がるでしょう。

品質を向上させることで自社の利益を拡大しつつ、同時に社会全体における自社の存在価値を高められます。

組織コミットメントに影響する要因

従業員の意識が向上・低下する背後にはいくつかの要因があります。それぞれの要因は大きく以下の2つに分けられるので、ここで詳しくチェックしておきましょう。

  • 組織の要因
  • 個人の要因

どのような要因があるのかを理解した上で適切に対処すれば、従業員の意識を高められるでしょう。

組織の要因

組織側の要因として考えたいのは、「従業員ひとりひとりに居場所を提供しているか」というポイントです。具体的には以下のようなポイントを考えるとよいでしょう。

  • 将来のビジョンや価値観を明確に示しているか
  • 全社的な目標を掲げているか
  • ひとりひとりに果たすべき仕事を適切に与えているか
  • 適切な報酬を支払っているか

自社のビジョンや価値観を明確に提示することで、それらに共感する従業員が集まるようになります。同じビジョンや価値観を共有することで結束力が高まるでしょう。

もし、組織として何か欠けているポイントがあることに気づいたら、離職率が増える前にすぐに改善行動を取ることをオススメします。

個人の要因

個人の要因として考えたいのは、「評価制度や地位が大きく影響する」というポイントです。具体的には以下のような要素が影響します。

  • スキルに応じた役職に就いているか
  • 業務できちんと成果を出せているか
  • 組織内での地位が高いか

基本的に、スキルを正しく評価されて役職についている従業員や地位が高い従業員は満足度が高く、意識も高い傾向です。きちんと成果を出し、それを評価してもらえている従業員も自己肯定感が高まり、意識も高くなるでしょう。高い地位に就いていて裁量権が多い場合も同様です。

ほかにも、年齢が高い従業員は転職のハードルが上がる都合上、組織コミットメントが高い傾向があります。

従業員の組織コミットメントを高める方法

従業員のモチベーションが低く、非協力的な場合は改善が必要です。放置していると企業全体の生産性が下がり、業績に影響しかねません。全体としてモチベーションを高めるには、以下の5つを意識するのがオススメです。

  • 企業理念や経営方針などのビジョンを共有する
  • 個々の能力を生かせる職務や役割を与える
  • 働きやすい職場環境を構築する
  • コミュニケーション力を強化する
  • ボトムアップができる組織を作る

いずれも組織運営において大切なポイントなので、ひとつひとつ意識して企業経営に役立てましょう。

企業理念や経営方針などのビジョンを共有する

企業の経営理念や今後の経営方針、将来の目標などのビジョンを従業員と共有することは大切です。ビジョンを共有することで、それに共感する社員が定着しやすくなります。

企業が将来的に目指すべき理想像を明確にし、その中で従業員一人ひとりがあるべき姿を明確に提示しましょう。これによって従業員はどのような方向性を目指せばよいか分かるようになり、意欲的に目標達成にコミットしてくれるようになります。

個々の能力を生かせる職務や役割を与える

従業員がそれぞれの能力を活かせる職務を与えることも大切です。適材適所という言葉がある通り、人材は適切な場所に配置してこそ真価を発揮します。ミスマッチは企業・従業員双方にとってマイナスにしかならないため、以下のように対策するのがオススメです。

  • 求人段階でジョブディスクリプションを提示する
  • 保有しているスキルを正確に把握した上で職務をアサインする
  • 職務で出した成果を適切に評価する
  • スキルアップできるポジションを提示する

採用段階からミスマッチが発生しないように対策しましょう。定期的なヒアリングを通して従業員のキャリアプランを知り、適切にマネジメントすることも大切です。

働きやすい職場環境を構築する

従業員に働きやすい職場であると感じてもらうことも、意識向上のために欠かせません。人を大切にする職場であれば、従業員も組織に留まりたいと思ってくれるようになります。

働きやすい職場環境を構築するためにも、以下のような取り組みを行うとよいでしょう。

  • 職場環境を整える
  • 定期的なアンケートで実態を知る
  • 現状に合わせて福利厚生を見直す

オフィスをはじめとした職場環境を整え、快適に働けるようにしましょう。企業の制度面に欠陥があって従業員が不満に感じているなら、積極的に見直すことも大切です。現状把握と改善行動を繰り返すことで、より働きやすい職場環境を実現できます。

コミュニケーション力を強化する

全体のコミュニケーション力を高め、従業員同士でさまざまな意見を出し合える環境を整えることも大切です。いつでも意見を出し合えるようにすることは、日々のコミュニケーションからビジネスにつながるアイディアを創出することにもつながります。

さらに、コミュニケーションを通して現状の課題点を洗い出したり、解決策を考えたりすることも可能です。三人寄れば文殊の知恵という言葉もある通り、ひとりで考えていても解決できなかった課題を解決することに繋がるかもしれません。

ボトムアップができる組織を作る

風通しがよい組織も企業が持続的に成長するためにも欠かせません。企業活動は基本的にトップダウンで行いますが、現場レベルで何らかの課題がある場合はボトムアップして経営層に必要な情報を伝え、改善を促す必要があります。

そのためには、現場から経営層にコンタクトできる仕組みを作っておく必要があるでしょう。現場にいなければ気づかない課題を解決することにも繋がるので、ボトムアップできる風通しがよい組織を目指しましょう。

経営陣に伝えた結果、採用される意見が増えれば増えるほど組織の風通しがよくなります。

組織コミットメントを高めるにはOKRがオススメ!

組織コミットメントを高めることは、生産性を高めて働きやすく、風通しがよい企業を作るために欠かせません。組織コミットメントが低くて困っているなら、今回紹介した施策をぜひ試してみてください。

特に、適切な目標の設定と従業員の仕事を正しく評価する仕組みづくりは欠かせません。効果的な目標を設定するためには、OKRというフレームワークを活用するのがオススメです。

OKRを利用すれば企業全体でコミットすべき目標と従業員がそれにどのように貢献できるかが分かりやすくなります。組織コミットメント面での改善を目指しているなら、ぜひこの機会にOKRの導入を検討してみてください。

OKRについては以下のコラムでさらに詳しく解説していますので、あわせて確認することをオススメします。

こちらの資料では目標管理フレームワーク「OKR」がいかにして組織課題を解決するかを簡潔にまとめています。特に企業成長においては役職間での共通言語をつくることがとても重要です。マネジメントにお悩みの方は、ぜひご活用ください。

OKRを1つのツールに
まとめて運用しましょう

製品資料のダウンロードはこちら

お問い合わせ・導入のご相談はこちら