2022.4.5
「企業の収益性を向上させるためには組織力を強化しなければならない」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?しかし、組織改革に取り組んでも成果が上がらなかったり、うまく機能しなかったりすることがあります。
そのような状態に陥ると、「組織力を強化するにはどうすればいいのだろうか?」と思ってしまいがちです。そこでこの記事では、強い企業組織を作って競争力を高める方法を紹介します。
積極的に組織強化に取り組むことで、生産性を向上させて収益力をUPできるでしょう。
一般的な企業において、組織力強化に取り組まなければならない主な理由は以下の通りです。
これらの理由は互いに密接に関係しています。組織力を強化することで従業員の団結力が高まり、結果として目標達成や企業の成長につながります。
さらに、従業員が同じ目標に向かって努力することで、個人の成長を促せるのも大きなメリットです。強い組織を作ることにデメリットはないため、積極的に取り組むとよいでしょう。
企業として組織力強化に取り組むには、「強い組織とはどのようなものか」を意識しておかなければなりません。基本的に、強い組織とはまず以下の2条件を満たしている企業です。
従業員が一致団結していることと自主的に仕事に取り組むことが大切です。それぞれどのようにマネジメントすればよいのかチェックしていきましょう。
強い組織を実現している企業では、従業員が経営目標をはじめとした全社的な目標を自分に関係することとして受け止めます。その目標を達成するために自分がどのような役割を果たせばよいか、やるべき仕事は何かを考えます。
従業員相互に強い信頼関係があり、互いに協力しながら仕事を進められるのも大きな特徴です。強い組織には非協力的な従業員は存在せず、全員が目標に向けて全力で仕事に取り組みます。
従業員が自発的に仕事に取り組むのも強い組織の特徴です。一般従業員と管理職の双方が以下のように仕事に取り組みます。
一般従業員 | 自分の仕事に積極的に取り組み、必要以上に指示待ち人間にならず自発的に行動する |
管理職 | 一般従業員が全力で仕事に取り組めるようにマネジメントする |
組織力が弱い企業には、従業員同士で必要なコミュニケーションが取れなかったり、同じ目標を掲げているのにもかかわらず一体感がなかったりする特徴があります。
組織改革に取り組んで強い組織を作るためには、基本的な原則を押さえた上でマネジメントに取り組まなければなりません。組織マネジメントで意識すべき基本原則は以下の5つです。
これからそれぞれの原則について詳しく紹介するので、一通り理解した上で組織改革に取り組むことをオススメします。
専門化の原則とは、「分業化を進めて従業員がひとつの役割に特化して働く」という原則です。各従業員が自分の役割に特化することで、スペシャリストとして高度なスキルを習得し、高い生産性を実現できます。
各分野をその分野のスペシャリストが担当することで、業務のクオリティを高められるのも大きなメリットです。
きちんと分業化できていないと従業員が専門分野に特化できず、誰が担当しても実現できる程度のクオリティにしかなりません。業務のクオリティ向上や全体的な生産性向上は企業の収益力に直結するため、積極的に分業化を進めましょう。
権限責任一致の原則とは、「持っている権限と権限に伴って負うべき責任の程度が一致していなければならない」という原則です。多くの権限を与えられている従業員は大きな責任を負い、権限が少ない従業員は責任も少ないのが基本です。
もし、権限責任一致の原則に基づいた体制が構築されていないと、以下のような現象が発生します。
権限に比べて責任が重い | 業務を行うのが難しくなり、モチベーションが低下する |
権限に比べて責任が軽い | 職権乱用を誘発し、組織の腐敗につながる |
権限と責任の重さが一致していないと、組織運営はうまくいきません。業務を進めていく上でバランスが崩れることもあるため、定期的に見直すようにするのもよいでしょう。
統制範囲の原則とは、「管理者が管理下に置く人員の数を適正範囲に保つ」という原則です。優秀な管理者であっても、1人で管理できる人員の数には限界があります。
一般的には5〜10人程度とされているため、1人の管理者の部下に配置するのはこの程度の人数に抑えましょう。管理下にいる人員が多すぎると一人ひとりがどのように業務を進めているのかわかりにくくなり、予期せぬトラブルが発生するリスクが高まります。
管理者の人数に比べて一般従業員の人数が多いと管理しきれなくなるため、管理者を増員するなどして人数を適正化しましょう。
命令統一性の原則とは、「指揮命令系統を統一化する」という原則です。1人の上司から業務指示や命令を受ける環境を構築するのが基本で、同じ業務に関する指揮命令が複数の上司から出る状況を避けます。
複数の上司から指揮命令を受けると矛盾が生じる可能性があり、生産性が低下するので注意しましょう。
同時に、業務報告や意思疎通の系統を決めたレポートラインも整備しておくことが大切です。決められたレポートラインに報告・決裁を行うことで業務遂行を迅速化でき、生産性を高められます。
権限委譲の原則とは、「仕事内容や達成すべき目標を明確にした上でアサインし、必要な権限を渡す」という原則です。仕事やそれに伴う権限を委任するときは、「何をすべきか」「いつまでに何を達成すべきか」をはっきりさせてから委任しましょう。
業務内容を明確にすることで、認識の相違やミスを防いで効率的に仕事を進められます。
さらに、一度割り当てた仕事に関しては過度に干渉せず、相手に委ねることも意味しています。作業内容や具体的な進め方はアサインした相手に委ねることで、モチベーションを保ちつつ自発的に業務に取り組んでもらいやすくなるでしょう。
強い組織を実現している企業には、いくつか共通する特徴があります。主な特徴は次の5つなので、組織マネジメントの改革に取り組むなら意識しておきましょう。
すでに存在する強い組織からマネジメントのコツを学び、自社の組織力を強化しましょう。
