2023.4.10
1on1は従業員のモチベーションを高め、全体の生産性を高めるのに役立ちます。しかし、闇雲に取り組んでも望むような成果は出ません。意味ある1on1を行うには、1on1の基本的な考え方や目的をきちんと理解しておくことが大切です。
この記事では、1on1を行う目的や実施するときの注意点を詳しく解説します。重要なポイントをしっかり押さえておけば、成果につなげられる生産的な1on1を実施できるでしょう。
成果につながる1on1を実施するには、そもそも1on1とはどのようなものなのか、何を目的としているのかを意識することが大切です。1on1は「従業員とマネージャーが1対1で行う面談」で、さらなる成長につなげることを目的として行います。
評価を目的として行う人事面談や単なる雑談とはまったく異なるミーティングです。1on1の本来の目的を実現するためにも、「成長を促す」という主目的にフォーカスして目的がズレないように注意してください。
企業が1on1を導入する意味・目的をさらに詳しくチェックしていきましょう。主な目的は以下の通りです。
ここではそれぞれの目的を詳しく解説します。目的につなげるためのコツも紹介するので、ぜひあわせて確認してみてください。
従業員のパフォーマンスを高め、より高い成果につなげるのが1on1の主要な目的です。この目的を果たすには、1on1を行うときには、現状を把握した上で以下の内容を盛り込み、従業員の成長を促しましょう。
この2つを盛り込むことで、従業員一人ひとりが何に注力すればよいのかわかるようになります。継続的な取り組みは従業員のスキルアップにつながり、社内に有用な人材が増えるという結果となって返ってくるでしょう。
1on1には従業員とマネージャーの間に信頼関係を構築するという目的もあります。1on1は1回やったらOKというものではなく、2週間〜1ヶ月に1回のペースで長期的に継続するミーティングです。
その分、従業員とマネージャーが話し合う機会が増えるため、相談しやすい環境を作りつつ信頼関係が構築できます。個人的な目標や業務に関する疑問点、会社に対する不満点をヒアリングする機会を含めることで、より話しやすくなります。
円滑に業務を進めるには強固な信頼関係が欠かせないので、1on1を信頼関係を構築する場として活用しましょう。
1on1には従業員の成長を促すだけではなく、マネジメントのクオリティを高める効果もあります。ミーティングを行うマネージャーは、従業員一人ひとりの状況を正確に把握して適切なアドバイスを与えなければなりません。
その過程で、マネージャーには観察力や分析力、洞察力などが求められます。マネージャーにとってはこれらのスキルを高める機会になり、継続的に取り組むことでマネジメントスキルがアップするでしょう。
マネージャーが成長すれば全体のマネジメントクオリティが上がり、貴重な人材を適切に運用できるようになります。人材の有効活用は企業全体の成長につながるため、全社的に取り組むのがオススメです。
従業員のエンゲージメントを高めるのも1on1に取り組む目的のひとつです。ビジネスの現場で意識したいものの中に「ワークエンゲージメント理論」があり、この理論では以下の物事が仕事のやりがいに関係するとされています。
これらは個人として取り組むだけではなく、チームとしても取り組むことでより高い成果に期待できるとされています。
したがって、組織的に1on1に取り組むことで従業員のエンゲージメントを高め、働きがいがある職場と感じてもらえるようになるでしょう。離職を防ぎ、長期的に有用な従業員を確保し続けることにつながります。
1on1を通して継続すべき点と改善すべき点を明らかにし、必要な行動に移すことで従業員はスキルアップできます。仕事がうまくいかなかったときに、自分ひとりで原因や改善策を考えていても答えが見つからないこともあるものです。
マネージャーが客観的な視点で見て適切にフィードバックすれば改善点が明らかになるため、従業員側も何を改善すればよいかわかるようになります。次に取り組むべきポイントを明らかにし、目標にフォーカスすることで仕事のモチベーションが高まるのは大きなメリットです。
1on1は従業員とマネージャーが1対1で対談する都合上、人事評価面談やその他の面談と混同しがちです。しかし、1on1は一般的な面談とは大きく異なります。実施する目的を正しく理解しましょう。違いを簡単にまとめると以下の通りです。
種類 | 1on1 | 人事評価面談 | 一般的な面談 |
目的 | ・パフォーマンスの向上 ・個人、企業の成長促進 ・信頼関係の構築 | ・人事評価に対する説明 | ・指示や連絡の伝達 |
頻度 | 2週間~1ヶ月に1回 | 四半期~半年に1回(人事評価の時期に応じる) | 必要に応じて随時 |
人事評価面談や一般的な面談は情報の伝達など、一方的な連絡を目的とすることが多くなっています。その一方で、1on1は対話を通してお互いの信頼関係を築き、成長につなげることが目的です。面談の種類によって目的が異なるため、本来の目的から逸脱しないように注意してください。
1on1をより効果的なものにするためには、いくつか注意しておきたいポイントがあります。ここでは主な注意点として以下の5つをチェックしましょう。
1on1は正しく実行しないとデメリットが目立ち、効果が減少してしまいます。貴重な時間を浪費しないよう、最大限の効果を出すためにもしっかり意識しておきましょう。
1on1は従業員の自発的な会話にもとづいて進めるタイプのミーティングです。しかし、すべての従業員がコミュニケーション能力に優れていて、率先して会話してくれるとは限りません。
1on1を行うときは会話が弾むような雰囲気を作ることが大切です。場合によってはマネージャー側があらかじめいくつか質問を用意しておき、従業員の回答内容から会話を広げる必要もあるでしょう。
従業員が話しているときは、マネージャー側は聞くことに徹するのが基本です。従業員の話はきちんと聞き、内容を聞いた上で適切に対応しましょう。
