2023.8.28
「SMARTの法則の使い方がわからない」
「SMARTの法則でどのような目標が設定できるのか知りたい」
と思っていませんか?
SMARTの法則は、5つの基準を用いた目標設定方法です。SMARTの法則を用いた目標の設定方法を把握すれば、明確な目標を設定できるようになります。
そこでこの記事では、以下のことを紹介します。
この記事を読むことで、SMARTの法則を用いた目標の立て方を把握できるので、ぜひ参考にしてみてください。
本記事の執筆者について
「Resily」は目標管理のフレームワークOKRのクラウドツールを170社以上に提供しています。国内企業における目標管理に携わったノウハウを基に記事を執筆しています。OKRの設定においても重要なSMARTの法則をぜひこの機会に覚えていただければと思います。
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SMARTの法則とは、5つの基準にそって目標を立てる目標設定手法です。5つの基準を表す英単語の頭文字をとって、SMARTと呼ばれます。
SMARTの法則は、1981年にコンサルタントのジョージ・T・ドランが執筆した論文「There’s a S.M.A.R.T. way to write management’s goals and objectives」をもとに提唱されました。
論文では、SMARTの法則を構成する要素として以下のことが記載されています。
SMARTの法則は、40年以上前に提唱された法則であるため、「古い」といわれることがあります。しかし、現在でも具体的な目標を立てやすいことから、さまざまな企業で使われています。
一般的に、SMARTの法則は以下の5つの基準で構成されています。
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それぞれの基準を簡単にご紹介します。
Specificとは、「具体的な」という意味で、「目標が具体的であるか」という基準で目標を立てます。
目標設定では、「誰が聞いても同じ認識を持てるほど明確な目標になっているか」が非常に重要です。
たとえば、「次の新商品をヒットさせる」という目標は、「何をもってヒットになるか」が人によって異なるため、明確とはいえません。
「1年間で1000個売る」や「年間1000万円の利益を生み出す」など、具体的であることで目標として機能します。
Measurableは「測定可能か」という意味で、「目標の達成度が測れるか」という基準を表します。
あいまいな目標の場合、達成できたかがわからず、その目標を立てた人材をうまく評価できません。正しく評価ができないと、人材の成長に効果がないため、意味のない目標になってしまいます。
評価基準を明確にするためにも、数値などを用いて達成度を算出できる目標にすることが大切です。
Achievableは「実現可能な」という意味で、「達成可能な目標か」を基準にして目標を考えます。
Achievableでは、社員の能力や実績をもとに「頑張れば達成できる目標か」をチェックすることが大切です。
達成できないような難しい目標を立ててしまうと、モチベーションが下がる原因になりかねません。逆に、簡単に達成できる目標だと社員の成長を促せません。
少し上のレベルの目標を設定することで、モチベーションの向上や成長に繋がります。
Relevantは「関連した」という意味で、「自分の利益に関連しているか」を基準に目標を設定します。
目標と自分の利益がつながることでモチベーションの維持ができるため、Relevantは重要な基準の1つです。
「達成すればボーナスが多くもらえる」「昇給する」など、金銭的な利益がある目標を立てることで目標に対してのやる気が出ます。
「スキルを習得できて、やりたかった仕事ができるようになる」など自己成長も利益の1つとなります。
Time-boundは「期限を定めた」という意味で、目標に期限があるかを確認する項目です。
目標には、期限を設定することが大切です。期限がないと目標達成が先延ばしになってしまいます。
「○○日まで」と計画を立てることで、作業への集中力があがり、業務のスピードを高められます。
SMARTの法則で目標を立てるメリットとして、以下の3つを紹介します。
SMARTの法則で目標を設定することで、評価基準が明確になります。
人事評価では、多くの企業で目標達成度による評価が実施されています。評価基準は会社によって異なりますが、どの企業でも社員の評価が公平にできるのが望ましいです。
公平に評価するには、明確な評価基準が欠かせません。そこで、SMARTの法則を用いれば、明確な目標を設定でき、部下が納得のいく評価を上司ができるようになります。
モチベーションを向上できることもメリットの1つです。
SMARTの法則に沿って自ら目標を設定することで、「今何をすべきか」が明確になり、スムーズに行動できるようになります。自主的に動くことでモチベーションが高まります。
さらに、目標を達成することで、自信につながり、仕事へのモチベーションをより引き上げられるのです。
モチベーションの高い社員が増えることで組織力の向上にも効果があります。
将来のキャリアプランを意識しながら働けることもメリットです。
SMARTの法則による目標の設定を習慣化することで、将来のビジョンを具体的に考える力が身につきます。
長期的に何をすればいいかを細かく計画することで、実現に向けて自主的にアクションを起こせるようになります。
