人事評価基準を5段階にする理由とは?メリットやデメリットについて紹介BLOG

 2022.5.30

5段階評価とは、人事評価をする際に「社員の能力」や「目標達成度」を5段階の基準で評価する方法です。パッと見ただけで評価が分かるため、社員の強みや弱みを簡単に把握できます。フィードバック面談を設定して、社員の成長を促すことにも効果的です。

この記事では、5段階評価のメリット・デメリット・効果的に行う方法について分かりやすく紹介します。5段階評価の導入を検討している方や、5段階評価を導入していてあまり効果が実感できていない方は、ぜひ参考にしてみてください。

人事評価とその目的

人事評価は、「評価制度」「等級制度」「報酬制度」の3つから構成されています。それぞれの特徴は以下の通りです。

評価制度等級制度報酬制度
企業ごとに定められた評価項目にしたがって、社員の能力や貢献度を評価する制度評価された結果に応じて、社員の等級(役割)や権限を示す制度評価制度や等級制度の結果に応じて、社員の給与や賞与を決める制度

「評価制度」で高い評価をもらえると、「等級制度」「報酬制度」によって、役職や給与が上がるという仕組みになっています。「評価制度」の基準のひとつとして、よく使われているのが「5段階評価」です。

人事評価の目的は、主に以下の3つが挙げられます。評価制度を使い「企業」と「社員」双方にメリットがあるようにしましょう。

  • 社員の処遇を決定するため
  • 人材の配置を最適化するため
  • 人材を育成するため

以下の記事で「評価制度」について詳しく紹介していますので、ご興味あればぜひご覧ください。

評価制度とは何か?代表的な5つのフレームワークを解説

5段階評価とは

5段階評価とは、人事評価をする際に「社員の能力」や「目標達成度」を5段階の基準で評価する方法です。一般的に「S・A・B・C・D」や「5・4・3・2・1」と表されます。5段階評価を使用することで簡単に達成度を把握できるのがポイントです。

5段階評価の表現方法と評価基準

5段階評価の「表現方法」と「評価基準」について、以下に簡単にまとめています。5段階評価で重要なのは、「B」や「3」の中間基準です。中間基準を「月間の営業訪問件数30件」とした場合の5段階評価の具体例を作成したので、自社で作成する際に参考にしてみてください。

表現方法評価基準
S・5現在の等級に求められる能力を大幅に上回っている
例)月間の営業訪問件数50件
A・4現在の等級に求められる能力を上回っている
例)月間の営業訪問件数40件
B・3現在の等級に求められる能力を保有している
例)月間の営業訪問件数30件
C・2現在の等級に求められる能力を下回っている
例)月間の営業訪問件数20件
D・1現在の等級に求められる能力を保有していない
例)月間の営業訪問件数10件

評価する手順として、以下を参考にしてみてください。例に記載した「営業訪問件数」のように定量目標であれば、簡単に評価できるのでオススメです。基準を明確にすることを意識しましょう。

  • 「B・3」の基準に達しているかどうか判断する
  • 基準通りなら「B・3」、上回っているなら「A・4」、下回っているなら「C・2」と評価する
  • 「A・4」「C・2」を再度評価して、「S・5」「D・1」に振分けの評価を行う

5段階評価のメリット3つ

5段階評価のメリットについて以下の3つを紹介します。

  • 目標達成度が簡単にわかる
  • 他社員の評価と比較されない
  • 評価する側・受ける側の負担が少ない

普段からメリットを気にせずに使用している方もいるのではないでしょうか。評価する側・受ける側の両視点で見ていきましょう。

目標達成度が簡単にわかる

5段階評価の評価基準は「A」や「3」と表されるため、目標達成度や能力について一瞬で把握できます。多くの社員の評価を確認する必要がある役職者や人事にとっては、簡単に評価が分かるので確認工数の削減にもつながるでしょう。

各評価軸に対しての達成度を把握することで、「どこが強みなのか」「どこが弱みなのか」を理解できます。把握した情報をもとに、社員の成長を考えた業務依頼などの工夫もできるでしょう。

他社員の評価と比較されない

5段階評価は基本的に絶対評価であり、個人の目標達成度や能力についての評価です。社内にとても優秀な社員がいたとしても、比較して評価を「D」「1」にする必要はありません。

だからといって、個人に対する評価が甘くなるという訳ではないので注意しましょう。あらかじめ目標設定時に定められた基準にそって評価を行います。目標設定時には各社員とよく相談した上で適正な評価基準を作成しましょう。

評価する側・受ける側の負担が少ない

5段階評価の特徴は、良くも悪くも、評価する側・受ける側に精神的な負担が少ないという点です。

評価する側は「B」や「3」の中間評価を付けることにより、評価を受ける側の待遇の変化を避けられます。評価を受ける側は基本的に中間評価が多いため、あまりプレッシャーを持たずに業務を進められるでしょう。ただし、評価する側は、適正な基準に達していなければ、基準にそって「C」や「2」の評価をつけることは必要です。

5段階評価のデメリット3つ

5段階評価のデメリットについて以下3つを紹介します。

  • 定性目標の評価が付けづらい
  • 中間評価が増えやすい
  • 社員のモチベーション低下につながる

5段階評価は定量目標であれば問題なく評価できます。ただ、定性目標になると評価する側の裁量に大きく依存してしまうという課題があります。その結果として中間評価が多くなり、社員のモチベーション低下を引き起こすでしょう。

