2023.6.8
「1on1ミーティングはなぜ行う必要があるの?」
「実施することでどのような効果があるの?」
と思っていませんか。
結論をいうと、1on1ミーティングは、企業が成長を維持するために非常に効果的な手法です。1on1ミーティングを行うことで、社員の会社への満足度や組織力の向上に大きく影響します。
今回は、1on1ミーティングについて以下のことを紹介します。
この記事を読めば、1on1ミーティングの目的を把握しながら実施できるようになるかもしれませんので、ぜひ参考にしてください。
1on1ミーティングとは、上司と部下の2人で行う個人面談のことです。週1回〜月1回程度のペースで行い、部下の仕事の進捗や悩みを聞く場として活用されています。
仕事以外にも、部下のプライベートや心身の健康についても話すことがあり、雑談を交えて面談するのが1on1ミーティングの特徴です。
部下と上司の信頼関係の構築や部下の成長促進のために、さまざまな企業で導入されるようになりました。
1on1についてより詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてみてください。
1on1とは何か?人事面談との違いや1on1の実践方法をご紹介!
1on1ミーティングのように上司と部下が2人で話す面談として、人事評価面談があります。しかし、2つの面談は目的や行う頻度、話す内容などが異なります。
以下に1on1ミーティングと人事評価面談の違いを表にしましたので参考にしてください。
1on1ミーティング | 人事評価面談 | |
実施目的 | ・部下の成長を促すため ・信頼関係を構築するため ・部下のエンゲージメントを向上するため など | ・部下の評価を行うため |
頻度 | 週1回~月1回程度 | 四半期1回~年1回程度 |
部下と話す内容 | ・現在の仕事の状況目標の進捗 ・心身の健康状態 ・プライベートについて ・今後のキャリアについて など | ・評価 ・給与や役職の決定 ・目標達成度や業績のフィードバック ・来期の目標設定 |
1on1ミーティングと人事評価面談は、上記のような違いがあるため、それぞれ目的を意識して取り組む必要があります。
1on1ミーティングを実施する目的として、以下の5つについて紹介します。
部下の成長を促進するために1on1ミーティングが行われます。
1on1ミーティングで業務の現状について話すことで、部下が自ら振り返りを行い、改善点を考えられるようになるためです。
PDCAサイクルを回して業務を遂行する習慣が部下に身につき、成長スピードを高められます。
また、1on1ミーティングは、上司が部下の仕事での悩みや課題について、解決策を教える機会でもあります。
上司のアドバイスによって、部下が次にすべきことが明確になり、スムーズに目標を達成できるのです。
1on1ミーティングは、部下の中長期のキャリアを支援するために活用されています。
部下が将来やりたいことを実現するには、上司のサポートが欠かせません。
1on1ミーティング中に部下の中長期のキャリアについて話し合うことで、適切なキャリアプランを設計できます。
キャリアプランが明確になることで、「実現するためにやるべきことは何か」を部下が理解できるので、モチベーションの向上につながります。
部下のエンゲージメントを高めるために1on1ミーティングが活用されています。
エンゲージメントとは、社員が仕事に対してもつ前向きな感情のことです。エンゲージメントが高いほど、社員が熱意を持って業務に取り組める状態になります。
1on1ミーティングは上司と部下が仕事について真剣に話せる場となり、部下のエンゲージメントを高められる効果があります。
社員が仕事にやりがいを感じて会社に愛着をもつことで、離職防止にもつながるのです。
1on1ミーティングを導入する目的の一つは、部下との信頼関係を構築するためです。上司と部下の間でコミュニケーションが増えて、相互理解を深められます。
お互いを知ることで、部下が心を開いて話してくれるようになります。結果、上司に率直に意見を伝えられたり、気軽に相談できたりするのです。
何でも話しやすい環境ができることでコミュニケーションが活性化し、組織全体の生産性が向上します。