SMARTの法則を利用して目標を設定するポイントとして、以下の4つを解説します。
SMARTの法則を使うときに注意したいのが、すべての目標が、すべての基準を満たす必要はない点です。
今すでに運用している目標管理の手法とSMARTの法則の間に矛盾が発生した場合は、そもそも何のために目標を達成したいのかを考えます。
そして、SMARTの法則のどの基準を取り入れるのかを決めるのがおすすめです。
次では、SMARTの法則を使って、目標を設定する方法をご紹介します。
SMARTの法則を使って目標を設定するときは、以下のような表が書かれたシートを使うのがおすすめです。
tとりあえず設定した目標 | |
Specific(具体的な):目標が具体的か? | |
Measurable(測定可能な):達成度を測れる目標か? | |
Achievable(実現可能な):達成可能な目標か? | |
Relevant(関連した):目標の達成が自分の利益につながるか? | |
Time-bound(期限を定めた):期限が設定されている目標か? | |
SMARTを用いて設定した明確な目標 |
たとえば以下のような形です。
とりあえず設定した目標 | 商品をたくさん売る |
Specific(具体的な):目標が具体的か? | 商品Aを売る |
Measurable(測定可能な):達成度を測れる目標か? | 1,000個売る |
Achievable(実現可能な):達成可能な目標か? | 先月800個売れたので、おそらく達成可能 |
Relevant(関連した):目標の達成が自分の利益につながるか? | 1,000個売れたら、インセンティブがもらえる |
Time-bound(期限を定めた):期限が設定されている目標か? | 来月までに売る |
SMARTを用いて設定した明確な目標 | 来月までに、商品Aを1,000個売る |
成果目標と行動目標の2つを設定することも重要です。
成果目標とは、「自分が最終的に達成したいと考えている目標」です。行動目標は「行動すれば達成できる目標」を指します。
行動目標は成果目標のための手段とすることで、成果目標の達成に近づけられます。
たとえば、「1年に10社の顧客を獲得する」という成果目標にしたとしましょう。このとき、行動目標は「毎月50社に営業する」「営業の勉強を毎日30分する」などのように設定できます。
行動目標を達成することで、最終的な成果目標に近づくため、2つの目標を立てることがおすすめです。
市場の変化に応じて、SMARTの法則を扱いましょう。
現在、新型コロナウイルスによる経済悪化によって、1年後の未来すら予測することが難しくなっています。
変化していく経済環境に対応していくには、常に変化に沿って会社の方向性を決めることが重要です。
SMARTの法則は手軽に具体的な目標を設定できます。著しく変わる市場でも、目標を変えながら行動することで、柔軟に対応できるようになります。
ここでは、SMARTの法則に基づいた目標を達成させるためにすべきことを3つご紹介します。
1つ目のポイントが、目標達成につながる行動をスケジュールに組み込むことです。せっかく目標を立てても、日々の生活に取り入れられないと忘れられてしまいます。
たとえば「今月中に100社に営業をかける」のが目的であれば「毎日○時ごろに5社に営業をかける」など、目標達成につながる行動をスケジュールに組み込むようにしましょう。
2つ目のポイントが、目標達成につながらないことをやめて、時間をつくることです。
何をやめるか判断するためには、まず「いつ、何をしたか」を細かく記録するのがおすすめです。その記録を振り返ることで、どの時間が削減できそうかを検討しましょう。
3つ目のポイントが、定期的に目標と現状を比べ、目標を見直すことです。なぜなら仮にSMARTの法則に基づいて目標を立てたとしても、すべてが予定通りには進むとは限らないためです。
前述のように、実現できそうもない目標を立ててもモチベーションは上がりません。また簡単に実現できる目標は成長につながりません。
定期的に進捗を確かめて、目標を見直すのがおすすめです。
スマートの法則の事例として、以下の3つを紹介します。
経営の仕事内容はたくさんあるため、さまざまな目標を設定する必要があります。ここでは、売上に関する目標を例として取り上げましたのでご覧ください。
とりあえず設定した目標 | 売上を2021年度より伸ばし、利益率を上げる |
Specific(具体的な):目標が具体的か? | 売上、利益率という指標が明確 |
Measurable(測定可能な):達成度を測れる目標か? | 2021年度より5%の売上を伸ばす。利益率を8%にする。 |
Achievable(実現可能な):達成可能な目標か? | 2021年度は2020年度より3%売上を伸ばせたことと、新商品の販売体制が整ったことで実現できると予想。 前年度よりも投資額を抑えられるため、利益率8%は目指せるという見解。 |
Relevant(関連した):目標の達成が自分の利益につながるか? | 会社の利益が増加することで、経営陣の報酬が増加する |
Time-bound(期限を定めた):期限が設定されている目標か? | 2022年度末まで |
SMARTを用いて設定した明確な目標 | 2020年は2021年度より売上を5%増加し、利益率を8%にする |
営業部は数値を扱う業務が多いため、具体的な目標を設定しやすいです。SMARTの法則を用いることで以下のような目標を設定できます。
とりあえず設定した目標 | 新規の顧客を増やす |
