2023.4.11
フィードバックは従業員の成長を促すために欠かせません。しかし、ポイントを押さえて適切にフィードバックするのは意外と難しいものです。的外れなフィードバックをしてしまうと、従業員の成長を促すどころか不信感を抱かせる可能性もあります。
そこでこの記事では、フィードバックに欠かせない「ポジティブフィードバック」について詳しく解説します。ポジティブフィードバックは、従業員が今後の業務において継続すべき点が明らかになるので、やる気を引き出すために欠かせません。
適切なフィードバック手法を用い、従業員のモチベーションを高めて全体的な生産性向上につなげましょう。
一般的にポジティブフィードバックと呼ばれているものには、大きくわけて以下の2つの要素が含まれています。
それぞれどのようなフィードバック手法を指しているのかを見ていきましょう。
被評価者のポテンシャルを高めるフィードバックとは、「実際に上げられた成果や成果につながった行動を具体的に指摘するもの」です。ここには、最終的に成果につながっているものの、被評価者自身は気づいていないものも含まれます。
一例として、「不動産買取のチラシを撒いた結果、実際に買い取った物件数が大幅に増加した」ケースを考えましょう。チラシを撒いた従業員は実際の買い取りには携わっておらず、成果につながったことを認識していません。
フィードバックの場でこの点を指摘することで、被評価者の行動が成果につながったことを明確に示し、さらなる取り組みやスキルアップを促せます。
被評価者にとって望ましいフィードバックとは、「被評価者自身が認識しているポイントを指摘するタイプのフィードバック」です。一例として、「飛び込み営業の実施数を1.5倍にした結果、受注数が大幅に増加した」という成果があった場合、営業活動を実施した本人はこれを認識しています。
フィードバックの場であえてこの点に触れることで、被評価者の自己肯定感を高めてモチベーションアップ効果に期待できるでしょう。
ポジティブフィードバックと対になるのが「ネガティブフィードバック」です。ネガティブフィードバックは、被評価者が改善すべき点と具体的な改善方法を指摘し、スキルを高めるために行います。
一例として、「プレゼンに具体性がなく、その結果相手を説得できず失注につながった」という例を考えましょう。この場合は、「プレゼンが漠然としていて説得力が低いのが問題だったこと」を伝え(原因)、プレゼンの内容調整(改善行動)を促します。
ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックは、いずれも成長を促す重要な要素なので、両方を盛り込むことが大切です。
ポジティブフィードバックを効果的なものにするには、必要な内容を盛り込まなければなりません。忘れずに言及したいポイントは以下の3つです。
ここではそれぞれの盛り込み方を詳しく解説するので、ぜひフィードバックのクオリティを高めるための参考として活用してみてください。
被評価者の取り組みのうち、どのような行動がどんな成果につながったのかを明確化しましょう。「オウンドメディアの運営を強化した結果、アクセス数が大幅に増加して問い合わせフォームからのコンタクト数も同様に増加した」など、簡潔に指摘してください。
評価に値するポイントを明確に伝えることで、被評価者自身の自己肯定感を高め、「もっと頑張ろう」と思ってもらえるようになります。
このように簡潔に評価し、続く段階で具体的な取り組みに言及することで相手のモチベーションを高めます。
評価に値するポイントを簡潔に伝えたら、具体的にどのような成果を上げられ、何がその成果につながったのかを指摘します。前述したオウンドメディアを例にすると以下の通りです。
問い合わせフォームからのコンタクト数を増やすという目的に対してどのような取り組みを行ったか、それらがどんな成果を生み出したかが明確になっています。体系的にフィードバックすることで、被評価者は自分の行動が高く評価されていることを理解できます。
さらに取り組みを強化してもらうために、今後の業務で取り組んでほしいポイントも忘れずに盛り込みましょう。具体的には以下のように盛り込めます。
上記の内容を盛り込むことで、被評価者は「さらに成果を出すために何を行うべきか」を明確に理解できます。これまでの取り組みが高く評価されていることを知っているため、高いモチベーションを保ったまま取り組んでくれるでしょう。
ポジティブフィードバックを行うときは、効果的なものにするためのコツを抑えていないと効果が低くなる可能性があります。より効果的なフィードバックにするためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
ここでは、それぞれのポイントで意識しておきたいことを詳しく紹介します。
ポジティブフィードバックに含める成果や取り組みは、被評価者と直接関係するものにしましょう。関係が薄い要素を含めても自分のこととして受け取ってもらえず、大きな効果には期待できません。
ルート営業を担当するスタッフに、「営業チーム全体で飛び込み営業を強化した結果、受注数が前月比1.5倍になった」と伝えたとしましょう。フィードバックを受けた相手は「それは飛び込み営業の結果であって、ルート営業を担当する自分には無関係だ」と思うものです。
「ルート営業のアプローチ方法を変更した結果、継続契約してくれる顧客が増加した」などのように、その人と関係が深い成果に言及しましょう。
被評価者のよかった点を評価するものとはいえ、褒めるだけで終わらせると効果には期待できません。テレアポを担当する従業員に「テレアポを強化して発信数を100件/日増やした結果、反応を示してくれる人が1.2倍になった点がよかった」と伝えたとしましょう。
被評価者は「今月の取り組みはちゃんと成果が出た」と思いますが、人によっては「来月も継続しよう」と思わないケースがあります。「来月もこの取り組みを継続し、さらに効果を高めるためにもリストの精査に取り組んでほしい」などと行動を促す内容を盛り込むとよいでしょう。