1on1ミーティングは組織のマネジメントを高めるためにも導入されています。
1on1ミーティングを適切に行うためには、日ごろから部下を観察し、分析する力が必要です。
部下の業務姿勢をもとに、1on1ミーティングで指導やフィードバックをします。
1on1ミーティングを実施しつづけた結果、観察力と指導力が上司に身につき、部下に対するマネジメント力が上がるのです。
部下の成長スピードやエンゲージメントを向上できる上司が増えることで、会社全体のパフォーマンスを向上できます。
1on1ミーティングは、アメリカのシリコンバレー企業で最初に導入されました。しかし、今では日本国内でもさまざまな企業で使われています。
そこで、導入されはじめた理由として、以下の3つを紹介します。
市場ニーズと経済環境の激しい変化に対応する手段として、1on1が導入されるようになりました。
現在、世界中の企業との競争が激化しており、競争に打ち勝つためにも、さまざまな施策が求められています。
しかし、先が予測できないほどビジネスのトレンドが変化しており、どの会社も売上の獲得が難しくなってきているのです。
1on1ミーティングは頻繁に上司と部下が会話することで、会社の状況に合わせたマネジメントができます。
経営陣の方針をすぐに伝達できるため、経済環境への変化に対応しやすくなります。
人材確保が難しい中、社員の離職を防止するための策として1on1ミーティングが導入されています。
現在、多くの会社で人材不足が問題となっています。とくに、変えがきかないほどの優秀な社員が退職するのは会社にとって大きな損失です。
1on1ミーティングは、社員のエンゲージメントを高める効果があり、優秀な社員の退職を防げます。
上司と部下が深い人間関係を持ち、仕事のやりがいを部下に感じさせることで、「この会社で働きたい」と考えるようになるのです。
実際に、1on1ミーティングがきっかけで離職率が減った会社もあり、効果があることがわかっています。
国内で1on1ミーティングを導入している企業が増えたことで、さまざまな会社が実施するようになりました。
1on1ミーティングを導入した国内企業としては、ヤフー株式会社が有名です。ヤフーは2012年に導入し、コミュニケーションの改善や業務効率化を実現しました。
このことが書籍化されたこともあって、全国に1on1ミーティングが周知されるようになりました。
次の導入事例でヤフーの1on1ミーティングについて詳しく紹介します。
1on1の導入事例について、ヤフーを含む以下の3社を紹介します。
ヤフー株式会社では、社員の潜在的な能力や情熱を引き出すために1on1ミーティングを実施しています。
ヤフーではもともと、失敗からの学びを今後の業務に活かす経験学習を行っていました。
そこで、1on1ミーティングに経験学習を取り入れることによって人材の成長を促せたのです。
また、上司と部下のコミュニケーション不足の問題を解決するためにも実施しています。
1on1ミーティングを繰り返し実施してやり方を改良したことで、コミュニケーション不足による業務トラブルの削減を実現できました。
eコマース関連企業のテモナ株式会社では、離職率低下のために1on1を取り入れました。
1on1ミーティングを実施し、離職率の高い原因について話したところ、コミュニケーションに問題があることが判明したそうです。
解決策として、自分の意見をチームの中で話せる機会として「ぶっちゃけ会」を定期的に実施することにしました。他にも、朝と夕方にメンバーがコミュニケーションをとれる時間を設けるようにしました。
結果、1年で離職率が20%から0%になったのです。他にも、1on1ミーティングがきっかけで社員の課題解決力が身につき、生産性が向上する効果もありました。
ビジネス支援ツールを提供しているサイボウズ株式会社では、1on1ミーティングを「ザツダン」という名前で実施しています。
「ザツダン」は、少なくとも月1回のペースで開催し、名前の通り上司と部下で雑談します。
ルールや規定が設けられておらず、コミュニケーションを増やすことを主体にしていることが大きな特徴です。
「ザツダン」を実施した結果、社員が仕事の悩みを共有し、心理的な負担を削減できたという効果がありました。