業務上の悩みを話してくれた場合は、どのようにしたら解決できるかを考えます。課題や疑問を提示されたときは、現状を把握した上で適切にフィードバックしましょう。
話を聞かずに答えると信頼関係を築けず、1on1の目的を果たせなくなってしまうかもしれません。マネージャー側が自分の話ばかりするのも逆効果なので、従業員が主体であるという意識を忘れないようにしてください。
1on1で会話を促すためには、1on1が雑談で終わってしまわないように注意が必要です。会話を促すために雑談を盛り込むことは問題ありませんが、それだけで終わってしまうと「従業員の成長を促す」という主要な目的を果たせなくなります。
場を和ますために雑談を含めつつ、業務にフォーカスし、次のアクションにつなげられるような会話を意識してください。
1on1は1回行ったからといって効果に期待できるものではありません。従業員の成長を促すには継続的なサポートが必要です。
1週間に1回〜1ヶ月に1回程度の頻度で実施し、従業員の成長をサポートしましょう。定期的に1on1を行うことで、改善施策の効果が出ているか、新たな問題が発生していないかなどを把握できます。
1on1の頻度が低いと、従業員側は受けたフィードバックを忘れてしまうかも知れません。マネージャー側も本当に効果が出ているのか把握できなくなってしまいます。継続的に取り組んで必要に応じた軌道修正を施すためにも、定期的に実施するようにしてください。
1on1は人事評価を目的としたミーティングではありません。人事評価を目的としてしまうと、従業員は業務上の悩みを話しにくくなってしまいます。率直な意見をうながすためにも、1on1で話した内容は人事評価に反映しないようにしましょう。
あわせて、従業員側にも人事評価制度と完全に切り離されていること、悩みや相談を含めて評価に影響しないことを伝えるのが大切です。そのようにすることで、安心して1on1を行えるようになるでしょう。
1on1は企業全体の成長を促す効果的なフレームワークですが、闇雲に導入しても効果はありません。必要な準備を整えてから導入することで、より高い効果を期待できます。これから1on1を導入するなら、ここで紹介する5つのステップを意識しましょう。
それぞれのステップをどのように進めていけばよいのかをまとめました。迷った際はぜひ参考にしてください。
自社に1on1を導入することを決めたなら、なぜ1on1を行うのか、その目的を全従業員にシェアしましょう。従業員・マネージャーの双方が目的を正確に把握する必要があるためです。1on1の目的として挙げるとよい主な内容は以下の通りです。
1on1にはマネージャー・従業員双方にメリットがあると意識できると効果的です。関係する人がそのことを意識できるように、企業側は伝え方にも注意を払いましょう。次のような内容を盛り込むのも効果的です。
従業員が1on1を楽しみにできるように伝えられれば、意欲的に参加してもらえるようになるでしょう。
実際に1on1を行うと、どのようなことを話せばよいのか迷ってしまいがちです。そのため、話す内容を明確にしてただの雑談で終わらせないためにも、アジェンダを用意しておくことをオススメします。アジェンダには以下のような内容を盛り込みましょう。
作成したアジェンダは事前に共有し、すべての従業員・マネージャーが見られるようにしておきます。事前に把握することで、1on1がどのように進むのかをイメージしつつ話す内容を整理できます。
アジェンダを用意したら、実際に1on1を行う日程を決めましょう。1on1は従業員とマネージャーが1対1で行うものなので、日程も双方の都合を考慮して決めます。
マネージャーが一方的に決めるよりは、従業員一人ひとりの状況をよく観察して、適切なタイミングを提示するほうが信頼関係の構築につながります。例えば、従業員のスケジュールを確認し、締切間際や別のミーティングが入っているところ、業務終了時刻直前は避けましょう。会場も会議室などの緊張するところではなく、カフェなどの落ち着いて話せるところを選ぶのがオススメです。
1on1で話した内容を記録するためにも、当日までにミーティングシートを作成しておいてください。ミーティングシートとは1on1当日に使用するシートで、以下の内容を記載します。
上記の内容に加えて、ミーティング中に気づいた内容をメモするための備考欄を設けておくとよいでしょう。従業員に関して気づいたことを記録しておくと、今後の業務に生かせます。
1on1ミーティングシートについては以下のコラムで解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
【テンプレあり】1on1ミーティングシートとは?効果的な運用方法も紹介
初回の1on1が終わったら、次回の日程も決めておくことをオススメします。1on1は2週間に1回〜1ヶ月に1回程度の頻度で行うのが基本なので、解散する前にスケジューリングしておくと予定を立てやすくなります。
日程を可視化することで、次回までにどのような改善策に取り組むかを意識させる効果にも期待できるでしょう。次回のミーティングは記録した1on1ミーティングシートの内容を発展させつつ、新たに取り組んだことや課題解決のために実行した改善策について盛り込むと効果的です。
1on1は従業員とマネージャーが会話的な雰囲気の中で率直な意見を出し合い、成長につなげるためのフレームワークです。他の人に内容を知られず、評価からも切り離されているので業務の現状を話し合い、問題点を明らかにするのに役立つでしょう。
1on1をより効果的なものにするには、事前の準備を整えて定期的に実施することが大切です。新たに導入しようと考えているなら、ぜひ今回チェックしたポイントを参考にして自社にマッチした1on1の形を探してみてください。
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