これによって、被評価者は「さらに成果を高めるためにもっと努力しよう」と思うようになります。
ポジティブフィードバックでは具体的に取り組むとよいポイントを伝えますが、その取り組みが順調に進むとは限りません。予想できない事態が発生する可能性もあるため、サポート体制を整えましょう。
業務に関する相談を受け付ける窓口を用意したり、必要な研修を行ったりすると効果的です。チーム内のコミュニケーションを強化するのも有効です。
フィードバックを行うときは、ポジティブフィードバック(継続すべき点を指摘する)とネガティブフィードバック(改善すべき点を指摘する)の両方を盛り込むことが大切です。この2種類をバランスよく盛り込むことで、以下の効果に期待できます。
フィードバックの種類 | 効果 |
ポジティブフィードバック | よかった点に継続的に取り組んでもらい、より高い成果や従業員自身の成長を促す |
ネガティブフィードバック | 改善点を明確に指摘し、成果につなげるための改善行動を促す |
通常、どのような従業員でもよかった点と改善すべき点の両方があるものです。成長を促すためにも、どちらか一方に偏らず両面を含めることが大切です。
フィードバックの手法にはさまざまなものがあるため、それぞれの特徴を押さえて適切なものを用いることが大切です。ここでは、主なフィードバック手法として以下の2つを紹介します。
手法によってアプローチ方法が異なり、期待できる効果にも差があります。それぞれの特徴を正しく理解し、内容に応じて適切な手法を用いましょう。
SBI型は、フィードバックすべき内容を「状況」「行動」「結果」の3つに分解して言及する方法です。ポジティブフィードバックにもネガティブフィードバックにも使用でき、継続すべき点や改善すべき点を明確に伝える効果に期待できます。
SBI型のフィードバックを行うときは、「いつ」「何を行って」「どんな結果を生み出したか」を意識しましょう。
「先月、リピーター獲得目的で行ったアンケートが効果的で、リピート契約数が10%増えたから引き続き取り組んでほしい」などのように伝えます。
ペンドルトン型とは、対話形式でフィードバックするのが特徴的な手法です。フィードバックは一方通行になりがちですが、この方法を用いることで対話を通して自然な流れになります。具体的な流れは以下の通りです。
各段階で被評価者の意見や見解を聞くなど、「対話」を意識しましょう。一方的なフィードバックになると、ほかの手法と差別化できなくなります。
[ 例文 ]これまで開発工程において、バグ修正作業に時間がかかって全体の生産性が低下していたのが課題だった。しかし、新たに導入したAIを活用して修正案を提示してくれるプログラムのおかげで、バグ修正にかかる時間が50%減少し、大幅に業務効率が改善した。 積極的に改善行動に取り組む姿勢に感化された従業員も多く、全体のモチベーションが高い状態になっている。まだまだ改善が必要な業務はあると思うので、引き続き取り組みを続けてほしい。 |
この例では、被評価者がどんな行動を取り、どのような成果につながったかを明記しています。その結果チーム全体によい影響を与えたことにも言及しており、モチベーションを高める内容になっているのも特徴です。
適切なフィードバックは、被評価者だけではなくチーム全体・企業全体によい効果をもたらします。とくに以下のような効果に期待できるので、一度フィードバックシステムの見直しに取り組むのもオススメです。
いずれかに課題を感じているなら、フィードバックの機会を活用してモチベーションアップを目指しましょう。
適切なフィードバックは従業員のよい点と改善点を明確にし、成長につなげます。被評価者も、自分で納得できる体系的なフィードバックを受ければ、これまでの業務を振り返る機会になるでしょう。
適切な評価を受けてモチベーションが高まれば、より高い成果に期待できます。モチベーションは生産性に影響することを考えると、適切にフィードバックする機会を用意することは大切です。
フィードバックするときは、継続すべき点や改善点、課題の解決策にも言及します。被評価者にとっては、何に取り組むべきかが学べるため、自発的な行動を促せるでしょう。
とくにポジティブフィードバックは被評価者の自身を高めることにつながるため、自信を高める効果に期待できます。被評価者本人が「もっと頑張りたい」と思うようになり、進んで行動してくれるでしょう。
フィードバックの機会を通して各従業員のモチベーションを高めることは、チームワークの強化につながります。チーム内にモチベーションが高い従業員が増えれば、自発的にさまざまな業務に取り組み、主体的に行動してくれるようになるでしょう。
チームワークを強化すればチーム全体の生産性が高まり、企業全体と業績UPにつながります。
チームワークの低下を課題に感じているなら、モチベーションダウンが背後に隠れている可能性もあります。適切なフィードバックを通してモチベーションアップに取り組むのもオススメです。
フィードバックを従業員のモチベーションUPにつなげ、被評価者のやる気を引き出すには評価者側にも高いスキルが求められます。フィードバックが的外れだったり主観的だったりすると、被評価者側のやる気を削ぐことにもつながりかねません。
フィードバックを効果的なものにするためにも、マネージャーのスキルアップにも取り組みましょう。具体的な取り組みについては以下の資料で詳しく解説していますので、ぜひこの機会にダウンロードしてチェックしてみてください。
https://resily.com/download/wp002
ポジティブフィードバックは、被評価者のよい点にフォーカスしてフィードバックし、継続的な取り組みを促すものです。従業員のモチベーションを高め、さらなる成果につなげる効果に期待できます。
フィードバックを効果的なものにするには、適切な手法を用いることやマネージャーのスキルを高めることも欠かせません。フィードバックになんらかの課題を抱えているなら、ぜひこの機会に時間を確保して見直してみましょう。
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