1on1ミーティングを成功させるためには、以下のスキルが上司に必要ですので、実施前に身につけておきましょう。
傾聴力は、部下に寄り添って話を聞く力のことです。真剣に話を聞くことで、部下が心を開いて話す環境を作れます。
1on1ミーティングでは、部下の話を否定せず、相槌をうって話を聞くことが大切です。傾聴は信頼関係の構築にも有効なので、普段から人の話をしっかり聞く習慣をつけましょう。
質問力とは、部下に考えさせる質問をすることで、成長を促す力のことです。上司が問題解決になるよう質問を繰り返すことで、部下の自ら答えを見つけ出す力を養成できます。
質問はクローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分けることがポイントです。
クローズドクエスチョンは、「仕事の進捗は順調か?」「トラブルの原因はわかるか?」など、「はい」「いいえ」で答えられる質問のことをいいます。
一方、オープンクエスチョンは、「仕事の進捗はどうなっている?」「トラブルの原因は何?」など、回答側が自由に答えられる質問のことです。
できるだけオープンクエスチョンを使い、回答に詰まることがあればクローズドクエスチョンで話を展開していきます。
部下の考えを深掘りして質問し、本音を引き出しましょう。
フィードバックスキルとは、部下の行動に対し、いい部分や悪い部分を教えたり、周りからどう見えるかを伝えたりするスキルのことです。
適切に伝えることで、部下が業務態度を改善するようになり、成長を促せます。
フィードバックは言葉に気をつけないとパワハラになるおそれがあるため注意が必要です。例えば、「お前は頭が悪い」「お前はダメなやつだ」など、人格を否定する言葉が該当します。フィードバックはあくまでも部下の成長のために、改善点を伝えるものです。
1on1終了後に上司のフィードバックで部下がつらいと感じた点を改善することで、快いフィードバックを行えるようにしましょう。
ティーチングスキルとは、部下に業務に必要なスキルや知識を教える能力のことです。
部下が成長するには、自分で考えて問題解決法を見つけ出すことが大切ですが、時には答えを教えることも重要です。
部下が解決策についてまったく知らない場合や、上司しか知らない知識がある場合はティ―チングを行って部下の成長を促進させます。
1on1ミーティングで気をつけるべきポイントとして、以下の3つを紹介します。
部下に1on1ミーティングを行う目的と話す内容を共有しましょう。
「なぜ実施するか」を知らないと、部下が業務を負担に感じやる気が下がるためです。目的を共有することで、部下は1on1ミーティングが必要だと感じ協力的になります。
同時に話す内容についても事前に伝えます。事前に伝えることで、部下が1on1ミーティング中に話すことがなくなるのを防げるためです。
質問することを共有して、1on1ミーティングを実施するまでに回答を用意してもらいましょう。
1on1ミーティングで話したことは必ずメモを取りましょう。メモを毎回記録することで部下の変化に気づけるためです。
部下が「どのような思考で業務を行っているか」を知ることができ、キャリアプラン設計の参考として活用もできます。
1on1ミーティングは長期間運用することで効果が出るので、定期的に実施することが大切です。
継続できるように必ず1on1ミーティングのための時間を作りましょう。「毎週〇曜日の〇時から」のように決めておくと、習慣化しやすくなるのでおすすめです。
運用して間もないころは、1on1ミーティングに慣れないため負担が大きいかもしれません。続けるためにも最初は月1程度で行い、徐々に頻度を増やしましょう。
1on1ミーティングは会社によって導入する目的がさまざまです。
部下の成長を引き出すことが理由で導入する企業もあれば、コミュニケーションの活性化のために実施する企業もあります。
1on1ミーティングの導入では、自社の目的に沿った面談を行い、いかに望んでいた効果が得られるかが重要です。
部下の成長のためにも、上司が1on1を実施する目的をしっかり把握して取り組みましょう。
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