定性目標の評価が付けづらい

定量目標と定性目標では、評価方法の難易度に大きく差が出てきます。以下の評価基準例をご覧ください。

◆評価基準例

定量目標:月間の営業訪問件数30件

定性目標:営業訪問先でのコミュニケーション能力の向上

「定量目標」であれば、評価基準である「月間の営業訪問件数30件」から±10件で「A」や「C」といった評価をつけることは簡単です。

しかし「定性目標」の場合には、「営業訪問先でのコミュニケーション能力の向上」のような評価基準になるため、評価する側にとっては負担につながるでしょう。定性目標を付ける場合には、あらかじめ評価可能か相談して決めるのがオススメです。

中間評価が増えやすい

先ほどメリットで「評価する側・受ける側の負担が少ない」と紹介しましたが、この裏を返せば「中間評価が増えやすい」というデメリットにもなります。中間評価はS〜DであればB、5〜1であれば3です。「中間評価を付けやすい」心理としては以下が考えられるでしょう。

  • 社員のモチベーションを低下させたくない
  • 他社員と比較したときの評価差を極力無くしたい
  • 定性目標に関して評価しづらい

上記のような心理が働いてしまうと、そもそも5段階評価にしている意味がなくなってしまいます。まずは、評価基準を明確に定めることが必要です。あくまでも評価基準に対して、目標達成度による評価をしていきましょう。

社員のモチベーション低下につながる

評価により社員のモチベーションを下げてしまっては元も子もありません。モチベーションを下げる要因としては以下が考えられます。

  • 「B」や「3」の中間評価が多い
  • 公平な評価がされていないと感じる
  • 時間をかけて評価表に記入する意味が理解できない

この3つの要因は適切な評価基準を設定し、適正に評価できれば基本的には問題になりません。5段階評価の良さは「自身の現状を知り、改善するための今後のアクションを再確認できる」ところにあります。適正な評価は社員のモチベーション向上にもつながりますので、丁寧な評価を心掛けましょう。

5段階評価を効果的に行う方法

5段階評価を効率的に行う方法について以下3つを紹介します。

  • 会社の評価基準の共通認識をもつ
  • 上司と部下の評価水準のギャップを埋める
  • 評価のフィードバックを定期的に行う

以下で紹介する3つは、5段階評価を実施する上で重要な観点です。「評価する側」も「受ける側」も納得感のある評価体制を構築しましょう。

会社の評価基準の共通認識をもつ

5段階評価の重要なポイントとして「会社の評価基準の共通認識をもつ」ことが挙げられます。ここまで紹介したデメリットは「評価する側」が会社の評価基準に対して、的確に目標設定へ落とし込めていないことが原因のひとつです。

まずは、「評価する側」に対して会社から、「○○を意識して△△を評価基準にしてほしい」などと伝えることが大切です。「評価する側」である役職者層を集めて研修を行ったり、人事からマニュアルを配布してもらうのも効果的でしょう。

評価する側・受ける側の評価水準のギャップを埋める

「評価する側」と「受ける側」に評価基準の差があると、「受ける側」のモチベーション低下につながるでしょう。評価基準が明確でない場合、「評価する側の期待する水準」と「受ける側の想定している水準」に違いが生じます。

このギャップが目標達成度評価における不満を生む原因です。目標設定時には「受ける側」に評価基準の作成を任せるのではなく、「評価する側」も一緒になって作成することが重要になります。目標設定時に達成水準を決めることで評価時の満足度を高められるでしょう。

評価のフィードバックを定期的に行う

5段階による評価と少しのコメントを記載するだけで評価を終えていませんか?人事評価をする上で大事なのは「現状と目標とのギャップを伝え、社員の成長を促すこと」です。

会社ごとに評価期間は異なります。ただ、評価タイミング時(毎月や四半期毎など)にはできる限りフィードバック面談を設けるようにしましょう。定期的に継続することにより、社員の「業務へのモチベーション」や「成長速度」向上にも効果が期待できます。信頼関係の構築にも役立つので、日々の業務連絡や相談もよりスムーズに行えるでしょう。

4段階評価もオススメ

ここまで5段階評価について紹介しましたが、実は4段階評価もオススメです。以下にそれぞれの特徴をまとめていますので、ご覧ください。

特徴メリットデメリット
4段階評価・中間評価がない・目標達成度が簡単にわかる
・他社員の評価と比較されない
・中間評価がない分、評価が明確になる
・定性目標の評価が付けづらい
・評価する側・受ける側の負担が大きい
5段階評価・中間評価がある・目標達成度が簡単にわかる
・他社員の評価と比較されない
・評価する側・受ける側の負担が少ない
・定性目標の評価が付けづらい
・中間評価を付けやすい社員のモチベーション低下につながる

4段階評価の特徴として、5段階評価との一番の違いは「中間評価がないところ」です。中間評価がないことにより評価が分散することになります。今までなら「3」や「B」で曖昧できた評価も、細かな点を考慮して付ける必要があるでしょう。「評価する側・受ける側」ともに精神的なプレッシャーは高まるかもしれませんが、評価向上のためモチベーションを高める効果も期待できます。自社のスタイルに合わせて選ぶこともオススメです。

5段階評価で適切な人事評価をしよう

5段階評価は日々の業務に対する「目標達成度」や「社員の能力」に対して、「基準値との差」をみて評価します。今回紹介した「5段階評価を効果的に行う方法」を参考に自社の人事評価への導入や、改善に役立てていただければと思います。

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