従業員が経営理念やビジョンを理解し、意識しているのが強い組織の特徴です。これらのポイントを意識していることで、同じ目標を目指して一致団結して業務に取り組めるようになります。
どれほど優秀な従業員が集まっていたとしても、目標にフォーカスしていなければ思ったような成果は上げられません。
もし、全社的に経営理念やビジョンが浸透していないなら、ミーティングをはじめとしたさまざまな機会を使って従業員に意識してもらえるようにしましょう。
適切な人員配置も組織力強化と生産性向上には欠かせません。適切な人員配置とは、「従業員が自分のスキルや能力を最大限発揮できるポジションについている状態」を指します。
自分にマッチしたポジションで働くことでパフォーマンスを最大化できます。モチベーションアップにもつながり、より意欲的に働いてもらいやすくなるでしょう。
適材適所で働いている従業員は会社に貢献したいと思う気持ちが強くなり、パフォーマンス向上に加えて離職率低下などにもつながります。
上司・同僚との信頼関係も円滑な業務遂行には欠かせません。人間関係が良好な状態を保つことで、社内のコミュニケーションを円滑化できます。コミュニケーション環境を改善したいなら、何でも相談できる環境を整えることが大切です。
チーム全体の団結力を高めるためにも欠かせない要素なので、互いに信頼できる環境を整えましょう。
人材は採用したらそれで終わりではありません。継続的に成長することでより有用な従業員になれます。より有用な従業員を増やすためにも、適切な人材育成計画を策定・運用しましょう。
人材はコンピュータとは異なり、教育したからといって必ず育つものではありません。一人ひとりの適性に応じた教え方を考え、適切な教育プログラムを実行することが大切です。
ヒアリングの機会を設けて状況を把握し、必要に応じてプログラムの内容を変更するのもよいでしょう。
事業戦略の明確化と人事評価制度との連携も組織マネジメントにおいて重要なポイントです。事業戦略は会社の方向性を定めるもので、それによって業務をどのように進めればよいのか決まります。
従業員は事業戦略を達成し、利益を上げるために働くため、人事評価は事業戦略と関連していなければなりません。もし、まったく関係ない要素で評価されると不信感が強まり、モチベーションが低下してしまいます。
モチベーションを高く保つためにも、人事評価制度の透明化を進め、すべての従業員の目に明らかになるようにしましょう。
組織力強化を課題と感じている人や、事業拡大に伴ってこれまでのマネジメントが通用しなくなっているなら、改善施策を施さなければなりません。組織マネジメントを見直すときに意識したいポイントは以下の4つです。
これからそれぞれの施策を実行するときに意識したいポイントを解説します。マネジメント面での課題を解決したいなら、ぜひ参考にしてみてください。
改善施策を考えるには、まずは組織の課題を可視化する必要があります。課題を明らかにしてから対応する改善施策を考えないと、的から外れた内容になってしまうでしょう。
そのため、まずは現状把握からはじめてください。現状を把握できたらどのような課題があるのか、隠れた課題が存在するのかなどを考慮して可視化します。
次に、それぞれの課題にどのように対処すればよいのかを考えましょう。個人で解決できる課題・チームで解決できる課題・全社的に解決しなければならない課題などさまざまです。
課題を明確にしたら、解決するのに役立つ目標を設定しましょう。目標を設定するときは、組織としての目標と個人的な目標に分けます。目標を定めるだけでは効果がないため、適切に管理して達成を目指しましょう。
目標を定めるときにオススメのフレームワークはOKRです。OKRとはワクワクする野心的な目標を定めて全力で達成を目指すシステムなので、従業員が自分のこととして主体的に取り組めるようになります。
OKRについては以下のコラムで詳しく解説しているので、目標管理に課題を感じている人はぜひあわせて参考にしてみてください。
OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを導入事例を交えて紹介。KPIやMBOとの違いも解説
必要に応じて従業員に教育を施せるよう、研修やセミナー、1on1ミーティングなどの人材育成プログラムを実施しましょう。組織には2:6:2の法則と呼ばれるものがあり、これは以下のことを示しています。
適切な教育を施すことで全体のレベルを底上げし、組織全体のパフォーマンスを向上させることが大切です。下位グループのレベルアップにもセットで取り組むことで、上位〜中位のレベルをさらに上げられます。
従業員のモチベーションアップには、適切かつ公平な人事評価制度の整備が必要です。人事評価が主観的なものになると不公平感が高まり、従業員が不信感を抱きます。
この状態に陥ると組織全体として大きなマイナスになるため、以下のような人事評価制度を検討するのがオススメです。
成果指標にもとづく評価制度は一般的ですが、CFRは取り入れていない企業も多く存在します。CFRは従業員のパフォーマンス向上に役立つので、この機会に導入を検討してみてもよいでしょう。
企業という組織を強くするには、経営理念やビジョンを従業員に共有することや適切なマネジメントを行うことが重要です。社員が自発的に働き、積極的に業務に取り組める環境を整えることは全体の生産性向上にもつながるでしょう。
従業員一人ひとりに経営理念やビジョンが浸透しなくて困っている企業や、組織マネジメントを適切に行えずに悩んでいる企業は、この機会にOKRの導入を検討するのがオススメです。
OKRは組織マネジメントにおける大きな課題を解決するのに役立つので、ぜひ検討してみてください。詳しい内容については以下の資料をダウンロードすることでさらに学べます。
こちらの資料では目標管理フレームワーク「OKR」がいかにして組織課題を解決するかを簡潔にまとめています。特に企業成長においては役職間での共通言語をつくることがとても重要です。マネジメントにお悩みの方は、ぜひご活用ください。
また、以下のコラムでもOKRについてさまざまな面から解説していますので、ぜひあわせてお読みください。