Specific(具体的な):目標が具体的か? | 「新規の顧客」という基準が具体的である。 |
Measurable(測定可能な):達成度を測れる目標か? | 100人の顧客を目指す |
Achievable(実現可能な):達成可能な目標か? | 2021年度が90人で、成約率が2020年度よりも2%増加しているため、達成可能だと判断した。 |
Relevant(関連した):目標の達成が自分の利益につながるか? | 顧客獲得によるインセンティブや昇格 |
Time-bound(期限を定めた):期限が設定されている目標か? | 2022年度末までに達成する |
SMARTを用いて設定した明確な目標 | 2022年度末に100人の新規顧客を獲得する |
人事部の社員でもSMARTの法則を活用して目標を設定できます。有休消化率を例にして取り上げます。
とりあえず設定した目標 | 有休消化率を増加させる |
Specific(具体的な):目標が具体的か? | 有休消化率という指標が明確である |
Measurable(測定可能な):達成度を測れる目標か? | 有給消化率80%を目指す |
Achievable(実現可能な):達成可能な目標か? | 2021年度は有休消化率が50%と低い水準だった。しかし、半年前から実施している有休消化のプロモーションにより上がると予測している。有休の取得方法を変更して以前よりスムーズに申請できるようになったため、申請者が増える見込みがある |
Relevant(関連した):目標の達成が自分の利益につながるか? | 自分自身も有休を取りやすくなる |
Time-bound(期限を定めた):期限が設定されている目標か? | 2022年12月までに達成を目標 |
SMARTを用いて設定した明確な目標 | 2022年12月までに会社全体の有休消化率を80%にする |
SMARTの法則を改良して作られた目標設定手法について、以下の3つを紹介します。
SMARTERは「SMART」に「E」と「R」の基準が追加された法則です。
「E」と「R」は以下のような基準となっています。
部下の設定した目標が適切かどうかを、上司が評価・承認する指標として取り入れています。人事評価での目標管理に有効です。
SMARRTは「SMART」に「R」を取り付けた法則です。
「R」は「Realistic」の頭文字で現実的という意味です。「A」のAchievableと同じような意味を持っていますが、2つの基準があることでより「達成可能な目標か」を吟味できます。
SMARTTAは「SMART」に「T」と「A」の基準が追加された法則です。
「T」と「A」は以下のような基準となっています。
「Trackable」は、目標に向けての取り組みを把握することで、最終的な目標までの立ち位置を確認できます。
「Agreed」については、チームを基準にした目標です。組織全員で目標を共有することで一体感が生まれるため、納得できる目標であるかが重要視されます。
SMARTの法則は以下の2つの目標管理フレームワークに活用できるので紹介します。
OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、会社と個人の目標を結び付けて管理する目標フレームワークです。
OKRの「O」である「Objectives」が会社の目標を意味し、定性的で挑戦的な目標を設定します。
「KR」の「Key Results」はObjectivesを達成するための行動目標です。定量的な目標を作成し、社員の個人目標として達成してもらいます。
OKRを活用することで、組織の方向性を統一できます。全員が目標を共有できることで、業務でのコミュニケーションを活性化することが可能です。
SMARTの法則を用いることで「Key Results」を具体的に設計でき、誰でも同じ認識を持てるような目標を設定できます。
OKRについて詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
OKRとは?Google採用の目標管理フレームワークを導入事例を交えて紹介。KPIやMBOとの違いも解説
MBOとは、「Management By Objective」の略で、自ら目標を設定して期日までに目標を達成する目標管理フレームワークです。
自ら目標を設定することで、仕事へのモチベーションを向上できるメリットがあります。目標達成のために自主的に行動するため、自然に考えて行動できる力を養えます。
MBOは人事評価に活用される場合が多いため、具体的で定量的な目標にすることが望ましいです。SMARTの法則を使えば、上司が評価しやすい目標を設定でき、公平で納得感のある評価ができます。
MBOに興味のある方はこちらのページもおすすめです。
目標管理(MBO)とは?メリットやデメリット、運用の流れを紹介
SMARTの法則は目標を立てるのに有効な手法です。具体的で明確な目標を設定できるため、自身の成長やキャリアプランの設計に活用できます。
SMARTの法則で設定した目標は評価基準としても活用でき、公平な評価が可能です。OKRやMBOなどの目標管理フレームワークでも利用できます。
さまざまな業種や職種で使える汎用性の高い法則なので、あなたの会社でもぜひ活用してみましょう。
本記事を執筆したResilyはスタートアップから大企業まで幅広い組織で採用され始めている「OKR」を管理するツールを提供しています。
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